申し訳ありませんでしたぁっ!!
「貫けっ!」
和生の声に込められた覇気、それを感じ取った烏間はニヤリと笑った。
「甘いぞ、そんな速度では奴には当たらんな!」
和生の刺突を難なくいなし続ける烏間、そして反撃に出る。
「ふんっ」
「ぐうっ…」
烏間の回し蹴りを受けた和生は辛うじて体の軸をずらしたものの、凄まじい衝撃により吹き飛ばされた。
「いったぁ…」
「まだまだだ!」
和生に烏間のラッシュが入る。
急所から狙いを外させても、当たることは確実。
和生の既にボロボロだった身体がさらに傷つき続ける。
体育祭の疲れも残っている和生はその場で膝をついた。
「鍛錬が足りんな。今日は家でゆっくりと休み、その後に訓練しろ」
そう言って烏間が和生に手を伸ばした時…
「な、何が起こった!」
そこに和生の姿は無く、烏間の左肩から血液が噴き出していた。
「絶対零度の冷酷さと…神速の刺突…やっとたどり着けたよ」
烏間の背後には恐ろしく冷たい殺気を放つ和生、烏間は彼の動きを視界で捉えられなかった。
「くっ、ならばこれでどうだ!」
烏間が右フックからのラッシュを放つ、それを難なく躱す和生。
先程までは防戦一方だったにも関わらず、今となっては一撃も食らうことは無い。
「(世界がゆっくりに見える。まるで凍りついていくみたいだ )うらぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
和生が刺突を放てば、烏間が傷を負いながらもいなしていく。
烏間が拳を放てば、和生はそれを予知しているかのようにひらりと躱す。
「くそ、このままではジリ貧だな」
「俺は…まだ殺れる…まだ速くなれる…もっと冷たくなれるっ!」
そう告げながら斬りかかってくる和生の表情はを言い表すなら『苦痛』が一番妥当だろう。
身体の危機に脳の処理速度、血液が活性化している。
何がそうさせるのかは分からないが、リミットを超えて戦っているのは明らかだった。
持って後1発。
和生は大きく助走をつけ、地面と平行になるように全力の突きを放った。
神速の剣、普通の人間ならば捉えられない速度の刺突が烏間を襲う。
そんな時、あの超生物が現れる。
「忘れてましたか?見られていたこと」
「お前…!」
「殺せんせー…」
「君の体は限界です。大人しく家に帰ってお風呂に入りなさい。ゆっくり傷と心を癒せばいいのです。無理して学校にも来なくていい、私は君の方が大切なのです」
殺せんせーの言葉を聞いた和生はそこで意識を失った。
「おいお前、桜井君に何が起こったのかわかるのか?」
「いえ、私にはわかりません。しかし強いていうならば血がそうさせているのでしょう」
烏間は意味がわからんと言った後裏山を後にする。
「和生君のことは私が責任を持って届けます。烏間先生もその肩の傷を癒してください」
「そうさせてもらう」
和生の暴走は殺せんせーによって止められた。
殺せんせーは優しく彼を抱き上げると呟いた。
「私は生徒を守れましたか…?あぐり」
少しだけ悲しそうな顔をした殺せんせーはいつもの超スピードではなく。
ゆっくりと飛行していった。
「んっ…殺せんせー?」
「目が覚めましたか。もう家につきますよ」
殺せんせーの一言で目覚めた和生の顔が一瞬で歪んだ。
「どんな顔して変えればいいのさ…」
「そのままでいいんですよ。君のいい所は素直な所だ、ありのままの姿で帰ればいいんです」
殺せんせーの言葉に和生は力なく頷いた。
いつの間についていたのだろうか、殺せんせーが和生を下ろした。
「それではおやすみなさい」
「うん、おやすみなさい」
和生はそれだけ言うと家に入っていった。
静まり返る我が家を見て和生は理解した。
「律が宥めてくれたんだろうな。よく出来た子だよ」
そう言って自室に戻るべく階段を上った。
自室の前に行く間に和生が考えたことは、シャワーで血を洗い落とすこと。
着替えを取るため扉を開くとそこには
「…凛香」
自分のベッドで泣きつかれて眠っている速水の姿があった。
顔に泣き腫らしたあとが見て取れるため辛い思いをさせたのだろうと和生は自分をせめた。
どんな事があろうと愛する人を悲しませたことは罪だと自分に言い聞かせ、涙のあとが残る彼女の目元と可愛らしい唇にキスを落とし、こう呟いた。
「ごめんね。これで最後だから」
乾いた笑を浮かべた和生は着替えを持って浴室へと向かった。
その体から血液を滴らせながら。
和生が浴室へと向かった数分後
「和生…?」
彼の気配を感じとった速水が目を覚ました。
ぼやけていた意識を口に感じる鉄の様な味が覚醒させる。
そして床に散らばった血液を見てそれが記す場所へと走り出した。
「ちゃんと謝らなきゃ…それで伝えなきゃ…!好きなんて言葉じゃ測れないくらい貴方のこと愛してるってことを!」
感想待っております。
次回、ブラックコーヒー必須