今回はタイトル通りこの作品が誇る最カワ姉妹のお話となりますね。
主人公とはいったい…って感じの話になってます(笑)
「な、なんでルウシェを泊めるの?」
「そんなの決まってます。お兄様をどうにかするためですよ」
千葉と射撃訓練をしていた私のもとにやって来たルウシェが私に頼んで来たのは、暫くの間泊めて欲しいとの事だった。確かに最近の和生が可笑しいのは明白、その対策を練るというのもわかる…だけどそれが泊まることも関係してるの?
「別に泊まらなくても対策は練られると思うけど…」
「何言ってるんですか?泊まるのはお姉様とお話がしたいからですよ?ここ最近のお姉様は笑顔ではありませんでしたから、私が笑顔にして見せますので♪」
「ルウシェ…」
和生と同じ陽だまりのような笑顔、自然と心が温まるような…そんな笑顔。ルウシェのそんな表情を見てしまった私は…無意識の内に肯いていた。
「じゃあ、決まりです♪千葉さんには悪いですが今日は帰りましょうか?」
「…うん」
知らなかったこんなに私が弱くなっていたなんて…ルウシェに手を引かれて練習場から家に帰る。自分の家に帰るはずなのに…ルウシェに手を引かれているなんて…不思議だね。歩いている間、ルウシェは何も言わずに唯々微笑んでいて…敢えて私の心に踏み込んで来ないようだった…
「…ただいま」
「お邪魔します!」
「今日は親は2人とも居ないから、気にしなくていいよ」
「そうなのですか?それでは早速ですが!お風呂に入りたいです!お姉様と一緒に!!」
「な、なんで?」
「日本では裸の付き合いなる物があると聞きました!」
…ルウシェって日本の文化について偏った知識を持ってるのよね。和生もちゃんと教えてあげればいいのに…でも、汗もかいてるしルウシェが目を輝かせてるし、仕方ないか。
「はぁ…いいよ。じゃあお湯張りに行こっか?」
「はいっ!」
私達は軽くお風呂掃除をしてお湯を張り、少し早い入浴をする事にした。幸いルウシェも私も体型が似ているから着替えには困らないしね。服を脱いでタオルを巻いて浴室に入るとルウシェがまた目を輝かせて言ってきた。
「お背中流させて下さいっ♪」
「嫌って言ってもするんでしょ?」
「もちろんです!」
ルウシェは元気良く返事をするとスポンジにボディソープを付けて泡立てて私の肌を洗い出した。丁度良い力加減で凄く気持ちが良い、桜井兄妹は何でも卒無くこなすなんて磯貝が言ってたけどまさにその通りね。私が関心していると洗い終わったのかルウシェの手が止まった。
シャワーで泡を流した後、今度は私がルウシェの背中を流す。洗おうとルウシェのタオルを取ると、ルウシェの身体に傷が無数にある事に気が付いた。
「…これは?」
「あ、傷の事ですか?それは紅桜を用いての修練で付いた物です。血属器の治癒能力でも治せない傷が稀に出来てしまうので。まぁ…私の紅桜の治癒能力が元々低いというのもありますけどね」
「女の子なんだから体は大切にしないとダメだよ?」
「…ですがお母様の仇は如何しても討ち取りたかったのです。目の前で…私の家族を奪ったあの女に…」
そう話すルウシェの表情はまるで夏の旅行の時の和生のようで…寂しそうで…苦しそうで…今にも泣き出してしまいそうだった。私は無性に抱き締めたくなり、彼女をそっとだきよせた。
「…お姉様?」
「よく頑張ったね、目の前でお母さんを殺されるなんて私じゃ耐えられない。ルウシェは偉いよ」
「ふふっ、私がお姉様を元気付けるために来たのに…お兄様がお姉様を愛している理由が何となくわかった気がします。お姉様に抱きしめられると…心がぽかぽかするです♪」
「そうなのかな?」
「はい!あ、そろそろ体が冷えてしまうので湯船に入りましょうか?」
「うん、そうだね」
私達は急いで髪を洗い、湯船に入った。私の足の間にルウシェが入って私が後ろから抱きしめる形になっている。ルウシェ曰く、いつもは和生に私を独占されているから今日は甘え放題で嬉しいんだそう。ふふっ、ホント可愛いんだから。
「そう言えばお姉様?お兄様とはどこまで行かれたんですか?」
「えっ?」
「渚さんと茅野さんのように熱いキスなどもされたことがあるのでしょうか?」
「し、した事無いわよ!」
した事あるわけないじゃない!そ、そりゃ…和生にキスマーク付けちゃったり…その…喧嘩の仲直りにたくさんキスしちゃったりした事はあるけど…深い方はしたこと無いから!
