ヴィータちゃんは男友達が少ない   作:白翼

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長年の夢 二人でしたいこと(この続きは18禁に置いてあります)

 ドキ、ドキ、ドキ。

 

 ずぶ濡れの体をシャワーで温め、先にお風呂をいただいたシグナムは、交代でお風呂に向かったコウキのことを待っていた。

 

 換えの服などはもちろん持っているわけもなく、今は彼の真っ白なYシャツと紺色のハーフパンツを着ている。

 

 肩幅的大きさ的にはなにも問題はない。ただ胸のあたりが少しだけキツいくらいだ。

 

「……なんだか熱いな」

 

 だがそれは部屋の温度が高いからではない。初めてやってきた彼氏の部屋に緊張が解れない故だ。

 

 コウキの家は、小さな一軒家だった。玄関や台所、寝室は存在するが二階が存在していない。

 

 まるで初めから一人暮らしが前提で建てられたような。そうであっても、築年数の長さが家のそこらから感じられる。

 

「……コウキが暮らすために建てられた家じゃないんだな。そ、それにしても、私は本当についてきてよかったのだろうか」

 

 案内された部屋をみると、それはお世辞にも綺麗と言えるものではない。CMなどでみたことのあるようなゲーム機がいくつも乱雑に置かれており、その何倍ものディスクがまるで塔のように積み重なっている。

 

 唯一、ノートパソコンの置かれている机の上だけは異常なほど綺麗にされており、いかにもコウキらしいとシグナムは笑みを浮かべた。

 

「…………あと、こういうものはどこかに仕舞っておくべきだろう」

 

 家捜しするまでもない。部屋に置かれた本棚の上には裸の女性が映っているいかにもといったディスクケースの背表紙が重ねられている。

 

 きっと元よりシグナムを呼ぶ予定などなかったのだろう。今日の出来事が改めて偶然だとわかると、彼女はほっと一息ついた。

 

「本当にただの善意だったのだろうな。……そうか、緊張する必要なんてなかったんだな」

 

 ようやく少し落ち着けたと、後ろにあるベッドに背を預ける。シグナムは彼のぐちゃぐちゃになってる布団に気づくと、その場から立ち上がった。

 

「全く、布団も畳まないとわな。……し、仕方のない、か、彼氏だ」

 

 未だに彼氏という言葉を口にするのは、抵抗があった。だがコウキ自身がないところで、口にできるのは彼女なりの進歩であろう。

 

 シグナムはベッドの布団を取り去るとシーツに手をかける。ピシッとそれを整えると、次に布団を大きく広げた。

 

「……この布団で、いつもコウキは寝ているんだな」

 

 そう思うと、少しだけこそばゆくなっていく。シグナムは布団に顔を埋めると、小さく深呼吸をした。

 

「ん、んん。……これがコウキの匂いなのか」

 

 キスどころか、抱き合ったことすらない二人組だ。近くにいるときも、匂いなどは気にしたことはない。だからこそ、一度意識してしまうと変な気分になってきた。

 

「こ、これでは変な女ではないか。ん、んんっ!」

 

 最後にもう一度「スゥー」と鼻を動かすと、持っていた布団をきっちりと敷く。それと同時に、浴室のドアが開く音が聞こえた。

 

「くぁー、しかし随分と降られたよな。あんなびしょ濡れになると思ってなかったぜ」

 

「そ、そうだな。――――――ンンッ!?」

 

 部屋の扉が開くと、シグナムは思わずびくりと体を震わせてしまう。だがそれもそのはずだ。あまり大きくない部屋の中で、上半身裸のコウキが立っているのだから。

 

 シグナムはバッと視線をはずすと、困ったように声をあげる。

 

「ど、どうして服を着てないんだ」

 

「いや、この時期って普段は風呂でたら少し涼んでるからよ。風呂場に上を用意してないんだ。ちょっと前通るぞ」

 

 コウキはシグナムの横を通り過ぎると、タンスの前に進んでいく。後ろを向いたことにより、逆に彼の裸体とシグナムは直面してしまった。

 

(い、意外に鍛えてるんだな)

 

 元よりプログラム畑の人間だ。もっとだらしのない体かと思っていた。だが整備員として鍛えられた成果だろう。細マッチョというのは、彼のような体のことをいうのかもしれない。

 

(――――っ! わ、私はなにをじろじろ見ているんだ)

 

 シグナムは改めて視線をはずすと、コウキに背を向ける。何も音がないからか、ごそごそと服を着る音だけが嫌に耳に入ってきた。

 

 そして着替えが終わったのだろう。部屋が静かになると、シグナムはどうしていいかわからなくなる。

 

