ヴィータちゃんは男友達が少ない   作:白翼

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二人で幸せになる場所

「やっぱ改めて見ると、浮くのって意味わかんねえよな」

 

 ヴィータはお湯で浮かぶ自分の胸を見て感想を漏らす。八神家の面々でもその様子は見ているが、広いお風呂で見るとまた格別であった。ヴィータは自身の胸を突きながら、今更になって少しやりすぎたかなと思い始める。

 

「初めは平均くらいかなーって思ってたんだけどな。あたしの周りがおっぱい魔神ばっかりなのがいけねえよな、うん」

 

 これはあくまで周辺で平均を取った結果だ。だから自分は悪くないとその場で納得していった。

 

「あー、それにしてもいい景色だよな。紅葉の季節ならそれこそ絶景なんだろうな」

 

 またその季節になったらカイズと遊びに来てもいいかもしれない。そんなことを思いながらも未だに来ないカイズが少し心配になる。

 

――――ガラガラガラ。

 

『男』の暖簾がついたガラス戸が開く音が聞こえる。ヴィータが視線を向けると当然ながらカイズの姿があった。彼はあたりをキョロキョロ見渡すと「おおぉー」と声を漏らす。

 

「ほ、本当に外なんですね。……凄い文化ですね」

「まあ囲いはちゃんとしてるし、周りの斜面はかなり厳しいからなー。それよりカイズも早く来いよ、風邪引いちまうぞー」

「そ、それもそうですね。では」

 

 何度もかけ湯をして汚れを落とすとそのままヴィータの隣に座る。普段使っている八神家のお風呂は一般的な家庭より大きいだろう。だがもちろん成人男性のカイズがいて横並び出来るほどの大きさではない。

 

 不自由なく隣合わせになれる湯船に浸かると、ヴィータはぽすんとカイズの肩に頭を預けた。

 

「こういうのも結構いいもんだろう」

「そうですね。……いえ、この露天風呂もそうですけど、やっぱり広いっていいものですね」

 

「カイズ?」

 

 きょとんとした顔でカイズの横顔をのぞき込む。カイズは申し訳なそうに首の後ろをこすった。

 

「家の話ですよ。正直俺、家の広さにこだわりがないどころか、最低限住めればそれでいいって思ってました。でも違うんですね。不都合を感じないのと快適って言うのは真逆のようでそうでもないと言いますか。あー、ちょっと待ってください。少し考えをまとめます」

 

 カイズは前髪に手をおくとオールバックにするように後ろへ流す。彼にとっての思考のポーズが、ヴィータには色っぽく見えてしまい少しドキドキしてしまう。

 

「八神家で暮らして。大きなソファーで二人より沿ったり、ベッドで何も気にせず寝返りを打てたり、二人でゆっくり湯船に浸かったり。……この海鳴市に来てようやく実感できたんです。ヴィータさんが家という存在に拘っている理由が。家具は、家は、そこに住む人を幸せにしてくれる存在だったんですね」

「……カイズ」

「今まで本当に他意なく、ヴィータさんが望む家ならそれでいいと思ってました。でもそれじゃあ二人で幸せになれる家じゃないですもんね。……これからは俺もしっかり考えていきます。これまですみませんでした」

 

 カイズは反省したように頭を下げる。そんな彼を見て、どんな声をかけるべきか困惑してしまう。

 

「(真剣過ぎてもあれだし、茶化し過ぎてもあれだし。……おっ、そうだ!)」

ヴィータは俯いている彼の正面につくと、お湯に浮いている二つの固まりでその顔をぐいっと押し上げていった。

「ぶっ、ばっは、ヴィ、ヴィータさん⁉」

 

 谷間に突然包まれたカイズは目を白黒させる。ヴィータはいたずらっ子のようにちろっと舌を出した。

 

「そんなに深刻に謝る必要なんてねえよ。カイズなら遅かれ早かれ気づいてくれるって信じてたからな。……って、おおぉっ!」

 

 お湯の中で先ほどまで平常サイズだったそれが、物凄い勢いで膨張していく。今度はヴィータが目を白黒させる番だった。

 

「い、いきなりどうしたんだよ!」

「いきなりどうしたはないでしょう! 真面目な話をしてたと思ったらいきなり胸でそんな。……ヴィータさん!」

 

 カイズはガバッと両手を広げるとヴィータを抱きしめようとする。だがその両手をヴィータはがっしりと抑えつけた。

 

――――グッ、ググググッ!

 

 その力は拮抗する。だがヴィータが本気で抑えつけていることがわかるとカイズはすぐに力を抜いた。

 

「…………ヴィータさん?」

「す、すまねえ。カイズが落ち込んでたから、ちょっとしたイタズラくらいに思ってたんだけど。……ごめん、そのここは公共の場だし、その」

「そ、そそそ、そうですよね。す、すみません、変な勘違いしてガッツいてしまって。…………えっと、ちょっと頭冷やしてきますね!」

 

 耳を赤くしながらその場から立ち上がる。同時にヴィータの目の前に立ち上がったカイズが顔を見せた。

 

「…………………」

「…………………」

 

 お互い無言になる。その後一呼吸おいて、ヴィータはソレに右手を近づけた。

 

「また今晩な♡」

 

 そう言葉にしながら息を吹きかける。そして角度をつけ反り上がったソレをピンと人差し指で弾いていった。

 

――――ビク、ビクビクビク‼

 

 デコピン一発でカイズのソレは大きく上下する。だが公共場でこれ以上求めることは出来ない。カイズは「はいっ!」と力強い返事をすると洗い場に向かっていく。

 

 ヴィータは腰を引きながら移動する彼の背中を見届けると、ぐいーっと体を伸ばしていった。

 

「ほんと海鳴に来てよかったな~」

 

 ヴィータは嬉しそうに鼻歌を口ずさむ。そして自分達夫婦の未来は明るいなと考えていた。

 




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それでは~ ノシ

HN:白翼
Twitter:@hakuyoku123
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