デス・ア・ライブ   作:月牙虚閃

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久方ぶりの更新になってしまって申し訳ありません。
今回は長めの13000文字程度の長さになりました。そして、結構怒涛な展開になっているとは思います。今までお待たせしてしまった皆さんがお楽しみ頂ければ幸いです。
それでは今回もお楽しみください。


The fake instinct

―――来禅高校 屋上

 

 

今まで接してきた狂三は本当の狂三などではなかった。士道はこれまでと同じく自分の為すべきこと―――精霊をデレさせること―――を実行するために狂三を屋上に呼び出した。それで、必死の説得によって心を動かしかけて助けられるというところであったのに。

 

 

「駄ァ目、ですわよ。そんな言葉に絆されては」

 

 

「ぎ…っ!?」

 

 

また悲劇が繰り返される。狂三が狂三の胸を素手で貫きべったり紅く染めた。屋上に連れてきた狂三が新たに現れた狂三によって殺された。字面だけをみれば全く起こりえない事象なのだが、今この状況がその全く起こりえない事象が生じていると証明している。

 

 

「なん…で?」

 

 

また人が殺されて士道自身が殺されるという恐怖が以前よりも薄くなってきている。それは前に狂三が誰かを殺し誰かを殺される光景を見てきたのかもしれない。それが狂三を殺し続ける真那から感じた『慣れ』というのだろうか。いや、それは違う。その恐怖というもの以上に殺すということが許せなかった。最初にいた狂三は胸から腕が抜かれると同時に膝から崩れ落ちて影に飲まれる。士道はその狂三を悼み、今いる狂三に尋ねた。

 

 

「何で殺したんだ?」

 

 

「『何で殺したんだ?』ですの…それは、相手にすぐ絆されるような出来損ないなら処分するのは当たり前でしょう」

 

 

「なッ!?」

 

 

自分と姿形が全く変わらない分身体でさえモノのように切り捨てて使い潰す。正に悪の権化と思われるような所業である。それは何があっても断固として許しがたい行為であるはずなのだ。

 

 

だけれども、本当に狂三が冷酷な心しか持ち合わせていないのかといえば士道は疑問に思える。最初に現れた狂三と今いる狂三が全く同じ姿ならば、同じようなメンタリティを持っていても可笑しくはない。なのに、なぜこんなにも違うのか全く分からない。

 

 

「早速士道さんを頂きたいところですが…先にやらなければならないことがありますわね」

 

 

狂三が軽く後ろに跳ぶ。次の瞬間、撃ち出された弾丸のように何かが狂三のいた場所を貫き穴を作った。運動エネルギーを破壊に全て変換し終えたところでようやく士道の目でも弾丸であったモノの姿を捉えることができた。

 

 

「お怪我はないでいやがりますが、兄様」

 

 

「真那ッ!」

 

 

真那と狂三が再度対峙している。昨日、士道の目の前で繰り広げられた光景が目に浮かぶ。やはり、2人に互いの命を摘み取らせるわけにはいかない。

 

 

「もうそんなことはやめてくれよ。こんな戦い何の意味があるっていうんだ」

 

 

「いくら兄様でも、それには従えねぇでやがります」

 

 

「わたくしには戦う意味がないというわけではないですのよ。でも、それはヒ・ミ・ツですわ。どちらにしても、わたくしは精霊、真那さんは魔術師(ウィザード)。戦う理由なんてそれだけで十分でありません?」

 

 

「あなたと意見が合うなんてことは死ぬほど嫌でいやがりますが、それには同意せざるを得ないでありますね」

 

 

2人の姿が掻き消える。人智の及ばぬ戦いが始まってしまった。狂三は影から次から次へと湧き出してくる分身体が幾発もの弾丸となり真那を砕きにかかる。真那はその襲い掛かる弾丸を顕現装置(リアライザ)で減速させて分身体の命を刈る。

 

 

「やめろ…やめてくr」

 

 

前に駆け出そうとした士道だが、後ろから体を抑えつけられ地面に組み伏せられた。そして士道の視界の影から時計仕掛けの少女が伸びてくる。長短二丁の歩兵銃を持つ同じ貌の少女がいることから、士道を拘束しているのは分身体なのだろう。

 

「士道さん、いけませんわね。これは私たちと真那さんとの戦争。そんな簡単に戦場に出て来られてしまったら困りますわ。決着が着くまでしばらくこうしていらっしゃいまし」

 

 

ただの人間が精霊に拘束されてしまったのなら肉体をどのようにも動かすこともできない。だが、士道は狂三と真那のどちらかの命を失われることなんて許容できない。それは狂三と真那のどちらも救うという覚悟を決めてきたのだから。

 

 

「悪いけど、それはできない。お前たち2人の戦争がどうなろうが俺はそんな戦争をぶち壊してやる」

 

 

