Fate/ Thunderbird   作:ジンネマン

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改訂報告。
最強のサーヴァント にてイリヤにバーサーカーの真名を明かしてもらいました。今回の話でサーヴァントについて説明するさいに上手く書けなかったので明かしてもらった次第です。

生存・黎明 で雷電王閣下に眼鏡をかけてもらいました。別に書き忘れていた訳じゃないんだから(ツンデレ風)


朝食・矛盾

 カチン。パクパク。モグモグ。

 

「うむ。今日日(きょうび)の極東食は和洋折衷なのだな。以前私の食べた時より華やかで彩りがあるな。

 それに士郎の料理の腕もなかなかだな。特にこの極東風鶏肉のカラアゲがいい。

 しかし、ライスはもう少し堅めがいい、ミソスープはライスミソの方がいいだろう。サラダに使っているベーコンはラムベーコンにした方がいい。

 なにより……量が少ない………デザートはないのか?」

 

 マスターは食べながらそんなことを言った。

 ご飯三合空にして、オカズ全部食べてまだ足りないのか。因みにメニューは大根サラダ、鳥股肉四枚分の唐揚げ、味噌汁、ご飯と多めに用意してのにデザートまで所望とは…………

 取り敢えずご飯を炊飯器にセットしておこう。

 

「士郎、朝食は一日の活力源だ。もっと多い方がいい。フーゼレークなどとくにいい。

 あとデザートも必要だ。糖分は大事だからな。極東菓子もいいがドボッシュトルテもいいぞ」

 

 聞きなれない料理名だ。あと小言が多い。

 

「マスター、フーゼレークとドボッシュトルテってなんだ?」

 

「ん。士郎はハンガリー料理を知らんのか。

 フーゼレークは野菜を、主にグリーンピースとか、レンズマメ、その他キャベツ、カリフラワーなど色々をを煮込んで、とろみのあるシチュー状の料理のことだ。付け合せヴァグダルトや豚肉のローストなども必要だ。あとヴァグダルトは豚肉に衣を付けて揚げたものだ。

 ドボッシュトルテは5層~7層からなる薄いスポンジケーキの層の間にモカ・チョコレートクリームをはさみ、一番上のスポンジケーキをカラメルで覆って仕上げる菓子だ

 勉強になったな。励めよ」

 

 何だそれ、朝からそんなに手間の掛るものを作れというのか? あとなんだ、励めって!

 それに食事中に新聞読むな!

 

「マスターしん」

 

「官憲の汚職事件か、やれやれルールを守るべき官憲が汚職とは嘆かわしい」

 

「……あの」

 

「新都の方でひったくり、国が豊かになってもその手の輩は無くならないものだな」

 

「……だから」

 

「しかし、外来語が多いなこの新聞は、極東語でよかろうに。

 先人達が苦労して数多の言葉を翻訳したのに、その苦労を何だと思っているのか」

 

「…………そういう風に。

 そういう風に、無視、しないで。しないでください。するな」

 

「なんだ、何か言いたいことかあるのか衛宮士郎。遠慮なくするがいい」

 

「だから、食事中に新聞読まないでください」

 

「そんなに憤ることか? もう少し落ちついて言えばいいものを」

 

 誰のせいだ。誰の。

 

 ――食べ物に関しては今度ギャフン! と言わせてやる!

 

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 そう誓いをたて、洗い物を終える。

 そして、昨夜聞けなかったことを聞く。

 

「マスター幾つか聞きたいことがあるんだが」

 

「その前に士郎。昨夜の事で言っておかねばならないことがある。

 あの時アーチャーの必殺の一撃から私を助けてくれたことは礼を言う。が、あまり危ないことはするな。

 あの一撃を、あの無防備な状態で受けた場合致命傷は免れなかったであろうが、士郎が飛び出てくる事ではない。

 士郎は他にも何らかの方法で私に伝えるべきだった。いくら私が強くても、士郎が態々死にに行っては私が護りきれない」

 

 真っ直ぐマスターが見つめてくる。

 その冷たいような瞳、しかし輝く瞳は静かに、けれども強く、厳しく、衛宮士郎を見据えている。

 

「すまない。マスター。

 今度からはよく考えて行動する」

 

「ふむ。わかればいい。聞き分けのいい子にはゼリービーンズをやろう」

 

「いや、いらないです。

 そういったのは苦手で」

 

 それを聞いたマスター出てくるは何やら考えて、

 

「ふむ。士郎もゼリービーンズはいらないのか。ネオンもいらんっと言っていたし、昨今の若者はゼリービーンズが嫌いなのか?

