「貴族様。遠い所からわざわざありがとうございます。」
村の入り口で呼び止めた大人の人に事情を説明すると、その人は喜んで頭を下げていた。
「ところで、貴族様?その箱は?」
その人は、俺のそばにある、人がスッポリ入れる大きさの木箱を見て首を傾げていた。
「ああ。これ?恐がりの娘を入れてあるだけだからあまり気にしないで。」
「ちょ!気になりますよ!」
そう叫んで慌てて箱を開けるのを見て俺達も慌てるのだがもう遅かった。
「キャアァァァッ!!」
悲鳴を上げ逃走しようとするので、右手を取り地面に顔を押し付ける。
「え、えっと、俺はいけない事をしちゃいましたか?」
不安そうに問いかける男の人に首を横に振った。
「いえ。事前に教えなかったこちらが悪いし。」
その言葉に安心して息を吐く男の人に案内してもらい、村長さんの家にたどり着いた。
○ ○ ○
「カウス様。遠い所からわざわざありがとうございます。」
村長さんは俺の顔を見たとたん、深々と頭を下げた。俺は初対面で名前も告げていないのに何でだろうと思っていたら、察した村長さんが答えを教えてくれた。
「カウス様はカウス様の母君と瓜二つでございます。」
そういう事か。納得と同時に複雑な気分だった。
「女性に似ているとあまり嬉しくないかも。」
母様に似ていると言われたのは悪い気はしないけど、やっぱり女性にそっくりなのはショックだ。その想いが表情に出ていたのか、愉快そうに笑う村長さんは夕食の指示を娘さんたちに出した。
「精一杯のおもてなしをさせていただきますので、今夜はごゆっくりおくつろぎしてください。」
その言葉に感謝しながら、テーブルに並べられる料理に舌鼓をうった。
○ ○ ○
俺とシエスタはかつて橋が架かっていた所にいる。他の皆はオーク鬼討伐に出向いている。
「じゃ、始めるか?」
「はい!」
俺のその言葉にシエスタはかわいらしく握りこぶしで答えた。その動作に微笑みながら杖を一振りして、ゴーレムを作成した。そのゴーレムは弓矢を糸を結わえ反対側に立っている気に向けて射た。
「ハッ!!」
シエスタはチェーンを飛ばして矢を回収する。その際、矢に結わえてあった糸が木に引っかかりUに見えるようにする。次に糸のお尻にロープを結わえて糸を引いた。そして、こちらの木に結びつければ、UがOに変わる。その行程を何回も繰り返し、たくさんのOを作ると次に小さいゴーレム達を作りロープの上に乗せる。そのゴーレム達を錬金してコンクリートに変える。そして、硬化で硬くする。その工程をむこう側にたどり着くまで何度も繰り返したら向こうまでたどり着くと橋の原型の出来上がり。さらに、ゴーレム達を川底に沈め、組み合わせて身長を延ばし続けると橋まで到達したので錬金でコンクリートに変えると橋を支える柱に変わった。
「う…。魔法を使いすぎたか。」
いくら何でも魔法を乱発して精神力を消耗しすぎたらしい。ふらつきながらも近くの木にもたれかかったらシエスタちゃんが心配そうに問いかける。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫。ちょっと精神力を消耗しすぎただけだ。休めば元に戻るよ。」
その答えに安心したのか、ホッと息を吐いて別の質問を問いかけた。
「そういえば、ハマルさんってなんでカウス様と知り合ったんですか?」
その問いにどう答えようか頭上を見上げてしばししてから答えた。
「ごめん。答たくても答えようがないんだ。とある任務でスバルが連れてきたから何も知らないいんだ。」
そのスバルは大丈夫だろうか?何故だが言い知れぬ不安を感じて空を見上げていた。