「今の状況を本当にわかっておっしゃているのですの?」

 

 

「兄様、無駄な抵抗はやめてください。どんなことをしてもこの戦争は止めるわけにはいかねぇです。だから、何をしても無駄でいやがります」

 

 

「無駄ってことはないさ。これでも俺にだってわかることが1つある。今のこの状況で俺の命が最も重要だということぐらいわなッ!」

 

 

「「!?」」

 

 

自分の実妹である真那と封印されている精霊の力を狙う狂三にとって士道自身が持ち合わせている価値は明白だ。戦争を中断させるには命を天秤に掛けなくてはいけないのは皮肉なのだが、自分の命ひとつで争いを止められるのなら安いモノだ。

 

 

口を大きく開けて断頭台のように舌を差出す。そして、ギロチンという名の牙を振り下ろす。これで全てが終わる―――はずだった。

 

 

「だから、ダァメ、ですわよ」

 

 

「んぐー!」

 

 

士道の口の中では生物の体温を感じ取れた。そこから伸びていたのは3本もの腕。どれも狂三の分身体の腕である。そう、士道の命を賭けた交渉は狂三によって阻止されたのである。

 

 

「まさか、懲りもせずにまた命を投げ出してくるなんて…本当にバカですの? 

まあ…今度こそ、そのような手段を取りようもないのですけれど」

 

 

「兄様ッ!」

 

 

「あらァ、このわたくし(・・・・)と相対していますのに他の方を気遣う余裕なんてありまして?」

 

 

「しまっ…」

 

 

唯一肉親であることがわかる士道が取り押さえられ真那は反応した。それが決定的な隙となり歩兵銃を手にしている狂三に懐の中に入られ、こめかみに銃を突き付けられた。銃との距離は零。もう致死の弾丸を回避する術はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――パァン

 

 

そして、乾いた音が空気中を振動させていく。命を鎖す終焉の鐘は無情にも聞こえてしまった。

 

 

(くそっ…俺は何もできないのか…狂三と真那の両方を救うって決めたのに…俺は誰ひとり助ける力はないのか…)

 

 

『強くないんだったら、強くなればいい』

 

 

目の前の現実に絶望しかけたとき、昨日の一護の言葉を思い出した。絶望をするだけでは現実は何も変わらない。それなら無駄な足掻きでも何でもして可能性をこじ開ける。

 

 

士道は精霊の力を封印する能力以外何も特殊なことができない一般の高校生だ。真っ当に精霊と戦ってしまったのなら何をされたのか分からずこの世から葬られてしまうだろう。やはり、精霊に対抗できるのは精霊しかない。そのための力はこの中にある。そこに力があるのにそれが使えぬ道理(ルール)などない。

 

 

―――俺に力を―――

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおぉぉぉ!!」

 

 

次の瞬間には全身に施された拘束が無くなっていた。正直、今の一瞬で士道自身が何をしたのか全くわかっていない。ただ、中にある思いを外へと吐き出した。士道の中に眠っている力はその願い(・・)を叶えてくれた。

 

 

「分身体とはいえ、人間の士道さんが私たちを吹き飛ばし、尚且つ戦闘不能にするなんて…余計に食べたくなりますわね」

 

 

「それは御免被りたいな。なぜなら、俺は真那、そして狂三を助けるんだから」

 

 

「…それは余計なお世話…ですわね。士道さん、そんな程度の力で私に挑むというのは無茶を通り越して無謀ですわよ。たとえば…」

 

 

「くっ」

 

 

今までしっかりと士道を支え続けていた地面がぬかるんで体が沈み込んでいく。そんな不可思議な感覚の正体を探るために下を向くと、そこには影があった。そこから白くて細い腕が伸びていき士道の体を引きずり込もうとする。

 

 

「これは…狂三の…分身体が…出てきた…」

 

 

「そうですわ。これは士道さんのいう通り、これは私たちの影。わたくしがこの学校に人々の時間を吸い尽くす時喰みの城を展開した時点で、もうここはわたくしの領域ですのよ。例えると、蜘蛛の糸に掛かった蝶といったところでしょう」

 

 

「そんな…待遇は…やだな」

 

 

「嫌だとおっしゃっても止めませんわよ。私には過去で成さねばならないことがありますの。でも、安心してくださいまし。士道さん、あなたはずっとわたくしの中で眠りながら生き続けてください」

 

 

「…過去?」

 

 

「少々喋りすぎましたわね。士道さんには特には関係のないことですわ。忘れてくださいまし」

 

 

「そうか…狂三にも…何か護りたいものが…あるんだな…」

 

 

「……」

 

 

今まで饒舌だった狂三が初めて士道に言葉を返さなかった。その沈黙を士道は肯定として受け取り、新たに護るべきものができた者として可能性を提示する。

 

 

