桜井和生と暗殺教室   作:トランサミン>ω</

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お久しぶりですトランサミンです。

暗殺教室がフィナーレを迎えようとしていますね。
私もこの作品をより良いものに!そして読者の皆様の心を動かせるようにがんばりたいです!

拙い文ですが今回も最後まで読んでいただけると嬉しいです。


渚の時間

「渚の母ちゃんかぁー…一回家に遊びに行ったけどわりとキツい反応されたよな」

 

 

杉野がそう言うと渚の顔がどんどん不安色に染まって行く。

 

 

「殺せんせーは任せとけって言ったけど…絶対怪しまれるよね…」

 

 

「じゃあ私が代わりにやってあげる?担任役」

 

 

「おお!ビッチ先生か!」

 

 

「私は先ず人間だしあのタコとカラスマの次にあんた達のこと知ってるわよ」

 

 

自信満々にそう言うイリーナ。

 

 

「じゃあ予行練習してみよーよ」

 

 

片岡が渚の母親役で三者面談の予行練習が始まった。

 

 

「担任として最も大切にしていることは何ですか?」

 

 

「…そうですねぇ…敢えて言うなら『一体感』ですわ」

 

 

「じゃあうちの渚にはどういった指導方針を?」

 

 

「まず渚君にはキスで安易に舌を使わないように指導しています」

 

 

ガタッ

 

 

先程までそれっぽく出来ていたのに明らかにおかしな方向へ向かっている。

思わず片岡も椅子から落ちかけてしまった。

 

 

「まず唇の力を抜いて数度合わせているうちに…相手の唇からも緊張感が消え、柔らかくなります。密着度が上がり…どちらがどちらの唇かもわからなくなってきた頃…『一体感』を崩さぬようにそっと舌を忍び込ませるのです」

 

 

「「「「「痴女担任じゃねーか!!!」」」」」

 

 

生徒たちの言う通りこのままでは訴えられかねない。

そんな時速水が口を開いた。

 

 

「ていうかさ?ここの担任って名目上は烏間先生なんだよね。うちの親も三者面談希望したけど…その時は烏間先生がやってくれたし、統一しなきゃ親同士で話が合わなくなっちゃうよ」

 

 

「…そっかぁ」

 

 

問題が山積みになっている頃、教室に独特な声が聞こえてくる。

 

 

「ヌルフフフ、むしろ簡単です烏間先生に化ければいいんでしょう?」

 

 

「いつものクオリティーの低い変装じゃ誤魔化せねーぞ?すれ違うくらいならまだしも…」

 

 

「今回は面と向かって話さなきゃいけないんだよ?」

 

 

「大丈夫!今回は完璧ですから!」

 

 

そう言って殺せんせーは教室の扉を開けて姿を現した。

 

 

「おう、ワイや。烏間や」

 

 

「「「「「完成度ひっく!?」」」」」

 

 

「にゅや!?」

 

 

「いつも通りの似せる気ゼロのコスプレじゃねーか!」

 

 

「烏間先生はそんなダサいパンタロンはいてないよ!」

 

 

「い、いやでも!眉間のシワとかそっくりやろ?」

 

 

「その前に口!鼻!耳も!」

 

 

「てか何そのソーセージみたいな腕は!」

 

 

「こ、これですか?烏間先生のガチムチ筋肉を再現したんや」

 

 

「無駄なとこばっかり凝るな!!」

 

 

あまりの酷さに生徒たちからの非難殺到だ。

 

 

「今まではノリと作者の誤魔化しで何とかしてきた感が否めないけど…真面目に人間に似せるって難しいね。取り敢えず表情は基本無表情にするしかないか…」

 

 

「後はサイズだね。殺せんせー大きすぎるし」

 

 

不破と岡野の指摘は的確だ。

表情とサイズが人間とは言えない殺せんせーをどうするかが今回のポイントになりそうだ。

 

 

「じゃあ殺せんせーは座りっぱなしにしようよ!余分なところを机の下に詰め込んでさ!」

 

 

「気色悪いがそれしかねーな」

 

 

「ちょっ!?そんな無理矢理!?」

 

 

「黙って詰め込まれとけ!菅谷?眉毛と耳と鼻は任せた」

 

