デス・ア・ライブ   作:月牙虚閃

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約半年も放置してしまい申し訳ありませんでしたorz
来年春から就活生なのもので、最近は就活の準備や公務員試験の講座を受けていたもので時間が中々取ることが出来ず、こうなってしまった次第です。恐らく次回の更新もかなり遅れるかもしれないです。更新速度がかなり遅い今作品ですが、これからもお願いします。


lightning speed phantom closed clock x2-x5--x10

「全力で来いよ。俺がお前の全てを受け止めてやる」

 

 

「それならば、お言葉に甘えさせてもらいますわ」

 

 

ついさっき、一護を飲み込まんとしていた影が今度は狂三の周辺に生じさせた。先ほどと同じように白い腕が伸びる。ここまではさっきと同じだ。だが今回はその白い腕が伸びている本数が全然違った。狂三を取り囲むように伸びている腕は数百は下らない。

 

 

「すげぇ数だな。小っちゃい町の人口ぐらいはあるんじゃねぇか」

 

 

「これでもまだ一部ですわ。これだけの人数を相手にするのは一護さんでも厳しくて?」

 

 

「さ、どうだろうな。でも、狂三が本気っていうのは伝わって来たぜ。確かに厳しくなるかもしれないけど、どんなことになろうがこれは俺が勝たなきゃいけない戦いだ」

 

 

「その言い方には気が障りますけれども、一護さんがわたくしを救ってみせると妄言をおっしゃる限り…」

 

 

 

最後まで言葉を言い終える前に視界からその姿を消した。その直後に最初に生み出した影から数多の分身体が現界する。視界を覆い尽くす同じ表情・出立ちの狂三の群れ。これが最悪の精霊といわれる狂三の真の姿。

 

 

「こいつらが狂三の背負っている思いの数か」

 

 

今まで背中で事の顛末を見守っていた自分の現身をその手で握った。いつもと同じように戦いに覚悟を決めると、一護の纏う空気と霊圧が一気に鋭いものとなる。刀を抜くというそれだけの動作だけで目の前で相対している数の上では有利な狂三の分身体たちは顔を強張らせる。まるで、底の見えない沼のように自らが相手に取り込まれるような感覚。絶対に一護のひとつひとつの動きを見逃がしてはならない。それだけで、勝負が決まってしまう。

 

 

「ふぅ…いくぜ」

 

 

「ッ!」

 

 

一護が予備動作なしで先に狂三の集団へと飛び込んだ。それとタイムラグがほとんどなしでその場から飛び退く。分身体たちには一護とは真正面から戦ってはいけないということは重々と承知はしていたが、それ以上に非常に嫌な感じというような直感のレベルで飛び退くという判断を下した。

 

 

ドォォォォォオオオンンンンンンン

 

 

「こんなッ!」

 

 

狂三の嫌な直感と言うのは的中していた。一護が振り下ろした一振りの斬撃だけで剣気が空気を斬り裂いた。ほぼタイムラグなしで飛び退いたというのに数人の分身体が巻き込まれ跡形もなく消滅した。正直なところ、あの白い怪物が現れた時点で退いた方が良かったのかもしれない。そこまでの間でも相当数の分身体を消費させてしまったし、万全な状態ではないのに戦いになぜ臨んでしまったのか。

 

 

「まだだぜ」

 

 

刃を翻して振り下ろした刀を今度は上空に向けて振り上げる。上空へ一閃が駆けて、天球に逃れていた狂三の分身体を薙いでいく。一閃の軌跡は天空の彼方へと向かっていき、厚い雲を散り散りにした。

 

 

(上空に展開していたわたくしたちをこんなにもあっさりと…しかし、まだ勝機はありますわ)

 

 

一気に片を付けようとして大振りで刀を振った故に、一護の重心は後ろ傾いてすぐには動けない。これは決定的なチャンス。この機を逃してしまえばチャンスはもう巡ってこないのかもしれない。ここで狂三は自分自身が飛び出していくことに決めた。上空で分身体として紛れていた中から一護の背後とるために一気に加速する。

 

 

「!」

 

 

(もう、わたくしに気づいたんですの!? ですけれども、今気づいたところでもう遅いですわ)

 

 

一護が狂三の接近に気づいた頃には、もう既に撃てばほぼ必中の距離までに差し迫っている。隔絶した戦闘能力を持っていたとしてもこの距離なら物理的に回避不能。自らの力の糧にするために、早なる鼓動の中で引鉄を引く。