「…狂三に護りたいものがあるように…俺にだって護りたいものが…ある。十香と四糸乃、琴里に真那、俺に進むべき道示してくれた兄貴、そして狂三、お前自身もだ」

 

 

「それは何も知らない愚者が語る言葉ですわ。随分とわたくしも甘く見られましたわね」

 

 

「俺は誰かを助けるために…別の誰かを犠牲にはしたくない…俺は諦めない…この世界で完全無欠のハッピーエンドを手に入れるまで」

 

 

「そんなことをおっしゃても、わたくしに食べられる運命は変わりませんわよ」

 

 

「…運命は自分で切り拓くものだ…さっきお前の分身体を吹き飛ばしたときのように、願いがある限り運命は…」

 

 

士道が最後まで言葉を紡ぐ前に影が口を塞ぎ、全てを飲み込んでいく。ついには頭までも飲み込まれて、残すのは右腕となっていた。

 

 

(希望という甘い果実に溺れて、現実を顧みない。こんな人…まるでわたくしみたいですの…)

 

 

最後に残った腕が飲み込まれいく様子を見届ける。今まで喰らい続けてきた人々の中で、この人だけはこの眼で見届けなければならない気がした。この人を喰らうことで自身で確立した手段を強固なものにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の士道が随分と世話になったわね」

 

 

校舎の屋上に何か紅い影が降りて黒い影を全て吹き飛ばし焼き尽くさていた。その紅い影は紅蓮の炎であり、万物を焼き尽くす炎が狂三が支配していた屋上をリセット。時喰みの城までは破壊されていないので狂三にとってそこまで大きな損害にはなっていないが、せっかく時間を消費して造った再現体がこうもあっさりと葬られてしまっては気持ちのいいものではない。

 

 

「…何者ですの?」

 

 

その言葉に応答するかのように、今までその身を炎で包んでいたその存在はそれを散らすのを華が咲き乱れる様子にも見えた。

 

 

炎から姿を現したソレは人の形である。決して妖怪やお化けのような類の異形な姿をしているわけでもない。しかし、白の和服のような羽衣を纏い黒い帯で縛った双角を生やした少女は炎を操る人であって人ならざる者。

 

 

「まさか、今日1日で士道さんだけでなく精霊まで出会えるとは…わたくしは何て運の良いことでしょうッ!」

 

 

「それは、運の悪いの間違いじゃないかしら」

 

 

「いいえ、結局はわたくしの力の糧になるのですから運の悪くなんてありませんわ」

 

 

「それなら、あなたが相対しているのが誰なのか分からせる愛の仕置きタイムが必要ね」

 

 

狂三に精霊だといわれた少女。その少女に士道は人形だらけの影から助けられた。その少女は士道にとっては一護に拾われてから毎日何度も顔を合わせている少女。だから、信じられなかった。士道が毎日顔を合わせている少女は人間であるはずである。しかし、暴れ龍のような形相の炎を操ることができるのは士道も狂三と同じ答えに辿り着いた。

 

 

「…琴里…なのか? 精霊に…なったのか?」

 

 

「私が琴里じゃなかったら、狂三が士道を喰らった後の最も油断しているときに出てくるわよ」

 

 

助けてもらったのはいいものの、もし琴里が妹でなかったら見殺しにされるというのを思うとゾッとする。まあ、士道も琴里が助けにきてくれるとは思ってもいないし、本当の意味で心優しい琴里もほんの冗談でいったに違いないが。

 

 

「いろいろ聞きたいことはあるかもしれないけど、今はとにかく逃げて」

 

 

「へ?」

 

 

「今のあなたは簡単に死んじゃうんだから」

 

 

琴里に問い返す暇もなく脇に抱えられていた士道は投げ捨てられた。いきなり投げ出されたということで文句を言おうとしたのだがそれもできなかった。なぜなら、もう既に狂三と琴里は互いの天使で火花を散らしてしまっているのだから。

 

 

 

「炎の精霊さん、美味しそうなあなたを頂くには少々味付けが必要ですわね」

 

 

「それはどういうことかしら?」

 

 

「こういうことですわ」

 

 

歩兵銃と琴里の扱う戦斧のぶつかり合いを狂三が退くことで解除された。精霊が精霊たる証はその身に纏う城壁の如き堅牢な鎧の霊装。そして、それと対となるのが世界を屠る矛の天使。狂三の手に持つ長短二丁の歩兵銃は天使ではない、天使の一部である。そう、狂三はこれから真の天使を顕現されるのだ。

 

 

「さあ、さあ、おいでなさい『刻刻帝(ザフキエェェェェェェル)』」

 

 

狂三の背後に1から12のローマ数字が刻まれた巨大な盤面。それはいつも狂三が隠している瞳に刻まれているものとほぼ同じような様式であり、顕現させた天使も時計と同様の役割を持っていると思われる。

 

 

