一条家双子のニセコイ(?)物語   作:もう何も辛くない

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ゴールデンウィーク中、執筆に充てた時間―――――――0!

いや、親戚が遊びに来たりしてたんでしょうがなかったんです。

…まあ、平成終わるまでにクリアしたいと思ったゲームに嵌って二週目に突入したのも原因の一つですが。

間が空いて、申し訳ない。m(_ _)m

という事で今更ですが令和最初の投稿です!


第100話 カップル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

喫茶店の席に対面で座り、パンフレットの地図を見ながらどこを回るか話し合う。

テーブルの端にはすでに空になった、それぞれが頼んだ料理の皿とコーヒーカップが置かれている。

 

喫茶店に着くまで話したもののどこを回るかは決まらず、じゃあまずは昼食を食べてからにしよう。食べながらそれぞれ考えようという事になっても、食事中は思いの外会話が盛り上がり、考える暇すらなかったという。

 

結果、食べ終えてから改めて話し合いが始まったのだが―――――――

 

『小咲はどこか行きたい所見つけたか?』

 

『え、えっと…。陸君は?』

 

『…』

 

話し合い終了。

昨日の内にここの所まで詰めておけば良かったと後悔するも遅く、時間だけが過ぎていく。

 

「…うし、決めた」

 

「陸君?」

 

そして、陸はもう苦肉の策に出る事にした。

 

「まずは映画を見よう。そんで映画を見てからは…、行き当たりばったりでいく」

 

「え?」

 

「どうせこうして考えてても決まんねぇんだ。なら行動するしかねぇだろ。こんだけ広いんだ。適当に回ってたら興味を惹くもん見つかるだろ」

 

るりなんかに聞かれたら呆れられそうだが、もうこれしかない。ここにはゲームセンターもあるし、これでも選択に困るようなら小咲と一緒にゲームしまくるのも―――――――あれ?案が良いかもしれないぞ?小咲とゲーム…、そういえばいつ以来だろうか。

 

「うん、そうだね。でも…、その前にね?」

 

「ん?」

 

小咲は笑顔を浮かべて頷き、了承してくれた。その様子からは不満などは感じられなかったが、何やら心残りがあるようで。小咲は首を傾げた陸にこう続けた。

 

「一回、クリスマスツリー見に行かない?」

 

「…あぁ、そういえば」

 

イルミネーションが始まるまではまだあるとはいえ、小咲の言う通り一度ツリーを見に行くのも悪くない。陸と小咲は建物に入ってからそのまま飲食店が並ぶエリアまで来たため、まだツリーがある中庭には行ってないのだ。

 

「じゃあ一度中庭まで行くか」

 

「うん!その前に、食器片付けないとね」

 

とりあえずの予定を決めた二人は席を立ち、会計を割り勘で済ませてから中庭へと向かう。中庭は今いるエリアから少し離れた所にあるが、同じ階層に位置している。パンフレットに描かれた地図をたまに覗きながら、道を間違えないように進む。

 

ツリーがある中庭は周りがガラス張りされた空間になっていた。ガラスを通して見える空は待ち合わせした時よりも少々曇っており、日差しが辛うじてここまで届くといった空模様だ。

 

そして中庭の中央に存在するツリーは、それはそれは大きく、陸と小咲が見た事のない程のサイズだった。

 

「おっきぃねぇ~~~…」

 

「すげぇ貫禄だな…。樹齢何年だよこれ…」

 

小咲は感嘆の声を上げ、陸は呆然と呟きながら二人はツリーの天辺を見上げる。

ツリーの天辺には定番である星のオブジェが飾られ、そこから大量のライトや装飾が施されていた。まだ周りが明るく、ライトも点灯してない状態だが、確かにこういった装飾等に疎い陸でも、点灯した状態を見てみたいと思わせる程見事な光景だった。

 

「…イルミネーションは八時からの五分だけ。絶対に間に合わないとな」

 

「うん。でもそれまでは…、楽しもうね」

 

ツリーを見上げていた視線を下ろし、隣の小咲へ、陸へと向けて互いに微笑み合ってから、その場を離れる。

 

「じゃあ…まずは映画でも見るか?定番過ぎるかもだけど」

 

