それともう一つ理由がありまして…実はある読者の方から酷な事を言われてしまいまして心が若干折れていました。
運営さんの対応で何とかなり私も立ち直ることが出来たのでこれからも頑張ろうと思います。
それでは今回もどうぞ!
異国の地で修練にルウシェと励んでいた和生はフラフラと覚束無い足取りでエルレンシア家の廊下を歩いていた。
「サードトリガーであそこまで体力を使うなんて…闘ってる最中は疲労感を感じない分、終わってからの反動がえげつないよ…」
ヴラドと正式な契約を結んだ和生はこれまで以上の力を出せるようになった反面、慣れない力に振り回されていた。
「それに…ヴラドが言ってた『空の器』っていうやつも気になるしなぁ…」
ヴラドと契約を交わした精神世界で自分の手に握られていた純白の刺剣。
それの正体も未だ掴めないままだ。
「お兄様〜?あっ!そちらにいらしたんですね」
「ルウシェ?」
先程まで自分と修練に励んでいた彼の妹、ルウシェが後から走りよってくる。
「そろそろ昼食の時刻ですので探していました!」
「あ、ごめんね?まだイマイチ構造を把握出来てなくて」
「大丈夫です!私がどこにいてもお兄様を探し出してみせますので!では参りましょう!」
「頼もしい妹だよ」
和生はルウシェに手を引かれてリビングへと向かう。
「お父様!お兄様を連れてきました」
「ルウシェ、偉いぞ」
「ごめんなさい。遅くなってしまって」
「気にするな!積もる話は食事を摂りながらにしよう。2人も早く座りなさい」
「「はい」」
2人が席に着くと料理が運ばれて来る。
「肉だ…」
料理を見て和生が最初に発した言葉は『肉』であった。
それもそのはず、サラダには生ハムが乗っており、他にはローストビーフにステーキなど肉料理がずらりと並んでいる。
「カズキは肉は嫌いだったか?」
和生の父親、デュナミスが問いかける。
「そんなことは無いけど…何でこんなに?」
「あぁ、それはだな?血属器を使用すると体内の血液が消費されるのは分かっているだろう?」
「うん、何となくだけどふらつく感じがするから」
「そうだろう。特にヴラドは血液の使用量が多い、だからこそ肉を食べて血液を作らせる必要があるのだ。エルレンシア家の人間は代々、そういった身体の器官が発達しているからな」
「なんか便利なんだか…そうじゃないんだか…」
「まぁ、もう一つの理由はルウシェが好きだからだ」
「ルウシェが?」
和生がデュナミスからルウシェに視線を移すと。
「はむ!幸せですぅ…」
ローストビーフを口いっぱいに頬張って幸せそうに表情を綻ばせるルウシェの姿。
「あれを見たら食べさせてやりたくなるだろう?」
「あはは、父さんの気持ちも分かるかも。ほんと美味しそうに食べるね」
「だろう?和生も好きなだけ食べなさい。それとも甘い物の方がいいか?」
「じゃあある程度食べたら甘い物貰おうかな」
「ははは、マユとそっくりだな。彼女も甘い物を好んで食べていた。だからレグルスに屋台をやらせていたのだ」
「あっ!レグルスさんのたい焼き本当に美味しいんだよ!あれはもうね!至福の一品だよ!」
「それはいいな!今度作らせよう」
「お父様もお兄様も話してばかりいないで食べてください!」
「あ、ごめんねルウシェ」
「あぁ、すまなかったな」
家族で囲む暖かい夕食。
和生は自分たちの家族との再会を心から嬉しく思っていた。
自分は天涯孤独では無いのだという安心感すら覚えていた。
「そうですお父様!お兄様には恋人がいらっしゃるんですよ!」
「「なっ!?」」
食事を終えて紅茶を飲んでいる時にルウシェが爆弾を投下した。
「カズキ…それは本当か…?」
「えっ…あ、うん…」
「その子を1度連れてこい!挨拶をさせろ!」
「えぇー!?」
「なんだなんだ!お前は中学生にして恋人がいるとは…!お前が選んだのだからさぞいい子なのだろう!会わせるんだ!」
この時和生は思っていた。
「(反対されるのかと思ったら…寧ろ喜ばれてる…?)」
「お父様!あまり大きな声を出すと血圧があがりますよ!」
「す、すまん…」
「(ルウシェにも弱すぎる…父さんって親バカなの?)」
和生はルウシェとデュナミスのやりとりに思わず笑ってしまった。
「あはは!機会があれば連れてくるよ」
「そ、そうか!」
「またお姉さまに会えるんですね!嬉しいです♪」
楽しい時間はあっという間に過ぎていき、和生は用意され部屋にルウシェの案内で戻った。
「んー、今日は疲れたなぁ…」
『まだ昼間であろう』
「ヴラド…急に話しかけて来られるとビックリするよ!」
『ふん、それよりも主よ。空の器についてだが』
「あ、何かわかったの?」
『さよう。恐らくは汝の中に眠る王の霊が正体であろう』
「あれ?じゃあヴラドは違うの?」
