ブラックコーヒーの準備は宜しいですかな?
「いったぁ〜…」
浴室でシャワーを浴びる和生が最初に言葉にしたのはこれだ。
体に出来た無数の傷口に暖かいシャワーが染みる。
和生はそれを浴びながらあることを考えていた。
「別れた方がいいんだろうなぁ…あんなことになっちゃった訳だし…」
不幸にするくらいなら、傷つけるくらいなら自分が一緒にいない方がいい。
どうしてもそう考えてしまっていた。
そんな事をぼーっと考えていると脱衣所の扉が開いた。
「えっ?」
振り返るとそこには。
「ご、ごめんなさいっ///」
顔を真っ赤にした速水が速水がすぐに扉を閉めた。
「え、えぇぇぇぇぇぇっ///」
見られた、確実に見られた。
その事実と羞恥心が和生の顔を真っ赤に染める。
その後数十秒の沈黙があり、扉の向こうから速水が話しかけてきた。
「ごめんね…わたし和生の気持ちも考えずに酷いこと言っちゃった…」
とても弱々しい声でそう話す速水、無性に抱き締めたいと感じる和生だが、最後だと先ほど決めたんだと自分に言い聞かせた。
「大丈夫、頭は冷やせたよ。それよりも俺も謝らなきゃね、ごめん。あんな顔させて、辛かったよね」
「ううん…いいの。お互い様だもん」
「そっか…と、とりあえず出たいから部屋にいっててくれるかな?」
「わ、わかった」
速水が出ていったのを確認してから和生は外に出て着替える。
ボロボロの服はゴミ袋に入れて処分した。
「あぁ…どんな顔して会いに行けばいいんだ…」
重い足取りで階段を上り部屋の前に立つ。
『ありのままでいいんですよ』
殺せんせーの言葉を思い出し、クスリと笑った後、和生は部屋の扉に手をかけた。
「おかえりなさい」
「うん、ただいま」
こういったやり取りをしていると恋人への愛おしさが溢れてくる。
先程までは最後などと思っていたのに今となってはそんなことはどうでも良くなっていた。
「和生…いなくなっちゃやだよ?」
「うっ…」
涙ぐんだ瞳、上目遣い、可愛らしい服装。
全てが相まって和生の理性が崩れかけた。
どうにか踏みとどまった和生は速水が腰掛けている自分のベッドに彼女と隙間を開けて腰掛けた。
「なんで間を開けてるの?」
「…もう俺は凛香の隣にいる資格はないんじゃないかなって」
「えっ?」
「俺はもう凛香を抱きしめる資格も、口付ける資格もないんじゃないかなって思ってるんだ…」
和生から放たれる衝撃の言葉。
みるみるうちに速水の瞳に涙が溢れる。
「なんで…?好きじゃなくなっちゃった…?」
今にも泣き出しそうな声で問いかける速水、和生は彼女の目を見ることが出来ないまま自分の想いを吐露していく。
「何言ってるんだよ…好きだよ。大好きだよ!!だから嫌なんだ!凛香にあんな顔させた事が、涙を流させた事が!俺といたら幸せには成れないよ…」
想いと共に溢れ出る涙、意を決して和生は速水の方に振り向いた。
するといつの間に距離を詰めたのか目の前には速水の顔があった。
驚いているうちに彼女から唇が重ねられる。
一瞬体が強ばるが、その甘いキスに体の力が抜けてしまう。
暫くして離れていった時にもっとしたいとさえ思わされてしまった。
「資格なんて要らないの。わたしが一緒にいて欲しいって言ってるんだよ?和生がいて、ぎゅってしてくれて笑顔でいてくれたらわたしは幸せなの。キスされたら幸せすぎて溶けちゃいそうだもん…///」
少し照れながら微笑む彼女に和生は思わず抱きしめた。
「ごめん…嘘ついてごめん…ほんとはずっと一緒にいたいよ…ずっとずっと凛香のそばでその笑顔を守りたいよ。好きなんて言葉じゃ足りないくらい大好きなんだよ…」
涙ながらにあらん限りの愛を囁く和生を速水は抱きしめ返す。
「わたしも一緒大好きなの、愛してるの。私の全部をあげちゃいたいくらいにね」
そう言って2人は再び見つめ合う。
「俺も愛してるよ」
「ふふっ」
そう言ってゆっくりと瞳をとじて口づけを交わす。
そのままベッドに倒れ込み、苦しくなるほどに抱きしめ合う。
そして熱く熱く口づける。
何度も何度もお互いの気持ちを確かめ合うように。
愛を確かめあった2人は微笑みあった後、力が抜けたように眠りに落ちた。
抱きしめあったまま、幸せそうに。
感想お待ちしています。
新作の執筆を開始したので投稿が不定期になります。
ですが主軸はこちらですので頑張りたいと思います!