怪物と戦い続けるのは間違っているだろうか   作:風剣

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ヘラ・ファミリア

 

 

 神々の降臨から、全てが変わった。

 

 『古代』の末、神々しい光と共に下界に現れた彼等彼女等は己の眷属となった者に【神の恩恵(ファルナ)】を与え、新たなる力を人類に与えたのだ。

 

 ある者は魔法を極め。

 

 ある者は己をより高め。

 

 ある者は無限の神秘を求め。

 

 ある者は幾度に渡って()()()()()に挑み。

 

 そして、その内の一人は心身を限界近くまで昇華させ、老いによる衰えをほぼ止めた。

 

 そんな人間達は神々から授かった【ステイタス】を発揮してより早く作業を進め―――『穴』のあった場所には『蓋』ができた。

 

 『穴』は白亜の塔と巨大な壁に閉ざされ、神ウラノスの『祈祷(きとう)』によってモンスターの侵攻は無くなった。

 

 壁の中には都市ができ、そこはいつしか『迷宮都市』オラリオと呼ばれる様になった。

 

 今は大勢の亜人(デミ・ヒューマン)が訪れ、魔石産業によって『世界の中心』と呼ばれる程に発展している。

 

 そして、今も迷宮に潜り、多種多様のモンスターと戦う者達は、『冒険者』と呼ばれる様になった。

 

「さてと……」

 

「グリファス、アレ、どうする?」

 

 階層主(ウダイオス)の討伐を終え、地上に帰還した【ヘラ・ファミリア】。

 

 ようやっと日の光を浴びて息を吐く王族(ハイエルフ)の老人に声をかけたヒューマン、アッシュの視線の先には先程グリファスが叩きのめした襲撃者達の姿があった。

 

「アレは管理機関(ギルド)にでも預けておく。精製金属(ミスリル)の鎖でも使って縛っておくか」

 

「【ロキ・ファミリア】か【フレイヤ・ファミリア】だと思ってたんだけど、闇派閥(イヴィルス)……【ハデス・ファミリア】だったね?」

 

「【死神の影(メメント・モリ)】に【目に見えない者(アイドーネウス)】、【地獄の番犬(ケルベロス)】……随分とまぁ派手な面子だったのに瞬殺だったな」

 

「【ハデス・ファミリア】ねぇ……いい加減ぶっ潰さない?」

 

「……まぁ、今回主力の構成員は叩き潰した訳だからな。これを機にヤッておくか」

 

「同感」

 

「了解」

 

 適当に今後の方針を決め、彼等は本拠(ホーム)に向かう。

 

 迷宮都市、東のメインストリートをずっと行った場所。

 

 オラリオの東端に、【ヘラ・ファミリア】ホーム『理想郷(アルカディア)』はある。

 

 主神の趣味を大いに反映した白亜の宮殿。

 

 豪華さよりも美しさの目立つ豪邸を目にし、誰もが目を綻ばせる。

 

「お帰りなさい、団長」

 

「お疲れ様です」

 

「あぁ、今戻った」

 

 ホーム正門に立つ二人の門番と言葉を交わし、グリファス達は我が家に足を踏み入れる。

 

 その時だった。

 

 玄関が内側から勢い良く開かれる。

 

『ぐ……ぐりふぁすぅぅぅううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!』

 

 咆哮があった。

 

 全力で走る女神が、透明な液体を散らしながら部隊の一番前にいたグリファスの胸の中にダイブする。

 

「ご……っ!?」

 

 ちょっと息が止まりそうになった王族(ハイエルフ)の老人はどうにか倒れずに主神を支える。

 

「へ、ヘラ……!?」

 

「お、おかえり……っ!」

 

「あ、あぁただいま……」

 

 息も絶え絶えになりながらも主神を見たグリファスは―――主神の姿を見て、喉を詰まらせた。

 

 腰まで伸びた美しい金色の髪、雪の様に白い肌。今も老人に縋り付く細い腕は触れればすぐに壊れてしまいそうで、纏う白いワンピースが華奢な印象をより際立たせていた。

 

 美の女神にも劣らない美貌を持つ女神は顔を歪め、その碧眼から大粒の涙をボロボロと零して泣きじゃくっていた。

 

「うぅ、グリファス、グリファスぅぅ……!!」

 

「―――おい、ヘラ。どうした?」

 

 この状況から導き出される答えを複数予想しながら、顔を強張らせるグリファスは問いかける。

 

 絞り出す様にして、答えがあった。

 

「つ、ついさっきっ!ゼウスを見張っていたルーラがっ、知らない女の子を連れたゼウスをダイダロス通りで見失ったって……!!」

 

『………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………』

 

 空白があった。

 

 やがて事態を理解した面々は一気に殺意を膨らませる。

 

(((―――またか、クソジジィ)))

 

 動きは速かった。

 

「アリア、お前はアッシュと共に【ゼウス・ファミリア】に向かって協力を得て来い。半年以上あの派閥にいる構成員なら事態を理解してくれる。この場にいる者は二人一組(ツーマンセル)で行動する事。あのクソ爺を捜索、ひっ捕らえて来い」

 

 異論は無かった。

 

 既に階層主(ウダイオス)との激戦を経ているハズなのに、疲弊した様子を欠片も見せずにその場の面々は瞬く間に散って行く。

 

 オラリオ最強派閥、【ヘラ・ファミリア】。

 

 それは、200年以上浮気を続ける主神の夫、ゼウスの浮気を予防、制裁する為に結成された【ファミリア】だ。

 

 

 




ゼウスのクソ野郎。これはもうマジで酷い。
ヘラ・ファミリアに主人公を入れる為にギリシャ神話を調べたら本当にクソみたいなヤツだと分かった。いや、色欲魔にも程があるだろうって。

母親を犯す男なんざエロ同人でもn……珍しいぜ?(無いとは言えなかった……何故だし)


そして申し訳ありません。明日から旅行に行きます。再来週の月曜日までゆっくり更新お待ちください。


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