 

 

それに従って炸裂音と共に時の魔力に包まれている銃弾が発射される。銃弾の名は七の弾(ザイン)。どのような相手でも時間を止めてしまえば無意味。正面からぶつかれば勝ち目のない相手でさえも打ち倒せる。その弾丸が一護の吸い込まれていく…はずだった。

 

 

「!? 消えたッ?」

 

 

弾丸がもう少しで触れるというところで目の前で在った一護が掻き消えた。突然のことに頭で理解できないことで一杯になるが、今はそのことで混乱するときではない。とにかく、一旦体勢を整えなければ。

 

 

ドオッ

 

 

背後から途轍もない風圧が背中を打ちつける。振り向かなくとも分かる。この圧倒的な圧力と存在感、紛れもなく一瞬前まで目の前にいた彼。そして、ギラリと鈍く輝く光。確実に刀を振り上げられている。刃を振り下ろされれば終わりだ。

 

 

(…こんなところで倒れるわけには…いきませんわッ!)

 

 

「わたくしたちッ!」

 

 

背後を晒している本体の狂三を庇うように十数人の分身体が飛び出る。それと間もなく刃は振り下ろされ剣圧で分身体ごと吹き飛ばされた。さらに、分身体の壁だけでは剣圧を相殺するには足りなかったらしく、体が強制的に回転させらてしまった。

 

 

「ぐっ」

 

 

体が回転している最中、空中に漂っている分身体のボロボロとなった霊装の合間から一護が自分に迫っていることは確認できた。かなり体勢が悪いが、間近で刀を振るわれてまだ生きているほうが奇跡である。この生き永らえた奇跡を再度弾丸に込めて撃ち放つ。

 

 

弾丸はしっかりと一護を捉えている。さらに、弾丸と一護は真正面から相対しており相対速度が尋常ならざる速度である。不安定の体勢から攻撃に転じたということもあり虚を突かれた。これらの要素が重なり合い、一護は弾丸を回避するという手段ではなく防御(・・)するという手段を取らざるを得なかった。

 

 

そして銃弾を真っ二つに切断した瞬間、一護は完全に動きを止めてこの世の摂理から外れた存在となった。

 

 

「ぐっ…何とか止められましたわね」

 

 

地面に打ち付けられて体を1回転したところで吹き飛ばされた勢いをようやく止めることができた。空中にとどまっている一護を見て、頬の口角を上げた。ついに、一護を食べることが出来る。そのせいか、これまでと比較にならないほどの興奮を感じている。だけれども、この興奮には本当にそれだけなのかと不思議に思う冷静に分析する自分もいる。確かに膨大な量の霊力を蓄えている一護を喰らうということは存在をしってからずっと望んでいた。しかし、それ以上に一護を打ち倒すことでこの世界に弾圧されたずっと昔に忘れた何かを達成できようとしている自分という存在で証明されたのか、食べるということ以上にとにかく感覚的に気分が高揚している。

 

 

「きひひひひひひっ、。これでわたくしの念願を叶えることをできますわ! さぁ、わたくしたち、この悲願に立ち会ってくださいまし」

 

 

本体の狂三の呼びかけに答えて、空中に漂っている一護を囲んで並び立った。そして、一護の周囲を囲んだ狂三たちが一斉に歩兵銃を一護に向ける。AST又は通常の精霊ならば蜂の巣することができる。だが、一護を相手にするにはこれぐらいやらなければ足りない。

 

 

「これはわたくしの終わりであり、新たなる始まりですわ」

 

 

全員が引き金に指を当てて、そして一気に引き絞る。それで、弾丸が発射されて命を刈り取る筈であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなもんで、終わってたまるかよ」

 

 

「「「!?」」」

 

 

(まさか…七の弾(ザイン)の効果が効いていないのですのッ!?)

