今回は改訂というよりも加筆修正が適当ですね。主に会話部分と地文の修正で、説明文はゲームやりながら書いたからそのあたりの部分は前回とあんまり変わらなかったの少々自分に驚きました。
でも、それ以外のすこしは成長しているかな~と思って頑張ります。
俺の失言(?)に遠坂は怪訝な顔をして俯く何か呟き始めた。漏れ聞こえた声から察するに聞き間違えたかと疑っている。そして、いきなり顔を上げると
「ねえ衛宮くん、念のために聞くけど割れた直後のガラスを元通りするなんて初歩の初歩が凄いって言った? じゃあもしかしてあなた五大元素の扱いとか、パスの作り方も知らない?」
知らない物は知らないから素直に頷いた。
「……………………」
うん。沈黙が痛い。なまじ美人なだけに真顔で沈黙されると痛い。
「――はぁ。こんな素人が聖杯戦争のマスターになれるなんて、私の十年間はなんだったの。
遠坂は不満を垂らしながらマスターテスラを見る。その視線にマスターテスラは手を顎に添えて考え込んでいる。
「――ふむ。私の対応に何か問題でもあったかリン? 英国紳士としてなんら
「はぁ――まぁそう言うことにしておくわ。……ねぇあなたはセイバーのサーヴァントで間違いないのよね?」
額に手を当てて大きなため息を吐いた遠坂、しかし、次の瞬間、マスターテスラに質疑を投げかける遠坂の視線は学園では見ることのない戦士の、いや、魔術師のものだった。
「ああ確かにサーヴァントのクラスはセイバーで相違ない。なかなかの慧眼だなリン。ご褒美にゼリービーンズをやろう」
「いらない。甘すぎるの好きじゃないし、そういう安っぽいのは趣味でもないから」
マスターテスラはどこからかカラフルなお菓子を取り出すと遠坂に渡そうとした、しかし、遠坂はすっぱりと断った。断られたマスターテスラは再度顎に手を添えて考え込む。
――そんなに悩むような事だろうか?
「……ふむ。いらんか。最近の若者は甘いものを好まないのか?」
「そんなことはどうでもいいから、っで、話を進めるけど私が説明していいのね?」
「ああ、よろしく頼む。どうも私は一言足りないらしくなかなか相手に伝わり辛い。特に助手にはいつもなぜか怒られていたからな。私の説明のどこに不備があるのやら」
「その助手については知らないけど、その苦労は推して図るべしね。
じゃあさっそく本題だけど衛宮君、端的に言うわね。あなたは魔術師達の儀式、聖杯戦争というのに狂気の儀式に巻き込まれたの。そしてその聖杯戦争はたった1つしかない万能の願望器聖杯を求めて争うの。そこにいるセイバーみたいな存在が他に6騎の合計7騎と、そのサーヴァントを従えた私達マスター7人によるバトルロワイヤル。それが聖杯戦争よ。
あなたもマスターである証拠に腕のどこかに聖痕、紋様が刻まれているはずよ」
俺は自分の手の甲を確認する。確かにそこには奇妙な紋様が刻まれていた。言葉が出ない、校庭で死闘を繰り広げたアーチャーやランサー、そのランサーを撃退したマスターテスラ、その他に4騎も同じような存在がいるなどと夢物語のような話はにわかに信じがたい。そんな困惑する俺を無視して遠坂は説明を続ける。
「それが聖痕、令呪っていうんだけど、それはサーヴァントを律する呪文であり、聖杯戦争のマスターである証、それがある限りはサーヴァントを従えていらるし従ってくれる。
令呪は絶対遵守の命令権。サーヴァントの意思をねじ曲、どんな命令でも絶対に従わせれる呪文であり刻印。発動に必要な呪文はなく使用すると思えばいい。
そしてその令呪が無くなったマスターはサーヴァントに殺されるだろうから注意してね」
その言葉を聞いてゾッとした。マスターテスラが俺を殺すなんて想像もできなかったから。
「マスターは他のマスターを倒すのが基本だから。自分以外の他のマスター全てを倒したマスターには褒美として聖杯が与えられる。
まだわからない? ようするに衛宮君、あなたはね昔の魔術師達が始めた狂気なりし儀式、聖杯戦争という殺し合いに巻き込まれたの。ただ一人残るまで終わらない殺し合いに」
頭の中で、聞いたばかりの単語が回る。理解が追い付かない、いや、理解したくない。
聖杯戦争のマスターに選ばれた自分。
自分の敵対する相手、マスターだという遠坂。
超常なりしサーヴァントという存在。
そして聖杯戦争という魔術師達の殺し合い。
余りの事に頭の整理が追い付かず黙っていると遠坂が口を開く。
「気持ちは察するけど、さっきまでのことは全部事実だし……あなただって心の底では理解しているんじゃない? 二度もサーヴァントに殺されかけて、もう逃げられる立場ではないということに。
いえ。殺されかけたんじゃなくって殺されたんだっけ。よく生き返ったわね、衛宮君」