『余も勿論汝の血の中に眠る王の霊だ。しかし汝の中には余とは異質な何かを感じる…』
「異質って…ならそれがあの真っ白な刺剣宿るって事なの?」
『恐らくはそうなのだろうが…』
歯切れが悪くなるヴラド、和生が不審に思ってその真意を問う。
「なに?何か悪い事でもあるの?」
『汝の身体への負担が計り知れなくなるのだ…ただでさえ身体への負担が大きい血属器を2つも所持することになるのだぞ?』
「心配してくれてるんだ?でもまずその刺剣のありかも知らないし、その霊の正体だって知らない。だから俺の今の相棒はヴラド、お前だよ」
『ふん、言うようになったではないか』
「あはは。ちょっと最近変わった気がしてさ?それに目の色も変わらないし」
『目の色だと?』
「うん、その時はまだ正体を知らなかったんだけどさ?蒼魔凍を使った時も多分変わってたよ」
『不可解だな…その技は血属器を用いなければ発動できないはず…』
「でもハダルと闘ってた時もなってたらしいよ?」
『不覚ながら契約が不完全だったために正確な感知が出来なかったのだ』
「じゃあもう一度あの状態になればわかるんだね」
『その可能性は高い』
「ヌルフフフ。和生君?ヴラドさんと話しているのですか?」
「殺せんせー!?なんでここに!?」
「心配だったので様子を見に来ました。向こうは今夜ですので学校は終わっていますよ」
「あぁ…時差ね。それで?」
「明日から学園祭の準備が始まるので伝えておこうと思いましてねぇ」
「あっ、そうなんだ!ありがとね殺せんせー」
「いえいえ!それで何ですが今から帰るなら私が乗せていきますがどうしますか?」
「あー…じゃあその前に殺せんせーも父さんに挨拶していってよ!」
「和生くんのお父さんということは英国の王様ですね?では挨拶して帰りましょうか?」
「うん、ここにいるのも幸せだけど…やっぱり早く凛香に会いたいしね」
「では案内して貰えますか?」
「うん、いいよ。じゃあヴラド、話はまた後で」
『御意』
和生は殺せんせーをデュナミスの元へと案内するべく廊下に出た。
すると
「あっ!殺せんせーではないですか!」
「おや、ルウシェさん。お久しぶりです」
ルウシェに見つかった。
「何か御用ですか?」
「はい、和生くんを日本に連れて帰る前にお父さんに挨拶をと思いまして」
「お兄様が日本に…わかりました!案内させていただきますね!」
「ごめんね、学校もあるからさ」
「いつまでもお休みするわけには行かないですから!私も我慢します!」
「大丈夫です!」
「ヌルフフフ、いい妹さんを持ちましたねぇ?」
「自慢の妹だよ。さっ、行こう?」
ルウシェの案内で和生と殺せんせーは庭へ、するとデュナミスが花壇の花を眺めていた。
「お父様!」
「ん?ルウシェか。それにカズキと…そちらの客人は?」
「お初にお目にかかります。殺せんせーという者です。僭越ながら和生君の担任をやっています」
「そうですか…貴方が。それも相当の手練とみえる。警報が鳴りませんでしたからな」
「ヌルフフフ、なかなかの包囲網でしたが私には簡単でした。それで何ですが…学校で学園祭が行われるので、和生君を連れて帰りたいのですが…」
「ふむ…では少し息子達と話をさせては頂けないだろうか?」
「とんでもない!ゆっくりと話し合ってください。私はその間、成層圏でシャカチキを振っています」
そう言うと殺せんせーは大空へと飛び去っていった。
「なかなかユニークな先生だな。それでだが…和生、お前は自分の未来を自分で選ぶ権利がある。公にはされていないが…王座を継ぐと言うなら私は構わない。しかし、これまで通り桜井の名を使って平穏な生活を送ることも出来る。お前の好きな方を選びなさい」
デュナミスの口から自分の未来の選択肢が出される。
カズキ・エルレンシアとして王位を継承するか…それとも桜井和生として普通の暮らしを続けるか…和生が選ぶ選択は…
「俺は…桜井和生として生きていきたい…母さんからもらった名前と一緒に。それに向こうには沢山大切なものができたから」
「お前ならそう言うだろうと思っていた。よし!ならお前は向こうで幸せに暮らすのだぞ!」
「うん。偶には遊びに来るから、その時はまた話そうね」
「ああ!それと、仕送りは続けるからな!」
「仕送り?」
「お前の口座に毎月幾らか振り込んでいるのだ。知らなかったか?」
「えっ?そうなの?通りで使ってるはずのお金が増えてるわけだよ…」
「自分の息子に不自由の無い生活をさせるのが親の役目だ!そして最後に…これをお前に」
「鍵?」
デュナミスが和生に手渡したのは特殊な形状をした鍵だった。
それはまるで鋭く尖った剣の様な形をしている。
「マユがお前に遺したもので開かない物は無かったか?」
