ニコラ・テスラのステータスにゼリービーンズを追記
朝食・矛盾にて
この話の戦闘シーンを少し改定。少しは格好よくなったかな?
学園に行く途中マスターに気になることを聞いてみることにした。
「マスターはゼルレッチと会ったことあるの?」
それを聞いたマスターは一瞬、ほんの刹那フリーズした。
「……士郎は気になるのか」
「俺! 気になります!
だって第二魔法の使い手だからな、気にならない方が無理だよ」
再びマスターは考えて込んでいる。
「……はぁ。あの御仁は神出鬼没だからいず士郎れの前に現れないとも限らないからな、話しておいた方がいいやもしれん」
何やら葛藤があったようだが話してくれるみたいだ。
「あれはまだ私が六十代の若かりし頃の話だ」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
西暦1901年、空――灰色の空。嘗てはどこまでも広ろく高かった蒼穹は、今は、灰色に覆われた。海――黒い海。 嘗ての水平の彼方まであった蒼海は、今は、黒く暗い。もはや多くの人が燦々と燃える太陽も、夜の大地を照らす月華も、夜空を彩り瞬く星々の煌めきも、知らず、忘れ去った。あったかもしれない世界、あり得たかもしれない世界、もう一つの世界。
ここは東南アジア合衆国委任統治下フィリピン。
機関文明華やかなりし20世紀において、大英帝国ロンドン、ロンドン、パリ、バグダッド、香港、シアトル、シャッガイ、マルセイユ洋上学園都市。そして独自進化を遂げた極東大日本帝国程ではないが、それら機関文明先進国を除けばアジア指折りの機関都市であるフィリピン。
このフィリピンに《西インド会社》という邪悪なりし組織の支部がある。
アンドレス・ボニファシオがアメリカからの独立を目的に創設した秘密結社《カティプナン》というものがある。しかしその実は《フリーメイソン》が実権を握っているが《フリーメイソン》こそが《西インド会社》の支部である。
《フリーメイソン》はゴル=ゴロスを信仰する組織で、そのために邪悪なりし魔導に身命を
そしてフィリピンにおける《フリーメイソン》の支部長はエミリオ・アギナルド・イ・ファミイと言う男で、この男を止めるために私はフィリピンに赴いた。
しかし私がフィリピンの《フリーメイソン》支部についた時には既に壊滅しおり、廃墟となっていた。
そしてその廃棄の上に立っていたのが――彼の第二魔法の使い手にして死徒二十七祖第四位、『魔導元帥』『宝石翁』『
彼は私に気付くとこちらに向かってこう言った。
「なんだお前も私に用があるのか?」
彼は疲れと言うか呆れた様相だ。
「……いや、貴方に用はないが――これは貴方がやったのか? ここには結社の魔人もいたはずだが」
彼は顎に手を当て少し考える素振りを見せ。
「結社? 魔人? ああ何やら機関がどうたらと
そしてやったと言えばやったが、私がここの近くを歩いているとここの奴等が近寄ってきてな。
曰く」
『すいません。質問ですが貴方は高名な魔導士ですか? 突然この辺りに特殊や力の反応がありまして、力の痕跡を辿ってみれば貴方に行き着いたのですよ。
なにも無いところから突然現れたところをみると、多分貴方は時間か空間のどちらか、又は両方を操作してここに来たと結論に至ったわで、そのような方は滅多におりません。
そこで良ければ私たちの儀式に参加してくださいませんか? 無論参加しないという選択しもありますがお薦めしない。何故ならそうなると貴方の身の安全が保証できないのですからね』
「とか言ってきな。なんかムカついたから纏めて殴り飛ばした。
そしたらどんどん来るわで、これは根から絶つしかないなと思ってここを潰した。
それに奴等から若い娘の、しかも複数の死臭してな、こいつら悪党だからついでに殺っておくことにした」
……随分と吹っ飛んだ性格だな。
それに結社の魔人を歯牙にもかけずに倒したというのか。
「そう言えばお前は何者だ」
ここに来て私達はお互いに名乗ってないのに気づいた。
「私はニコラ・テスラ。通りすがりの英国紳士だ」
「そうか。私はゼルレッチ。キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。魔法使いをやっている。他にも『魔導元帥』『宝石翁』『
……魔法使い。嘗ていた魔女達とは違う存在であろうが、どうも彼の本質が掴めない。
魔道に身を賭す輩は大抵録なモノではない。
「――ふむ。ニコラ・テスラとやらお前は随分おもしろいな。
その身は人ではない、その身は幻想だな。ふふ、なるほどなるほど。まだ1世紀も生きていない小僧のようだがなかなかどうして」
「そう言う貴方は――宝石翁よただの魔法使いではないな。その身は人ではなく、異形だな。さしずめ吸血鬼と言ったあたりか、優に千年は生きていそうだな」
それを聞いた宝石翁は一瞬目を見開くと大きく哄笑した。
「ふふふ。さてどうだかな。
では私はここらでおいとましよう……かと思ったがニコラ・テスラお前について行くとしよう」