「へぇ、それがあなたの天使かしら?」

 

 

「えぇ、そうですわ。あなたや他の精霊の方々の天使は存じ上げませんけれども、わたくしの天使はそれは素晴らしい能力を持っていますのよ。まぁ、その代償として何よりも大事な時間を消費しなければならないということが玉に傷ですけれども」

 

 

「時間?」

 

 

「これはお喋りが過ぎましたわね。ここまで話しましたから、わたくしが能力を行使するには寿命を代償にしていると容易に想像がつくと思いますわ」

 

 

「貴重な情報をありがとう。そんな情報を想像できていたとはいえ自分から寄越してくるなんて余裕のつもりかしら」

 

 

「余裕なのかどうかは、その身を以て味わって頂きますかしら?」

 

 

「それは遠慮しとくわ。ただ、家の店子に噛みついた駄豚の躾はするけど」

 

 

琴里の言葉に眉を潜めた狂三だが、すぐに表情を元に戻す。そして相手を挑発するかのように言葉を返した。

 

 

「あまり強い言葉を使わないでございまし、弱く見えますわよ」

 

 

「いうじゃないの」

 

 

もう言葉はいらない。いくら言葉を並べたとしても琴里には狂三と相容れることも狂三に対しての感情を抑えることなんて出来ない。そして何よりも、自分の大好きなお兄ちゃんを傷つけようとしたということが許せない。精霊同士の戦いなんてそれだけでいい。

 

 

「いくわよ、灼爛殲鬼(カマエル)

 

 

「いきますわよ、刻々帝(ザフキエル)――― 一の弾(アレフ)

 

 

琴里は巨大な戦斧から灼熱の炎を生み出しそのままそれを纏わせながら自分自身を軸にしてその場で回転する。回転速度を上昇させていき学校全てを覆い尽くす火炎旋風を創り出す。琴里に対峙している狂三は背後に顕現している天使のⅠの文字から滲みだした影を手に持つ2つの歩兵銃に喰わせた。その短い方の歩兵銃を琴里に向けた―――――のではなく、自分自身のこめかみに銃口を向けた。

 

 

何故狂三が自分に銃口を向けたのか、琴里には向けた理由はわからない。琴里自身も精霊という存在故に、狂三のしている行動には意味がないということはないことはわかる。何にしても先手を取られて能力の行使をされてしまったら不利益をもたらされるだけで決して利益を生み出すことなんてない。ならば、先に先手を取る。

 

 

校舎を覆い尽くしていた火炎旋風をその範囲を狭めてその身に纏わせる。身に纏わせているその様は業炎の渦巻く不死鳥のようだ。そしてその炎を纏わせたまま狂三の分身体と同じように飛んでいく。しかし、その威力は狂三のそれとは比較の対象にもならないほどのもので、相手を滅殺するための極致に至った業である。目標を完全に捕捉して加速してその絶大の一撃をぶつける。しかし…

 

 

「そのような鈍重な攻撃ではわたくしには当たりませんわよ」

 

 

「っ!?」

 

 

業炎が地面を焦がすよりも前に狂三は琴里の側面の位置を取っていた。離れている距離から戦闘の様子を見ていることしかできない士道には狂三がまるで転移したかのようにみえた。それでも、同じ精霊の立場にある琴里にはギリギリで目で追える程度には反応はできた。しかし、急激な速度変化に琴里の体までは反応できない。それに加えて、大振りで戦斧を振りかざした結果、重量級の戦斧の動きを制御することもできない。圧倒的に狂三が有利な態勢だった。

 

 

「これで終わりですわね」

 

 

標的を補足している短銃から炸裂音が響くのと同時に銃口から霊力の篭った弾丸が飛び出す。その弾丸の描く軌道は琴里の額を目掛けて直進していく。このままでは弾丸が琴里の頭を貫通して脳の活動を停止させられ絶命してしまう。

 

 

「私をあまり舐めないでちょうだい」

 

 

この絶望的な状況のなかで琴里のとった行動は戦斧の挙動に抗わないことだった。つまり、戦斧の動きに全ての体重を任せるということである。そうすれば、脳に弾丸が貫通する即死コースは免れる。まだそれでも、琴里の体に風穴を空けられる程度には致命傷を与えられるというところまでしかダメージを軽減することしかできない。

 

 

だから、天使に体重を任せるだけでなく、不安定な体勢のなか更なる行動を起こす。戦斧から新たな炎を生み出し、それをジェット噴射のように吐き出す。そうすることで、琴里の体の回転速度がさらに増す。これを全て成し遂げたところで弾丸の軌道から脱することが出来、そして弾丸が琴里の体のすぐ上を通り過ぎる。これで何とか回避することは出来たが、ここから一息する暇などない。やられた分は10倍にしてやり返すが流儀の琴里は反撃の狼煙を挙げなければならない。