 

「オッケ。烏間先生そっくりに仕上げるぜ」

 

 

「みんな楽しそうで何よりです…」

 

 

渚は不安ではあったが祈るしかなかった。

無事に殺せんせーが母親を説得して自分がE組に留まれるようにと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの人が渚の母さんか…」

 

 

「美人だけど確かにキツそーだ」

 

 

放課後になり渚の母親、広海がやって来た。

生徒たちはその姿を陰から見ている。

 

 

「母さん」

 

 

「言う通りにするのよ渚?必ず母さんが…アンタを挫折から救ってあげるから」

 

 

「…」

 

 

渚は黙って後に付いていく。

そして…面談を行う職員室へとたどり着いた。

 

 

「失礼します」

 

 

広海が扉を開く、渚も意を決して入室した。

 

 

「ようこそ、渚君のお母さん」

 

 

この時渚は殺せんせーを見て思った。

 

 

「(まぁ…良しとしよう)」

 

 

「まぁどうぞ、おかけ下さい。山の中まで大変だったでしょう?冷たい飲み物とお菓子でもどうぞ」

 

 

「まぁ!こんな豪華な!」

 

 

殺せんせーが取り出したのは色とりどりのマカロンとグァバジュース。

渚の母親の好みを考慮したチョイスであった。

 

 

「私これ好きなんですよ」

 

 

「存じております。渚君のこのクラスでの成長ぶり、ここまで利発に育ててくれたお母さんへのお礼です。因みに体操の内脇選手のファンだそうで。この前の選手権では大活躍でしたね?」

 

 

「あら、先生もご覧になっていたんですか?」

 

 

「ええ、彼の頂点を目指す真摯な姿勢は素晴らしいですから!」

 

 

上手く会話を続ける殺せんせー、しっかりとツボを押さえている。

これだけ打ち解けていればいけるのでは?と渚が思ってしまうほどだった。

 

 

「まぁしかし!お母さんもお綺麗でいらっしゃる!渚君も似たのでしょうね」

 

 

殺せんせーがそういった瞬間、広海の雰囲気が暗くなる。

 

 

「この子ねぇ…女でさえいれば私の理想にできたのに」

 

 

「…貴女の理想?」

 

 

「ええこの位の歳の女の子だったら長髪が一番に合うんですよ。私なんか子供の頃短髪しか許されなくて」

 

 

そう言って広海は渚のヘアゴムを引きちぎった。

 

 

「3年に上がって勝手に纏め始めた時は怒りましたが…これはこれで似合うので見逃してやってます。そうそう、進路の話でしたわね?私の経験から申しますに…この子の歳で挫折するわけには行きませんの。椚ヶ丘高校は蛍大合格者も都内有数ですし中学までで放り出されたら大学も就職も悪影響ですわ。ですからどうかこの子がE組をでられるようにお力添えを」

 

 

「…渚君とは話し合いましたか?」

 

 

「この子はまだ何もわかっていないんです。失敗を経験している親が道を作ってやるのは当然でしょう?」

 

 

「母さん…僕は…」

 

 

「渚、少し黙ってましょうね?」

 

 

渚が口を開くと広海が一蹴する。

その姿を見て殺せんせーは納得していた。

 

 

「何故渚君が今の彼になったのかを理解しました」

 

 

そう言って殺せんせーはカツラをとってビリビリに破いた。

 

 

「「ブッ!!」」

 

 

「この烏間惟臣は!ヅラなんです!!お母さん、髪型も学校も大学も親が決めるものじゃない。渚君本人が決めるものです。渚君の人生は渚君のもの以外の何ものでもない。貴女のコンプレックスを隠すための道具じゃない。このクラスには様々な生徒がいます。絵が上手い生徒がいれば校内でも成績トップⅢに入る生徒もいる。そんな彼らもここから抜けたいとは言っていない。この際だから担任としてはっきり言いますが、渚君が望まぬ限り…E組から出ることは認めません」

 

 

殺せんせーの言葉に広海の顔がどんどん歪んでいく。

そして…

 

 

「何様よアンタ!!!教師のくせに保護者にたてつくなんて有り得ないわ!!!人の教育方針にケチつけられる程アンタ偉いの!?言っとくけどアンタより私の方がずっと人生経験豊富よ!!」

