Fate/ Thunderbird   作:ジンネマン

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こんには今晩はおはようございました。

久しく一月以内の投稿!……燃え尽きたぜ、真っ白にな――もう今年は投稿できる気があまりしない。
でも、頑張りますので、頑張るんで、楽しんでください(もはや限界)


炎斬・第二第三の御使い

 有言実行、普段から言葉足らずで此方を困惑させる事が多いセイバー(マスター)が即断即決………いや、普段から即行動していた。だから、早速行動開始したセイバーに付いていく形で郊外の森へ。アーチャー、キャスター陣営の六人三組でアインツベルンの森に侵入した。

 もっとも、セイバーのとった行動を侵入(・・)といよりも進撃(・・)強襲(・・)言った方が正確かもしれない。

 

「はぁ。何て出鱈目、今回はアインツベルンに同情するわ」

 

「リン。あまり君が見ていて気持ちいいものではないのなら目と耳を塞いでいても構わないが」

 

 セイバーへの呆れとアインツベルンへの憐憫の情を向けざるを得ない。それほどまでに目の前の光景は、現代の魔術師には毒だ。

 先頭を駆ける士郎を抱えるセイバーが発動する前の魔術トラップを軒並み素手(バリツ)と雷撃で打ち払い、その零れを後ろに続く葛木を抱きしめるキャスターが無力化して、最後尾に私を抱えれたアーチャーと続く。その光景は丹精込めて作られたであろう森というなの結界を蜘蛛の巣を払うかの如く、いや蜘蛛の巣を払うのだっていったん止まったり速度は落ちるものなのに、それすらないのとうことはそれ(・・)以下なのだろう。

 あえて言うなら、せいぜいが緩やか過ぎて平地と大差ない坂を上る程度の減速なのだろう。本当に心臓というか胃というか、心に悪い。

 ――でも、

 

「いいえ、この事態で目を閉じるなんて自殺行為、できるわけないじゃない」

 

 そう。今私たちが向かっている場所、アインツベルンの城に、そこには、否、私たちの頭上には、

 

 

 

――紫影の空が広がっていた――

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 二月五日 セイバーたちが森へ侵入より30分前

 

「ふん。ここに来るのは久しいがなかなか。ウルクの我が宮殿には劣るが、改めてみるとなかなかの侘び寂しがある城ではないか」

 

 アインツベルンの城、その上空から見下(みお)ろす金髪の男が一人。

 

 中空に浮遊するは凡百の魔術師――

 

 上空にて佇むは凡庸なるサーヴァント――

 

これに君臨するは人類最古の神話、人類最古の英雄、人類最古の王。

英雄王ギルガメッシュ

 

「さて、急ぐか」

 

 城塞の一角に降り立つ英雄王。中央庭園を見下(みお)ろす、その先に2人のメイドと1人の執事。

 

 白銀の髪、ほとんど露出していない肌は白、瞳は赤。白亜を基本とし、所々を紺色をアクセントとしたメイド服を着た。

 ホムンクルスが二体。

 

 白い髪、肌は黒、赫い瞳。肌は黒人や日焼けおは違うもっと異質な涅ろさ。白い紳士服が更に肌の色を浮き上がらせている。

 とても人間のそれとは思えない。あまりに異質な存在が1体。

 

「ふむ。王の歓待にしては質素が過ぎるが、矮小とは言え戦時の最中とすれば我の寛大な心をもって赦そう。

 だが、その剣呑な面持ちは如何なものか――返答次第では恩赦も取り消すことになるぞ大地の落とし子たち」

 

 只人であれば心臓が止まりかねない圧を受け、ほんの僅か、後退りしそうな足に叱咤するメイド二人、『セラ』『リーゼリット』と対して執事『(アー)』一切の動揺も恐れもなく右足を後ろに引き、その右足のかかとを浮かし、つま先は地面に着いたまま右手は身体の前で直角に曲げ、ウエスト上に水平にします。

 そして頭は相手を見つめながら、軽くお辞儀。

 ボウ・アンド・スクレープ(西洋貴族式お辞儀)する。

 

「ようこそいらっしゃいました。お客様。

 一廉(ひとかど)の王とお見受けしますが浅学の身の上、御身のを存じ上げないことお許ししていただく「もうよい」――」

 

「貴様に発現を許した覚えはない。月と黒の混沌……いや、他にも混じっているな、これは異星の――つくづく業が深いな、魔術師は。

 ――まあいい、聖杯の器を差し出せ。さすればこの「お断りします」……ほう」

 