 

 

「また会いましたわね。これから死んでもらうご気分は如何でございまして?」

 

 

「……」

 

 

琴里の体が半回転したところで琴里はまた狂三の歩兵銃に捕捉されていた。しかも今度は額に銃を直接突き付けられている。だが、琴里は銃を突きつけられているという絶体絶命という

状況なのにも関わらず不思議と冷静だった。

 

 

実は5年前に謎の存在から精霊の力を授けられたとき以来ずっと士道の体に力は封印されており、秘密裏に仮想精霊と戦闘シミュレーションはしたことはあるものの本物精霊との実践は初めてだ。そのような理由からか、あまり力の扱い方に慣れていない初手から相手のペースに呑まれて危機に陥っているのかもしれない。

 

 

なのに、今は冷静に落ち着いている、危機が過ぎ去っていないにも関わらずだ。むしろ、危機に陥っていけばいくほど頭が冴えていく。視界だけでなく五感から読み取れる情報が格段に増加して、自分自身が選ぶことのできる選択肢が多様化していく。まるで、自分が自分じゃないようだ。

 

 

先ほどから狂三と交戦している中で現在までに得られている情報は狂三が能力を行使するには自分の寿命を消費する必要があるということ、その寿命を補給するために結界を張っているということ、己の分身体を生み出すことができるということ、その分身体というのは本体よりも大きく戦闘力が劣るということ、そして、高速移動する手段があるということである。それで、これまで翻弄してきた力の起点になっていたのは2つの歩兵銃。

 

 

五感を使って読み取った情報が脳内で纏められ、自分自身の精霊の力を考慮した新たな選択肢が形成された。それは防衛の一手ではなく、形勢を逆転する一手。新たに形成された逆転の一手を選択するために琴里は行動を起こす。

 

 

「随分と自分の力に自信があるみたいね。でも、分身体に過ぎないあなたが持つその豆鉄砲が精霊の私に通用するかしら」

 

 

「ッ!?」

 

 

別に銃が突きつけている狂三が本物か分身体なのかは関係ない。今のは、所謂ハッタリだ。分身体なら今のようにリアクションを取るし、狂三の性格を考慮に入れると本物だったら『あなたのいう分身体(・・・)の力をその身に刻んで差し上げましょう』といって、銃弾を撃ち込んでくると琴里は分析した。結果、案の定現在相対しているのは分身体だった。確認を終えて、ここから選んだ選択肢を実行する。

 

 

「とりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

「きッ…」

 

もう一度炎を戦斧から噴射して、緩んだ回転速度をブーストして再度加速する。そして、加速して得られた分も含めて回転速度を破壊力に変換して一気に分身体を粉砕した。それでようやく久方ぶりの地面の固い感覚を得られた。

 

 

だが、これだけでは終わらない。琴里が相対している相手は幾千幾万もの人間を殺し、あまつさえ最悪の精霊という悪名でその名を世界に轟かしている。そんな相手が未だ有利な状況にあるにも拘らず、手を止めるということはない。そのことを示している通り、琴里を取り囲むように分身体が姿を現しもう既に飛び掛かっている。

 

 

「あなたが――」

 

 

「――どんなに強くとも――」

 

 

「――私たち全員を――」

 

 

「――殺しきることなんて――」

 

 

「――不可能ですわよ」

 

 

数多の狂三の分身体が声を重ね合いながら言ってくる。数の上なら狂三の絶対的な優位は揺るがない。しかし、能力のぶつかり合いということになれば話が違ってくる。例えば、分身体に止めを刺される前に本体を見つけ出し能力の行使が不可能の状態を追い込んでいったり、対人向けの力ではなく対軍向けの力を使う場合といったふうに。

 

 

灼爛殲鬼(カマエル)――(メギド)

 

 

これまで戦斧の形を保ってきた天使が琴里の言の葉に呼応して外装と内部機関が慌ただしく移動し姿を変えていく。天使が変形してきた頃には、大きな砲門を備えた大砲が出来上がっていた。

 

 

「後悔なさい。最初の時点で私を殺せなかったことを」

 

 

一般的な常識の範囲では大砲には砲門は一つしかないので、その威力故にある一方向に対する大量殲滅を得意とするが、大砲自体が巨大な為に小回りが利かず全方位殲滅する際の運用は大砲を複数用意することで対処する。ところが、琴里の天使の大砲は通常のそれと同じく砲門は一つで小回りも利きにくい。つまり、一般的な大砲と同じように使ってしたとしても今の状況は打開できない。

 

 

そこで天使の砲門を下に向ける。砲門を地面で密封すれば、これから砲門の中で生み出されるエネルギーを逃すことが無い。さらに、大砲形態では先ほどの戦斧形態のときよりもエネルギーの充填量、充填速度、エネルギーのロスも少ない。これで大質量のエネルギーを密閉する状態ができる。

