紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

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お待たせしました。四話の投稿です。


第四話 黄金の剣、悲しみの少女

翼と直人の再会から二日後。

二課の後ろ盾であり理解者でもある、広木防衛大臣が殺害されてしまう。

 

現場には、大臣及び護衛の方々、そして重火器を持ったアメリカ人達の死体が倒れていた。

体は色素を失い、ガラスのように砕け散っていた。

 

 

「ごちそーさん、ハハハ!やっぱりライフエナジーは美味だぜ!」

 

怪人は豪快に笑っていたが、携帯が鳴る。

 

「もしもし?・・・なんだあんたか。あぁ、あんたに言われた通りに食ってやった。しかし、俺も政府の奴を食うなんて初めてだった」

 

 

 

「え、味?・・・・・・旨かったぜ。やっぱりファンガイアはライフエナジー食わないとな!」

 

そこまで言ってから、通話を切ってファンガイアは去って行った。

 

翌日、深夜。二課では弦十朗と了子から、完全聖遺物「デュランダル」の護送任務の説明を受けていた。

 

 

「これより、デュランダル護送任務の説明を行う」

 

「デュランダルは、EU連合が経済破綻した際、その負債の一部を日本政府が負担する事を条件に、日本での管理が認められている物です」

 

 

なるほどなー、とうなずく響。

 

「しかし、移送するといってもどこにですか?ここ以上の防衛システムなんて・・・あるんですか?」

 

 

「永田町最深部の特別電算室・・・通称、記憶の遺跡。そこになった。まぁ、俺たち下っ端はお上の意向には逆らえないさ」

 

 

少々自嘲気味に話す弦十朗。

 

 

「デュランダル護送任務は、明朝五時に開始する!」

 

「名付けて、天下の往来独り占め作戦!高速道路貸し切り状態で、一昔前の暴走族のようにブイブイ言わせちゃうわよ~!

 

そしてサービスエリアを乗っ取って、そこを拠点にして勢力を拡大していくわ!」

 

「「「デュランダル移送任務どこ行った!?」」」

 

「へ?デュランダル・・・何それおいしいの?」

「「「おいぃぃぃ!?」」」

 

 

「あはは・・・了子さん、相変わらずだな・・・」

 

 

直人は了子に苦笑するしか無かった。

 

その後、作戦開始時間。響は了子の運転する車にデュランダルと共に乗って護衛。直人はマシンキバーに乗ってその近くにつく。

 

スタッフの乗る黒車数台に、弦十朗の乗るヘリもつく。

そして遂に作戦開始。

 

作戦通りに高速道路を走りながら、デュランダルを運んでいく。しかし、突然下からノイズが現れ、護衛車を的確に破壊する。

 

 

「あぁ!?」

「出たな・・・」

 

「弦十朗君、この状況、想定していたより早くない?」

 

「あぁ!護衛車のみを的確に狙っているところを見るに、制御されているようだ!」

 

 

「ノイズの制御って、そんなことが出来るんですか!?」

「信じられないけど、実在するみたいね。ネフシュタンの女の子しかり!」

 

 

一方、直人は弦十朗より指示を受け、薬品工場までノイズを誘導することに。

 

「こっちだよ!」

 

直人がノイズの前に出てすぐに方向転換。追いかけてきたノイズを誘導していく。

無人の町中で、バイク音とノイズの迫り来る音だけが響く。

 

走って数分。遂に薬品工場に到着。同時に聖唱を歌い、天ノ叢雲を起動。

 

 

マシンキバーから飛び降りて、着地。そこに、ガングニールを身にまとった響と合流。

 

ちなみに、マシンキバーは自動操縦で安全な場所まで、一人寂しく走っていった。

 

「直人さん!大丈夫ですか!?」

「大丈夫。響ちゃんは?」

 

「私も大丈夫です!了子さんが守ってくれました!」

 

「よし、反撃に転じよう!」

「はい!」

 

二人は構えを取り、同時にノイズの群れへと飛び込んで戦いを始めた!

 

 

歌を歌い、両者はノイズを殴り切り裂く。直人はノイズを恐れず正面から突っ込み、すれ違いざまに切り裂いていく。

 

その速さはもはや目視が難しいほどだ。

 

ただ突っ込むだけで無く、時にジグザグに、時にジャンプして空中から真空刃を放ち遠くのノイズを切り裂く。

 

 

響も、弦十朗との特訓の成果を見事に発揮して、格闘技を駆使してノイズを倒すのに無駄が無く効率よく撃破が出来ている。

 

 

 

そんな二人の奮闘を、タンクの上からネフシュタンの鎧をまとった少女が見ていた。

 

 

「あいつ、戦い慣れている・・・。それに・・・」

 

 

少女は直人を見る。響以上に戦い慣れていて、多くのノイズを倒している直人の姿を。

 

 

「あの男・・・強い!」

 

少女の関心は、直人の方に向いていた。自分を超えるほどの圧倒的な力を持つ彼に。

 

「くっ・・・ちくしょう!!」

 

少女は心からわき上がる衝動のまま直人達の方に襲いかかる。

 

少女の鎖が襲いかかるが、二人は避けて襲撃者を見る。

直人は初めて、響は二度目の邂逅となる。

 

「あ、あの時の・・・!」

「・・・」

 

 

「おらぁ!!」

 

少女は鎖を複数勢いよく伸ばし、刺して攻撃する。

 

直人はすでに動いていた。天ノ叢雲を縦横無尽にふるい、鎖を全て切り裂く。

 

