紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

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忙しいですが、空いている時間でコツコツと書きためています。




第二話 始まる戦、想いを抱いて

ルナアタック後のシンフォギア関連について述べよう。

 

 

ルナアタックによって日本政府が保有していたシンフォギアシステムは、世界各国の政府に露見した。

 

 

世界各国が認定特異災害としているノイズに対抗する技術を日本政府が独占していたとして、米国政府を含む各国政府から非難を受ける事となる。

 

 

米国は櫻井 了子・・・フィーネを通じてシンフォギアシステムの存在は認識していたが、それはあくまでも極秘裏のもの。

 

証拠となるものはあっても所詮はトカゲの尻尾。日本政府にはあまり役にたつものでは無い。

 

 

その結果、シンフォギア装者の情報を一切秘匿する代わりにシンフォギアシステム及び櫻井理論を開示することで、落ち着く事になった。

 

 

 

 

そんなある日、特異災害対策機動部二課に依頼が来る。

 

 

 

『特異災害対策機動部二課の管理する完全聖遺物、サクリストS「ソロモンの杖」を山口県岩国の米軍基地へと移送せよ』

 

 

というものだ。

 

 

 

フィーネが所有していたこの杖は、特異災害対策機動部二課が発見・保管していたものだ。

 

米国政府もその事は承知していて、米国連邦聖遺物研究機関から銀髪で背の高い白人の男性、ウェル博士が訪れた。

 

 

今回の移送任務には、護衛としてシンフォギア奏者の立花 響と雪音 クリスの二人が着く事になった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

この日の天候は雨。風が強く吹き荒れ、雷も鳴る。

 

 

中国地方の広島県から山口県にかけて延びる線路を走る数両編成の重装甲列車だ。

 

 

この列車にソロモンの杖を、二課職員を、ウェル博士を、シンフォギア奏者を乗せて走っているのだ。

 

 

しかし、空を覆わんとする大小の飛行型ノイズが列車を追いかけて来る。

 

 

 

列車の最後尾の車両の天井の一部からバルカン砲が現れ迎撃するが、通常攻撃は一切通用しないノイズには無意味だった。

 

 

 

車両に近づいた一部のノイズは身体を螺旋状に変形させ、その車両に突進。

 

一撃で車両の中に進入したノイズは、攻撃を担っていた隊員たちを全滅させた。

 

 

最後尾から数両前の車両。あおいとウェル博士が並んで歩いていた。

 

ウェルはソロモンの杖が入ったケースを大事に抱えている。

 

 

 

そして、その後ろから響とクリスがやって来る。

 

「大変です!すごい数のノイズが追ってきます!!」

 

「連中、明らかにこっちを獲物と定めていやがる。まるで何者かに操られてるみたいだ」

 

先を急ぐ四人。しかし、ノイズは待ってくれない。

 

 

 

 

 

 

特異災害対策機動部二課・仮設基地司令室。

 

 

 

新たに作られた二課の仮設本部は、海中を泳ぐ大きな潜水艦だ。

 

その仮設本部の司令室では、現在襲撃を受けている装甲列車の状況がリアルタイムで流されていた。

 

 

「第71チェックポイントの通過を確認!岩国の米軍基地到着まではもう間もなく、ですが!」

 

 

状況を報告しているのは特異災害対策機動部二課のメインオペレーター、藤尭朔也。

 

 

 

「こちらとの距離が伸び切った瞬間を狙い打たれたか・・・」

 

 

司令室の中心・・・司令官の席にいるのは特異災害対策機動部二課の司令官、風鳴弦十郎。

 

「指令、やはりこれは」

 

「ああ。何者かが"ソロモンの杖"強奪を目論んでいると見て間違いない」

 

 

 

 

その頃、列車内部では、四人が先頭車両を目指して歩いていた。

 

 

「はい・・・はい!多数のノイズに混じって高速で移動する反応パターン?」

 

 

 

あおいは二課からの通信を聞きながら前の車両へと向かう。

 

 

 

「三ヶ月前、世界中に衝撃を与えた"ルナアタック"を契機に、日本政府より開示された"櫻井理論"」

 