「うん。えっと…映画館は…」

 

映画館の階層までエレベーターで、そして凡矢理シネマまで来た二人は今日公開されているスケジュールを見ながらどの作品を見るか話し合いを始める。

 

「小咲はどれが見たい?」

 

「えっと…、陸君は?」

 

とまあ話し合いを始めたは良いものの、どちらかというと相手を立てる性格をしている二人が話し合ってもこうなるだけである。そして陸自身、こうなるだろうなと予想していたため特に動揺もせず、とりあえず一通りの作品を眺める。

 

「…あ」

 

「ん?どれか見たい作品でもあった?」

 

「え?あ、いや…。ニャックやってんなーと思って」

 

ふとある作品が目に留まり、つい漏れた声を小咲は聞き逃さなかった。陸に問いかけると、陸は一瞬視線を揺らがせてから、可愛らしい猫が自由の女神像の近くを歩いているアニメ絵を指差しながら答えた。

 

「へぇ~…。陸君ってこういうの見るんだ?」

 

「いや。楽が見たがってたなって思い出しただけなんだ」

 

「え?一条君ってこういうのが好きなの?」

 

「あぁ。楽は動物系の映画が一番好きみたいだな。…小咲は?こういう映画は好きか?」

 

「…うん。動物系の映画は私も好きだけど…、陸君は見たい映画あったんじゃない?」

 

誤魔化せたと思い油断した瞬間、小咲はどこか確信を持ったような表情を陸に向けて問いかけた。

 

「…何で?」

 

「だって陸君さっき、ニャックの紹介絵の方見てなかったもん」

 

「…」

 

何故ばれたし。小咲の勘が鋭くなりすぎててちょっと恐怖を感じる陸だった。

 

「…これ」

 

「…これって」

 

陸が指差したのは、とあるヒーロー映画。二年前からシリーズが始まった三作目。アメリカで撮られた作品だが、日本でも爆発的人気を誇っている作品である。陸もシリーズ一作品目から魅了された一人であり、この三作品目もいつか時間が出来たら見に行こうと思っていたものだった。

 

ただ今日に限っては別の話だ。ヒーロー映画という事でやはり女の子は見たいと思わないだろう、と陸は考えた。だから真っ先にその作品を選択肢から外したのだが――――――あっという間に小咲に悟られてしまった。

 

「これ、るりちゃんが見に行きたいって言ってたな~」

 

「…宮本ってこういうの好みなんだな」

 

前から女の子らしいというか、そういった趣味から掛け離れているとは思っていたがここまでとは、陸は思わず苦笑を浮かべてしまう。

 

「…それじゃあ、これにしようよ」

 

「…は?」

 

そして一瞬の静寂の後、陸の方を向いた小咲はそう言った。

 

「え、いや…。良いのか?言っとくけど、小咲が気に入りそうな映画じゃないぞ?それにこの映画って三部作目だから、一作品目から見てないと解らない場面とか出てくるだろうし…」

 

「でも、陸君は見たいんでしょ?」

 

「…」

 

何も言えない。また後日に来ればいいとか、そういう風に言えば良かったのに、本心を見透かす小咲の笑顔を前にして口にする事が出来なかった。

 

「それに私も…、陸君が好きな映画に興味湧いたから」

 

「…」

 

言い方がズルい。そういうつもりじゃないんだろうけど、そういう風に聞こえるから性質が悪い。

 

強制的に乱された心を深呼吸をして落ち着かせてから、もう何を言っても小咲は揺らがないと諦め、口を開く。

 

「じゃあ…、これにするか?」

 

「うん」

 

「…後から止めとけば良かったって言っても駄目だからな?」

 

「そんな事言わないよ」

 

結局、陸の希望通りの映画を見に行く事になった。チケットを二人分、ポップコーンは昼食を摂ったばかりなので無し。それぞれの飲み物を購入して、受付近くの休憩スペースで席を取って時間を待つのだった。

 

 

 

 

 

 

◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

 

 

 

 

 

(とんでもねぇ…、何だあの展開。次回が楽しみ過ぎる。来年が遠すぎる。やべぇ)

 