 

「・・・っ!くそぉ!」

「ここは引いて。君では―――」

 

直人が少女に語りかけたその時、響の歌に反応したデュランダルが自動で飛び出した。

 

「!デュランダル!?」

 

「もらったぁ!」

「させない!!」

 

少女がデュランダルを手に入れようとジャンプして手を伸ばす。しかし、それより少し早く、響がデュランダルの柄を掴んだ。その瞬間・・・・・・。

 

 

周りが一瞬反転したと思うと、響が黒くなり獣のようなうめき声を上げて、それに呼応するようにデュランダルも真の姿に変形した。

 

「う゛おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

響は咆吼の勢いのままに、デュランダルを少女にむけて振り下ろす。

 

「・・・!」

少女に向かって振り下ろされるデュランダル。その一閃は少女に・・・

 

 

 

「危ない!!」

 

 

当たらなかった。直人が高速移動で少女を抱きしめて横にジャンプしてかわす。

デュランダルによる一撃は、建物と地面を容赦なく破壊する。

 

直人は少女を抱きしめたまま響の様子を見るが、まだ黒いままで、直人達を探しているのか、キョロキョロ見回している。

 

「どうしよう・・・。何とかして、暴走を止めないと・・・!」

 

「・・・・・・」

 

 

少女は、直人に抱きつかれている間、とてもおとなしかった。

 

この隙に直人を攻撃しようとか、そんなことは一切考えられない。

 

直人の声が、心臓の音がハッキリ聞こえる。体の温もりも、鎧越しでもハッキリと感じる。

 

「・・・っ」

 

(何、だよ・・・、この感じ。すごく・・・暖かい・・・。心地いい、かも・・・)

 

 

少女には、振りほどこうという気にならない。もっと、この温もりにもっと包まれていたい。そんな気持ちになる。

 

「君、大丈夫?」

「!・・・あ、あぁ」

 

直人に声を掛けられ、やっと少女は正気に返る。

 

「えっと・・・君の名前は?僕は、紅 直人。君は?」

 

「ゆ・・・・・・雪音 クリス・・・」

 

 

少女・・・クリスは素直に答えた。声も小さくて、顔も赤く、少しモジモジしている。

 

「わかった。・・・雪音さん。聞いて」

「ぁ・・・」

 

直人がクリスから離れて説明をしようとする。

クリスは直人の温もりが離れた事に、無意識に残念そうな声をだす。

 

「僕が彼女を止める。君はすぐに逃げて」

「・・・は、はぁ!?何いってんだよ!?あれはやばいだろ!」

 

「大丈夫。僕を信じて」

 

 

クリスは今まで、そう言う人の事を信じてこなかった。信じても意味は無い。そう思い、他者を拒絶して生きてきた。

 

しかし、なぜか・・・彼は信じてもいいかもしれない。そんな気持ちになった。

本人にも判らないが、それは確かだった。

 

 

出会って間もないにも関わらず、彼を信じ始めていた。

クリスは背を向けた後・・・。

 

「・・・礼は言わねぇぞ!」

「大丈夫、速く行って!!」

 

 

そのやり取りを最後に、ジャンプして去って行くクリス。

直人は響の方を向く。響も直人に気づいて再びデュランダルを振り下ろそうとする。

 

しかし、直人はそれより速く動いた。響の正面まで走り、目の前で止まりデュランダルを持つ両腕を右足で蹴り上げる。

 

デュランダルは響の手元から離れて地面に刺さる。響はデュランダルの支配から解放されて、気を失った。

 

倒れる前に直人によって抱きとめられる。

 

「・・・ふぅ」

 

「ラッキーな事、起こったわね・・・」

 

 

直人は安心のため息をはき、了子が嬉しそうにつぶやいた。これで、デュランダルを巡る戦いは一端の終わりを迎えた。

 

 

同時刻。都内某所にある城の中。正確には、都内のモンスターの腹の中。

 

三人の男がいた。二人はタキシードを着ていて、最後の一人はセーラー服を着ていた。

 

テーブルの上に置いてあるトランプに、デュランダルた直人達が映っている。

 

 

「・・・デュランダルが覚醒したようだ」

 

「わぁ!かっこいい!」

「でも、あぶないもの」

 

「聖遺物か・・・。まぁ、確かに強力な物だが危険だからな。しかし、欠片とは言え、それを人間に使えるようにするとはな」

 

「それって、シンフォギアの事?」

「あぁ。まぁ、ファンガイアやそれ以外の魔族にとっては、効果は薄いだろうがな」

 

「そうだよねー」

「まぁ、俺たちは直人に協力していくだけだ。そうだろ?ラモン、力」

 

「もちろんだよ、次狼!」

「おれ、がんばる」

 

次狼、ラモン、力。魔族の生き残りであり、ウルフェン族、マーマン族、フランケン族の生き残りであり、キバの武器となる「アームズモンスター」である。

 

「それじゃあ、僕は散歩に行ってくるよ。お兄ちゃんが盟約を緩めてくれたおかげで、外に出てもOKになったからね!」

 

「いって、きます」

「・・・本当に自由だな。夕飯までには帰ってこいよ」

 




次回予告


「もぉ、響ったら・・・」

「いやぁ、ワシもあと50年若ければのぉ」

「その命、神に返しなさい!」


第五話 イクサ、爆現

Wake・Up!運命の鎖を、解き放て!


次回、みんな大好き753が活躍します!

新作は、もう少しお待ち下さい。
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