何を言っているんだこの男は。
「――何が目的だ魔法使い」
宝石翁は不適に笑うと。
「なに、ちょっとした
何かおもしろいことはないかと思っていたらな、丁度君に会えたからなこれも運命だろう」
私は酷く顔をしかめていることだろう。
これほどまでに不愉快な言葉はなかなかない。
「随分、いや大いに、多大に呪わしい運命だなそれは」
これほどにまで呪わしい運命は然々ない。
自分にこのような運命が見舞われるのも
そしてこの男は悪党や悪人ではないが、決して善人ではない、むしろ善を嘲笑うような男だ。だが悪に義憤を抱く男でもある。
「……ふん。好きにしろ」
「では、そうするとしよう」
こうして暫くの間宝石翁と世界を回った。
彼は途中に様々なことをした。私のバリツから「宝石による近接格闘礼装全種」なるものを作ったり。
中心鉱石を見て「これは魔術礼装に使えるな」とか言って手持ちの翡翠と琥珀を加工してステッキを二本作ったりしてな。
問題はここからだ。《西インド会社》の刺客やその他の者達まで私達に襲いかかってきた。そして刺客の中に宝石翁の癪に障る輩がおり、刺客の所属していた《西インド会社》の第4要塞本部を単身乗り込んで壊滅させた。それが契機になったのか襲いかかってくる者達が増えた。論私はそれらの者達に追われる身だが、数が一気に数倍に膨れ上がった。
奴等の目的はゼルレッチの書いた本や魔術礼装。宝石翁本人の肉体だ。
今までに観測したことのない力、それを行使する存在とそれが作った本と道具、それは《西インド会社》の魔人や碩学、魔道の者達には喉から手が出るほど求めてやまないらしい。
碩学たる者達がオカルトに走るなど嘆かわしい……いや話が逸れたな。
兎も角、それらの襲撃のせいで町には滞在することも出来ず、ひたすらに人気のない場所を移動していた。
途中にあった町も録に寄れず、食事はまともなものなかなか手に入らずあれは辛かった……
もしもこれが本当に
話を戻そう。幾分か時が経ったとき宝石翁が突然、
「十碩学や雷電公達は元気にしているか?」
宝石翁から出た意外な名前に驚きを隠せない。
「――!? 十碩学や先生達を知っているのか?」
「ああ十碩学の何人かや雷電公達とは面識がある。
しかしニコラ・テスラ、お前あれらの弟子なのか?
はは、あれらが弟子を持つとは意外や意外。いや歳をとるわけだ。
そう思うとあれから随分経っているが何人かはまだ生きているだろう。大碩学の連中は二十七祖並みかそれ以上に曲者ばかりだからな」
そうして宝石翁と嘗ての初代十碩学や他の大碩学、先生達について様々なことを話した。
他にも彼の世界のことも色々話した。死徒二十七祖や魔術師達について、なによりも青い空と青い海について。
そして唐突に、
「ふむ。さてそろそろおいとまするか。十分楽しめたし、収穫もあった。それにニコラ・テスラお前はこれから行くべき場所があるのだろ」
感の鋭い御仁だ。
「ああこれからある男の実験を止めねばない」
自分の顔がこわばるのがわかる。
これかた戦う男は自分では勝てないかもしれない。
「そうか。お前ほどの男がそのような顔をするのだ。よほど強敵なのだろう。手を貸してやってもいいが」
「いや、いい。ありがたい申し出だか、これは私の戦いだ。貴方を巻き込むのは本意ではない」
「ふむ。これ以上はなにも言うことはあるまい。
いや、奴らの弟子であるお前に会ったのも縁だ。少々つきあえニコラ・テスラ――カンをとりもどさせてやる」
宝石翁がまた突拍子もないことを言い出した。
彼の嬉々とした顔を見て嫌な予感が全身を貫いた。
まるで――そうまるで在りし日の、生身の肉体、雷電ならざる身で雷に打たれたような悪寒。黄金瞳でなくともわかる。これはまずい。
「は? 待ていったいなにを……」
「――そら行くぞ」
宝石翁が視界から消えた瞬間、彼は屈んだような低さで腕を伸ばしきったコークスクリューをテスラの懐――鳩尾に拳が放っていた。
「マッハパンチッ!」
迫りくる拳、人の限界を超えた吸血鬼の怪力乱神、彼はさらに強化の魔術によって威力を底上げしてる。
幻想すら存在を許さんと言わんばかりの破壊の拳。
破裂音がした――否爆発音がした。万象一切砕かんばかりの一撃をテスラは受けた。吹き飛ばされるテスラ、しかし踏みとどまった。彼の懐には刀身が砕けた5本の電界の剣。
「……何のつもりか宝石翁」
彼はすでに戦闘態勢だった。
宝石翁はその姿、とっさの反応を見て感心したように頷くと、
「いやなに、ここ最近まともな相手がいなかったものだからカンが鈍っていないか確かめただけだ。しかし杞憂だったようだな、だが力は使わないと使い方を忘れるものだ。
ここからは少々本気を出す、いくぞ若者よ」
一瞬、ほんの刹那、高速思考をもってもあるかないかの僅かな時間――力を溜めたかと思うと前方へ突進しながら強烈なパンチを放つ。先ほどより速く! 先ほどより重く! 先ほどより強い拳がテスラの胸部に目掛けて迫る!