 

 

狂三は確実に七の弾(ザイン)を自分の時間を込めて撃った。その効果で、さっきまでは一護の動きは完全に止められていた。だから、今もその効果は続いていなければ可笑しい。それなのに、一護はこうして狂三の時間の拘束が無いかのように振舞ってみせる。

 

 

「さっき、言ったろ。お前を救ってみせるって。だから、狂三に時間を止められようが、ここで倒れるわけにはいかねぇんだ」

 

 

「なんで、そんなにもわたくしを…」

 

 

「なら逆に聞くけど、こんな不利な状況で何で一度もこの場から離れようとする素振りを見せないんだ?」

 

 

「それは…」

 

 

すぐに言葉を返すことが出来ず、口ごもる。一護の指摘通りこの場から離脱するという選択肢はあり、一の弾(アレフ)を使えばそうできたのかもしれない。そんなことは、狂三自身がよくわかっている。

 

 

「お前の抱えているモノを俺にも分けてくれねぇか」

 

 

「だから、結構「お前自身、一人でどうにかしようということに限界を感じてるんじゃないか」」

 

 

これまで一護は何度か精霊と会話し時には刃を交えたことがあった。それは対話をするのに必要なことであり、一度も相手に刃を向けるということに罪悪感を感じたことはない。それは、今回も一緒だ。

 

 

死神と刃を交わせば、その死神が思っていることがわかる。精霊と相対すれば何を望んでいるのかがわかる。そして、その思いが凝縮されている存在が何かというのかを。

 

 

「俺と士道に出会う前の十香はこの世界に放り出されて訳も分からない状態で理不尽な暴力にさらされた。この世界の人間に否定され続けて心は荒んでいっただろうな。けど、その苦しんでいる中でもきっと否定され続けてきた世界を打ち砕く存在を願ったのかもしれない。だから、そんな下らない世界を壊す願いの剣を手に入れた」

 

 

「一護さん、一体何を…」

 

 

狂三には一護が何を言わんとしているのか、まだわからない。けれども、一護はそのまま続ける。

 

 

「四糸乃は誰かが傷つくことが嫌いだ。それは、自分自身に暴力を振るわれる以上に誰かが苦しんでいる人がいたら、そいつら以上に心を痛めてる。自分の精霊の力がとても強大で弱い自分で抑えられることができなかったから、憧れの存在のよしのんと誰も傷つかないように氷の盾を望んだ」

 

 

 

少し間を空けて、狂三から顔を逸らして下の方に視線を向けた。校舎から出た琴里を抱えた士道が走っている姿を見かけた。ほとんどの人が地下シェルターに避難している今なら、すぐにフラクシナスが回収してくれるだろう。そして一護は校庭に向けた視線を狂三に戻した。

 

 

「そして、さっきまで狂三が戦ってた琴里。5年前から、好きな士道に心配を掛けたくなくて、士道の前だけでも強い自分でいたかった。そのための力、炎を手に入れた。だけど、その炎が原因で士道を傷つけちまった。それが、琴里にとって他の出来事が下らないと思えるぐらいショックを受けてたな。だから、強い炎の力を手に入れた同時に士道を治すための再生の力も手に入れた」

 

 

「その話が…わたくしとどう関係があるんですの?」

 

 

「分からねぇか…狂三の時間を操る力っていうのは、過去に遡ることも出来るんだろ。なら、過去に何か取り返しの出来ないことが起きて、それをなかったことにしようとしてんじゃないのか」

 

 

「ッ!?」

 

 

「だから、時間というもの、世界と言うものに裏切られ続けて誰も信用出来なくなっちまったんじゃないのか?」

 

 

「それなら…一護さん、あなたはこの逆らいようが無い世界に抗うことが出来ますのッ!?」

 

 

 

「出来るか、出来ないじゃねぇよ。抗わないといけないなら、何度だって立ち上がってぶち壊してやる」

 

 

「そんな出鱈目なことを…」

 

 

「出鱈目かどうか試してみるか? それなら、お前の持ってる分身体を俺が全部倒してやる」

 

 

「本気ですの…」

 

 

「本気も何も…その分身体達は狂三のある一時期を表した存在なんだろ。自分の辿った記録の中にどうしようもない絶望が埋め込まれてるんだったら、それを壊すのが俺の役目だ」

 

 

「…いいですわ。わたくしの全戦力をもってお相手させていただきますわ」

 

 

「それなら良かった。じゃあ、俺も本気をだして戦わねぇとな」

 

 

 

―――ドォォォォンンンンン

 

 

狂三はほんの少しの間、全身の力が無くなってまるで意識を失ったかのような感覚に陥った。肉に爪を食いこませて何とかこらえたが、上から押さえつけられている重圧で立っているのがやっとだ。恐らくこれは一護が分身体の拘束を振りほどくために使った霊圧だろうが、先ほどまでと明らかに質が違う。

 

 

「黒い…霊圧…」

 

 

