Fate/ Thunderbird   作:ジンネマン

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なんだろうクオリティが安定しないというか、自分が上手く書けているか分からない。


二月三日
生存・黎明


――――見たことない景色だった。

 

 頭上には炎の空。

 足元には無数の剣。

 戦火の跡なのか、世界は限りなく無機質で、生きてるモノは誰もいない。

 灰を含んだ風が、鋼の森を駆け抜ける。剣は樹木のように乱立し、その数は異様だった。

 

 十や二十ではきかない。

 百や二百には届かない。

 だが実数はどうであれ、人に数えきれぬのであらば、それは無限と呼ばれるであろう。

 大地に突き刺さった幾つもの武具は、使い手か不在のままに錆びていく。

 

 夥しいまでの剣の跡。

 

  ――――それを。

  まるで墓場のようだと、彼は思った。

 

 

 

 

 …………世界が戻っていた。

 

 

 

「――――ん」

 

 重い瞼を開けて、士郎は、視界に映るものを見る。

 聞こえてくる小鳥の囀り。

 ぼんやりと、辺りを見渡す。

 視界に写るのは見慣れた部屋。見慣れた庭。見慣れた景色。

 そこで自分は今、自分の部屋で寝ていたことに気付いた。

 外が明るい、日が昇ってから随分と時間が経ってるであろう、太陽が高い。

 そして、昨晩のことを思い出す。

 あの時、アーチャーの矢の破壊に巻き込まれて、アーチャーの矢の残骸を見て、

 そのあと、マスターの無事を確認したあと頭に鈍い痛みが走り、そして…………

 

 

 まだ、ぼんやり。する。

 けれど。

 

 

「……あれは…………夢か…………」

 

 

 …………剣の丘。

 あんな夢を見たのは……そう、剣を持ったマスターと、昨夜炎と破壊に包まれた墓地を見たからに違いない。そうでなければ――――

 

「お、お目覚め?」

 

「…………ふぁ…………」

 

 誰――――

 誰かいる?誰だ、今日は休日だらか桜ではない。ならば藤ねえか? いや藤ねえはこんな起こし方はしない。

 結論。まだ夢だ。

 

「うん………………ん」

 

「こら! 二度寝しないの!」

 

 再度起こされた。

 うるさい。昨日は酷く大変で疲れたんだ。

 

 青い槍兵に二度も襲われて。

 

 そのあと新都郊外の教会まで歩き。

 

 帰り道にバーサーカーに襲われた。

 

 ――――そこまで思い出し、目が覚めてくる。

 あそこでバーサーカーとイリヤスフィールがいなくなった後、記憶はなく今、自分の部屋に寝ているという現実。

 自分をここまで運んだのは誰だろうか? そして、自分を起こしているのは誰であろうか?

 桜でもなけば、藤ねえでもないのであれば誰だ?

 瞼をしっかり開く。

 

「やっと起きた。まあ、大事がなさそうでなによりだわ」

 

 なぜか、どうしてか、遠坂が偉そうに見下ろしながら、いたく普通なことを述べている。

 まだ夢を見ているんだろうか?遠坂が家にいるなんてあり得ない。

 

「~~~~~~~っ!」

 

 布団をひんむいて、一瞬で部屋の隅へ逃げた。

 

「とと、トトとどどと、遠坂! 何でこんなところいるんだ!

 何が何をしているんだ!?」

 

 頭が現実に追いつかない。

 自分は炎に包まれた墓地にいた筈で、近くにいたマスターで、自分の部屋には遠坂で、朝で、何が何やらどうなっているのか!?

 いやまずは遠坂が何で目の前にいるかが一番びっくりしている。

 

「随分な言いようね。昨夜の記憶があるなら今の状況はすぐに理解できる筈だけど」

 

 遠坂はあくまでも冷静で、おかけでこちらの頭も冷えてきた。

 そうだ。

 昨日、あの戦場にはマスターの他に遠坂もいた。そして、今自分が生きていて、遠坂が目の前にいると言うことは、

 

「――そうか。あのあと気を失った俺をここまで運んでくれたんだな、遠坂」

 

「ふーん。なんだ、思ったより頭の回転速いのね。混乱していても思考はちゃんとしているようね。なかなかどうして」

 

 …………褒めているか貶しているのか、曖昧な言動はやめてほしい。

 