上映時間約三時間。迫力あるアクションシーン、駆け引きをも楽しめる戦闘シーン。ちょっとしたロマンスシーンには小咲が隣にいた事もあり赤面。そしてラストに主人公の親友が実は黒幕だったという予想のつかない展開が次々に陸を襲った。

 

「…どうだった?小咲、面白かったか?」

 

だが陸は途轍もない満足感を得たが小咲はどうだったか解らない。上映中、何度か陸を見ていたからもしかしたら面白くなかったかもしれない。陸は僅かな恐れを抱きながらも小咲に問いかけた。

 

すると小咲は振り返り、そして興奮冷めやらぬといった表情で口を開いた。

 

「うん!凄く面白かったよ!正直最初はちょっと不安だったんだけど…。特に最後の…」

 

小咲とはそれなりに長い付き合いになるが、今まで見た事ないほど小咲は興奮していた。顔を真っ赤にし、目を輝かせながら饒舌に語る小咲に陸は微笑まし…くは思わなかった。

 

「だよな!?まさかあいつが黒幕だったとか…。だってあいつ、一作品目から主人公と一緒に敵と戦ってたんだぞ?それがいきなりああなるとか…」

 

むしろ小咲と一緒に興奮していた。小咲と一緒にこの話題で盛り上がれるとか思わなかったと同時に、それができてどうしようもなく嬉しい。

 

「俺、一作目と二作目のブルーレイ持ってるけど、良かったら貸すぞ?」

 

「え?良いの!?うん!見たい見たい!」

 

「そっか。じゃあ…、次の学校の日か…それか休み中に会える機会があるか…。まあいつになるか解んないけど、約束するよ」

 

あぁ、また一人信者が増えてしまった。作品の罪深さに身震いしながらも、陸は本来の目的を決して忘れてはいなかった。

 

「さて、次はどこに行くか…」

 

「…はっ」

 

小咲はどうやら興奮するあまり本来の目的を忘れかけていたらしい。まあ気持ちは解らないでもないが。

 

「…まあ昼飯ん時に決めた通り適当に回るか」

 

吹き抜けになった空間を見上げながら呟く。来る前から広いとは知っていたが、実際に中に入るとその広さは想像以上だと言わざるを得ない。本来、デートで適当に回るなんてタブー中のタブーなのかもしれないが、むしろこの広さのショッピングモールの中からどこに行くかなんて目的を決める方が難しい。

 

それに、別に全ての時間をただ歩き回る事に充てるつもりもさらさらない。

 

「なあ。小咲って普段どんな所回るんだ?」

 

「私?…う~ん。雑貨屋さんとかかな?後、家具が置いてる所は好きでつい見ちゃうかな」

 

「ふーん…。服屋とかは行かないのか?」

 

「春と一緒の時は行くよ?るりちゃんと一緒の時はあまり行かないかも」

 

「あー…。宮本ってあまりファッションとか興味無さそうだもんな。俺もだけど…」

 

当てもなく歩きながら、小咲と談笑する。

 

「雑貨屋…、家具屋か…」

 

小咲が普段回る所はこの二つ。特に家具屋に関しては好きとまで言ってたからイルミネーションが始まるまでに寄っておきたい。陸は地図を眺めながらルートを整理する。

 

「…じゃあまず近くの雑貨屋でも覗くか。そんで、その次は二階の家具でも見てこう」

 

「え?そ、それじゃあ私の好きな所だけだよ?」

 

「勿論、その後は俺の行きたい所にも行かせてもらう。特にゲーセンは絶対に行くからな。これは絶対だ」

 

戸惑う小咲を押し切り、まずは小咲の行きたい所を中心に回る事に決める。

まずはここから近い雑貨屋に足を向けた。

 

その後、二人は陸が言った通りのルートを回る。

 

「…これ、楽が好きそうだな。買ってくか」

 

「陸君。これも一条君は好きなんじゃないかな?」

 

「…小咲、楽ってそんな爺臭いイメージある?」

 

雑貨屋ではそれぞれ楽、そして春へのちょっとしたお土産を購入したり。

 

「人を駄目にするベッドって…。随分大袈裟に紹介してんなこれ」

 

「そうだね。でもちょっと気になる…っ。っ…っっ…っっっ!陸君これすっごく柔らかい!陸君も触って触って!」

 

