心情メインかと思えば、会話メインの時もあればと気紛れをかなり起こしますが、申し訳ございません...
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世界は私を拒んでいるのかもと思い出したのはいつからだろうか。
楽園、箱庭、マリア様のお庭に集う乙女で居られた私は、縋れる存在に只管、手を伸ばし、払い避けて、求めていた。そんな繰り返しの中で私は身を沈めるのが何となく嫌になった。
結果、蓉子とも江利子とも、志摩子とも加東さんとも距離を置き、置かれ、疎遠てやつになった。
まあ、結果として私は何かが転じたわけでもなく、こうして生きれている。
就職は学んだ事を活かしたわけでもなく、掴みたいと思ったわけでもなく、求人票と気紛れにエントリーした新卒採用サイトの求人情報を見比べての結果を手にした。
惰性的に身に染みていた軽薄さと唾棄すべき外面を纏い、どうにかこうにか社会に溶け込ませる事が出来て早数年。
愛おしき日々、と言ったあの頃を思い出す事もその当時の面々が過る事もなく、怠惰に生活して適当にごっこの恋愛を繰り返して今、修羅場。
ため息が意識しない所から出た。
二人は瞬間的に、双子かってくらいにこちらにやっと顔を向ける。
ずっと私を視界に入れずに、私の横の位置を示す為にプライドだけで、お互いしか目に行ってなかった。
「ちょっと聖。なんなのよ、貴女の話をしているのよ?」
「そうよ。こんな安い女に引っかかって!」
誰かさんみたいな物言いなのに、そこには重ねるのが失礼すぎる、冒涜すら感じさせる。髪型、雰囲気、仕草、話し方、間の取り方。物まねは止めろ。そう怒鳴りたい。
もう一人の女も何処か志摩子みたいで、性格は江利子で、身内への接し方は何処となく誰かで...って、感じたから少し手を触れた。
自分の人の評価は最悪だと、実感する。
二人は相も変わらず、ぎゃんぎゃん舌戦を繰り広げている。
うるさいんだよ、ばーか。
そう言いたい。マリア様のお庭出身にあるまじき言動ね、聖。どこかの誰かさんがそう言ってくれそうな気がした。笑いが零れる。また、二人は咎める。無視をして窓の外に目をやれば、猫背になりきれてない、元は姿勢が良かったのだろう丸め方で歩く女性を追いかけていた。
どこかで一緒の時を重ねたはずだ。
ズキンと頭が痛む。
堪えるように目を瞑り、思い出す様に目を開けた時にその彼女がこちらに半身だけ振り返り、視線を送っていた。
どうにもならない痛みが走り、蹲るようにしたら二人は気が付き、心配という保身を身に纏い、あれこれ気に掛けだした。
そのわざとらしい、演出的な気遣いを手で追いやり再度、探したがもう居なかった。
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何度、君になりたいって思ったか。
私は誰かに呟くように気持ちを伝える。
誰にでも云ってるんでしょう。
分からない女の子は、私に拗ねたような照れたような声音で返してきた。
意識が定まらないままの中で見た夢は、知っているようで知らない情景だった。物憂げの私に縋りつくようで、でも確りと芯を持ち合わせていた女の子。
この前の女性を見たせいか、夢が勝手に見知ったように再生したのかもしれない。
そう私は判断して、日常をサイクルさせる事に専念する。
だのに、私は囚われたかのようにふとした瞬間に、あの女性と夢の女の子を浮かべている。
見たのも数分、覚えているのも曖昧だけれど、過って行くのだ。
やり過ごし方がまるで分からない、相談する相手すら居ない私にはどうしようもない。
なんらかの支障にもなっていない為に、誤魔化し方は無数に湧き出る。便利な術はマリア様のお庭で培った、そして、適当に人間関係を形成していく中で成長させていった。からかい合ったかの少女たちはそんな私を良く窘めてくれた。今現在の私を見て、何と言うだろうか。笑ってくれるだろうか。悲しみを憎らしげにぶつけてくれるだろうか。
「佐藤さん、今日は物憂げで何だか色っぽいね。」
会社の先輩がセクハラぎりぎり発言を言ってくる。お釈迦さまのなんだ?出身の野郎を彷彿させる気障さが厭味ったらしい。愛想笑いを張り付かせて応対する。
「ええ、昨日もギャルゲーで上手くいかない所があって。そのせいですね~」
こうして線引きをしていると、男友達を被ってくる。邪はあっても、踏み込む事がない点は関心する。
その後も色々、この男の語彙を使えば、情報交換をして霧散した事は良かったのかもしれない。
どうでもいい仕事を適当にこなし、帰路に着く最中にコンビニに吸い寄せられる。
直近で煩わしい出来事を経験した身としては、しばらく大人しくしておくに限る。活動源をためておくにも限るし。
レジを通り、サラダにチェーンオリジナルのパンをカゴに入れ、雑誌コーナーに行く。
男性、女性ファッション誌を流し読みし、情報雑誌を拾い読みして戻してレジに行く。
処理をしてもらっている間に、外を見やる。
そこには、あの女性がこっちを見ていた。
優しい表情で、少し丸い姿勢で。
優しさに込み上がるものがあったけど、会計も終わったのにどうしたのかと問う強い視線に、軽く会釈をして小走りに店を出る。
時間はそんなに掛かってないはずなのに、その背中は随分遠く感じれた。
すばしっこい雰囲気ではないのに、小走りと本格的に走るの真ん中辺りの速度で背を追う。
ズキン、ズキンと頭が痛む。
吐き気が催す手前だった。
だけど、この痛みも何もかも昇華される気がした。