ずっと一護が体から垂れ流していた青い霊圧の他に黒い霊圧が斬月から溢れだしている。狂三が質が違うと感じたのはその黒い霊圧。そこに在るだけ息苦しくなる。これでは先ほどの白い怪物と同じ。一護が自分の力について語っていたのは死神の力だけ。その他には何も述べていない。死神の力が青い霊圧だとすれば、黒い霊圧は何なのかという疑問が湧き起こる。だが、そんなことを考えている余裕はない。

 

 

「これが俺の本気だ」

 

 

尚も黒い霊圧が増大している。いや、それだけではなく、一護が元来使っている青い霊圧も同じようなペースで増大。その霊圧の規模は一護が存在しているだけで周囲の物質が砂のように消滅していっている。もし、この周囲に一般の人がいたのならば魂が押し潰されかねない。その暴力的な霊圧を放っている一護はある言ノ葉を発した。

 

 

「卍解」

 

 

次の瞬間、全てが黒く塗りつぶされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数秒後、視界を埋め尽くす黒が斬り払われた。それと同時に黒に染められる前の世界とソレ(・・)を見つけた。ソレは異質、そして無。茫然とする狂三に向けてソレは名乗った。

 

 

「天鎖斬月」

 

 

黒を振り払って姿を顕したのは一護。しかし、その出立ちは先ほどとは大幅に変わっていた。黒い和服姿は一護の体の形にフィットさせた漆黒のコートのような外套と袴。両腕に刻まれた刺青のような紋章はコートの上から白い装甲となっている。そして何よりも狂三が目を引いたのは刀。巨大な大太刀の形状だったものがコートと同じ漆黒の日本刀へと変化を遂げた。その峰が波打った日本刀は刀について深くは知らない狂三でも触れただけでも体が容易に真っ二つになることは想像できた。

 

 

(だけれども、わたくしがその刀に触れなければいいだけのこと)

 

 

先ほどまでの一護の戦いを見ていれば、ほんの一瞬の速さでいえば一護の上だが全体的には時間を早めている狂三の方が速い。冷静に攻め続けていけば大丈夫…なはず。だが、一護がこの形態になってから何も感じなくなっている。それが不気味で攻められずにいた。

 

 

「見えてるぜ」

 

 

「わたくしたちッ!?」

 

 

迂闊だった。経験の浅い時間を切り取った自分の分身体達からすれば、急に一護が力を失ったと感じる者もいるだろう。だが、それは違う。それを言う前に分身体達は一護の日本刀が届く間合いに入ってしまった。

 

 

「「「いただきましたわ」」」

 

 

「必ずお前らが抱えていたものを乗り越えられるように…」

 

 

「「「え?」」」

 

 

一護の間合いに入っていた20体近くの分身体が肢体をバラバラにされていた。一人で大人数を葬り去れるということも重大だが、それは前から分かりきっている事実。それ以上に問題なのが、時間を早めているはずの狂三が一護の斬撃の瞬間を目で捉えられなかった(・・・・・・・・・・)ことである。

 

 

「どうした」

 

 

「!?」

 

 

後ろに回り込まれていた。気づいたら、もうそこにいた。もう遅いのかもしれないが次なる斬撃を避けるためにその場を飛びのいた。しかし、一護は追撃しようともせずに狂三が飛びのいたのを見るだけ。あまりに舐め腐っているのではないのか。

 

 

「何のつもりですの? 先ほどの瞬間はわたくしを斬る絶好の機会でしたのよ」

 

 

「何度も言わせるなよ。俺は、お前を斬らねえ。斬るのはお前の抱えている絶望だけだ」

 

 

「…」

 

 

やはり、一護の思いは揺ぎ無い。どんなに突き放すような言葉を使っても一護の心を折ることができない。言葉で伝わらぬなら、全戦力を以って命で解らせる。

 

 

刻々帝(ザフキエル) 一の弾(アレフ)

 

 

「来たか」

 

 

言葉を漏らした一護。時間を早められた分身体に対して言った。正面から真っ直ぐに詰め寄られているにも関わらず、ゆっくりと前に歩を進めているだけで特に他には動作はしていない。そのことを認識した狂三の分身体は一護の莫大な霊圧に耐えながら一護の頭上をとった。そして、本物の狂三が持つ歩兵銃と同じものの銃口を一護に突きつける……が、もう既に首から上と下に斬り取られていた。

 

 