 

 

職員室内から広海の絶叫が聞こえてくる。

外で盗み聞していた生徒たちが思わず耳を塞ぐほどだった。

 

 

「お、おっかねー…メチャクチャキレてるぞ…」

 

 

一頻り殺せんせーに文句を言ったところで広海が立ち上がった。

 

 

「渚!!最近妙に逆らうと思ったら!!この烏間ってヅラの担任にいらない事吹き込まれてたのね!!見てなさい!!すぐにアンタの目を覚まさせてやるから!!」

 

 

そう言って広海は乱暴に扉を開くと出ていってしまった。

 

 

「…殺せんせー」

 

 

「うーん…少し強めに言い過ぎてしまいましたか…ですがもっとも大事なのは君自身の意思をちゃんと自分で伝えることですよ」

 

 

「…でも今は一人じゃなんにもできないし。母さんの二週目でいたほうが…」

 

 

「なんにもできないわけがない!殺る気があれば何でもできる!君の人生の一周目はこの教室から始まっているんですから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「許さない…(わたし)の人生を邪魔する奴は…障害物は取り除く!人生観改造(かえ)てあげるわ…渚!」

 

 

そう言って広海が運転する車には…目隠しをされ、拘束された渚が乗っていた。

 

 

「えっ…?何で僕は野外に!?」

 

 

渚は驚いていた。

帰宅した後、母親が不自然な程に上機嫌で…食事を摂ってからここまでの記憶が無いからだ。

 

 

「…母さん!?それにここは学校!?なにを!?」

 

 

広海の手には1本の松明が握られていた。

 

 

「…こんな場所に堕ちてから…アンタは血迷い始めた。私に逆らい始めた…燃やしなさい?アンタ自身でこの校舎を」

 

 

「えっ!?」

 

 

広海はそう言って渚に松明を差し出した。

 

 

「何言ってんだよ母さん!!」

 

 

「アンタの中でも膨らんだ膿を消毒するのよ。自分の手で火をつければ罪の意識でここには顔向けできなくなる。退路を断てば誠心誠意本校舎の先生に頭を下げられるでしょう?」

 

 

「そ、そんなの嫌だよ!」

 

 

「誰が育ててやったと思ってんの!!どれだけアンタに手間とお金使ったかわかってんの!?熟行かせて!私立入らせて!仕事で疲れてんのにご飯作って!!その苦労も知らないでツルッパゲのバカ教師に洗脳されて!!逆らう事ばっか身につけて!アンタっていう人間はね!私が全部造り上げたのよ!」

 

 

「(…違う!!…でも正しい…どう言えば良いんだろう…この気持ち)」

 

 

『もっとも大事なのは君自身の意思をちゃんと自分で伝えることですよ』

 

 

殺せんせーの言葉を思い出した渚はグッと手を握った。

 

 

「…母さん」

 

 

渚が口を開こうとした時、広海の持つ松明を一閃が襲った。

 

 

「…キーキーうるせぇよ…クソババア。ドラマの時間が来ちゃうじゃねぇか」

 

 

現れたのは鋭く尖った刃の付いた鞭を携えた殺し屋だ。

 

 

「だ、誰よアンタ!!邪魔しな…キャッ」

 

 

「邪魔なのはテメーらだ。こちとら何日も下調べしてんだよ。今期の水曜ドラマを奴はここで必ず見てやがる。砲台と一緒に女同士のドロドロした感情を勉強しにな。銃でダメならこいつの出番さ。俺の鞭の先端速度はマッハを超える。どんな武器よりも対先生物質(コイツ)を繰り出せる。一瞬で脳天ぶち抜いて殺してやるぜ」

 

 

「殺すって…何!?何なの!?け、警察…!」

 

 

「うるせーなーババア…本番中に騒がれると厄介だから殺しとくか。ガキ以外は殺すの止められてねぇしな」

 

 

殺し屋は鞭で広海の携帯を弾くとジリジリと詰め寄ってきた。

 

 

「(母さん…怯えてる。殺し屋…油断してる)」

 

 

渚はしっかりと意識の波長を読み取っていた。

現状をしっかりと把握した上で渚は1歩を踏み出すことにした。

 