 

 

「ッ!? 刻刻帝(ザフキエル)――――― 七の弾(ザイン)

 

 

琴里を取り囲む分身体達から少し離れた貯水槽のある位置にいた本体の狂三がいち早く生存本能で危機を察知して一発の弾丸を歩兵銃を投げ飛ばすような勢いで発射した。この弾丸が琴里が実行しようとしていることよりも先に突き刺さればいいが、慌てて撃ちはなった弾丸が先に動いた琴里よりも先に届くのは難しい。ならば、せめて相打ちでいい。これはそのための弾丸である。

 

 

狂三が銃声を響かせたすぐ後には白い閃光が視界を潰した。そして同時に凄まじい熱に飲み込まれて、後にも先にもこの一瞬だけ記憶に記録されなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あまりに強大な力を持つ精霊の戦いから琴里によって引き離された士道は狂三のいた貯水槽とは逆の位置にある屋外への出入り口で扉越しにこれまでの顛末を傍観するしかなかった。感情の昂ぶりによって一時的に霊力を行使することは出来たが、精霊の天使のように形持った武器は顕現できていない。その上、霊力を使用するだけでも虚脱感を感じるほど体力を消費している。士道自身、戦闘が始まってからは現状琴里に任せるしかない。

 

 

「くそッ!」

 

 

こんな士道が望まない戦いに可愛い妹の琴里に頼るしかないということに罪悪感と無力感はある。自分が分身体の狂三だけでなく、本体の狂三をも説得できいればとも思う。だけど、そんな風に思うだけでは何も変わらない。それが兄である一護から教わったこと。そして、どんな事態でも自分のできないことは他の誰かがその役割を補ってくれるということ、士道が出来ることが浮かび上がらせてその役割を全うすることも教わった。ならば、今士道が出来ることは…

 

 

「もしもし、兄貴――」

 

 

 

―――ドォォォォォォンンン

 

 

一護の携帯に繋がったというところで、耳を劈くような爆音が襲ってくるとともに屋外から強烈な光が視界を眩ませる。

 

 

一体何が起こったのだろうか。こんな異様な事態が起きているのだから決して穏やかではないに違いない。少しして、強烈な光によって眩まされた視界が回復すると校舎の屋上が高熱によりドロドロとなって火炎地獄と言っても差支えの無い状況だった。

 

 

「…ハア…ハア……ハア…ァァァァァ」

 

 

「狂三!?」

 

 

正直いえば、今の狂三の体を直視したくはなかった。左の上半身は霊装ごと跡形もなく消し飛ばされていて、体の半分は炭化していた。それに加えて、全身の至る所の穴からの出血も酷い。これは琴里がやったことなのか?

 

 

「来ないで…ハア…くださいまし…いま…ハア…士道さん…が…来てしまっては…ハア…体が…溶けて…しまいますわ」

 

 

「でも、それだと狂三が」

 

 

「わたくし…なら…問題ない…ですわ…ほら」

 

 

先ほどの爆発で損壊した天使である時計盤のⅣの文字から影が滲み出す。その影が狂三の動きが急に速くなったときと同じように歩兵銃が吸い込み、それを自分自身に向かって引き金を引いた。弾丸が撃ち込まれた瞬間は狂三の体が衝撃で海老反りのような体勢になり士道も泡を食った。しかし、体が倒れゆく途中で動きが止まり、続いてゾンビさながらの動きで元の体勢へと戻った。もうその頃には、失われた体組織が無事に再生していた。

 

 

「体が再生した…のか?」

 

 

「再生とは違いますわね。時を巻き戻して、元の状態にしたといった方が正しいですわ」

 

 

「時を…」

 

 

「まあ、いきなりそんなことを言われてしまったのなら実感が湧かないのかもしれませんわね。さて、せっかく炎の精霊さんをわたくしの力で止めたのですから邪魔をされる前に食べてしまいましょう」

 

 

「!?」

 

 

迂闊だった。士道と琴里の目的は狂三の精霊の力を封印すること。狂三の目的は士道の封印された精霊の力を取り込むこと。前者は力を封印したうえで精霊を生かさなければならないが、後者は生死の状態を問わない。それで、狂三の言葉からして琴里は身動きの取れない状態で生殺与奪は狂三に握られている。今の士道の置かれている状況は最悪だ。

 

 

「狂三…やめてくれ」

 

 

「それはできませんわ。わたくしは何度も食べることが目的だと言っているのですのよ」

 

 

「そうか…お前の気持ちはわかった。なら、琴里は関係ない。食べるなら俺を食え。最初から俺を食べることを決めてるんだろ」

 

 

狂三は士道と琴里を見比べて少しの間思考を張り巡らせた。士道の言う通り、士道―――正確には封印された数体分の精霊の力を食べることが優先目標である。合理的に考えれば、先に身動きの取れない琴里を食べてからほぼ戦闘力のない士道を食べてしまえば安全だ。でも、本当にそれでいいのであろうか。

