「アレだな?」
俺は切り立った陸の孤島を見下ろしていた。その断崖絶壁には普通の手段では行くことは不可能だろう。
俺達はその孤島にある唯一の建物に近づくと大きな声をあげた。
「すいません。責任者の方はいらっしゃいますか?」
その声に、修道院のシスターやら、何やらが興味津々に身に来た。ここにわざわざ来る人はいないだろうから珍しいのはわかるけどな。
「私がセントマルガリタ修道院の院長です。私にご用命でしょうか?」
「初めまして。俺はカウス・ド・アウストラリスと申します。本日は、このセントマルガリタ修道院を、アウストラリス領に移設願いを申し出に来ました。一応ガリア国王からの許可いただいております。」
そう言ってガリア国王からもらった手紙を院長に見せる。その内容に驚いて、何度も読み直していた。
「わかりました。しかしなぜこの修道院を?」
「シャルル様には双子の娘がいます。ガリアは双子が意味後故に産まれた瞬間に片方は手放さなくてはならず、この修道院に預けたようですが。もし、その娘が、ロマリア、もしくはゲルマニア、トリスティン、アルビオンの言いなりになるように仕向け、シャルロット様と入れ替わりされたらどうなると思いますか?もちろんシャルロット様以外の王族が皆亡くなったと仮定して。」
考えなくてもわかる。その瞬間、ガリアはその国の属国となる。
「俺も、アウストラリス子爵もガリアを手にすることには何ら興味がありませんが、それでも双子を利用する輩は出るでしょう。」
実際原作も出たし。なら、先手を打つしかない。
「わかりました。その話、乗らせていただきます。」
「院長!!」
院長の声に修道院の大人たちに非難の声ががる。
「どのみち、ガリア国王からの許可がある以上、私達には拒否権はありません。」
院長の言葉に諦めたのか何も言わなかった。そこを、一人の少女が前に出てくる。盲目なのか、両目を固く閉ざしている。
「カウス様。私の名前はスピカと申します。」
スピカと名のる少女はそう名乗り、深々と頭を下げた。
「先程のお話を判断いたしますと、カウス様はこの修道院を必要なく、ここにいらっしゃる御方に御用があって私達は単なるついでにすぎないということで構わないのでしょうか?」
「む。そういうことだけど、まさか、君も反対なのかな?」
「いいえ。私はこの修道院しか居場所はありません。ですから、この修道院が移設となればそれに従う他ありません。
ですが、外の世界は絶望しかありません。その世界で生きよと貴方は仰るのですか?」
スピカの言葉にシスター達が非難の目を向けた。
「確かに外の世界は平民やらには生きづらい世界かもしれない。君みたいに可愛い娘を無理矢理手込めにしようとするバカ貴族。我欲を満たそうとするクズ貴族のせいで無理な搾取で飢えていく人もいる。」
その言葉に、アクベンスやスバルは首を縦に振る。特に母が手込めにされたアクベンス、飢えていく平民達を何とかしたいと悪事に手を染めたスバルには納得できる言葉だったのだろう。
「ここにいて、危険に目を反らし続けていれば安全だろう。それでも、俺は君達にここに居ては得られない自由を与えたい。」
「それは、私達の為ですか?」
スピカの問いに、俺は首を横に振る。
「イヤ。俺自身の薄汚い欲望のダメだよ。」
俺の答えにほとんどの人が非難の目で見ていたが、スピカは柔らかく微笑んでいるだけだ。
「カウス様。以後よろしくお願いします。」
スピカはそう言って深々と頭を下げた。
「は?」
意味がわからず、首を傾げると、
「カウス様が私達の為と仰ってましたら、私はカウス様を信用しませんでした。ですが、カウス様は誰の為とも言わずご自身の責任だと言いました。だからこそ信じます。しかし、カウス様。行動には責任が付きまといます。
カウス様。私達を捕まえたその手は決して離さないでください。」