 Aはボウ・アンド・スクレープを崩すこと無く、共に微動だにしない表情で英雄王の言葉を遮り、拒否をした。この行動の示す意味を理解できぬ者はいない。

 英雄王の背後の空間が歪み、数多の宝剣宝槍、その他多種多様な宝具が装填されて眼下の不敬者に照準を合わせた。

 

「オレは忙しい、無理矢理に事を起こさないのは慈悲とわからぬか?」

 

「存じ上げています偉大なる王。されども従者として主のために身命を賭けて仕えるが本懐。そこに例外はございません。

 ――たとえ、相手がら何者であろうとも――

 

 ――さあ、来い。

 女王の言葉を借りて。来たれ。我が影、我がかたち、我が剣」

 

 コポリ。コポリ。コポリ。

 Aの影が激しく泡立ち、()り上る。

 追り上がる影が、形造られ――

 

「待ちなさいA」

 

 静止の声。

 悠然と庭園を歩く、この城の主、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。

 背後に供なうはバーサーカーのサーヴァント、ギリシャ神話の大英雄《ヘラクレス》。

 

「去りなさいアーチャー、貴女が危惧している事態にはならないわ。

 その為のバーサーカー(最強)

 その為の(最高)

 その為だけの(ジョーカー)

 

 お爺様の思惑と私の意思は違うわ。だから、ここから退きなさいアーチャー。

 もっとも、私に仕えるなら話は別だけど」

 

「ふふふ、フハハハハハハハハハハハ」

 

 呵呵大笑(かかたいしょう)。哄笑。唐突の笑い。

 大地に、空に、響き渡る笑いに一同は静観する。イリヤスフィールとバーサーカー、Aは別にセラはギルガメッシュを前に不要に動けず、リーゼリットは近くにいるイリヤスフィールに被害が及ばないかを憂慮したため、だかメイド二人は主人の為に身命を賭す覚悟は出来ていた。

 たとえ、相手がどれほどの強者(理不尽)であろうとも。

 

「ははは、いや、最近の魔術師はなかなか面白いことをする。聖杯の器に道化を仕込むとは、いやはやなかなかどうして。

 褒美だ聖杯の器、お前を生かしたまま連れていこう。本当ならその心臓で我を(たばか)った愚か者に誅罰をくれてやろうと思ったが、気が変わった。

 光栄に咽び泣け。我が許す」

 

「ふう。話にならないわ。

 A、許可します。アーチャ――――」

 

ガラスが、割れる音が、鳴り響いた

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 そこは闇よりも深い深淵の底、そこは暗黒宇宙よりも尚暗き空間、世界の外側にある黒く黒くなによりも昏い場所。

 そこは生命が一瞬の刹那さえ介在できない深淵の底、そこはあらゆる物質さえ存在できない空間、黒く黒く何者もの許さない黒い場所。

 

 そこには玉座が鎮座する。否、玉座が鎮座していた(・・・・・・・・・)

 それまでには無かった物。今その瞬間に出来たのか。それとも以前から有ったのか。定かではないが確かにそこには玉座がある。

 その玉座は異形であった。奇形であった。数多の女が集合して出来た玉座であった。女はどれ一つ例外無く同髪同顔同形の裸体を晒した女で形作られた玉座。

 

 そこに座すはヒトか。ヒトではない。ヒトの形をしたそれだ。

 三世の果てより飛来した月の王。遍く者。すべての者を嘲笑う存在。

 

「チク・タク。チク・タク」

 

 呟く。囀ずる。この世すべてに。

 

「英雄たちよ。儚く、脆弱で、無知なる英雄たちよ」

 

「聖杯に導かれた希人たちよ」

 

「お前たちの魂からの叫びが、お前たちの悲痛なる叫びが、私にちからを与える」

 

 嗤う。口角を鋭く、三日月の笑み。

 嘲笑う。すべてに例外なく、たとえ英雄であろうとも。

 

「罪深き者たちよ」

 

「断罪の時だ」

 

「お前たちの願いも

 お前たちの戦いも

 聖杯戦争も

 すべて、すべて

 あらゆるものは意味を持たない」

 

「たとえば――

 燃え尽き

 切り裂いてしまえば

 なんの意味もない――」

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 それは正に、青天霹靂、否、曇天砕影とも言うべきか。突如として空を覆う灰色の雲が粉々に砕けた。割れる窓ガラスのような甲高い音とともに。

 それと同時に広がる紫影の空(・・・・)が広がった。森全体を覆うように広がった。

 

 あまた張り巡らされていた魔術防御を、ことごとく無視して、異界の法が下される。

 