(ど、どうしてコウキは何も言ってくれないんだ。これではどうしていいかわからないではないか)

 

 座るタイミングも、話すタイミングも全て失ってしまったシグナムは、ただ彼の言葉を待つことしかできなかった。

 

――――ゴクリッ。

 

 その時だ。静かな部屋の中で、唾を飲み込む音が聞こえた。その音はシグナムのものではない。ということは必然的に彼がたてた音ということになる。

 

「――――シグナムッ!」

 

 鬼気迫る声と共に、左肩に手が置かれる。

 

 コウキはそのまま力を込めると、彼女をベッドの上を座らす。再び喉を鳴らし、その見開いた目にはどこか鬼気迫るようなものが見て取れた。

 

 こうならないことを予測してなかったわけではない。だがいざ目の前にすると、やはり未知への恐怖のほうがシグナムには大きかった。

 

 彼女は弱々しく目を細めると、それに応える。

 

「ど、どうしたんだいきなり」

 

「……………………」

 

「だ、黙っていては、わ、わからないぞ」

 

「……本当はいつうちに誘おうかってずっと考えてた。だから雨が降ってきて、思わずうちに誘ったんだ。正直ずっと我慢してた。あんまり欲丸だしにして、お前に嫌われたくなかったから。……だけどもういいよな。シグナムもこの二ヶ月で俺のことわかってくれたよな」

 

「……ああ」

 

 小さくそう答えると、彼女は覚悟を決める。こういうのは状況だと言われたばかりだが、正直どこまでのことをされるのかはわからない。

 

(だが、コウキだったら)

 

 そう心に決めると、体に緊張が走るのがわかる。コウキはよしと手を叩くと喜びを露わにした。

 

「やっぱりさすがは俺の彼女だよな。……ちょっと待ってろ。いま準備するから」

 

「じゅ、準備!?」

 

 準備するということは、明らかにキス以上のことをするということだ。男性経験が皆無の彼女でも、それくらいの知識はあった。

 

 コウキはシグナムの隣から離れると、何か棚を漁り始める。

 

「確かあれどこにあったかな。結構大きなもんだから、なくなるはずないんだけどな」

 

「お、大きいものって道具を使うのか!」

 

「そりゃそうだ。いやー、こういう機会今までなかったし、ほんとシグナムが初めてなんだぜ。お、あったあった」

 

 そう言ってコウキが掘り出したものは、広辞苑ほどの分厚い機械だった。彼はそれを床の上に置くと、ケーブルを接続する。そしてテレビにそれを繋げると、小さなカセットを取り出した。

 

「フゥーフゥー、お、よかったよかった。まだ生きてるみたいだな」

 

「…………何が生きてるというんだ」

 

 シグナムは若干冷めた目をすると、コウキとその機械、そしてテレビの画面を見た。

 

 そこにはいかにもビット数の低そうな画面が表示されており、コウキは右側のコントローラーをシグナムに投げる。

 

「いやー、このゲーム小さい頃に買ったはよかったんだけどほんとクソゲーでさ」

 

「……どういうことだ?」

 

「このゲームってどうやら二人用を前提としたゲームらしくてさ。二人で協力しないと手に入らない強化アイテムがたくさんあるんだよ。いくら容量が少ないからって、ちゃんと一人用は一人用で調整しろって感じだよな」

 

「コウキが誘おうとしたことはこれなのか?」

 

「おう、そうだな。……俺って昔から全然友達がいなくてさ。ずっと一人でしかゲームやったことなかったんだ。だからこんな日が来るのをずっと待ってたんだぜ! よし、始めようぜ!!」

 

 やたらテンションを高くすると、コウキは1Pのコントローラーを持つ。そしてタイトル画面の二人用を選択するとゲームを始めた。

 

 操作説明などはいっさい受けていないシグナムは、見よう見まねでコントローラーを構える。

 

 心の中ではどこかほっとしている部分があったのも確かだ。コウキは学生時代友達がいなかった話しもよく聞いている。だからこそ、本当に人とゲームができるのが嬉しいのもわかる。

 

(…………だとしても、正直これは女としてくるものがあるな)

 

 シグナムは表情こそ笑って見せたが、内心は複雑な気持ちでゲームに望むのだった。

 




※18禁移動へのお知らせ。

お知らせだけ書くと規約違反で非表示になってしまうので、今回はシグナムパートだけの更新となります。

今回の話しの前文でも書きましたが、やはりテンションがあがってしまい、ここから先が18禁内容になってしまいました。

よって、今回はシグナムさんパートだけですが、これだけを更新したいと思います。

6月16日

この続きは18禁への更新となります。

ここまでの小説は残したままの移動へとなりますので、よろしくお願いいたします。
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