◇
戦闘エリアは市街地C。通常の市街地Aよりもフィールドが狭く設定されている。だが今回の戦いは1on1。それを考えれば十二分に広さはあるだろう。市街地というだけあり、周りには廃ビルが多く存在していた。
「だとしても何かを準備をするにはあまりにも時間が足りないだろうな」
カイズがそう思った瞬間、前方から砂塵が巻き上がるのが見える。最短最速でシグナムがカイズを探しているのだろう。彼女の戦闘スタイルはこの世界でも変わることなく近接からの両断。納得である。
「この目立ちようは居場所がバレるリスクよりも、俺に策を講じさせないことを優先している感じかな」
だとしてもすぐに全エリアを把握できるわけではない。今は少しでも勝つための努力をするだけだ。カイズはミッド式のイノセントハートを構える。だが――――⁉
「――――やばい!」
チリッとした熱を肌に感じる。カイズは考えるよりも先にその場から飛び退いた。次の瞬間、カイズの立っていた場所ごと目の前の廃ビルが燃え盛る炎に穿たれていった。
見通しがよくなったフィールドの奥、弓を構えたシグナムの姿が見える。
「ほう、今のを避けたか。なかなかやるな」
焦りも驚きもせずシグナムは淡々と語る。そんな彼女とは逆にカイズは内心汗がダラダラだった。
「(あっぶねええええ、デッキコストがあるから近接重視のスキルで固めてくると思っていたけど。……シュツルムファルケンを選択していたのか)」
危うく一瞬で試合が終わってしまうところだった。だがこの一撃を避けられたのはカイズにとって大きなアドバンテージだ。
「(ボーゲンフォルムを選択したって事は、デッキコスト的にシュランゲフォルムはないはずだ。あの蛇腹剣、距離感が掴めなくて厄介だと思ってたんだよな)」
デッキの中身が見えたことでカイズは戦術を組み立て始める。そんなカイズとは違い、シグナムの思考は至ってシンプルなものだった。
「主が計画した企画とは言え、真剣勝負に手を抜くつもりはない。姿も見えた、悪いが全力で行かせてもらうぞ!」
シグナムは剣を構える。と感じた次の瞬間には、すでに大きく距離を詰めていた。
「ぐっ、ううっ!」
速く鋭く振り下ろされる刃が襲いかかる。カイズは半歩後ろに下がると紙一重でそれを回避する。続いて小さな動作で放たれた突きが腹部を狙う。それをカイズは慌てずベルカ式の黒刀でそれをいなしていった。
連撃を打ち続けるシグナムと防戦で手一杯のカイズ。傍目から見ればそれは一方的な試合に見えただろう。だが上位プレイヤーであるはやてやアインス、そして対面しているシグナムは得体の知れない違和感を覚えていた。
その困惑は当然のことだろう。この違和感はカードやデバイスによる力ではない。ただ一人を除いて誰も知るものがいない、友であり師であり大切な親友から教えられたカイズのだけが持つ才能なのだから。
◇
伝えたいことがある。恭也にそう言われた六日前、二人は時間を忘れて剣で語り合っていた。だが無限に体力が続くことはない。カイズは全身汗だらけになると大の字に倒れ込んだ。
「あーもう、ひとかけらの体力もありません」
あとは煮るなり焼くなり好きにしてくれと降参する。カイズを見下ろす恭也もまた全身汗だらけになっている。彼は余力を残しながらもしんどそうにその場に座り込んだ。
「やっぱり俺の考えは概ね当たってたみたいですね」
「そう言えば打ち込み合う前に何か言ってましたね。えっと、あれ、何でしたっけ。つっかれすぎて頭から抜け落ちちゃいましたよ」
「俺だから気づけるカイズさんの才能の話ですね。ええと、俺自身カイズさんの住んでいる世界のことはよくわからないのですが。……カイズさんがいた世界って死んでも生き返れたりしますか?」
突拍子ない言葉に思わず目を丸くする。