 イリヤスフィール、A(アー)、セラ、リーゼリット、ギルガメッシュが音源を視認した時にはすでに完成していた紫影の大結界。

 愉快気に庭園を見下ろしていたギルガメッシュは舌打ち眉間に皺を寄せ即座に臨戦態勢に入りる。Aはイリヤスフィールとセラを抱えバーサーカー後方へ。リーズリットもその腕に『リーゼンアルム《巨人の腕》』を握りしめていた。

 

 そして、五人準備が揃うの待っていたかのように、天使が、御使いが、降臨する。

 

 初めは白い輪っかだった。

 白く昏い輪っかが一輪(いちりん)、また一輪、と中庭の中空に顕れる。輪っかから鳥の羽根のような一片。また一片と生えてゆき。一対の大きな翼ができ、顕れた輪の中心の空間に皹が入り、粘つく黒い液体が滴る。

 

 滴る液体が次第に人の形になり、細部が形を変えてゆき、短く流された髪に右目の下に泣き黒子。黄色の短槍と真紅長槍を握り項垂れた黒色の騎士が顕れた。

 

 滴る液体が次第に人の形になり、細部が形を変えてゆき濃紺色のフルフェイスの西洋甲冑が、背中からしなだれる鎧飾りが触手のような蠢き、纏う魔力は陽炎(ようえん)の揺らめきながらも黒い焔となり辺りを焦がし、顕れた。

 

 そして輪っかは二人の騎士の背後に降り立ち、羽根の一部が騎士を覆い尽くし、昏く真っ白な騎士へと成り果てた。

――白い翼。

――白い仮面。

――白い輪。

 

 

 白。それは清純の象徴。

 白。それは聖なる象徴。

 白。それはむくなる象徴。        

 

 それだけを見るなら主を護る守護天使。

 邪を払う聖なる存在。

 人を救い、世界を平和する存在。

 

 ――違う。アレは聖書に語れるような綺麗な天使(モノ)じゃない。

 ――本能でわかる。アレはそんな聖なる御遣い(モノ)じゃない。

 ――アレはもっと禍々しいものだ。人々に厄災をもたらす化身(モノ)だ。

 

 五人は凝視する。

 

 空から零れ落ち生まれた二人の御遣いが顔を上げる。

 遺恨 怨毒 惆悵 怨恨 怨讐 赫怒 憤激 憤怒 悲嘆 忸怩 慚愧 瞋恚(しんい)の炎*1は両者の共通。斬奸(ざんかん)*2の誉れに酔いしれ狂喜する。歪んだ騎士が二騎。

 

 

『――またか、またか、またかまたかまたかまたかまたかまたかまたかまたかまたか!また貴様らは邪魔するのか!

 俺の細やか願いを、誉れある騎士の闘いを、唯一つの忠義を、真摯なる闘争を、それをまた穢すのかセイバーーーーッ!。』

 

『かの王は、我を罰せず、我を裁かず、我を赦さず、我を貶めず、我を懲めず、我を(ころさ)なかった。

 貴方は、貴女は、アナタは、あなたにとっては私は、とるに足らない芥、有ろうが亡かろうが変わらぬ塵も同然だと言うのか――――

Arrrrrrthurrrrrr……

ArrrrrrthurrrrrrA――urrrrrrッ!!rrr。』

 

『『チク・チク。チク・チク。イア・イア。

 

 チク・チク。チク・チク。イア・イア。』』

 

 

『新たなる主、新たなる主人、新たなるマスター。

 このような機会を与えていただき恐懼感嘆の至り、さあ御照覧あれ我が神よ。

 今度こそ、今から、早急に、御神へこの忠義を捧げます。

 

 チク・チク! チク・チク! イア・イア! チク・チク! チク・チク! イア・イア! チク・チク!チク・チク! イア・イア! チク・チク! チク・チク! イア・イア! チク・チク! チク・チク! イア・イア! チク・チク! チク・チク! イア・イア! チク・チク! チク・チク! イア・イア・イア・イア・いぃィィaaarrrrrrrrrrrrrrrrrr!!!!!。』

 

 雄叫び。 同時に騎士達の足元の石畳外壁がズタズタに切り刻まれ、植物はもとより石空気魔力(オド)非燃焼物が物理的に魔術的に有り得い現象が波状に広がる。暴威が五人襲いかかろうとした。だが、その暴力は五人に届くことはなかった。

 Aの黑い影が、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)から壁のように数多の盾が、主人への不敬を遮る。

 