殺されかけたのではなく殺された。その事実を思い出して初めて認識が追い付いた。
自分はランサーに殺された。殺されたはずの自分が今も生きていることにも気付いた。
そして。死の淵で聞いた、あまりにも潔かった誰かの声――
「納得いった? 自分はとっくにそういう立場にいるのよ。
今さら逃げることなんて出来ない、あなたが曲がりなりにも魔術師というならとうの昔に覚悟は済ましているはずよね。殺し、殺されるのが私達魔術師だっていうことに」
遠坂は困惑する俺が愉快なのか、上機嫌だ。
それに自分だって魔術師だ。覚悟くらいとうの昔に出来ている。
だか、その前に一つ疑問ができた。
「…………遠坂は何で俺がランサーに殺されたことを知っているんだ?」
「
舌打ちをして怪しい素振りをする遠坂。
「今のはただの推測よ。あなたには何の関係もなく、どうでもいいことだから忘れなさい」
「……どうでもよくなんかない。俺はあの時、確かに」
「いいから! そんなことより自分の立場わかってるの? あなたも選ばれた七人のマスターの一人、聖杯戦争の主役なのよ。
この冬木の聖杯戦争は何十年に一度、七人のマスターにそれぞれサーヴァントが与えられ、自分以外の全てのマスターを薙ぎ払う。これが聖杯戦争のルールよ」
それ以上の追及は許さぬと捲し立てる遠坂、だが、遠坂の言っていることを少しずつ理解する。
自分が聖杯戦争という狂気の儀式に巻き込まれたこと、今更逃げることはできないということが。
「私もマスターに選ばれた一人。だからサーヴァントを召喚して契約したし、あなたもセイバーと契約した。
正確には衛宮君は自分の意志でセイバーを呼び出した訳ではないけど、聖杯は期限までに正規のマスターがそろわなかった場合に数合わせで魔術師の資質があるモノにサーヴァントという使い魔を与える。だから偶発的に、なにも知らない人がマスターになることも稀にある。魔術師として運がいいのか悪いのか判断は難しいところだけど諦めることね」
聖杯戦争については大概はわかった。が、しかし一つ疑問が浮かび上がる。
「ちょっと待ってくれ。遠坂はサーヴァントが使い魔と言うが、そうは思えない。
使い魔っていうのは普通鳥や猫、人によっては幽霊を使役するやつもいるって
マスターテスラを見る。
マスターテスラは俺と遠坂の会話を、黙って聞いている。
腕を組み、目を閉じ、きれいな姿勢で、静かに、確実にそこにいる。その姿は使い魔の類には思えず、人間そのものにしか見えない。
「まぁ分類的に言えば使い魔だけど、位置づけは段違いよ。何しろサーヴァントは使い魔とては最強のゴーストライナーなんだから。
ゴーストライナーと言ってもただの幽霊じゃない。彼らは受肉した過去の英雄、精霊に近い人以上の存在なんだから」
「な!」
驚愕した。マスターテスラは受肉した過去の英雄!? たしかにあんあ風変わりな英国紳……ランサーとやり合えるような人間は現代にいないと思うけど。
「因みに、これは魔術じゃないわよ。あくまで聖杯による現象と考えなさい。でなければ魂の再現、固定化なんて出来るわけない。
人間であれ動物であれ機械であれ、偉大な功績を残すと輪廻の輪から外れてて一段上に昇華するの。
英雄っていうのはそういう連中の事。崇め奉られて擬似的な神様になったモノ達」
高霊術や口寄せなどの、一般的な『霊を扱う魔術』は英霊の力を一部借り受けて奇跡を起こす御業。
しかしサーヴァントは英霊本体を直接使い魔にする。
故に基本的に霊体にもなれる。アーチャーという赤い男が霊体になり屋根の上にいるように。そしていざとなれば実体化して戦う。
「実体化すれば一応こちらの攻撃も当たるけど倒すなんて現実的ではないわね。だってサーヴァントはみんな化け物じみてるもの。だからマスターは基本後方支援がセオリーね」
遠坂の説明は癪に障る。
――化け物……たしかにサーヴァントと呼ばれる連中はみんな化け物じみているけど、マスターテスラはそういう風には見えない、やはり人間にしか見えない。
「とにかくマスターに選ばれた人間は、サーヴァントを使って他のマスター全てを倒す。理解できた?」
「言葉の上なら理解はしたが、納得はできん。そもそもそんな儀式が、誰が、何のために始めたんだ」
「それは私の関知するとこではないし、答えられることでもない。その辺りは、ちゃんと聖杯戦争を監督している生臭神父に聞きなさい。
私の言えるのは、あなたはもう逃げることはできない。サーヴァントと一緒に戦うしか道はないという事だけよ」
遠坂はそれだけ言うと、マスターテスラに視線を向けた。