 

 

「俺は琴里を護れるのだったら構わない」

 

 

先ほどの爆発で未だ高温なはずの地面を悠然と歩く。歩を進める度に靴底から煙が上がって肉が焼ける音もする。普通の人間がこの上を歩くとなれば、それは相当な苦痛を感じるだろう。なのに、士道は歩みを止めない。

 

 

「なぜ、こんなにも他の人のために」

 

 

「簡単だよ。誰も苦しい思いさせたくないからだ」

 

 

こんなにも逡巡もなくあっさりと返された。その道を選ぶということがどんなに過酷な道なのか絶望を知っている者ほどわからないはずがない。その上でもう一度士道に尋ねる。

 

 

「それは、わたくしも助けるという血迷った妄想も含んでいるのでしょうか?」

 

 

「助けるさ。別に今まで狂三がやったことが全部無かったことにしていいというわけじゃないけど、それを償うぐらいのチャンスぐらいあってもいいだろ。かなりの人を殺してきている狂三を助けるっていうから他の人には反感を買うかもしれないけどさ、せめて今までの真相が分かってからでも遅くない」

 

 

士道は全ての罪を許せるほど聖人というわけではない。ただ、この世界の不条理を許せないのだ。全てを犠牲にしてきた狂三のように。

 

 

「わかりましたわ。士道さんを食べる代わりに、あなたの妹さんをたべるのはやめましょう」

 

 

「ありがとう」

 

 

「但し、誰も助けはいりませんわ」

 

 

「そうかい。なら、俺は狂三の中で出来る限りこれ以上誰かを殺さなくてもいいように救ってみせるよ。それに、お前がさっき俺を気遣って近づかせないようにしただろ。少なくともそんな奴が好き好んで人を殺すわけねぇよ」

 

 

「…」

 

 

士道に返事は返さない。狂三は前に進むだけ。士道も前に進むだけ。互いに結んだ条件を果たすために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!? 狂三、危ないッ」

 

 

狂三は士道に覆いかぶされ強制的に地面に伏せられた。一体何事かと思った瞬間には、視界が極大の紅い閃光に埋め尽くされていた。精霊である狂三がわからないモノ。それはつまり、精霊ではない存在がすぐそこにいるということだ。

 

 

「琴…里…?」

 

 

体を退けた士道に最初に映った光景は、すぐそこに立っていた琴里の上半身が跡形もなく消失していた。最初に目にしたときはそこにいるのが琴里だと思えなかった。だけれども、残った下半身と周囲に飛び散った霊装の破片から、そこにいるのが琴里であると訴えてくる。

 

 

「琴里…琴里ぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

 

「士道さん!」

 

 

茫然自失となってしまっている士道の首根っこを掴んで何とかその場から飛び退いた。飛び退いた次の瞬間には再びあの紅い閃光が飲み込んだ。そして閃光が通り過ぎた後には、校舎が消滅。よく見まわしてみると、一発目の紅い閃光は屋上だけでなく校庭を横切り、その先の住宅街にまでそこに在ったモノを全て無に還っている。明らかに異常である。

 

 

「ウォォォォォォォォオオオオォォォォ!!」

 

 

叫び声が聞こえたかと思うと、校舎の破壊により舞い上がっていた粉じんがいきなり吹き飛んでそこから現れたの異形である。肌が全て白い硬質的なモノで覆われ顔が2本の黒ずんだ赤の横線が入る。何よりも特徴的なのが、紅い閃光を放った双角とその両腕と融合している双剣。目の前にいる異形はこの世にあるとは思えない生命体で、ソレいるところだけ空気が変質して異空間のように感じられる。

 

 

「…返せよ…返せよ……琴里を返せよぉぉぉぉ!!」

 

 

「落ち着いてくださいまし、士道さん。わたくしと士道さんでは、アレと妹さんをどうしようもできないですわ。ここは一旦離れましょう」

 

 

いきなりの乱入者に自分自身よりも大切な人の命を突然摘み取られて平然といられる人間などそうはいない。特に士道はこれまでの背景から今まで琴里が支えてきていたということもあって、琴里の存在は大きい。

 

 

「離してくれッ! 今、俺が琴里を護らないと絶対に後悔する。だから、行かせてくれ」

 

 

「いけませんわ。士道さんの気持ちは痛いほどわかります。ですけれども、こんなところでみすみす助けられる命を見捨てるわけにはいけませんの」

 

 

「誰にだって必ず命を賭けてでもやらなきゃいけないことがある。それが俺にとっては…今だ」

 

 

「待ってくださいまし、士道さん…ッ!?」

 

 

