桜井和生と暗殺教室   作:トランサミン>ω</

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渚の時間

「殺してやる…良くもみんなを」

怒気の入った声で渚が言い放つ。

「ははははは、その意気だ!殺しに来なさい渚君!」

「渚…キレてる」

「俺らだって殺してぇよあのゴミ野郎。けどよ渚の奴まじで殺る気か!?」

生徒たちが心配の眼差しを向ける。

「渚君の頭を冷やしてください。君にしかできません、寺さ…」

殺せんせーがそう言いかけた時、寺坂が渚にスタンガンを投げつけた。

「チョーシこいてんじゃねーぞ渚ァ!!薬が爆破された時よテメー俺を哀れむような目で見ただろ。いっちょ前に他人の気遣いしてんじゃねーぞこのモヤシ野郎!!ウィルスなんざ寝てりゃ余裕で治せんだよ!!」

「寺坂…お前まさか…!!」

「そんなクズでも息の根止めりゃ殺人罪だ。テメーはキレるに任せて百億のチャンス手放すのか?」

寺坂が叫ぶように渚に問いかける。

「寺坂君のいう通りです渚君。その男を殺しても何の価値もないし逆上しても不利になるだけです。そもそも彼に治療薬に関する知識はない、下にいた毒使いに聞きましょう。こんな男は気絶程度で充分です」

殺せんせーが渚を諭す。

「おいおい、余計な水差すんじゃねぇ」

「渚君、寺坂君のスタンガンを拾いなさい」

「……」

「その男の命と先生の命、その男の言葉と寺坂君の言葉。それぞれどちらに価値があるのか考えるんです」

渚は黙ったまま話を聞いている。

「寺坂!!お前これねつやべぇぞ!!」

「こんな状態できてたのかよ!!」

吉田と木村が寺坂に歩み寄る。

「やれ渚、死なねぇ範囲でブッ殺せ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドクン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また渚の中で何かが動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

渚は上着を脱ぎ捨てスタンガンを腰にさげた。

「お〜お〜カッコいいねぇ」

「烏間先生、渚君の生命に危機がきたら…迷わず撃ってください」

殺せんせーがここまで言うということは間違いなくまずい状況だ。

今渚が暗殺に持込もうとしても…

「あぐッ……ゲホッゲホッ」

「おらどうした?殺すんじゃなかったのか?」

近づく渚に鷹岡は膝蹴りをくらわせた。

何度渚が暗殺を仕掛けてもことごとく返り討ちにされる。

今の鷹岡は完全に戦闘モード、心が狂気に満たされても精鋭軍人。いかなる奇襲も通じないほど隙がない。奴を戦闘で上回るのは全国模試で一位をとるより何倍も難しい。

「勝負にならない…」

「勝てるわけねーよあんな化物」

血を吐いて倒れる渚の姿を見て生徒たちは危機感を感じていた。

「俺もそろそろコイツを使うか」

そういって鷹岡もナイフを手に取った。

「(ナイフと共に夢に出てくるトラウマがある。あいつがあの時見せた笑顔だ。あの笑顔に虚をつかれてから全てが狂った。もう同じ過ちは繰り返さない)手足切り落として標本にしてる、手元に置いてずっと愛でてやるよ」

「烏間先生!もう撃ってください!渚死んじゃうよ!!」

茅野が悲痛な叫びを発するが。

「まだだよ」

「カズキ正気?俺もそろそろ参戦したいんだけど」

「渚には…まだあれが残ってる…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(このままじゃ殺られる…ロヴロさんの必殺技の条件は…)」

 

1つ、武器を2本持っていること!!

2つ、敵が手練であること!!

3つ、敵が殺される恐怖を知っていること!!

 

「(良かった…全部揃ってる…鷹岡先生、実験台になってください)」

そうして渚は笑って歩いて行く。あのときとは少し違うが、あの時を思い出させる。

渚はロヴロに言われたことを思い出していた。

『必殺技といっても、必ず殺す技ではない。暗殺から戦闘に持ち込まれてしまった時に、ノーモーションから最速でできるようにしておけ。これは、必ず殺せる状況を作る技だ』

「この…クソガキぃ」

鷹岡は以前と同じ状況に集中力を高めていく。渚の一挙一動を逃すまいと。

「(タイミングは…ナイフの間合いの少し外…敵に接近すれば接近するほど、敵の意識はナイフに集まる。そのままナイフを意識ごと空中に置くように捨て…)」

渚がナイフを手放した瞬間、鷹岡の意識は完全にナイフに集中していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パァン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音の爆弾が鷹岡に襲いかかった。

「な…にが…おこっ…た」

「(暗殺者はその数瞬を逃さない…流れるように二本目の刃を抜くが早いか)」

渚は腰にさげたスタンガンを素早く抜き鷹岡の脇に電流を流した。

「…ウソ…だ…こんなガキに…二度も…」

「ハァ…ハァ…」

その場にいた全員が渚の行動に驚いた。

「トドメをさせ渚、首あたりにたっぷり流しゃ気絶する」

寺坂の言葉を受け渚は鷹岡の首をスタンガンで持ち上げる。

「(殺意を教わった、抱いちゃいけない種類の殺意があるって事。その殺意から引き戻してくれる友達の大切さも。殴られる痛みを、実戦の恐怖を、この人から教わった。酷いことをした人だけど、それとは別に授業には感謝をしなきゃいけないと思った。感謝を伝えるなら)」

「(やめろ…)」

「(そういう顔をすべきだと思ったから)」

「(その顔で終わらせるのだけはやめてくれて…その顔が一生悪夢から離れなくなる)」

次の瞬間、渚は笑顔をつくり

「鷹岡先生、ありがとうございました」

電流に流した。

鷹岡は気絶した。

そう、つまりは

「よっしゃああ、ボス撃破!!!」

生徒たちは渚の元へ駆け寄っていく。

しかも渚の表情は優れない、治療薬が壊れ足りなくなってしまったからだ。

烏間がヘリを呼び毒使いを連れてこようとした時。

「フン、テメーらに薬なんざ必要ねぇ、ガキどもこのまま生きて帰れると思うなよ?」

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