(…さっきも思ったけど、小咲ってこんなにテンション振り切れる奴だったんだな)

 

家具のコーナーでは人を駄目にするベッドに小咲が虜になったり。

 

「わぁ~!陸君、猫さん皆可愛いね!」

 

「あぁ、可愛いな。…ごめん小咲、ちょっとツッコませて。何でそんなに動物に好かれんの?」

 

途中にあったペットショップで、そこにいた動物の全てが小咲の虜になったり。

 

ゲームセンターでリズムゲームやシューティングゲームを二人で楽しんだり、女性服の店で小咲に合いそうな服を選んだり。まあその服は小咲が遠慮した事で購入には至らなかったが。

 

 

「…ちょっとあそこのカフェで休もうか」

 

「うん。喉も渇いてきたし…」

 

そんな感じで楽しんでいた二人だが、さすがにノンストップ、休憩なしで歩き回っていたからか、疲れが出始めていた。

 

そんな時に陸の目に留まったのは昼食に立ち寄った喫茶店とは違う店。飲食店が並んでいたエリアとは離れた場所にあった喫茶店は近寄ってみると何故かかなり混んでるように見えた。

 

「いらっしゃいませ!…二名様でよろしいでしょうか?」

 

「はい」

 

「ではお席にご案内します」

 

混んではいたが二人分の席は空いていたらしく、二人は向かい合って座る二人用の席に案内された。

 

席に着いてから店内を見渡せば、店の中にいるほとんどの客がカップルだと解る。中には四人用の席に男の集団が座っていたが、誰もが居心地悪そうな表情をしている。

 

(…てかこれ、俺達もそう見えてんのか?)

 

そしてふと気付く。カップルじゃないとはいえ、男女二人でいるのは事実。周りからは、そういう風に見えているのではないだろうか。

 

「…」

 

何故か小咲の様子が気になってしまい、恐る恐る視線を向けてみる。

 

「…」

 

どうやら小咲も陸と同じ考えに至ったらしい。顔を赤くして、恥ずかし気に俯いている。

 

「…さて小咲、何頼む?ちょっと小腹も空いてきたし、何か食うモン頼むか?」

 

「え!?あ、う、うん!えっと…」

 

メニュー表を開き、二人で眺める。陸はとりあえず飲み物はアメリカンコーヒーに決めているが、何を食べるかはまだ決め兼ねていた。小咲はどうだろうか、と思い視線を向けて、小咲の様子がおかしい事に気が付いた。

 

「…?」

 

小咲は顔を真っ赤にしてメニュー表に載っている何かを見ている。視線を追ってその何かを目にして…、陸も僅かに頬を染めた。

 

「あー…、頼むか?それ…」

 

「え!?え、えっと…その…」

 

これって声を掛けちゃいけないパターンだっただろうか。いやでも別に小咲が頼みたいのなら吝かではないというか。とにかく嫌ではないのだ。小咲が見ていたメニュー、カップル専用パフェを頼むのは。

 

「別にカップルじゃない奴が食べたって逮捕とかされる訳じゃないだろうし。丁度俺達は男女二人だし…。その…、頼んでみるか?」

 

「…えっと、じゃあ――――――お願いします」

 

お願いされちゃったので、もう腹を括る。

一度深呼吸をしてから、陸は近くに店員がいるか見回し、丁度隣の席に品を届けていた店員を呼び付ける。

 

そして陸と小咲の分の飲み物を頼み、カップル専用パフェを注文したのだった。

顔を赤くする陸と小咲を見た店員が小さく笑ったのは気のせいじゃなかった。

 

ちなみに、パフェは美味しかった。ただ恥ずかしさの余り急いで食べてしまい、あまり堪能することは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




おい陸てめぇ、頼みたかっただけだろ!(作者の心の叫び)

はい、タイトル見てアレを期待したそこのアナタ。まだですよ?先走らないでください。落ち着いて下さい。まだだ…まだわらうな…!


という事で次回、最終回!
の、予定

まあ最終回といってもその後にエピローグがあるんですけどね。
なので完結までは後二話の予定です。

>2019 5/11 追記
はい、多分本当にあと一話になりそうです。多分次が最終回です。エピローグなくなると思います。すみません。
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