孤高の白髪鬼~銀狼と鮮血嬢、魔女を添えて~   作:鎌鼬

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第21話

 

 

エレオノーレの指揮下の元で作戦が開始される。武器はすでに整備、配布済み。ドイツ軍が下水道に関わった人間から強引にだが下水道の設計図を摘発しているので下水道の構造と出入り口も把握している。それにドイツ軍の動きに気づいた住民たちが地下で何かある事を察知し、設計図には無い風化などで出来た下水道への出入り口も確認している。

 

 

これもひとえに住民と交友的に接してきた憲兵たちのお陰なのだがエレオノーレは頑として認めようとしなかった。まぁ認めたくない気持ちはわからないでもない。

 

 

そしてドイツ軍が動き出してから30分後、突撃の役割を命じられていた兵士たちが我先にへと下水道に突入していった。

 

 

「突撃ぃぃぃぃぃぃーーー!!」

 

「「「「「オォォォォォォォォォォォーーー!!」」」」」

 

 

地下の暗がりをライトの明かりで照らしながら軍靴の音を響かせて下水道を駆け抜ける。下水道特有の悪臭や湿度など気にならない。そんなものよりも自分たちの、民の足元に薬物をばら撒いている輩がいる事が不快で堪らないから。

 

 

突入してから数分は順調だった。しかし隠密では無く殲滅を目的としているからか兵士たちの突入は早々に永夢薬(えいむやく)桃源郷(じごく)に溺れていた中毒者たちに気付かれることになる。

 

 

永夢薬(えいむやく)によって理性をそぎ落とされ、欲望を増大させた中毒者たちはもはや人間では無く獣に近い思考を持っていた。

 

 

何かが来た、同族の気配ではない、なら敵だ、敵を殺せ、この桃源郷(らくえん)を守れ。

 

 

誰に指示されるわけでもなく自分たちの意思で中毒者たちは兵士たちを迎え撃とうとする。その中にはヴィルヘルムたちが戦った重度の中毒者も数多くいた。製作者の目的とは違った効果ではあるが中毒者たちからしたら永夢薬(えいむやく)も救済の薬なのだ。苦境に苦しんでいた自分たちを桃源郷(らくえん)にへと導いてくれた薬。ようやく得た桃源郷(らくえん)を壊そうとする者が現れればそれを排するのは当たり前のことだ。

 

 

ズルリズルリと、まるで亡者の様に歩みながら中毒者たちは下水道を徘徊する。そうしてーーー兵士の戦闘が中毒者たちと接触した。

 

 

「アァァァァァァァァァァーーー!!」

 

 

もう人ではない雄叫びを上げながら中毒者は兵士に近寄る。武器など持たぬ、扱う知性すら投げ捨てた中毒者たちは近づいて組み付き、噛み付くくらいの攻撃しか出来ない。だが永夢薬(えいむやく)の影響で脳のリミッターが外れ、重度になれば痛みを感じないと言うのは恐ろしいものだ。組み付かれれば武術の心得でも無い限りは逃れる事が難しく、いくら攻撃しても怯まずに進み続ける。もはやそれは神話に登場する不死身の軍団に近い……まぁそんな上等なものでは無いのだが。

 

 

しかし、忘れるな。ここにいるのは軍人だ。国の為に、守るために、人間を殺すという宿業(カルマ)を背負う覚悟が出来ている集団なのだ。中毒者たちの事など知っていて、そもそも中毒者を人間として認識していない彼らが薬物中毒者など恐る訳がない。

 

 

「後退しつつ整列ーーー撃てぇぇぇぇぇ!!」

 

 

中毒者たちと接触した部隊の隊長の指示に従い後退しながら下水道に横一列になる様に整列し、斉射を開始する。銃口からマルチパルスと共に鉛玉が勢い良く発射されて前に進む事しか知らない中毒者たちを穿っていった。

 

 

中毒者に対するドイツ軍の対策というのは、近寄らずに遠距離から銃を撃つという事だった。単純過ぎるかもしれないが中毒者たちの怪力は恐ろしい。奇策を衒って一か八かを狙うよりも堅実で容易で安全な策をとる事は当たり前のことだ。

 

 

吐き出された鉛玉が中毒者たちの足を、腹を、腕を、頭を貫く。斉射は認識出来ている中毒者が全員倒れるまで続けられて、隊長から辞める様に指示を出された時には芋虫の様に地べたに這いつくばっている中毒者だけの状態だった。

 

 

「抜刀!!」

 

 

続く隊長の指示は軍刀の抜刀。それに隊員たちは従い腰に下げていた軍刀を抜き、地べたに這いつくばっていた中毒者に群がって突き刺した。狙う箇所は手が無事なら手から、そうでなければ内臓、肺、心臓、喉……人体の急所を情け容赦無く殺意を込めて貫いていく。

 

 

動けなくしてから集団で殺すというのは単純ではあるが非常に効率の良い手段だ。ただ殺すだけなら頭を撃てば良いのだが下水道の暗がりと亡者の様に迫る事の恐怖からそれは難しいと考えられた。そこで考えられたのがこれだ。

 

 

まず中毒者に接触したら特に狙いを定めずに斉射を行う。これで死ねばそれで良し、死ななくとも立てない状況にすれば囲んで殺すのは容易い。兵士たちの安全と中毒者を殺す効率を考えての手段だった。

 

 

「死ね!!死ねぇ!!」

 

「好き勝手やってんじゃねぇぞ!!」

 

「おかしな薬ばら撒きやがって……この野郎がぁ!!」

 

 

軍刀の突きと共に吐き出される罵詈雑言は兵士たちの本音だ。国に、住民に危害を加えようとした、そうなる可能性を持った中毒者を許せないのだ。

 

 

だから殺す、必ず殺すというの必殺の意思を込めながら全身を滅多刺しにされながらもまだ息のある中毒者に軍刀を刺す。

 

 

薬の影響で信じられない生命力を発揮している中毒者たちだがそれでも数分刺し続けられた事でほとんどミンチになってしまえば生きていられない。それを見届けた隊長も僅かながらに胸がすくような気持ちになりながら隊列を整えるように指示を出す。さり気無くさっきまで中毒者たちを刺していた者たちを後列にやった辺り隊長の気遣いが見える。

 

 

そうして彼らは進行を再開した。胸の内にある怒りと殺意を煌々と燃やしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






ドイツ軍による中毒者メタ

・まず銃を乱射。狙いは定め無くても良い。
・動けなくなったら抜刀。
・囲んでリンチ。ひたすらリンチ。
・死んだら次の獲物を求めて徘徊。

……ほんまドイツは地獄やでぇ……!!

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