「意外ですね、お兄様の事ですから手が早いと思っていたのですが…」
「和生は私の事を大切にしてくれてるの!だからそんな事して無いわよ!」
「ふふっ、やっといつものお姉様らしくなりました♪そうだ!お兄様のどこが好きなのか教えて下さいっ!」
「えっ!?す、好きな所か…」
和生の好きな所…改めて考えてみると難しいかも…和生は優しいし…カッコイイし…でも…可愛いところもあって…気付けばいつも傍で私を支えてくれる。蒼魔凍を使っている時は少し怖い時もあるけど…いつもちゃんと帰ってきてくれる。私を撫でてくれるマメの出来た手も…射抜くような赤い瞳も…宝石みたいに綺麗なブロンドの髪も…私は大好き。
「ふふっ…全部かな。私には和生が居ないとダメみたい」
「…そうですか。では…お兄様を引き止める最後の砦であるお姉様に大事な話をします。先に私は上がっていますので…お姉様はゆっくり休んでください」
そう言うとルウシェは浴室から出ていってしまった。
大事な話…和生を引き止めるってどういう事なんだろ…私もルウシェを追いかけて湯船から立ち上がった。
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お風呂を出た私達は夜ご飯を簡単に作って食べ、冬休みの宿題を少しやってベッドの中へ。ルウシェはいつも早めに寝ているらしく、すぐ眠くなってしまうらしい。
だけど今日は大事な話があると言っていた。だから一つのベッドに2人で寝ながら見つめ合っている。
「少しだけ…エルレンシア家に伝わる昔話をさせて下さい。代々エルレンシア家を継ぐ物には蒼魔凍が受け継がれます。ですがその蒼魔凍にはリスクもあるのです。例えば意識が遠のいたり、頭痛や吐き気に悩まされたりと言った物ですね。私達の祖先である初代エルレンシアは蒼魔凍の過度な仕様によって生命を落としました。今のお兄様…その状況に酷似しているんです」
「っ!?」
「わかりますか?言っている意味が」
「和生が…死ぬ?」
「まだ決まった訳ではありません。ですが、お兄様の蒼魔凍の会得速度は異常ですから…昔話の続きですが…王を呼び覚ますのは『愛する者の声』。代々伝えられる言葉です。つまりお兄様を助ける事が出来るとするならば…お姉様の他考えられません」
和生が死ぬ…嫌…そんなの嫌!で、でも…私なんかが和生の事を止める事なんて…出来るはずないよ。だって…私はいつも守られてばかりで…
「お姉様はお兄様が好きですか?」
「それは…うん…」
「ならその想いをお兄様に伝えればいいのです!好きなら好きと抱きしめればいいのです!お兄様にとって…お姉様は何よりも掛け替え内人になっているんですから」
「ごめん!私ちょっと出掛ける!」
「…そうですか。ではお姉様、お休みなさい」
「うん!ごめんね!」
私はパジャマの上にジャージを羽織って外に出た。向かうのはもちろん大好きな彼の場所。ルウシェが教えてくれた事、好きなら好きと伝えなきゃいけない。もしも私の声が和生を死なせないための鍵になるんだとしたら…私は…私は…!
静かに寝静まった椚ヶ丘の街に…一人の少女が駆け出した。
敢えて今回は後書きでは次回の内容については触れません。
感想、高評価、お待ちしていますね。
余談ですが、うっちーこと内田彩さんの日本武道館ライブに参戦する事になりました。他に行く方がいたら、会えるかも知れませんね♪