だが、狂三はここで手を止めるわけにはいかない。常に先手を取り続けていないと一護に攻められるチャンスを与えることになってしまう。このままの状態が続いてしまえばじり貧だということは分かっている。どうにか、狂三には自分の寿命を食い潰して一護を斃す方法を見つけることしか残されていない。

 

 

「…っ!? 今度はなんですのっ! あなたは一体何者なんですの!」

 

 

一護の青白い霊圧と赤黒い霊圧はこの世界にいる狂三にとっては異質な存在。それでも、狂三を含めた精霊の持つ霊力に近いところはあった。だから、その霊圧の存在は何とか飲み込めた。けれども、たった今一護の地面は霊圧とは全く違うものだ。得体のしれないものが渦巻いていることが、根源的な恐怖を煽っている。

 

 

「きゃっ!」

 

 

突然の感触で思わず普段は決して出さないような声を出してしまった。その感触を与えたものは一護の足元で渦巻いたソレである。一度絡みついたソレは急速に狂三の肌を侵食していく。

 

 

「安心しろ。今、出来上がろうしているもの(・・・・・・・・・・・・)は狂三に危害を加えるようなものじゃねぇ。ただ、俺たちが本気で戦えるように作り替えられるだけだ」

 

 

ソレは一護と狂三の全てを侵食し、尚もその範囲を広げ校舎の屋上全体を球体で覆いかぶさるような形で飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一護…卍解を使ったのか。どう考えても実力的には卍解を使う必要はなかったはずだが」

 

 

屋上で展開された球状のソレを横目で見ながら|この世界に引き込まれた大量の虚を掃討しながら呟いた。そう、今のウルキオラのように過去の自分も一護の行動についてそう即断していたのであろう。でも、今回もそのように考えているはずなのに何故だか一護のその行動はまた一つの答えだと感じてしまう。

 

 

「力の差があるとかないとかじゃなくて、使わなければいけない戦いがあるっていうことぐらいわかり始めてるだろ。一護くんと全力で戦ったことがあるお前なら」

 

 

「…」

 

 

スタークの言葉に何も反応せずに黙々と襲来する(ホロウ)を斃していくウルキオラ。この一護の行動も心を持ち合わせている故の行動。頭では理解できなくても、感覚で納得できるようになったのは自身が人間に近づいた証なのであろうか。

 

 

「精霊の方は一護くんに任せておけばどうにでもなるとして…だ」

 

 

「そうだな…この(ホロウ)がどこから来ているのかが問題ということだな」

 

 

今、襲来している(ホロウ)は元々いた世界から来ているというのは確実だ。それは(ホロウ)の存在が他の世界にはいないからだ。それは崩玉からもたらされた情報からわかっている。問題は元の世界(・・・・)のどこから来ているのか、ということ。

 

 

「とても嫌な感じだ。(ホロウ)ども斬る度に俺が生まれた頃の記憶が蘇ってきやがる」

 

 

「…」

 

 

スタークはいつもと違う(ホロウ)を斬った感触に戸惑い、ウルキオラは無言を貫き通しながらも刀を持っていない方の手を身体の調子を確かめるかのように開閉させた。今のウルキオラの身体の感触は通常の時ではなく、力を完全解放させたときのそれと近しい。

 

 

「さっさと、塵ども斃すぞ」

 

 

「へいへい、そうしないとここに居づらくなっちまうからな」

 

 

空間を裂きながら続々と押し寄せてくる白い仮面の()はこれから最上級大虚の破面(化け物)の蒼と翠の閃光が蹂躙されることを知らない。




デンデンデデデデデーン、デーンデーンデーン

朝まで精霊テレビ

士道「何なんだ、これ?」

琴里「名前通り、朝まで討論をやるのよ」

士道「某テレビ番組のパクリじゃねぇか!?」

二亜「パクリはいけないなぁ、少年。作品というのはアイデンティティーが大事なんだから」

士道「いや、パクったのは俺じゃないし。っていうか、二亜はここに出ていいのかよ?」


二亜「何を今更。ここは、色んなものをブレイクする空間。そんなことも知らなかったのかな、少年」

ギン「そうやで」


「「「「!!??」」」」


ギン「だから、原作で死んだボクもここでなら生きていけるんや」


((((残念な人だ…))))


ギン「さっそくやけど、今日の議題はこれや。『七罪、後書きコーナー出過ぎ問題』


((((ぽかーん))))


七罪「この変なのを呼び寄せたのも、皆をこんな変な空気にさせたのも私のせいなのよ。とりあえず死んできますorz」

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