櫻井理論。櫻井了子が纏めた聖遺物やシンフォギアに関する理論が書かれた物だ。

 

 

 

「その殆どが、いまだ謎に包まれたままとなっています。研究員達も言ってますよ。

 

訳がわからないYO、意味☆不明、もうゴールしていいよね?・・・等、色々言ってます。はい」

 

 

酷い言われようである、櫻井理論。

 

 

「しかし、回収されたこのアークセクター"ソロモンの杖"を解析し、世界を脅かす認定特異災害ノイズに対抗しうる、新たな可能性を模索することが出来れば・・・」

 

その事には、クリスは何も言わなかったが、内心では後悔している。

 

 

フィーネに言われるまま起動させたソロモンの杖。

自分もそれを使い、ノイズを召喚して使役したこともある。

 

しかし、その事で俯いてばかりもいられない。

 

 

 

(私が過去に犯した罪は変えられない。重要なのは・・・今、どう償っていくか。

 

過去ばかり見てないで、少しずつでも未来を見て歩んでいく。そうだよな、直人)

 

 

クリスは、過去の罪を償う為に未来へ歩んでいく。そういう決意を心のなかで決めていた。

 

 

二課からあおいに迎撃の許可が通達され、あおいは奏者二人にその事を伝える。

 

 

その直後、車両の天井に穴が開き、螺旋状になったノイズの身体が露となった。

ウェルは驚きのあまり尻餅をつき、あおいは拳銃によって迎撃する。

 

響とクリスは、聖唱を歌いシンフォギアを纏い、列車の天井を突き破って屋根の上に乗る。

 

 

 

奏者達のシンフォギアは、前回のルナアタック時に展開したXDによるギアのロック解除、及びその後のトレーニングの成果から、以前よりも機能が向上。

 

 

その証拠に、奏者達のギアはXD時の名残からか白を基調としたカラーリングになっている。

 

 

 

 

「群雀どもがウジャウジャと!!」

 

「どんな敵がどれだけ来ようと、今日まで訓練してきたあのコンビネーションがあれば!」

 

「アレはまだ未完成だろ?実戦でいきなりブッ込もうなんて、おかしなこと考えてんじゃねぇぞ」

 

「うん!取っておきたい、とっておきだもんね!!」

 

「わかってんなら言わせんな」

 

 

クリスは小さくため息を吐く。そして、気持ちを切り替えてアームドギアを構える。

 

そして、背中合わせに立っている響に言う。

 

 

 

 

「背中は預けたからな・・・響!」

 

 

 

支えを、仲間を、恋する心を得て、クリスは変わり始めている。

仲間の名を呼び、背中を任せられ、信じられるように!

 

「任せて!クリスちゃん!」

 

 

響もクリスが名前で呼んでくれるようになった事を、心から喜んでいる。

そして、その信頼に答えられる様に・・・。

 

 

「ハァッ!!」

 

歌を歌い、拳を奮う!!

 

 

 

 

 

 

同時刻、別の場所。世界のどこかにある、共存反対派のアジト。

 

二人の男女がアジトの廊下を並んで歩いている。

 

 

 

「なぁ、それ何だよ」

「ん?何が?」

 

「それだよ、あんたが過去に飛んで手に入れたそれ」

 

 

「あら、言ってなかった?これは必要だから手に入れたの。完全聖遺物、ネフィリムのコアよ」

 

「へぇ・・・よくそんな物を手に入れることが出来たな」

「まぁ、色々とね」

 

 

二人は一緒にある部屋に入る。その部屋には豪華な椅子が六つ。

 

六角形状に立っており、その内の二つに先客が座っていた。

 

 

「ただいまー、美穂ちゃん!クー君!」

「はい、お帰り」

 

「お帰り~!お姉ちゃん達、遅かったじゃん!」

 

 

 

一人は浅間 美穂。もう一人、クー君と呼ばれた少年がいる。

 

その少年は見た目は九~十歳位の小柄な少年だが、この場にいる以上、共存反対派の幹部であることは明確だ。

 

二人も椅子に座るが、二つ空いてしまう。

 

 

空席の二席の主については、滅多に来ないことをわかっている為、ここでは誰も指摘しなかった。

 

 

「さぁ、あなた達。フィーネがやられて三ヶ月。自分がやるべき事は終えたわね?

