あれからアンコはナルトをこれでもかと弄り倒して帰っていた。
「じゃあ今夜また来るわ!」
そう言い残して……
「きっと今夜は大変だってばね…」
大きな溜め息をつくナルトだが何処か楽しそうに見えるのは仕方ないだろう。
なんだかんだ言いながらナルトもアンコを姉のように思い、慕っている。
きっと今夜の料理はアンコの好物が沢山机に並ぶことだろう…
ナルトが今夜のおかずを考えていると二人の老人がやって来た。
それを見たナルトは急いで家に戻って和菓子とお茶と将棋盤を縁側に準備し、老人達が縁側に来るまでの数メートルを今か今かとワクワクしながら待っていた。
「お前くらいの歳の子が茶請けに羊羮と饅頭とは…ちと爺くさすぎやせんか?」
用意された茶菓子を見ながら言うのは三代目火影の猿飛ヒルゼンである。
「やたらチャラチャラした物を出されるよりはましだ…」
縁側にすわり羊羹を食べ始めたのは『忍の闇』とまで言われた男、志村ダンゾウである。
恐らく里中の忍がこの二人が揃い、縁側で茶菓子を食べる姿をみたら十中八九『幻術か!?』と目の前の光景を疑っただろう。
何故なら二人が三代目火影の座を競ったライバルであり、火影争いにダンゾウは負けたからだ。
その後、ダンゾウが『根』と呼ばれる暗部と似て非なる独自の組織を作った事で『クーデターを企てている』、『組織を使い、三代目を暗殺する気だ』など様々な噂が流れた。
故にそんな二人が一緒に茶を飲む光景を誰も想像出来ないのだ。
「儂が言ったとおり九尾と対話してるか?」
「じいちゃんに言われた通り、毎晩してるってばね!まぁ、今のところ変化はないけど……」
「九尾と対話させるのはさすがに早すぎではないかダンゾウ…」
「だから貴様は甘いと言うのだ……木の葉と他里のパワーバランスを維持し、無駄な争いを避けるためには一刻も早く、ナルトに九尾を使えるようになってもらわねばならんのだ。」
「しかし力で得た平和は脆い…新たな力が生まれれば直ぐ消えてしまう…」
「お前の語る平和が成るには時間が掛かりすぎるのだ…力なき者が語る正義は所詮夢物語に過ぎぬ。」
「力ある者がそれを振りかざして平和を語ろうとそれは波際の砂上と同じじゃよ。」
二人が語る平和は真逆の物だがナルトはどちらか一方が正しいとは言えなかった。
世界に平和と言うものが訪れるまで続くであろう平行線の話し合いを第三者の立場で聞いてきたナルトは二人がどんな思いで『平和』を語り、願うか知っているからだ。
「まぁまぁ、じいちゃん達が誰よりも本気で平和を願ってるのは馬鹿な俺にもよーく分かったってばね!でもそんなに熱くなると『平和』が来るより先にじいちゃん達に迎えが来ちゃうってばね!」
「「生意気言うな!」」
「イッテェェェ!!」
何時ものようにナルトは止めに入り、これまた何時ものように同時に降ってきた二人の拳骨に悲鳴をあげるのだった。
作者はダンゾウ好きです!
三代目とダンゾウは同じ『平和』を目指しながら、そこにたどり着くまでの道が光と陰のように正反対。
最後まで平和を願う『陰』だったダンゾウは三代目と同じくらい好きです!