桜井和生と暗殺教室   作:トランサミン>ω</

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前回予告した通り更新させてもらいました。

今回も駄文ではありますが、どうぞ!


呼び声の時間

 

 

ここは何処だろうか、真っ白な空間が永遠と続いているように見える。

 

俺は何をしていたんだろうか?そして何故こんな場所に居るのだろうか?

今日は蒼魔凍の事を考えず、家で体を休めていたはずなんだけど…

 

もしかして夢?でもそれにしては生々しい夢だ。肌に感じる風は凍てつくようで、背筋をゾッとさせるような殺気が漂っている。

 

だけど…何故か嫌悪感はそれほど感じなかった。

何処か懐かしいような、それでいて初めて感じるような感覚。俺の体は自然と前へと進み始めていた。

 

一歩一歩先に進む足、自分の足音以外は何も聞こえない。延々と同じ景色が続いているためにどれほど進んだのかもわからなくなっていた。

 

そんな時だ。

 

「グォォォォォォォォォォォォォォ!!」

「…なんだこいつは!?」

 

突如俺の周囲を取り囲んだ数十体の獣。

体型は狼に近いが突出した牙がまるで氷柱のように見える。その形状を具体的に言うならば…

 

「…レヴィアタン」

「ガウッ!!」

 

俺の呟きに呼応する様に襲いかかってくる獣達。

全方向から時間差で迫り来る凶暴な牙、尋常ではない速度と数の為、普通に戦ったら負けてしまう。

 

そう、使うしかないのだ

 

「…蒼魔凍!!」

 

発動と同時に獣達の動きが鈍る、普段なら止まって見えるけど今回は相手のスピードが異常なためにあくまで遅くなる程度にしかならない。

 

完全に防戦一方、鋭い牙を避けることしか出来ない。

せめて武器があればと感じると、光の粒子が集まって俺の左手に一本の刺剣が携えられた。

純白の刺剣、ヴラドとの契約時に俺が用いた剣。何故この武器なのか、そんな事を考える暇もなく俺はその刃を突き立てた。

 

「くらえっ!!」

「ギャァァァァァァァァ!?」

「遅いっ!その牙は俺の物だ!」

 

不思議な事は、蒼魔凍を使っても頭痛が全くしないことだった。だが現状それは俺に有利な事、俺は襲いかかる獣達をひたすら撃退し続けた。1体倒す度に俺が握る刺剣に粒子が集まっていく。全ての獣を倒し終わった時、俺が握っていた空の器はヒンヤリとした冷たい冷気を纏っていた。

 

「はぁ…はぁ…さっきのは何だったんだ…」

 

蒼魔凍を解除すると手にしていた空の器が消失した。

そして何も無かった空間に罅が入って氷の扉が現れる。

 

「…なんだこれがヴラドが言ってた『絶対零度の回廊』ってやつか…いいよ。征こう、歩き抜いてみせようか」

 

俺が足を踏み出すとゆっくりと開いていく扉。

そこをくぐり抜けた先に何があるのかはわからない。

だけど歩き続けなければいけないと思った。だから進もう。初代エルレンシア王が開いた最後の扉を開きに行くために。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…誰もいないのかな?」

 

ルウシェを1人家に残して和生の家にやって来た私だけど、インターホンを押しても誰も応答しない。

 

今の時間なら和生はまだ寝ていないはずなんだけど…律も最近は莉桜の携帯に遊びに行っちゃってるから反応無しなのも仕方ないのかな?

 

じゃあ仕方ないから…あ、合鍵使おうかな…か、勘違いしないでよね?ちゃんと和生から渡されてるんだから!って…誰に言い訳してるんだろ私…

 

「…お邪魔します。あれ?」

 

電気がついてる。リビングの明かりもついたまま、それなのに家の中は物音一つしない。

私は靴を脱いで明かりのついたままのリビングの扉を開いた。

 

「なんだ…いるんじゃない」

「…」

「…和生?」

 

和生は家にいた、ソファに座って眠ってるのかな?私が声をかけても反応が無いし…べ、別にいつもは私の声にはすぐ反応するわけじゃないわよ?それでも名前を呼んで反応しないなんて事は無かったもの。

 

私は歩いて和生のそばに向かった。ソファの隣に腰掛けて和生の方を見る。目を閉じてピクリとも動かない和生。そんなになるまで毎日修行してるのかな?

 

「…もう。私が来てるんだから起きてくれてもいいじゃない…」

 

私は少しいじける振りをして眠っている和生の頬をつついた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つもりだった。

 

 

 

 

 

 

「…えっ?つめ…たい?」

 

私が触れた和生の頬はまるで氷のようで…冷た過ぎていた。体温がほとんど感じられず、尚且つ意識も無い状態。まさか…という考えが私の脳裏に浮かんでしまう。

 

「嘘…だよね?ねぇ!起きてよ!和生!」

 

夜だというのも気にせず大きな声で彼の名前を呼ぶ。

それでも彼は全く反応しない。

 

ルウシェが言ってた蒼魔凍の副作用…?代償が和生の命…?そんなのはどうでもいいの!!

 

「やだ…やだよ!起きて!起きてよ!」

 

私は彼に抱き着くことしか出来ない、手を握りしめて名前を呼ぶことしか出来ない。不甲斐ない自分が嫌になって涙が出てくる。

 

まだ伝えたい事が沢山あるのに、2人で行きたい場所も沢山あるのに、こんな所でお別れなんて…そんな…

 

こんなに大好きなのに、愛しているのに、私の声は届かないの…?王を呼び覚ますのは愛する者の声じゃなかったの…?