 

では、ここから私達の計画を実行に移しましょう!」

 

「誰が動くんだ?」

「やっぱりお姉ちゃん?」

 

 

「もちろん、私よ。三人は私のサポートをお願いね。それで、美穂ちゃん」

 

「わかってるわ。個人的に決着をつけたい奴がいるけど・・・任務を優先するわ」

 

「ごめん、よろしくね」

 

 

頷く美穂。女性は高々に宣言する。

 

 

 

「これより、我々共存反対派は動き出します!

 

共存という掟を壊す為、閃紅の魔皇や裁きの蛇を倒す為、あの方を、新たなキングとするために!!」

 

 

共存反対派は、本格的に動き出そうとしていた。

 

 

 

 

 

 

一方で、響達の移送任務の方でも事件が発生した。

 

響とクリスは朝、無事にノイズを全滅させ、米軍基地までソロモンの杖を運ぶ事が出来た。

 

 

東京までヘリコプターに乗って帰ろうとしたが、米軍基地から大きな爆発音が響き、その煙の中から巨大ノイズが姿を現した。

 

響とクリスはすぐに引き返してノイズを撃退した。

しかし、兵士達に少なくない被害が出てしまった。

 

更に、ウェルが行方不明となり、ソロモンの杖までもが消えていた。

 

 

 

これから、翼が新たに人気アーティストとして名を上げた女性と共に歌う歌の祭典、「QUEENS of MUSIC」が始まるのだが、幸先に不安の感じる出来事が多く起こっていた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

東京。「QUEENS of MUSIC」会場。

 

 

夜に開催されるQUEENS of MUSICに向けての準備が進められる中、観客席にて鼻歌を口ずさむ者がいた。

 

 

 

「~♪」

 

 

彼女の名は、マリア・カデンツァヴナ・イヴ。六年の時を経て、美女に成長していた。

 

三年前のデビューから少ない期間で米国チャートのトップを飾った気鋭の歌姫。

 

その後も努力を重ね、今や世界中の人々の心を掴んで離さない。

 

そして、日本で開催されるこの祭典の主役の一人である。

そこに、もう一人の人物がやって来た。

 

 

「姉さん。ここにいたんだ」

「あ・・・セレナ」

 

呼ばれたマリアは鼻歌を中断して、声のした方を向く。

 

 

セレナ・カデンツァヴナ・イヴ。

 

 

背も伸び、髪を腰辺りまで長く伸ばしている。

そして、彼女は今、マリアのマネージャーをしていてマリアを公私に渡って支えている。

 

セレナも歌うことが好きだが、セレナは自分の意思でマネージャーとなることを決めたのだ。

 

 

 

セレナはマリアの隣に座る。

 

「いよいよだね、姉さん」

「えぇ。あの風鳴 翼と一緒に歌えるなんて、嬉しいわ」

 

「それに・・・日本だね」

「直人の住んでいる国よね・・・」

 

 

「直人さんに・・・会いたいな」

「うん・・・会いたいわね」

 

六年前に出会った直人の事を想いを馳せるが、ここではQUEENS of MUSICに集中するため、一旦気持ちを切り替える。

 

 

「今日は頑張りましょう。もしかしたら、直人も見てくれるかもしれないから!」

 

「うん!」

 

二人は立ち上がり、開場内部に入っていく。

 

 

 

 

 

役者は揃いつつある。そして、これから起こる戦いの開始を告げる鐘の音は鳴った・・・。

 




次回予告


ついに始まる、QUEENS of MUSIC本番。
皆が盛り上がる中、悪意は剣を抜いた。


第三話 歌姫の舞台、悪意の胎動


それは、平和という名の清らかな水に注がれた、黒い水。
混ざりあい、汚していく。


ーーーーー

列車での戦闘シーンは、原作と同じなので、カットしました。
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