「さて、衛宮君から聞いた限り貴方は不完全な状態みたいね。マスターとしての心得がない魔術師見習いに呼び出されたんだからそれも当然よね」
「ああリン言う通りだ。確かに生前ほどの力は発揮できない、霊体化も出来ない、魔力パスも繋がってないがこちらは問題ない」
「へ~驚いた。そこまで酷かったこともそうだけど正直に話してくれるなんて思わなかったから。
一応真名は偶然にも聞いたけど、けれど貴方が本当にニコラ・テスラか正直疑問だったから、弱味の一つでも聞けたらなって程度だったのに……ん? 魔力のパスが無くっても問題ない? どういうこと! もしかして自給自足ができるタイプのサーヴァントなの!?」
さっきまで冷静に説明していた遠坂が机に身を乗り出しマスターテスラに問い詰める。
「別に隠すようなことでもあるまいし、私はニコラ・テスラで相違ない。ただこの世界のニコラ・テスラとは違うようだがな。
そして、私に魔力は必要ない、しいてお前たちにわかりやすく言えば電力だが、そんなものは副次的に過ぎず。私には人々の輝きさえあれば戦える」
「電力? 輝き? 貴方はロボットなの?」
遠坂の疑問は俺も思ったが、体のどこかにコードがあって、それを伸ばしコンセント挿す姿を想像し…………
「「ぷ!」」
俺たちは必死に堪える。マスターテスラのどこかにあるであろうコードをコンセントに挿し込み、充電が終わるまでじーーっと体育座りをしているであろうマスターテスラを。
「アーハハハハ!」 「もうだめ!もう無理!ハハハハ」
こんなに笑ったのは久しぶりだった。腹筋がよじれそうなほど痛い。さっきまでのシリアスな空気が霧散してしまう。遠坂なんか手を何度も机に叩きつけながら笑い続けている。
なかなか笑いが収まらない俺たち、マスターテスラはおもむろに俺たちの手に触れる。
――!
何を急にと思った矢先、
バチン!
「「!」」
耳に聞こえるくらいの空気の破裂音が室内に響いた。唐突で、いきなりの痛みと音に俺たちはのたうち回る。マスターテスラが俺たちに電気ショックを、スタンガンと同じことを俺たちにしたのだと痛みが薄れることに気づいた。
「いったいなにするんのよセイバー!」
痛みが治まった遠坂はマスターテスラを睨む。
「あのままでは話が進みそうになかったのだが少々手荒だったな。そこは謝罪しよう。
それに、私の電力はそんな即物的なものではない。先も言ったが私にとっての電力は、
人々の内から溢れ出す輝き。
人が尊きものである証。
《うつくしも》のである証。
それが私の力の源だ」
「――輝き――」
人が尊きものである証、《うつくしも》のである証。そういうマスターテスラの顔は、遠き果てにある眩しいものを、輝けるもの見るような顔をしていた。
――やはりこの人は正義の味方なのだろうか?
過去に置いてきたモノ。忘れていたもの。どれだけ手を伸ばしても決して届かぬモノが今、目の前にあるかもしれない。
――そう思うと、この出会いは
「はぁ、えーと話は少し脱線したけど。一応はまとまったわよね? じゃあ行きましょうか」
呆けている俺を見て何を思ったか知らないが、遠坂が急に立ち上がり『パンパン』と
「行くって何処へ?」
「だから、聖杯戦争についてあなたは色々知りたいんでしょ? これから行くところに詳しいやつがいるから、隣町だし急げば夜明け前までには帰ってこれるわ。それに明日は日曜だから別に夜更かしてもいいんじゃない。それとも行きたくないの?」
「いや、そういう問題じゃなくて、今日は色々あったからもう休みたい」
今日、というか今夜だけで二度もサーヴァントに襲われ、なおかついきなり聖杯戦争という狂気の儀式に巻き込まれたと言われれば精神的、肉体的に疲労困憊で本当なら今すぐ布団で寝たいくらいだ。
もちろん今、そんな悠長なことを言っている場合ではないのは承知しているが、それでも『今くらいは』と思ってしまう。が、ここで追い打ちがかかる。
「いや士郎、ここは今日のうちにリンと一緒にその事情を知る者のところ行った方がいい。今後いつこのような機会に巡り合えるかわからんからな」
「……わかった。マスターテスラもそう言うなら行こう。
それで何処にいけばいいんだ遠坂。あんまり危ないとこはごめんだからな」
「大丈夫よ。まぁ邪悪な男がいるから気をしっかり持てば大丈夫よ。
さあ行きましょうか言峰教会に」
というわけで第三弾! あと二話ほど改訂作業が終われば本編連載再開ですね。速くしたい! なかなかうまく書けないのが現状。
が、俺は諦めない! 諦めなければどうにかなると信じているから!
あと、今シャルノスが第九章、あと一息です。倫敦の闇は深い、深すぎる。本当にメアリはすごいですね。
では今日はこのくらいで親愛なるハーメルン読者の皆様良き青空を。