「あっ!あるよ!一本だけどうしても抜けない刺剣がある!」
「なら恐らくその鍵だろう。彼女が息絶える寸前に託されたものだ。お前に渡しておく」
「うん…ありがとう…」
「あの…お父様…」
「ルウシェ?どうした?」
「お願いが…」
「なんだ?可能な限りは叶えてやるぞ?」
「私も日本に行っては行けないでしょうか…?」
「なに!?日本にか!?…理由を言ってみなさい」
「私もお兄様と同じ教室に通いたいです」
「ふむ…しかしなぁ…」
「ま、待ってよ!ルウシェはまだ13歳でしょ!?」
「いや、そこは問題ではない。ルウシェは飛び級制度で今は高校2年生だ」
「えぇーっ!?」
「学年だけならお兄様の先輩です♪」
「そういう事だ。しかしなぁ…今いる学校を退学するということになるぞ?」
「構いません!」
「しかし世間の風当たりが…」
「お父様の私への愛は世間の風当たりに負けてしまうのですか?」
「そ、そんなことはない!良いだろう!手配してやる!殺せんせーさんはいるか?」
「はい、いますよ」
デュナミスが呼ぶと殺せんせーがマッハでやって来る。
「ルウシェをクラスに編入させることはできないだろうか?」
「編入ですか…理事長に訊いてきましょう!」
殺せんせーはビュン!とひとっ飛び、15分ほどで戻ってきた。
「理事長先生は学費を払っていただければ言いそうですよ。ただしE組と言う条件付きではありますがねぇ」
「E組と言うのは?」
「お兄様たちのクラスです!」
「なら寧ろ好都合ではないか!そうだ!謝礼に寄付をさせよう」
デュナミスはそう言うとメイドに寄付とルウシェの退学、編入手続きをするうまを伝えた。
「よし、ルウシェよ。我が儘を言ったのだから分かっているな?」
「はい!今以上に努力することを誓います!」
「なら良いのだ!殺せんせー、よろしく頼みますぞ」
「はい、お2人の事は責任をもって育てますので」
「ありがとう。それでは2人とも、暫くお別れだな。ルウシェ、紅桜は持ったか?」
「あっ!」
「ルウシェ様」
「カノープス!ありがとう!」
ルウシェが紅桜を忘れていたことに気づくとカノープスが横から差し出した。
いつからそこにいたのかは突っ込んではいけない。
「ルウシェ様、私も後からそちらに向かいますので」
「はい、待っていますね♪」
「では2人とも、行きましょう。先生の服の中にしっかりと入っていて下さいね」
殺せんせーはそう言うと2人を服の中に入れて触手で包み込んだ。
「じゃあね、父さん」
「お父様、お元気で」
「ああ、また会える時を待っているぞ」
その言葉を最後に和生たちは大空へと飛び去っていった。
「ヌルフフフ、2人とも軽いですねぇ」
「殺せんせーからしたらね…」
「ふふっ、空を飛ぶのは楽しいです♪」
「あっ、今殺せんせーをナイフで刺せば…俺たちが死んじゃうか…」
「ヌルフフフ、賢明な判断ですねぇ」
「蒼魔凍が使えれば殺れると思うんだけどなぁ…血属器の攻撃は殺せんせーには効かないしね」
「お兄様たちと一緒に暗殺をできるのが楽しみです!あっ!そう言えば学園祭もあるんですよね!」
「はい、2人とも外見が優れていますからねぇ。お客さんが集まること間違いなしです!」
「俺達は客寄せパンダか何かなの…?」
「私は楽しければいいです♪それにお兄様と一緒に進む未来をお父様は選ばせてくれましたから!」
「うん、俺も…桜井和生としての人生を選ばせてくれたことには感謝だよ。それにしても…今向こうに着く頃には…朝だよね?」
「そうなりますねぇ」
「ルウシェと俺は一睡もしないで学校か…」
「ふぇ〜!?そんなぁ…」
「授業中の居眠りは厳禁ですからね?」
「「そんなのあんまりだよ〜(です〜)!!」」
自らの意思で未来を選んだ少年少女。
いくら王族であっても普通の人間だ、眠らずに彼らは学校を乗り切ることが出来るのか?
そしてルウシェが加わることによって暗殺教室がどう変わるのか…楽しみだと殺せんせーはにゅやりと笑って海の上を渡っていった。
最後まで読んで頂いてありがとうございます!
暗殺教室の原作が終わってしまいましたね。
とても面白い作品だったので寂しくなります。
最終回のカルマの発言が個人的にツボにハマっています(笑)
それはさておき!この作品も次回から暫く原作に沿って進んでいきます。
そして学園祭でもオリジナルを混ぜつつ楽しんでいただけるように頑張りますね!
そして高評価をしてくださった。
リィン・ランザードさん!ありがとうございました!
ここでお礼を言わせていただきます。
そして最後に、私は明日から合宿免許を受けに行くので3月中の投稿はこれが最後になると思います。
私事で投稿出来ない事をここでお詫びしておきます。
それではまた次の話もお楽しみに!