 子供は甘いもの好きであろうに、難しいな20世紀も21世紀も」

 

 マスターの中の子供像はどうなっているんだ。

 

「それでマスター、聞きたいことがあるんだか昨日、遠坂や新都の教会で聖杯戦争の監督役をしている神父が言っていたことだか、サーヴァントは聖杯に叶えたい願いがあって召喚に応じると聞いた。マスターもそうなのか?」

 

「ん。基本はその通りだか、私には叶えたい願いはない。私は生涯に後悔はない。心残りがないと言えば嘘になるが、それは聖杯にすがるモノではない」

 

 マスターはそう言った。興味無さげに、多分本当に聖杯を必要としていないんだろう。

 

「じゃあマスターは何で聖杯戦争に参加したんだ」

 

「なぜとは、初めてあった時に言っただろう。

 士郎の声が聞こえたから来たんだ」

 

「俺の声聞いたから来たってことは、マスターは――マスターは正義の味方なのか」

 

 若干の期待を込めながら、いや大きな期待を込めながらマスターに聞いた。

 するとマスターは、

 

「正義の味方なものか、私は世界の敵だ」

 

 ――その言葉の意味がわからなかった。

 ――世界の敵とはつまり悪のことか? いやマスターはそんなモノには見えない。悪とは世界に害悪を与えるモノの総称だ。マスターがそんなことをしていたとは思えないけど。

 

「――つまりマスターは、世界を敵に回して悪事を働いたという……ことなのか。

 …………罪のない人をたくさん殺したりして」

 

「お前には私がそう見えるのか」

 

 マスターが静かに、こちらを見据えて、言葉を放った。

 その言葉を聞いた瞬間、自分の軽率さを知った。

 マスターテスラがそんな事する筈がないのに。

 

「ごめんマスター。そんなつもりじゃあなかったんだ」

 

「――いや、いい。

 反省しているのならいい、ちゃんと反省できたことはいいことだ」

 

 この話はよした方がいいかもしれない、また何か軽率なことを言ってしまうかもだし。

 それに、

 

 

 この話には触れてはならない気がする。

 

 

 それよりは他の事を聞こう。

 

「マスター、サーヴァントは過去の英雄たちと聞いたが、バーサーカーやランサーやアーチャーもやはり過去の英雄なのだろう。それで言うとマスターテスラも過去の人間なんだろうけど。

 マスターは本当にニコラ・テスラなのか?

 ――俺が知っているニコラ・テスラはマスターみたいに武勇があるなんて話は聞かないし、雷をを降らせたり、宙に浮く剣を操るなんて話も聞かない」

 

「ふむ。幾分か正解だが、幾分か足りないな。

 まず呼び出される英霊達は正確には過去ではなく、人類史における英雄だ。

 例えばバーサーカーはイリヤスフィールが明かしたが真名はヘラクレスだ。彼は過去と言うより神話の英雄だ。神話は確かに過去にあったことをモチーフにした話というのは定説だが、決して過去足り得ない。

 そして、私は確かに過去19世紀から20世紀にかけて実在していたが、この世界とは違った歴史をたどった世界の人間だ。

 私の世界では蒸気機関の異常発達により世界は繁栄している、この世界の電気以上に社会に密接だ。

 そして、その機関文明の影響により海は黒く濁り、空は灰色に染まった。これは世界の一部ではなく世界のほぼすべてがそうなった」

 

 …………にわかには信じられない話だった。過去の英雄だけでも常軌を逸しているのに、マスターは異世界の人間だと言う。確かに人類史に過去も現在無いとは言えるが異世界となると、もはや魔法の域ではないか。

 

