ヴィータちゃんは男友達が少ない   作:白翼

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ヴィータちゃんは男友達が少ない海鳴市視察編1 新たな可能性と短すぎるスカート
ねぇ、ミニスカート履いてみない?


 アパートの一室。1DKの狭い間取りのそこでヴィータは一人立ちすくんでいた。それはなぜか。小さな鏡に映る自身のバリアジャケット姿に言葉がでなかったからだ。

 

 ただのバリアジャケットなら何の問題はないだろう。原因はそのスカートの丈にあった。

 

「さ、流石にこれは短すぎろう」

 

 カイズの家には姿見の鏡が存在しない。そのため全体像を把握することはできない。それでも膝上のスカートには羞恥を覚えざるを得なかった。ぴょんと飛び上がるとふわっと浮かび上がる心許ない丈。ヴィータはちらりと下着が映るのを見るとブンブンと首を横に振った。

 

「いやいや! 流石にこれで戦闘はねえって!」

 

 言葉ではそう口にしても心のどこかで小さな引っかかりを覚える。それはこのバリアジャケットを提供した高町なのはとの会話のせいであろう。

 

「ねえヴィータちゃん、ミニスカート履いてみない?」

「…………………はあぁあ??」

 

 管理局のエースオブエース、高町なのはの突然提案にヴィータは心底怪訝な声をあげる。

 

 二人は今日の仕事を終えている。更衣室で管理局の制服に着替えあとは家に帰るだけというところだった。だがなのはの言葉にヴィータは足を止めざるを得なかった。

 

「何だよ藪から棒に。それにミニスカートならいま履いてるじゃねえか」

 

 ヴィータは自身の制服を指さす。教導官特有の白を基調とした制服、そのスカートは膝上のタイトスカートだ。

 

 はいこれで話は終わり。ヴィータは話を区切ってさっさとその場を去ろうとする。だがなのはは彼女の肩を掴むと

「ちょっと待ってー」とその場に留まらせた。

 

「私が言ってるのはバリアジャケットのことだよ」

 

「バリアジャケットだぁ? 何でバリアジャケットをミニスカートにしなくちゃけないんだよ」

 

「……えっとね。逆にヴィータちゃんはスカートが長くて邪魔じゃないのかなって思って」

「えっ??」

 

 特に不便を感じたことはない。だがなのはの言葉に一考の余地が生まれてしまう。ヴィータは帰宅へと力を込めていた脚を緩めるとなのはのほうに向き直った。

 

「あたしは特に邪魔とか思ってねえけど。どういうことだ??」

 

「正直機動六課の時からずっと思ってたんだけどね。アタッカー陣ってほとんどがミニスカートか丈の短いズボンを穿いてたよね。ヴィータちゃんはバリバリのアタッカーだからところどころで邪魔にならないのかなーって純粋な疑問だったんだ」

 

 なのはにそう言われてヴィータは機動六課時代のメンバーを思い出す。フェイトやはやて、それになのはもエクシードモードでない限りは基本的にはミニスカートを着用している。それはティアナも同じであり、そうでないメンバーは半ズボンやシグナムのような特殊な服装を着ていた。キャロはロングのスカートであるがそれは彼女のポジション上例外であろう。

 

「……確かにロングスカートはあたしだけだな」

「そうなんだよねー。ヴィータちゃんは出会った頃からずっとそのスタイルだけど。……もしかしたらバリアジャケット次第ではもっと戦闘の幅を広げられるんじゃないかって思ってたんだ」

「お、おおおっ!」

 

 流石は上司であり、凄腕の教導官であり、管理局エースオブエースだと素直に感嘆する。ヴィータは顎に手を添えて頷いていった。

 

「確かに一考の余地があるかもしれねえな。可能性はいくらあったっていいんだしな」

 

「でしょでしょー、それでシャーリーに特注でデザインしてもらったんだー」

 

 真面目に返事をしたヴィータとは真逆になのははテンション爆上げで詰め寄ってくる。なのははヴィータの頬ずりしながらデバイスを動かすとバリアジャケットのデータを送る。

 

 ヴィータはそのデータを展開するとそこにはあまりにも丈の短いバリアジャケットが映し出される。

 

「こ、これは流石に短すぎねえか」

「そんなことないよヴィータちゃん。機動六課時代の私と同じくらいだし、はやてちゃんやフェイトちゃんはいまでもこれくらいでしょう! ほらほら、みんな一緒でなら怖くないからさ、だからいますぐこのバリアジャケット着てみよう、ほらほら~~」

 

となのはは鼻息を荒くしまくし立てるように話しかけてくる。そんななのはを見てヴィータは目を閉じたまま鼻筋をつまむ。

 

「(あ、あたしがバカだった…………!)」

 

 ミニスカートの話はやはりミニスカートの話でしかなかった。ヴィータはニコッと極上の作り笑いを浮かべる。そして鞄を手に取るとその笑みのままスタスタと更衣室の出入り口へと走り去っていった。

 

「ヴィ、ヴィータちゃん!」

 

「お疲れさまでした高町一等空尉」

 

「あぁー、そんな他人行儀な言い方やめて! ……あっ、でもちょっとその感じ癖になるかも」

 

 ――――バタンッ!

 

 これ以上構っていても時間の無駄と扉を閉める。追いすがるなのはの声に耳を貸すことなく、ヴィータは今の彼女の帰る家へと歩みを進めるのだった。

 

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