今回は私の小説の一番の魅力(笑)である甘々恋愛小説要素たっぷりで行きたいと思います!
E組の生徒たちは和生の姿を見て混乱していた。
お題の書かれた紙を開いた瞬間から表情は曇り、悲しそうな顔でこちらを見ていたからである。
「桜井のやつどうしたんだ?」
「まさかとは思いますが…」
「殺せんせー!和生はどうしたって言うんですか!」
前原、磯貝が殺せんせーに詰め寄る。
「あのお題には和生くんにとって最も難しく、最も簡単なものが書かれているのでしょう」
「どういうこと殺せんせー…?」
矢田が殺せんせーに不安そうに問いかける。
「みなさん心配する必要はありませんよ。彼なら大丈夫、和生君は1人じゃありませんから。ほら見てください」
殺せんせーが触手で指した方を見ると、殺せんせーの言葉通り和生が先程とは打って変わって晴れやかな表情でこちらに走ってきていた。
「和生…」
「ごめん凛香、待たせちゃったね」
「えっ?」
「さっ、いこ!」
生徒たちの元へと走ってきた和生は真っ先に愛する彼女に話しかけた。
速水は混乱したまま和生に手を引かれて審査員のいる所まで連れていかれる。
「ヌルフフフ、それでいいんですよ和生君。自分の信じるままに走り抜きなさい」
殺せんせーの表情は笑ってて顔には大きな2重丸が浮かび上がっていた。
「和生、これはどういうことなの?」
和生に手を引かれなが速水は彼に問いかけていた。
「ごめんね、審査員の所に行けば分かるからチョットだけ待っててね」
そういって速水にウィンクする和生。
先程までの悲しそうな表情とは真逆な輝いた瞳に速水は従うしかなかった。
審査員の所まで到着した和生はお題の書かれた紙を手渡した。
次の瞬間審査員の顔が火のついたように赤くなり、直ぐに質問をしてきた。
「あ、あの…お題は『家族』なんですけど…」
「えっ、そうなの?」
何も知らなかった速水は審査員の言葉に耳を疑う。
和生の方を見てそうなのか確認すると、彼は曇のない表情で言い放った。
「うん、だってその紙には『家族』としか書かれていないじゃん?つまりはね?『未来の家族』でもいいってことでしょ?」
「「え?」」
その場にいた審査員たちは彼が何を言っているのか分からないといった様子だが、彼の意図を理解した速水の顔はこれでもかという程赤くなっていた。
「俺の母親は既に死んでしまっているし、父親は行方が分からない。だからこのお題はさっきまでの俺にとっては難しすぎたよ。でもさ?こんな俺のことも受け入れてくれる人がいる。ここにいる彼女は俺に『ずっと一緒にいる』って言ってくれたんだ。この意味分かるよね?ずっと一緒にいるんだ。ちゃんと彼女の親御さんにも挨拶はしてる。だから問題はないよね?」
「は、はいっ。ど、どうぞゴールしてください」
「うん、ありがとう♪」
1通りの説明をした後、和生は堂々とゴールを通り抜ける。
もちろん速水の手に指を絡めたままに。
隣を歩く速水は赤い顔で下を向いたまま彼に付いていく。
会場の雰囲気が一瞬静まった後、混沌と化した。
主に女子の歓声で。
「あ、あれってプロポーズよね!?」
「さ、桜井先輩に彼女がいたなんて…」
「きゃーっ!!私もあんなこと言われたい!!」
収拾がつかなくなった会場を教師陣が鎮めにかかる。
和生と凛香は結局最下位であったものの、どこか和生の表情は満足していて、E組の座席へ戻る時には最高の笑顔で戻ってきた。
「凛香ごめんね、恥ずかしかったよね?」
「ばか…///」
ふたりの様子を見てE組の雰囲気がホッコリとした様な気がした。
「和生君もやりますねぇ」
「殺せんせー、だって家族って言うのは自分が命をかけてでも守りたいもので何より大切なものでしょ?だったら俺は迷わず凛香だって答えるよ」ニコッ
彼のそんな様子を見て生徒たちは思った。
「「「(び、美少年だっ!!)」」」
しかしそんな甘い雰囲気も放送席の言葉によって一気に崩れさる。
会場は混沌と化しているが、競技は続行されている。
現在行われているのは綱引きだ、その光景に会場は一気に静まり返った。
何故ならA組には屈強な外国人助っ人がいることが分かったからである。
『次の競技は棒倒しだ!E組VS我が校の最強エリート浅野君率いるA組の戦いだ!我らがA組がE組を成敗してくれるぞ!!』
放送席のアナウンスに今度は3年男子たちが歓声を上げた。
先程の和生と速水のやり取りを見て嫉妬したのだろうか、「潰せ」や「やっちまえ!」と言った暴言まで飛び交っている。
そんな状況に我らがE組リーダーである磯貝の表情に曇が出来た。
「殺せんせー、俺にはあんな助っ人を呼べるような語学力はない。とても浅野には及ばないんじゃ…」
「確かにそうかもしれませんね。彼を一言で言うなら『傑物』です。いくら君が万能でも社会に出れば君より上がいるのは必然です、彼のようなね」
「…どうしよう。俺のせいで皆が痛めつけられたら」
不安そうにそう告げる磯貝に殺せんせーは優しく語りかける。
「社会において、1人の力には限界がある。仲間を率いて戦う力、その点では君にかなうものはここにはいません」
そういって殺せんせーがカメラを構えると磯貝の周りに男子たちが棒倒しの棒を持ってやって来た。
殺せんせーは笑顔でシャッターを切った後、磯貝が置いていた鉢巻に触手を伸ばす。
「君がピンチに陥った時は、必ず仲間が助けてくれる。それが君の人徳です。先生もね、浅野君よりも君の担任になれたことが嬉しいですよ」
殺せんせーはにゅやりと笑ってて磯貝に鉢巻を結んだ。
全員がいい表情になった所で生徒たちはグラウンドの真ん中へと走り出す。
「和生!」
「なに凛香?」
「絶対勝ってね、怪我しないで戻ってくるの待ってるから」
「分かってるよ、俺だけの『プリンセス』」
そう言って和生は速水の額にキスを落として仲間の元へ走っていった。
「ばか…でも大好きだよ。私の『王子様』」
「磯貝くん」
「ん、どうしたんだ片岡」
リーダーとして戦場に向かう磯貝を呼び止めたのは片岡だった。
「私は磯貝くんに学校をやめて欲しくないから勝ってほしい。だけど怪我だけはしないで…?あなたが傷付く方が私はいや」
「それって…」
「うん…」
「とりあえずその話は俺が無傷で帰ってからにしよう。絶対に戻る、待っててくれよな」ニカッ
磯貝は片岡に最高の笑顔を向けて戦場へと走っていき、相棒と合流した。
「悠馬どうしたんだ、そんなに嬉しそうな顔して」
「お前らと一緒に戦えることが本当に嬉しいんだよ。よっし皆!!いつも通り殺る気で行くぞ!!」
「「「おうっ!!」」」
一方A組では
「彼らはライオンに処刑される異教徒だ。A組の名を聞くだけで震えて鉛筆も持てないようにしてあげよう」
「「「おうっ!」」」
常に仲間と並びたち共に歩むリーダーと常に先を歩き道を標すリーダー、相反する両者がぶつかり合う時どんな結果が待ち受けるのだろうか!
今!!戦いの火蓋が切って落とされる!!
なにやら磯貝くんと片岡さんがいい雰囲気だったりして?
次回は棒倒しの話にやっとはいります!
感想待ってます!