「ふん。どこかで見た顔と思えば、狂犬ではないか、あとは前回のランサーか…なるほどそういう趣向か、悪辣が過ぎるな異界の神。

 

チクタクマン

 

『Arrrrrrthurrrrr!Arrrrrrthurrrrrrrr!rrrrrrrrrrrrrrrr』

『セイバーーーーーー!ー!ーーーーーーッ!!!』

 

 駆ける二騎、双槍を携えた《白きもの》は背中から一対の翼が生え変異、肉体とはまったく様相の小なる腕が、その手には短剣と長剣が握られて四腕の様は両面宿儺そのもの。

 フルフェイスの騎士は背飾りが銃器に変異、此方に照準を捉えた。

 

 瞬間、刹那、疾走する斬撃と焼滅の弾幕が押し寄せる。

 

 

 

*1
燃え上がる炎のような激しい怒り・憎しみ、または恨み。瞋恚のほむら。

*2
悪者をきり殺すこと。




いつものごとく(?)オマケです。
うん。お詫びです。



冬木市郊外の森の奥に鎮座する白亜の城。常冬の城。基本的に明かりが落とされる事のない雪と木々に囲まれた不夜城。謎多き城、夢幻の城、常冬の蜃気楼、数多の怪談が、噂が、都市伝説がされる白亜の城。

曰く、不用意に近づこうとしても近づけず、まして万全の準備をした探検家すらも辿り着けない幻の城。
曰く、悪意害意をもって森に侵入した者は生きて帰ってこれない幻の城。
曰く、ここ最近、森に妖精か住まい始めた。

等々、他にも探せばいくらでも出てくるであろう白亜の城。
それは通称『アインツベルンの城』と呼ばれる錬金術の名家にして御三家の一つ、アインツベルンの冬木の聖杯戦争における拠点。

城には主人と使用人三人とサーヴァント一体の系5人が住んでいる。
この中でも男女比率は男1:女3(鯖1)である。彼等彼女等はホムンクルスだが、生理能力と生殖能力(筆者の妄想)があり、魔術回路や身体能力、異能と一般人とは乖離している存在ではあるが、それら諸々を覗けば人と変わらない。

睡眠、食事、老廃物などもあり、汗や汚れがあれば湯浴みをして清潔であろうともする。

必然掃除洗濯は必須であり、使用人の義務でもある。
そう、義務だ義務なんです義務なんだよ!

「A、いい加減にその衣類を渡しなさい」

「いや、セラ、これは僕が洗おう」

「いいえ、それはなりません」

「なぜだ? 僕とて使用人、アインツベルンのホムンクルスだ。炊事洗濯掃除はお手の物。貶めるつもりはないが、リーゼリットのように物を壊したり損なったりすることもない」

「ええ。わかってます。貴方の能力、その全てを正確に私は把握しています」

「ならば、なぜ僕の仕事の邪魔をするんだい」

「わからないのですか?」

「わからない」

「――本当に?」

「イリヤスフィールに誓う」

「…………それはね、A、貴方の洗おうとしている衣類が、衣類に、お嬢様の服が、下着が含まれているからですよ!」

「…………なぜだ「はいストップ!ループするからストップ!」僕はイリヤスフィールの身に纏う物に物理的魔術的に瑕疵(かし)*1や工作がされてないか確認の為に洗濯しているだけだが?」

「ええ!ええ!貴方はいつもマトモそうで、頭がおかしい事を平然とする!
お嬢様の衣類に関することなら私1人で十分です!貴方は自分の分だけ洗濯していればいいのです!」

「しかし、セラ。確かに君なら衣類の汚れや魔術的な工作には十分対応できるだろうが物理的な、現代的な知識は僕の方が詳しい。
何よりも、僕は、衣類を通して、イリヤスフィールの近代的魔術的に彼女の状態を確認しているんだよ」

「…………ちなみにどうやって」

「におい」


こんの変態不審犯罪者がーーーーーーーーーーーーー)ー)ー))!!!!

今日もアインツベルンは平和です。






そう言えば皆さんFGO六章どうでしたか?私、一応モルガン~オベロンまで全鯖ゲットできました!
え?そのなかでのお気に入り?もちろんロリスロッ…ごほ!ではなくバベにゃ………ごふ!でもなくカウェインとトリスタンに決まっているじゃありませんか。
え?好きな競走馬ライスシャワー ハルウララ トウカイテオウ キタサンブラック サトノダイヤモンドです。ウマ娘?プリティーダービー?はて、なんのことやら(冷や汗)

てば、親愛なる皆さま方良き青空を

*1
キズ、欠点


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