「沖縄のときはありがとう。溜め込んでたものを全部吐き出させてくれて」
「私が好きでやったことだから、きにしないでいいよ」
「ううん。あんなに思いっきり泣いたのは母さんが死んでから初めてだった…」
「そうなんだ…」
「でも、それを受け止めてくれたのが速水さんでよかった」
「えっ?」
「俺はさ、速水さんがいなかったらとんでもない間違いをしちゃったと思うんだ」
カズキがポツリポツリと自分の想いを吐露し始める。
「速水さんはそれを止めてくれたし、俺が吐き出したものを全部受け止めてくれた。それに…」
「それに…?」
「嬉しかったんだ。『友達としてずっと傍にいる』って言ってくれたことが」
カズキは顔を速水の方から空へと向けた。
「でも俺は、ホントはそんな事望んでないんだ」
「えっ…そんな…」
カズキの言葉に速水は気を落とし、繋いでいた手を離そうとする。
しかしカズキが強く握り返してきたために離すことは叶わなかった。
「あのね、速水さん」
「うん…」
今から何を言われるのか分からず、怯えてしまう速水。
カズキがゆっくりと視線を速水に向け、2人は見つめ合う形になる。
暫くの沈黙の後、漸くカズキが口を開く。
「速水さん…」
「さ、桜井…?」
「ずっと言いたかった言葉があるんだ」
「うん…」
カズキは立ち上がり、隣に座っている速水の前に立つ。
そして…
ひゅ〜っ、ど〜ん!!
「…」
カズキの言葉と同時に打ち上げ花火の音が鳴り響く。
「っ…///さ、桜井っ…い、今なんて?」
カズキの声は花火の音にかき消されてしまったが、速水はカズキの口の動きを見逃さなかった。
「うぅ…///」
意を決して自分の想いを言葉にしたのに、花火に負けてしまったカズキは途端に恥ずかしくなり黙ってしまう。
「ねぇ…もしかして今…」
速水は自分の目を疑った。
カズキの口の動きが『好きです』と言っていたから。
「もう一度言うね…」
「は、はいっ」
途端に恥ずかしくなり、速水はカズキの手をぎゅっと握る。
「速水凛香さん、君のことが好きです。俺は友達としてじゃなく、恋人として。愛する人としてずっと傍にいて欲しい」
「それって…///」
「うん、俺と付き合ってください」
カズキは速水の瞳を真っ直ぐ見つめてそう言い放った。
「…///」
「…っ!?」
一瞬の沈黙の後、速水がカズキに抱きついた。
突然のことに少しよろめきながらも、しっかりと受け止めるカズキ。
速水は腕の中から上目遣いでカズキを見つめる。
「ごめんね桜井、私は好きじゃないの」
「えっ…それじゃあ…」
「うん、大好きだから…///」
「っ…///」
速水の不意打ちにカズキの顔は真っ赤になってしまう。
「告白の返事は勿論受けるよ、これからは恋人としてずっと傍にいるから」
「あ、ありがとう!」
2人は最高の笑顔で見つめあっている。
2人は暫く抱き締めあった後、家の中に入った。
花火で使った道具をかたして、今はソファに座っている。
勿論手は繋いだままだ。
「ねぇ速水さ…」
「だめ」
「へ?」
「私たち付き合ってるんでしょ?」
「うん、付き合ってる」
付き合っている、その響きだけでカズキの顔は綻ぶ。
「なら…名前で呼んで欲しいな」
「…」
「だめ…?」
「だ、だめじゃないよ!!」
愛しい恋人に名前で呼んで欲しいと上目遣いで言われれば、男は嬉しいものだ。
「…凛香?」
「うん、カズキ」
「「…///」」
2人は自分たちが醸し出す甘い雰囲気に照れてしまう。
この状況を変えようとカズキが動く。
「飲み物とってくr…っ!?」
しかし手を握っていたため、体制を崩してソファに倒れしまう。
「いったた…ごめん…///」
「うん…///」
現在の状況を説明しよう。
体制を崩したカズキが凛香の上に覆いかぶさっている。
簡単に言えば押し倒しているのである。
「ど、どくね…」
カズキが体を話そうとすると凛香が腕を背中に回して離さない。
そして凛香は静かに瞳を閉じた。
意味を理解したカズキはゆっくりと顔を近づけ…
ちゅっ
お互いの唇が重なった。
どれくらいキスをしているのだろうか。
2人は時間がゆっくりと動いているように感じていた。
2人はゆっくりと唇を離し、見つめあう。
「しちゃったね…///」
「うん…///」
「好きだよ」
「わたしも」
「お2人はもうそんなご関係になられたんですね」
「「っ!?」」
「お邪魔してしまいましたか。ですがカズキさん、それ以上はまだ早いと思います」
いつの間に帰っていたのだろうか、2人の視線の先には律がいた。
「それ以上はって?」
「速水さんの姿を見ればわかりますよ」
「っ…!?!?」
速水の浴衣へと視線を送るカズキ。
彼の瞳に映ったのは、肌蹴た浴衣から覗く透き通るような白い肌。
「り、律!これは誤解だよ!」
「そ、そうよ。そんな事まだしないから」
「ふふっ。まだ…ですか」
「えっと…」
「それは…」
「まぁ、この辺にしておきましょう。カズキさん、もう遅いですから速水さんを送ってあげてください」
「言われなくてもそのつもりだよ」
カズキは立ち上がり傍においてあった黒い上着に腕を通した。
速水も肌蹴た浴衣を直して立ち上がる。
「じゃあ律、いってくるよ」
「お邪魔しました」
「はい、いってらっしゃい!」
2人はしっかりと指を絡めて歩いていく。
そんな2人の後ろ姿を見て律は
「お2人とも幸せそうで何よりです」
天使のように微笑んでいた。
いかがだったでしょうか?
次回までオリジナルストーリーです。
2人で歩く夜道、彼らに忍び寄る人物が1人。
あれ?前にもこんな展開が?
感想などまってます!