「……それじゃ、俺の家まで運んでこれたってことは、人目につかないで逃げられたんだな」

 

「そう言うことよ。話が早くって助かるわ。

 じゃあ、もういいわね」

 

 そう言うと、満足したのか。

 それじゃ、と言って、立ち上がると歩き出した。

 

「――――え、遠坂どこに行くんだよ」

 

 それを聞いた遠坂は、額に手を当てて、大きなため息を吐いてこちらを向いた。

 

「…………はぁ、衛宮君。まだ寝ぼけてるの?どこに行くにも何も、ここがどこかわかっているの?私はここに居ていい存在ではないでしょ」

 

 きっぱりと言う。

 昨夜の彼女の言葉を思い出した。

 

 『明日からは敵同士よ』

 

 そう言った。

 

「――――」

 

 そうだ。

 昨夜。

 戦うと口にした。

 

 ならば、衛宮士郎と遠坂凛は聖杯を求めて、殺し会い、奪い合うしかないか関係。

 そこには馴れ合いや、助け合いなどといった概念はない。自分達は魔術師であり、魔術師は一般的ルールといったモノに縛られない存在なのだ。

 しかし、

 

「そうだっだな。すまない遠坂。

 それと、今更ながらだか、ありがとな」

 

 その言葉を聞いた遠坂は、こちらを睨んだ。

 その瞳には激しい憤怒か宿っている

 

「衛宮君。間違っても敵には、そんな言葉掛けるモノではない!

 例えそれが肉親であろうと! 命の恩人であろうと! 同じ学校の人間であろうとよ! 敵のマスターは人の言葉を喋るだけの障害物! 始まったが最後、情け容赦無しに、ありとあらゆる手段を行使して戦うのが聖杯戦争。

 昨夜、あのエセ神父に嫌と言うほど聞かされた筈よね。もう忘れたの!?」

 

 遠坂の言葉は尤もだが、腑に落ちない点がある。

 

「――じゃあ、遠坂は何で俺にそこまでしてくれるんだ?

 遠坂の言い分なら、真っ先に殺している筈だろ」

 

 すると遠坂は、む! っとした顔をしたと思うと若干捲し立てるように、

 

「ええそうよ。けれどねスタートラインにすら立っていないあなたを倒すのはフェアではないわ。

 遠坂の家にはね『余裕を持って優雅たれ』って家訓があるのは昨夜聞いたわよね。その私に寝込みを襲えって言うのは、気分が乗らないのよ! なんか気にくわないのよ! 文句ある!」

 

「遠坂。今さっきどんな手段をとっても倒す相手、肉親すら障害物と思えって言ったよな?」

 

「言ったわよ。だからこれは私の失点、私があなたより強いから生じた慢心。言うなれば心の贅肉」

 

 なんか妙な表現だな。

 

「心の贅肉? つまり遠坂は太っているってコトか?」

 

 

 

 彼女は笑った。

 淀みなく、涼やかに、綺麗な笑顔。そう。あの笑顔には何ら不純物はなく純度100%のひとつ感情しかない。

 そして、その感情とは、

 

 

 

 例題です。

 ここに、一人の少年がいました。

 魔術師の少年です。

 彼は助けてもらった少女に疑問を問いました。

 心の贅肉とはなにかと、

 あなたは太っているのかと、

 そう問いました。

 するとどうでしょう。

 少女は綺麗な笑顔をしました。

 少年が見たことない笑顔です。

 少年の周りにはなかった笑顔です。

 しかし少年は震えていました。

 誰がどう見ても綺麗な笑顔なのに、

 少年には何か別のものに見えているようです。

 少年は焦ります。

 自分は何かとんでもないことをしでかしたのかと、

 赤い悪魔を目覚めさせたのかと、

 少年は後悔します。

 けれど後悔は先にたたないのです。

 そして必死に頭の回転させます。

 この場における最善策を、

 この場における正解を、

 ありとあらゆる可能性を模索します。

 ――――どうすべきですか?

 

 少年は、平謝りするべき?

 少年は、一目散に逃げるべき?

 少年は、このあとの結果を受け入れるべき?