「えっ、いやいやいや無理ですよ。確かに医療技術はこの世界より上かもしれませんが、それでも人間が生死をどうこう出来るってことはありませんね」
「そう、ですか。……ではやはり才能なんだと思います。その言葉だけで片づけるには不自然な物がありますけど」
そう伝える恭也は納得していない表情だ。カイズは我慢できずに先に口を出してしまう。
「それで俺の才能ってどういったものなんでしょうか? 今恭也さんと打ち合っていてもほとんど避けてばかりで、いいとこなかったと思うんですけど」
「まさにそれですよ。カイズさんは俺の打ち込みのほとんどを回避しているんです。……俺は何度か本気で、それこそ殺すつもりで剣撃を打ち込んだにも関わらずです」
殺すつもりでと言う単語にカイズは少しだけ後ずさる。
「え、ええ、どういうことですか?」
「カイズさんが死なないための動きが得意なのは知っていました。さらに死に直結する事柄に対して物凄く敏感なんです。それこそ何度も死を体験し訓練しているかのように」
「死を……体験………⁉」
自然に繰り返した言葉に脳が反応する。その一瞬、まるで走馬燈のように様々な死の映像が浮かんでは消えていった。それは忘れもしないし、忘れられない他人の記憶。デスイーターと戦い、そしてその後遺症でカイズを苦しめた悪夢の数々だった。
喉の奥から吐き気がわき上がる。だがドンと力強く胸を叩くことで無理矢理押さえ込む。
恭也はカイズの豹変を見てすぐに頭を下げる。
「嫌なことを思い出させてしまいすみません。……ですが、思い当たる節があるんですね」
「……俺はとある呪いによって様々な死を体験させられました。きっとそれが恭也さんの言うものだと思います」
その説明だけで恭也は合点がいったようだ。
「カイズさんは死を何度も体験したことにより、『殺気』に物凄く敏感なんです。だからこそ俺の攻撃は一度も致命傷にならなかった」
そう言うと恭也はカイズの背中をさすっていきハンドタオルを差し出した。カイズは顔の汗をふき取ると、少しずつ吐き気は落ち着いていくのがわかる。その様子を見届けると恭也は話を続けた。
「以前言いましたよね。愛する人を守るために絶対に引けない戦いがあるかもしれない、その時に足手まといになりたくないと」
「そうですね。そのために恭也さんには力添えを頼んだわけですし」
「愛する人を守る。逃げるわけにはいかない戦いの存在。ですがそれと同等に『逃げることの出来ない』戦いもあると思うんです」
「逃げることの出来ない戦い?」
「前者は気持ちの問題です。そして後者は物理的な話になります。カイズさんは何があっても無事に逃げ延びることをもっとうにしています。ですが、室内に閉じこめられたり、足枷などを付けられた時はどうですか? 逃げ出すことの出来ない状態では信念に関係なく戦わなければいけません」
「……確かにそうなりますよね」
「さらに絶対に戦わなければいけないときにこそ、カイズさんの才能は役に立ちます。総じて戦わなければいけない状態は、戦いが前提である以上、相手の攻撃に殺気が乗っているのがほとんどです。そしてその殺気を誰よりも敏感に察知できるカイズさんは、相手が必殺の意志を込めれば込めるほどそれを避けることができるようになります」
「必殺を、避ける……」
「カイズさんにとってこの技能は苦しみの上に成り立っているものだと思います。ですが、その苦しみも糧にして欲しい。……それが俺の考えです」
静かに、それでいて力強く言葉にする。恭也はその場から立ち上がると、スッと手を差し伸べる。カイズはその手をガッシリ掴むと最後の力を振り絞り起きあがった。