 

「(母さん…あなたの顔色を窺う生活は僕の意外な才能を伸ばしてくれた。母さんが望むような才能ではないけれど…この才能のおかげで僕はクラスの皆の役に立ててるんだ)」

 

 

『君の人生の一周目はこの教室から始まっているんですから!』

 

 

「…母さん。僕は今このクラスで…全力で挑戦をしています。卒業までに…結果を出します。成功したら…髪を切ります。育ててくれたお金は全部返します。それでも許してもらえなければ…」

 

 

渚は無造作に接近し…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パァン

 

 

「母さんからも卒業します」

 

 

クラップスタナーを殺し屋にお見舞した。

 

 

「(産んで育ててくれただけですっごく感謝してる。贅沢かもしれないけど…ただ我が子がこの世に生まれて…そこそこ無事に育っただけで喜んでくれたら全てが丸く収まるのに)」

 

 

渚の一撃で殺し屋は気絶した。

 

 

「な、何なのよこいつ!何したのよ渚!!」

 

 

広海が乱心していると消火器を構えた殺せんせーが現れる。

 

 

「この辺は不良の類が遊び場にしていることがありますので夜間は近づかない事をお勧めしますよ」

 

 

「殺せんせー」

 

 

「それよりも渚君?堂々と3月までに殺す宣言しちゃいましたねぇ?もう後には引けませんねぇ?」

 

 

「うっ…わかってるよ」

 

 

「それと…」

 

 

殺せんせーは速攻で殺し屋を簀巻きにすると渚へと再び向いた。

 

 

「麻痺がまだ甘いですよ?まだその技、完璧とは言えませんね。さてお母さん」

 

 

「…!」ビクッ

 

 

「確かに渚君はまだ未熟です。だけど温かく見守ってあげて下さい。決してあなたを裏切っている訳では無いんです。誰もが通る巣立ちの準備を始めただけです」

 

 

渚が自分から離れていく。

殺せんせーの言葉でそれを自覚した広海は緊張が解けて気を失ってしまった。

 

 

「先生がお母さんの車で送りましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…さて渚君。万が一先生を殺せたとしてその後はやっぱり殺し屋になりますか?」

 

 

「多分違うかな?…やっぱり才能って授かり方も…使い方も色々あると思うんだよね。和生くんみたいに生まれ持って天性の才能を持ってる人もいれば…カルマくんみたいに努力して才能を手に入れた人もいる。僕の暗殺に適した才能も…今日母さんを守れたように誰かを助けるために使いたいんだ。それはやっぱり殺し屋じゃないよ。ぶっちゃけ危険だしね、親を心配させない進路を探すよ」

 

 

「ゆっくりでいい、一緒に探していきましょう。ご両親との対話も忘れてはいけませんよ?」

 

 

「…はい!」

 

 

そして翌日の朝。

 

 

「…何なのこれ?」

 

 

「今日から朝ごはんは僕が作るよ!だから出勤前はゆっくりしてて。ゴミ出しとかもちゃんとやるし高校も椚ヶ丘と遜色ないところに行くからさ。だからお願い!クラスだけは!」

 

 

「…好きにしなさい。母さん知らないからね」

 

 

「うん!ありがとう!」

 

 

そう元気よく返事した渚の顔は以前のように曇ったものでは無く、晴れ渡った秋空の様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一方その頃…英国のある家の中にある闘技場では2人の少年少女が激闘を繰り広げていた。

 

 

「お兄様…やりますね!!」

 

 

「ルウシェだって強いよ?」

 

 

「まさかヴラドと真の契約を結んだお兄様がここまでだとは思いませんでした…それに…」

 

 

「なぁに?」

 

 

「その姿は…《串刺し公(ツペシュ)》と呼ぶのに相応しいです…!」

 

 

金髪灼眼の少女、ルウシェ・エルレンシアの視線の先にいた少年…桜井和生の姿は普段とは相いれぬ物であった。




最後まで読んで頂いてありがとうございました!
そして感想などお待ちしています!

これからも作者と読者の皆さん一丸となっていい作品にしていきたいですね!

そして高評価をして下さった。
半熟探偵弟子さん!
本当にありがとうございます!
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