狂三の制止と拘束を振り切って士道は駆け出す。かけがえのない人をこれ以上壊されないようするために。自分の誇りの妹を踏みにじらせないために。

 

 

「絶対に護るからな、琴里」

 

 

下半身だけが残っている琴里の前に立ち、地面に転がっていた戦斧の灼爛殲鬼(カマエル)を拾い上げる。拾い上げるとはいっても、灼爛殲鬼(カマエル)は鉄塊の外見通りに途轍もない重量で常人の士道が持ち上げることは相当に難しい。よって、柄の部分を地面に預けるような形で持ち上げた。

 

 

「……」

 

 

目の前にいる謎の生命体を睨みつける。対する相手もこちらを見ている。相手は動きを止められていたとはいえ、全くの無傷の精霊を一撃で屠ったような怪物。士道が恐怖を感じない筈などない。極限状態に置かれて足は岩のように重く一歩たりとも動かない。先ほどの紅い閃光も含めて相手の攻撃から琴里を護れるのはたったの一撃。その一撃の間に奇跡が起こらなければならない。その方法は士道にはわからない。もはや、運を天に任せる他にはなかった。

 

 

「グオォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

 

ついに、相手が動き出した。その時間は一瞬だったのかもしれない。でも、剣の達人がある領域に達することで相手の動きがゆっくりに見えるように猛烈な速さでこちらに迫ってきているということは感じていた。しかし、それに合わせて体が動くことはなく、ただその運命を受け入れろという風にも士道は思えた。

 

 

どういう心境なのかは分からないが、狂三も危険だと判断してあの怪物に向けて銃弾を撃ち込んでいる。それでも、亜音速程度で進行している鉛玉では届かない。それどころか、全く避けるという動作さえもしていない。

 

 

そして、ついに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ガァァンンン

 

 

金属同士がぶつかる甲高い音はした。士道の持っている戦斧と相手の双腕に融合している双剣と火花を散らしている。なのに、士道の体は吹き飛ばされてはいない。

 

 

「何してんのよ! こ…このバカ兄ッ!!」

 

 

「琴里…琴里だよな…よかったッ!」

 

 

士道が相手の一撃を受け止めきれたのは、不死鳥のように炎が上半身の失われた体組織を再構築して再生した琴里が後ろから支えてくれたからである。もし、士道がその一撃をダイレクトに受けたのなら、体がパーツごとに斬り揃えられていた。

 

 

「さっき言ったでしょ、今の士道は簡単に死んじゃうんだって」

 

 

「ごめん、無茶をした」

 

 

今、頭に結われているリボンは黒。その状態で琴里が涙を流しているのを見るのはこれが初めてだ。自分がしている行動はそんなにも琴里を心配させている。決して褒められる行動などではないのかもしれない。だけど…

 

 

「妹を護るのは、お兄ちゃん以外に誰がいるんだ」

 

 

「…別に怒ってはないわよ……感謝しなきゃいけないのは私の方だし…」

 

 

「ん? 最後の方何て言ったか聞こえなかったけど?」

 

 

「!? 別に何でもないわよ。それよりも、今はこの状況をどうにかしないといけないでしょ」

 

 

「そうだな」

 

 

今まで押し込まれていたところから、反転して攻勢に出る。

 

 

「「うおおおぉぉぉぉぉぉおおおぉぉぉぉぉぉ!!」」

 

 

徐々に…徐々にだが、戦斧が双剣を押しかえている。一度絶望のどん底へと叩き落されたのは事実だ。だけど、そんなことがあっても、希望の扉を開くことができる。それを証明することができる。そう思ったときだった。

 

 

「え?」

 

 

今までそこにいた双剣の怪物がいない。そして後ろにいる琴里の間の抜けた声。それは、琴里が怪物に噛まれている(・・・・・・)ことを意味しているのだった。




精霊図鑑ゴールデン


一護「ようやく終わったー」


士道「終わったって、何が?」


一護「これだよ、これ」


士道「ゴッド○―ター2 レ○ジバースト いつの間にか新作出てたんだ。っていうか、兄貴買ってたのか」


一護「まあな。そういう俺も殿町が発売1週間前に教えてくれて、それで買ったんだけどな」


士道「へぇ、そうなんだ。てっきり殿町はギャルゲーしかしないと思ってただけどな」


一護「俺もそう思ってたけど、あいつは流行に乗ってるだけだと思うぜ。…ドン観音寺がこっちに来たらハマりそうだな」


士道「ドン観音寺?」


一護「別に気にしないでくれ。ただの霊媒師だから」


士道「そんな変な名前の霊媒師がいるんだ…」


七罪「一護、私と素材集めにいくわよ」


一護「おう、いいぜ」


七罪「オロチ+99いくわよ」


一護「なん…だと」


士道「それにしても、七罪ってどんなゲームでもやってるよな。一体毎月いくら使ってんだろ?」

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