「カイズさんは基本をしっかり学び、勤勉さも忘れず、戦術を組み立てる頭脳があります。それ故に初見殺しや理に叶わない行動に弱いところがありました。……ですが、相手の攻撃を反射で避けられるようになり、思考を全て戦術にだけ回すことが出来ればカイズさんは」
そこまで言うと恭也は首を横に振る。そして柔らかな笑みを浮かべ言葉を続ける。
「カイズはきっとまだまだ強くなれるはずだ」
さん付けと敬語がなくなったその一言。この時この瞬間、初めて恭也に認められたような気がした。ようやく彼と対等になれた。それが本当に嬉しくて、カイズは目に涙を溜める。
「――――ありがとうな恭也!」
片手で握り合っていた手に、さらに空いていた手も重ねていく。二人は両手でガッシリ握手を交わす。そして三ヶ月積み上げてきた確かな友情を噛みしめあっていくのだった。
◇
今日まで時間を見つけては恭也と訓練を重ねた。そしてブレイブデュエルでの本気の試合は成果を証明するには絶好の舞台だった。
カイズは脳内で思考をしながら、反射に任せてシグナムの猛攻を捌いていく。
「(でも本来のシグナムさんならこの戦いは成り立たないな。今回は全てのレベルが均一に保たれているからこそ何とかなっているけど、普通なら魔力量や剣撃の重さで強引に突破されるからな)」
それに加えて見知らぬ相手との戦いでは、その力量や攻撃手段を瞬時に見切らねばならない。でなければ『反射』だけに身を任せるなどただの自殺行為だ。
「(この戦法が出来るのはシグナムさんの手札が割れているからだ。実戦では戦いながら考えて、考えて、相手の手札を看破しなければいけないんだよな。……道はまだまだ果てしなく長そうだ)」
自分の手に余る強敵が出てき時は全力で逃げるというのは変わらない。だが絶対に逃げられない戦いへの指針を見つけることができた。その目標と研鑽がきっと自分を助けてくれる日が来るだろう。
「(本当は、そんな絶体絶命なんて来て欲しくないんだけど、なっ!)」
シグナムの横一閃に反応し、バック宙で大幅三歩ほど後ろに下がる。
「――――もらった!」
着地狙いのシグナムの突きが迫る。これが決まればそれで良し、当たらずとも体勢を崩せれば儲けものといったところだろう。
「(相手にとって牽制のつもりの一撃が俺には必殺だから本当に怖いな)――――だけど!」
イノセントハートを握り込むと、ミッド式のデバイスが反応する。その挙動にシグナムも気づいているはずだ。だが速度で押し切る、とその突きを止めることはなかった。
もしカイズの反撃がシグナムの突きを見てからの行動なら、絶対に間に合っていなかったはずだ。例え間に合ったとしても一撃の重みには差がありすぎる。
だが周りの予想に反し胴を狙ったシグナムの突きが大きく外れる。モニター越しの観客には何が起こったか理解できなかった。それは仕方ないだろう。戦っているシグナムでさえ完全に理解できていないのだから。
「(何かに脚を取られた? バインド、あの一瞬でか⁉)」
バインドは相手を捕縛、妨害にかなり有用だ。だが座標指定から設置まで時間がかかり、狙って発動できる者はかなり限られている。
「(デバイスを二つ持つカイズ君なら確かに可能だ。だが今は一対一の最中。さらに私は最短で彼を発見したはずだ)」
ならいつバインドを設置したのか。いくら考えてもその答えは一つしかない。
「(彼は私の攻撃をいなしながらバインドの設置をしていたのか! くっ‼)」
現状把握はここまでだ。転倒するシグナムにイノセントハート黒刃が迫る。シグナムはあえて体勢を立て直さずそのまま倒れ込む。そして左手のひらで地面を受け止めると、手の力だけで前転していった。
「ぐっ、っつ!」
だが相手の策にまんまとハマり無傷とはいかない。シグナムは右足のダメージに目を向ける。
『オオオォォォォォ‼』
