イルカと雑談を交えながら食べた夕食…しかし、楽しい時間は瞬く間に過ぎて行く。
気がつけば17時半を少し回っていた。
「おっと、もうこんな時間か…明日も早いし、お前は家も少し遠いから今日はお開きにするか!」
「もうそんな時間…って5時半過ぎてる!?」
イルカに言われて時計を見たナルトは驚いた。
自分の中ではまだ16時半位だと思っていたからだ。
「自分の里でこんなこと言いたくないが、森に入るまで油断するなよ?絶対変化の術も解くんじゃないぞ?」
「了解だってばね!それじゃイルカ先生また明日ねー!」
「おう!お前も気を付けて帰るんだぞー!」
イルカ先生に大きく手を振ってから歩き出す。
忠告どおりに然り気無く辺りを警戒しながらワイワイ、ガヤガヤと賑わう中心街を森まで早歩きで通り抜け、森に入るときも辺りに人が居ないことをしっかり確認する。
「右ヨシ!左ヨシ!上ヨシ!四方八方、人の気配なし!おいろけの術、解!」
どうして此処まで慎重になるのか…その答えは『ナル子』が森に入る所を誰かに見られて『ナルトの関係者』と少しでも疑われれば、今後どんな姿に化けても里で見慣れないという理由で『狐が化けているのでは?』と疑われ、非常に生活が送りづらくなるからだ。
イルカに言われたとおりに辺りの気配を探ってから本来の姿に戻ったナルトは森へと姿を消した。
「まだ寝るまで時間もあるし、夜は何の修行しようかなー」
元の姿に戻ったナルトは森中に張り巡らせた侵入者撃退トラップを確認しながら家まで戻っていた。
「いくら瞑想しても腹に居るっていう九尾は全然答えてくれないし……あっ!大蛇丸さんと綱手さんの読みかけ論文読破しちゃお!」
『ある人』の助言で尾獣との対話を何度も試みるナルトだが今のところ九尾は無視を決め込んでるため成果は無い。
だが居留守は確実のため最近は九尾の檻がある部屋に入る前に現れる大きな門をひたすら叩き、『きゅーび君遊びましょう!』と大声で叫びまくるという『中に入れるまで止めないぞ作戦』を実行中なのだ。
もはや完全なる嫌がらせである…
「まだ6時半か…んー、やっぱり論文は同居人への挨拶が済んでからだってばね!」
結局ナルトは帰宅した19時から20時まで瞑想し、対話を試みた。
その結果、扉の向こうから上手く聞き取れなかったが雄叫びが返ってきた。
side.九尾
ドンドンドン!ドンドンドン!
ワシが寝ていると突然音がした。
原因は唯1つ…今夜もあの糞ガキがやって来たのだ…
ピンポーン
「九尾君居ますかー?」
部屋に響いたのは聞き慣れない音だった…が此処はアイツの精神世界みたいなもんだ。どうせアイツが勝手に想像して作ったんだろう…
しかしワシがわざわざ返事をする理由も扉を開けてやる理由も……
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン
「ウルセェー!!黙れ糞ガキ!!」
今までずっと我慢してきたワシだ。
しかしあの音の連チャンは無理だ…ウザイ、ウザすぎる。
流石のワシも我慢できず大きく吠えた。
静かになったドアの向こうに「フンッ!」と鼻を鳴らし寝ようとした次の瞬間…
「初めて返事もらえたー!やったー!諦めず頑張ってきて良かったってばね!また明日もくるから今度こそ入れてねー!」
はしゃぐ糞ガキの声が聞こえた。
次の瞬間ワシはどっと襲ってきた疲労に耐えられず寝た…
ナルトに助言した『あの人』とは!?
備考ですがナルトが参考にする論文や忍術資料のほとんどは大蛇丸と綱手のものです。
そして過酷な生活の中で何時もナルトを励まし、奮い立たせたのは図書館で埃積もってた一冊の小説。
その小説とは言わずもがな自来也さんの『ド根性忍伝』です!
PS.ナルト君に居留守は禁止!駄目絶対!