「故に本来は聖杯戦争に呼ばれる存在ではない、異世界を知ることが者など、

 ――万能なりし男(ウォモ・ウニヴェルサーレ)レオナルド・ダ・ヴィンチ。あの男にできないことは然々ない。それにあの男は聖杯にすがるような願いはないだろう。

 ――そして彼の第二魔法の使い手にして死徒二十七祖第四位、『魔導元帥』『宝石翁』『万華鏡(カレイドスコープ)』『宝石のゼルレッチ』の呼び名高き魔法使いキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグくらいであろうが、彼は聖杯戦争に参加する気はない。それに彼の宝石翁はいるだけで世間に厄介事と迷惑しかしか掛けないから居ても困るがな……」

 

 マスターがひどく苦虫を噛み潰したどころではない酷い顔をしている。以前に宝石翁と何かあったんだろうか。

 そう言えばジイサンが魔法使いだけには決して関わるなって言っていたっけ、なんでも魔法使いという連中は碌なことをしない人外だとか。

 

「話が逸れたな、もうひとつ私は他のサーヴァントととの違いがある。

 それは私が生前から世界の外側にいたということだ。

 私は20才の時に雷の鳳(サンダーバード)と接触し雷電なる身となった。

 その瞬間から私は人ではなく幻想となったのだ。

 そして、人々は未知を拒み既知を肯定する。未知や幻想は科学で証明できる現象にすぎず、幻想はいずれ消え行く定めだ。彼のシャーロック・ホームズが幻想を否定したように。

 それは私とて例外ではなく、ある家系の者達が私を世界に繋ぎ止める(アンカー)となってくれなければ、長くこの姿を保つことは出来ずに霧散する存在だ」

 

 話の内容が昨夜以上に追い付かない。

 マスターはただの英雄ではないと思っていたがこれほどとは。

 

「つまりマスターは英霊という人が昇華した存在ではなく、本来の意味の聖霊、幻想種に近い存在ということのでいいのか。

 でも、異世界の人間だったということは、そのマスターを世界に繋ぎとめていた家系の人達はこの世界にもいるのか?」

 

「いや、いないだろう。

 どの世界においても同姓同名の人がいても同じ人ではないように、異世界においても同じで同姓同名だからといってその性質まで同じではない。

 ただこの世界において私の(アンカー)の役割を果たしているのは士郎。お前だ。

 なに、少々他の者達とは事情が異なるだけで、本質的には変わらん。気負う必要はない」

 

「俺がマスターの(アンカー)――」

 

 マスターは気負うなと言うが楔という言葉は重く感じる。

 

「でも、マスターテスラは俺が楔で何か不具合とかはないのか?

 自分は聖杯戦争のマスターとして未熟なので、もしもマスターテスラの足枷にならないか不安で」

 

「ふむ。士郎少し目を瞑れ」

 

「――――はぁ? 目を瞑るって何で?」

 

「いいから早く瞑りなさい」

 

 何やら訳がわからないが、兎に角目を瞑る。

 するとマスターテスラが近付いて来るのがわかる。

 ――マスターテスラの気配が近い。

 ――マスターテスラの息を顔に感じる。

 ――マスターテスラの顔が近づいてくる。

 

 

 

 ………………こつん。

 

 

 

 ――額に堅い感触。

 どうやらマスターテスラが額に額を当ててるようだ。

 ……なに緊張しているんだ。俺は。

 

「――マスター」

 

「静かに、集中するんだ士郎。今流れいる電力。魔力をしっかり認識して感じとるんだ」

 

 マスターテスラの言うとおりに集中する。

 すると何か頭の中に変わった絵のようなものが浮かび上がった。

 

 ――これは……ステータス? セイバー? なんだこれは。

 

「マスター、俺に何をしたんだ」

 

「見えたようだな。これで私の状態がわかるだろう。

 そもそも聖杯戦争のマスターは出来て当然なのだが、士郎はイレギュラーだから上手くできなかったのだろう。

 どう見えたかは知らないが士郎個人が判別しやすくなっているはずだ」

 

 ……よし。これで少しはマスターの役に立てそうだ。

 

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 その後もサーヴァントについて、宝具について聞いたりしていたら正午になっていた。

 