一連の攻防に観客席からは大きな歓声があがる。その声はもちろん戦闘中の二人には届いていない。だが届いていなくともカイズは確かな実感に心を震わせていた。
「(実戦でも『鋼糸』を使うことができた。……ありがとうな恭也)」
鋼糸戦術は恭也から教えられたものだ。恭也は武器として小太刀二刀流を使っている。そしてそれとは別に暗器として『鋼糸』と言うワイヤーと『飛針』というクナイのようなものを携帯していた。
御神の剣術を伝えることが出来ない。その代わりと教えてくれたのがこの二つの戦術だ。飛針はいま生かす場面はない。だが鋼糸の使い方はカイズの中で確かに生きていた。
「(今の俺には高町教導官のような空間把握能力はない。だから相手を捕縛するタイプのバインドは使いこなせない。だけど相手を引っかける『網』を張ることなら!)」
回避に思考を割かなくなった分、カイズが重視したのは設置魔法の遠隔配置だ。フィールドに張るだけのワイヤーに必殺の威力はない。だが絶対に逃げられない戦いに直面したとき、相手のテンポを崩すことが出来れば、必ず役に立つ時が来るはずだ。
今はまだヴィータを守る力はない。だからこそヴィータの邪魔にならないよう攻撃を避け、ヴィータの助けになるように、相手を崩す方向へと戦術を広げていく。それが今のカイズの答えだ。
シグナムへのダメージを確認すると、牽制に魔弾を数発放つ。それと同時に全力で後退すると廃ビルの中へと移動していった。
「――――逃がすか!」
脚へのダメージを受けながらもカイズを追う。カイズは戦闘の最中でもバインドを設置できる。このまま逃げられてしまっては、時間が経つごとにシグナムの不利になると理解していたからだ。
シュツルムファルケンで廃ビルごと破壊する方法もあるだろう。だがそれでカイズが諦めて逃げに徹してしまっては、今のシグナムの脚では追うことが出来ない。最悪タイムアップで判定負けの可能性も見えていた。
どちらにしてもシグナムは罠と分かっていながら廃ビルに入るしか選択肢が残されていなかった。
理屈ではそうだ。だが一切の躊躇なく追撃出来るのは、一握りのプレイヤーだけであろう。それは対面するカイズが一番よく理解していた。
「流石シグナムさん、だけど!」
シグナムが廃ビルの中央になだれ込む。そして先手必勝と必殺の一撃を大きく振りかぶる。だがその行動を読んでいたカイズはイノセントハート起動させた。
「バインド!」
「ぐっ!」
先ほどの網とは違う。ピンポイントで設置していたバインドが剣を握るシグナムの右手首を固定する。
「いまっ!」
ベルカ式の刃にリソースのほぼ全てをつぎ込む。この戦いはレベルとコストが同一だ。今ならどんなに防御を固められようとも理屈の上では必ず突破できるはずだ。
「(計算通り、これで決める)」
カイズの一撃がシグナムの腹部を狙う。だがその瞬間、カイズの脳内にノイズが走る。
「(バインドで固定したのは右手首だけ? 予定では両手首を)――――グッガッ!」
ノイズの後、並外れた衝撃に思考がシャットダウンされる。いったい何が。シグナムに目を向けるとその左手にはレヴァンティンの鞘が握られていた。
「(そうか、シュツルムファルケンモード前の鞘か!)」
カイズが攻撃に意識を切り替え、さらに殺傷と殺意の薄い鞘による迎撃。意識してではないだろう。だがシグナムは完璧なタイミングと方法でカイズの反射を打ち破って見せたのだ。
「(ああ、くそ。やっぱりそううまくはいかないな)」
鞘での攻撃は致命傷ではない。だが顎にクリインヒットしたそれはカイズの意識を一瞬のうちに奪っていく。シグナムは右腕に力を込め、カイズのバインドを打ち破ろうとするのが見えた。バインドにヒビが入る様子を見ると「はぁ」とため息をついた。
「(まあこの世界に来て三ヶ月、得られたものはたくさんあった。今後は反射を鍛えて、魔力鋼糸の戦法を詰めていかないとな)」