「――デッドオンタイムッ!」
……爆発音がした。
その衝撃は大気を揺らした。さながら大地震のごとく。
その衝撃は大地を抉った。さながら爆撃のごとく。
その音は十マイル以上先にまで響いた。さながら雷鳴のごとく。
テスラは爆心地にいた。
テスラは無事だ。
彼はあの破壊の一撃を防いだ。電界の剣だけで防げぬなら更に防御力を上げればいい、バリツを使って。
「ほう。あの一撃を防いだか。
なるほどばるほど、しかし踏み込みが足りん」
テスラは理解した。彼は本気だ。こちらも本気を出さねばやられる……
「……年寄りが、年寄りが! はしゃいでいるんじゃないッ!」
ここからは正真正銘、本気でいかねばならない!
「……借りるぞ」
5本の電界の剣の先端部を、チェスの駒めいた剣針を、
それらを──
中央機械部へ射し込む!
「──超電磁形態。来い」
──巨大な鎧──
──姿を顕して──
──白銀の装甲が煌めいて──
──閃光が弾ける──
──轟雷が鳴り響く──
まばゆい光とともに──
大地が叫び、暗闇と共に空間が裂ける。
雷電が迸り、轟音と共に時間が砕ける。
光纏う鎧が、現れる。
それは白銀色をした輝きだった。
それは異空の果ての輝きだった。
空の彼方から来たるもの、
灰色に染まった空を超えてくる、
あらゆる物理法則を従えながら姿を見せる、巨大な人型。
その四肢は鋼鉄であり、
その四肢は白銀であり、
その四肢は雷電そのものである。
そして、揺るぎない確信が盾となり、
貫く意思が剣となる。
白銀の──
巨大な、騎士──
「──ほう。それがお前の切り札かニコラ・テスラ」
不敵に笑いながらも数十フィートを超す巨体を見上げる宝石翁。
その笑みは新しい玩具を見つけた子どものように、無邪気に、されど鮮烈な笑みを浮かべている。
「少々遊びが過ぎるぞ宝石翁!」
「ならばどうするニコラ・テスラ」
頭部の巨大な翠の宝玉が。
双眸が眩い輝き。
「一撃で決める!」
「こい!」
──騎士の、瞳が──
──輝いて──
胸部装甲に光が走る。
それは、空に輝く雷電の輝きだ。
紫電が大気を灼いていく。
騎士の胸が──
瞳の如く、輝いて──
「──超電刃!」
「方陣展開」
ゼルレッチの背後に特殊な魔方陣が展開される。
その魔法陣は壮大で広大で見るものすべてを圧倒する曼荼羅のような魔法陣。
この世界には存在せず、ゼルレッチのみが使用可能な特殊魔法陣。
ゼルレッチの魔術回路から魔力が淀みなく、されど超高速で生成、魔法陣に注がれていく。
魔法陣が膨大な熱量を持って駆動する。魔法陣から一切魔力は漏れることはなく、しかして駆動する余波にこもる熱波は周囲一帯を焼け野原にし、その熱量は摂氏三千度を優に超す規格外の
ニコラ・テスラが今まで見てきた中でも、否見たことのない超大の魔法。
かつて朱い月のブリュンスタッド《月落とし》を砕いた──破壊の一撃が、放たれる──
「──無尽エーテル砲ッ!」「――
──閃光が──
──視界を、埋めて──
──世界を、白く染め上げる──
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「いやはやなかなかどうして。
やるではないかニコラ・テスラ」
宝石翁は晴れやかな顔をして笑っている。
一方ニコラ・テスラは……
「やるではないか……ではない!
宝石翁私を殺す気か!?」
「いいではないか生きているのだし、これでやることも済んだし今度こそおいとまする。
ではな、ニコラ・テスラ良き青空を」
ニコラ・テスラは理解した。いや痛感した!
彼に何を言っても無駄で、関わると碌な事がない!
「……ああ良き青空を」
そうして宝石翁とは別れた。
宝石翁とはこれ以降会うことはなかったが、今も現役だろうし、回りに厄介事を色々起こしているに違いない。
そして二度と会いたくない!
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「これが私と宝石翁の馴れ初めだ。
正直あまり面白い話でもなかっただろう」
士郎はどう返したらいいか、どう反応したらいいか悩みそして。
「なんかスゴイ人だね」
そう返すのが精一杯だった。
FGOでもうすぐイベント始まります。
頑張ります。
今回は色々暴走気味な気がしますが、書いてみたかったので書いてみました。
なおぜルじいのキャラがよく分からないので、とある格ゲーキャラをモデルにして書きました。
では、皆さま良き青空を