「最後に私から士郎に聞きたいことがある。

 士郎は聖杯を手に入れたらどうする」

 

「何って、特になにも。

 昨夜に言った通り聖杯戦争を止めるのが目的だから、聖杯そのものには叶えてほしい願いはない」

 

 マスターは手を顎にそえると、何か考えてから口を開いた。

 

「士朗はなぜ聖杯戦争を止めようと思うのだ?」

 

「なぜって、無関係な人が巻き込まれるのは看過出来ないからだ」

 

 マスターを真っ直ぐ見据えて答えた。

 

「士郎よ。私が聞いたのは理由ではなく動機についてだ」

 

 ……動機、動機とはなんだ。人を助けたいということ――ただ助けるということに動機が必要なんだろうか。

 

「士郎、確かに人を助けたいということは良いことだ。誰かのためにその身を投げ出すのは紛れもなく美談にすらなる。

 しかし、ただ助けたいという動機もない行動にはどこかしらに矛盾を抱える。

 このままだと士郎は必ず後悔する。そして、取り返しの付かないことになる」

 

 

 そんな、言葉を、マスターが口にした。

 

 

 この空気を壊すように電話がけたたましく鳴った。

 この日曜日の時間に電話となると思い当たることはひとつ、居留守をするとあとが面倒なので電話に出る。

 

「――――はい、もしもし衛み」

 

「もしもし士郎! 私だけど!」

 

 キーーーーン! 耳がいたい。そして、目眩もする。

 昨夜からの血みどろの魔術師としての時間、空間が一瞬のうちに霧散した。この人の声を聞いただけでいつもの日常が戻ってきた。

 

「……なんだよ。何となく掛けてきた理由はわかるが、俺は暇じゃないぞ藤ねえ」

 

「何よ、私だって暇じゃないよ。今日も今日とて、たまの日曜日を可愛い教え子達のために返上しているんだから。( ̄^ ̄)えっへん!」

 

 えっへん! って、子供かよ。

 

「そうか。なら頑張れ藤ねえ。こっちはこっちで頑張るから安心して部活動に精を出して励んでくれ」

 

 そして、切ろうとすると。

 

「ちょっと待ったーー! 用件がわかっているなら話が早い。お姉ちゃん士郎のお弁当食べたいの甘々の卵焼きのやつ。

 以上! 注文おわり! 至急弓道部に届けられたし」

 

「藤ねえ。今から作ると時間かかるが、それでもいいならいいが。おかずなにも残ってないから」

 

「なぬ!? うーん。少しくらいなら待つからなるべく速く来てね♪じゃあ!」

 

 ……カチリと電話が切られた。

 しょうがないから手早く作れるものを作って、持っていくか。腹を透かせた猛獣は手がつけれないと言うし。

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「よし出来た――マスター、ちょっと留守番御願い。

 すぐに戻ってくるから、待っててください」

 

 するとマスターは読んでいた新聞を畳む、眼鏡をしまうと。

 

「士郎学校に行くのだろ、では私も下見がてらに行くから少し待て、着替えてくる」

 

 下見? マスターはもしかして学校に危険があるかもと思っているんだろうか。

 

「マスター昼間の学校は安全だよ。魔術師って人目につくようなことは避けるだろうし、いても遠阪くらいしかいないから大丈夫だよ」

 

「ふむ。士郎は魔術師を理解していない。あれらは勝つために手段を選ばない輩ばかりだ。人目に付くのならば付かないようにすればいい。邪魔物がいるなら排除すればいいと思考する。

 そのような甘い考え捨てろ士郎」

 

 これはテコでも動かない。そして反論できない。

 

「……はぁ。じゃあマスターも一緒に行こう」

 

 マスターも学校を見れば納得するだろう。

 マスターが着替えるのを終え、学校へ猛獣の餌やりに行く。




矛盾は少ないはず………今回はかなり自信がないので何かあったら報告お願いします。

あといずれ第1 2 3話は大幅改訂予定です。


一昨日ハンガリー料理のグャーシュ(パプリカの煮込み)を作りました。あんまり美味しく出来なかった。ネオンは凄いなーと、思った今日この頃。

では皆様良き青空を。
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