負けはしたが、これは次に続く意味のある敗北だ。今日のところはそれで良しとしよう。バインドから完全に抜けきったシグナムを見てカイズはゆっくりと目を閉じていった。
「――――‼」
その瞬間。鋭い殺気がカイズの心に突き刺さる。それはシグナムのものではない。そしてVR空間にいてもなお届く殺気の持ち主など一人しか知らなかった。
「(恭也…………ぐっうううぅぅっ!)」
ホワイトアウトする意識のなか、走馬燈のごとくこの三ヶ月間の映像が駆け巡っていく。カイズは意識を手放さないように、千切れそうなほど下唇を噛み締める。
「(違う。違う。違う。何が意味のある敗北だ。だから俺はいつまで経っても弱いんだ。恭也は何のために俺を鍛えてくれた。負けられない戦いに必ず勝つためだ!)」
先ほどほぼ全てのリソースを注ぎ込んだベルカの刃を、飛針の要領で投げつける。ターゲットはシグナム、ではなく天井に向けてだ。
「強く、強くなるのはいまだ。俺はここで貴方に勝って強くなる!」
カイズは脚を縮こませると同時に設置していたワイヤーを起動する。そしてそれを踏み台に廃ビルの外へ跳躍した。
「まだ、まだだ!」
二股のミッド式の刃を構えると、天井へ投げたベルカ式の刃に魔弾を連射する。カイズのリソースをほぼ全てつぎ込んだそれは、その衝撃で行き場のない魔力を暴走させた。
「なっ!」
耳をつんざくような破裂音と共に、天井が崩れ落ちシグナムに降り注いでいく。カイズは最後にその姿を確認すると受け身を取る余裕もなく、意識を手放していくのだった。
◇
「――――はっ⁉」
しばらくのフェードアウトの後、意識が回復する。頭がくらくらしながらも辺りを見渡した。
「……………」
カイズのすぐ側にはシグナムの姿がある。それを見てカイズは深くため息をついた。
「……どれくらい意識が飛んでいましたか?」
「ほんの一分くらいだな」
「…………そうですか」
全力は尽くしたがやはり届かなかったようだ。だがやれることは全てやった。これこそが本当に意味のある敗北だろう。カイズはミッド式のイノセントハートを手放す。
「参りま――――」
「それは違う。この勝負、負けたのは私の方だ」
シグナムはそう言って鞘から剣を抜く。するとその刀身が根本からボロボロに砕けているのがわかった。その姿を見せるとシグナムは剣を鞘に戻す。
「最後の倒壊は見事だった。何とか瓦礫を受け止め脱出はしたが、私の剣は砕かれてしまった」
「だとしても意識を失っている間にその鞘で殴り倒すことが出来たんじゃ」
鞘の威力は実際味わいよく知っている。カイズはそう言うがシグナムは首を横に振る。
「騎士にとって剣とは誇りだ。その誇りは砕かれた。それは私にとっての敗北だ」
「そ、そうは言っても」
「騎士にとってはそういうものだ。もしかしたら観客はそう思わないかもしれない。だが君は確かに我が魂を砕いた。そんな相手が意識を失っているうちに、鞘で殴打して勝つ。そんな姿を私は絶対に認めたくはない。……何を勝ちとして何を負けとするか。それは個人の酌量しだいだからな。これは私にとって次へのための意味のある敗北だ」
哀れみや同情などではない。心の底から敗北を認めていることが、その声色から伝わってくる。カイズは勢いを付けてその場から立ち上がる。まだ少し頭はくらくらするが、それでももう倒れることはなかった。シグナムはスッと目を閉じると空を見上げる。
「降参、私の負けだ」
『ウオオオォォォォォォッ!』
決着が付くと地下会場を揺るがすほどの大声援が上げる。試合が終わると二人は筐体から抜け出し互いに歩み寄る。そして固く握手を交わしていった。
しばらくの間、そんな二人を讃えるように賞賛の拍手の音は二人を包み込んでいった。