 

「…っ」

「うぅっ…やだ…よぉ…」

「…あれ?り、凛香?」

「…おき…たの?」

「う、うん。さっきまでの夢の中にいたけど…」

「もうばかぁ…心配させないでよ…」

「な、何を?落ち着いてからでいいから話して?」

「うん…」

 

私は和生に何が起きていたのかを話した。

死んでしまったかのように肌が冷たかったこと。

いくら呼んでも反応しなかったこと。

ルウシェから全て教えてもらったことを。

 

「…そっか。ルウシェはちゃんと気付いてたんだね…俺が蒼魔凍の使用で体に異変が起きてること」

「うん。あとさ…本当にその…死んじゃうの…?」

「まぁ、そうならない様に助かる方法を探すなり、蒼魔凍を使わないように心がけるなり、方法はまだ沢山あるから大丈夫だよ」

 

私を安心させるように頭を優しくなでながら笑っている和生。だけどその笑顔は何処か寂しそうで…遠くに行ってしまいそうに感じるほど儚かった。

 

「でもほら?王を呼び覚ますのは愛する者の声って話もルウシェから訊いてたんでしょ?なら大丈夫、凛香がいれば俺は戻ってこられるさ」

「…本気でそう思ってる?」

「うん、凛香のいる場所が俺の帰る場所なんだから」

 

いつもならすぐに信じられる彼の言葉も…さっきまでの状態を見た後では信じられない。

 

私の心境を悟ったのか、和生は不意に立ち上がると私の事を軽々と抱き上げた。その…所謂お姫様抱っこってやつかな…///

 

「もう良い子は寝る時間かな?ベッドまで運んであげるからゆっくり休んで?」

 

私はそう笑う彼に頷くことしか出来なかった。

だってほら!恥ずかしいじゃない…顔も凄く近いわけだし…少し顔を動かせばその…キスできそうなくらい…

 

「ん?物欲しそうな顔してどうしたの?」

「べ、別にキスして欲しかったわけじゃないから!」

「あはは、凛香は可愛いなぁ…大丈夫。後で…ね?」

「…っ///」

 

階段を上がりながら耳元でそんなことを囁かれ、顔に熱が集まっていくのがわかる。

 

和生は自室の扉を器用に肘で開けると私の事をベッドに下ろす。そして羽織っていた上着をハンガーに掛けると自分もベッドに上がってきた。

 

「最近は随分寂しい思いさせてたみたいだから、今日は何でもしてあげるよ?」

「…何でもって言った?」

「うん、俺に出来ることなら何でも」

 

何でも…でもそれは私には1番難しいお題だと思う。

だって和生がしてくれる事なら私は何でも嬉しくて、幸せな気持ちが胸いっぱいに広がるんだから。

 

「じゃあ…ぎゅってして?」

「姫の仰せのままに…なんてね?」

 

少しおどけてみせながら彼は私の肩をそっと抱き寄せた。さっきよりは温かくなっているけれど、冷たい体が私にぴったりくっ付いた。

 

「冷たいね…私が温めてあげないと」

「あはは、そんなに冷えてるかな?でも…ありがとね」

「うん…あとは…わかるでしょ?」

「うん、何度でも。凛香が求めてくれるなら」

 

そう言って和生は私の顎をクイっと上にあげて…そっと唇を合わせてくれた。

 

久しぶりに感じる彼の愛情表現。

体が冷たい分余計に感じる唇の熱さ。

嬉しさと…愛しさと…安心する気持ちが溢れてくる。

 

あぁ…どうしてこんなに好きなんだろう…さっきまでの不安は簡単に消え去ってしまった。私の1番の特効薬は和生なんだろうな…

 

「足りない…」

「奇偶だね、俺もそう思ってたんだ」

 

何度も何度も、啄むように互いを求めあった。

互いの存在を確認するかのように、自分に繋ぎとめておくかのように…

 

私はそんな気持ちのままに、大好きな彼の腕の中で意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…凛香は寝ちゃったか。おやすみ、今日はありがとうね」

 

俺は眠ってしまった凛香の髪を優しく撫でながらおでこにそっと起こさないように口づけた。

 

凛香の話によれば俺は死んだように眠っていたらしい。それも体温は極限まで下がっていたという。

 

でも実際は眠っていたわけじゃない。絶対零度の回廊をひたすら歩いていたんだ。狼を倒した後に現れたのは巨大な蛇、その次は鎧騎士だった。三つ目の扉をくぐり抜けた時、俺はこちら側の世界に戻ってきたことになる。

 

「…バレちゃったんだし、ちゃんと生き抜かなきゃね」

 

窓の外に目を向ければ三日月が優しく街を照らしている。

俺はこの街で凛香と共に生きていけるのだろうか…いや、生き抜いて行かなければならない。

 

「未来も大切だけど、今はこの可愛い寝顔を守れればそれでいいかな」

 

腕の中にいる可愛い恋人、凛香が安心して暮らせる世界を作ること、俺みたいに悲しい運命をたどる人がいなくなること、そして俺みたいに寂しい人間がいなくなることが俺の夢なのかもしれない…こんな事を殺せんせーに言ったらどうなるかな?明後日には三学期が始まる。進路相談もしっかりしなきゃな…

 

凛香の旦那さんってなら簡単に答えられるんだけど、人生そうも上手く行かないからさ。

 

「…和生っ」

「寝言でまで呼んでもらえるなんて嬉しい限りだよ。おやすみ」

 

俺は最後にもう1度凛香にキスをして眠りについた。

 

だけど俺はこの時まだ知らなかったんだ。

 

やっぱり俺達は兄妹で、血は繋がってるんだってね。




感想などお待ちしています。

そして高評価を下さった。

邪眼椿さん☆8
はるぴーさん☆8

ありがとうございます。今後もご期待に添えるよう頑張っていこうと思います。
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