 

 ――少年は

 

 

 

 ――少年には選択権はありませんでした。

 しかたないことなのです。

 人は時に選択を許されないモノなのです。

 そして朽ちてゆくのです。

 そして終わってゆく。

 だから、これでおしまい。

 何処かで誰かが嗤うのでしょう。

 新都の神父か、

 ふるき黄金か。

 ですから――――

 

 これで、おしまい。

 さよなら。

 

              残         念

                     で

                             した

 

 

 

 

 

 

 

 功程四拍

 寸勁→回転足払い→回転肘撃ち→崩拳の4連

 

 容赦がなかった。隙もなく。情けの欠片もなく。

 そして、彼女の笑顔に秘められた感情は殺意だった。

 

 教訓。

 女性に体重のことを言ってはならない。命が惜しければ。

 

「それじゃ、衛宮君お達者で。

 次会うときは敵同士だから、その時は覚悟しなさい」

 

 どの口が言うか、この赤い悪魔め。

 言いたいことだけ言って、赤い悪魔もとい遠坂は帰っていった。

 俺をここまで運んで、手当てまでしてくれのは本当に気紛れなのだろう。

 

「――――さてと」

 

 深呼吸をして、状況を確認する。

 昨夜の学校でランサーとアーチャーの戦いを目撃してから、ゆっくり考える時間がなかった。

 

「ん?じゃあ、あの時にいた人影って遠坂だったんだな」

 

 今更ながら気付いた。

 そのあと、ランサーに胸を穿たれて、どういうわけか生きていて、家に戻ったら再びランサーに襲われて…………

 マスターテスラに助けられて、マスターになった。

 遠坂や言峰の話。

 聖杯戦争という狂気の儀式。

 勝者のみに与えられる。万能の願望器"聖杯"。

 

 …………そんな話、実感が持てないが、確かなのは聖杯戦争という狂気の儀式があり。聖杯のために起こりうる被害を、

 

 新都の大火災のようなこと、

 

 あの地獄を、未然に防ぐために戦うと口にした。

 だから、俺の戦う理由は聖杯戦争に勝ち残るためじゃない。

 勝つために手段を選ばないヤツを、あの日の誓いを守るために、非道なヤツを、力ずくで止めるために戦うことだ。

 

「――――――!」

 

 …………拳を握る。

 間違ってない。

 衛宮士郎は正義の味方に、理不尽な"モノ"に、それらのモノから"誰かを"守るために、今まで魔術を、肉体を鍛えてきたんだ。

 

「よし!まずはマスターと話をしないと」

 

 

 身体中に痛みが走る(大半は遠坂の攻撃によるダメージ)が問題なく歩ける。

 何か引っ掛かるものはあるが、振り払ってマスターを探しにいく。

 すぐにマスターは見つかった。

 

「ん。おはよう士郎。身体の方は大丈夫か?」

 

 居間にいた。

 居間で眼鏡をかけて新聞を読みながら寛いでいた。

 まるで我が家のように寛いでる。

 

「…………マスターおはようございます。身体の方は大丈夫です。

 …………マスターその服はどうしたんですか?」

 

 マスターは昨夜の白い詰襟服は着ておらず、ここ五年間見ていなかった。けれど、懐かしい物マスターは着ていた。

 切嗣が、じいさんが着ていた和服。この五年間引き出しの奥に仕舞ったままだった物。

 

「ああ、あの格好ではリンが落ち着かないと言ってな、勝手で悪いが服を借りた。

 極東服は久しぶりだ。丈も悪くないし、生地の質も良い、この極東服はゆったりできる」

 

 そう言うマスターは心無し、懐かしさを滲ませて頬を緩める。

 そして、

 

「士郎、積る話もあるだろうが身体が大丈夫なら、少々遅いが朝食を作ってくれ。

 ……腹が減った」

 

「……………………」

 

 時計を見る。

 今は午前10時。朝というには遅い時間だ。

 

「どうした士郎、どこか具合が悪いのか?」

 

「……いや大丈夫だ。マスターすぐに用意するから待ってくれ」

 

 ――――サーヴァントもお腹減るんだな。

 そう思うとマスターが凄く身近に感じる。

 取り敢えず冷蔵庫にあるもので手早く作ってしまおう。




三日前にガクトゥーン ファンディスク購入しまして、あと四日で攻略予定。
ヴァルターさんに負けないように駆け抜ける!


では皆様、良き青空を
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