「QUEENS of MUSIC」での『終焉の革命団』の宣戦布告から一週間。
特異災害対策機動部二課・仮設本部司令室にて。
「ライブ会場での宣戦布告から、もう一週間ですね・・・」
「ああ。一週間だ」
朔也の呟きに、弦十郎は呟きで返す。
アレだけの大々的な宣戦布告をして見せた革命団。
世間一般・・・世界中の政府ですら、革命団への認識はこうだ。
「ノイズを操る術を持ち、世界を混沌に陥れようとするテロ組織」
これである。ファンガイアといった人外の存在が関わっている事は一切秘匿されており、全く知られていない。
弦十朗が政府の人物と連絡をとった際に、ファンガイアの事などを伏せてさりげなく人外の者が関わってないか探りを入れた。
しかし、結果はNO。ファンガイアのような存在が関わっているという情報は全く出てこなかった。
この事については、直人からこう聞かされている。
『ファンガイア側も、自分達が異形の存在だという事が発覚して動きづらくなったり、対策を練られる事を防ぐために隠蔽しているのでしょう。
これは革命団に限らず、魔族が大昔からずっとそうしてきている事です。
余計な混乱や、存在が明るみになることで発生するデメリットを無くすために様々な手段を使ってやっているんです』
・・・と語った。この事には弦十郎達も納得している。
特異災害対策機動部も、宣戦布告の内容の対策として世界各国にある関連機関に警戒を呼びかけていた。
「政府筋からの情報では、『その後、終焉の革命団と名乗るテロ組織による一切の示威行動や各国との交渉も確認されていない』とのことですが」
「この一週間で、ファンガイアとの戦いがあったのは一回・・・組織の構成員としては末端で何も情報も持っていなかったですからね」
「派手なパフォーマンスで自分達の存在を知らしめておきながら・・・目立った事は何もしない・・・か」
するとここで、二課に通信が入る。
『おう、俺だ。・・・ジュルルルル・・・斯波田だよ』
「斯波田事務次官!」
通信を入れてきたのは、蕎麦を啜っている初老の男性。
名は、
外務省事務次官であり、特異災害対策機動部の活動を影でサポートしてくれている人物だ。
彼も広木防衛大臣と同じく、二課の心強い味方である。
『急に悪ぃな。んで、どうよ。革命団について、何かわかった事はあるか?』
「いえ・・・今の所はまだ・・・」
『そうかい。さすがファンガイアだ、コソコソ隠れたり隠したりってのがうめぇんだな』
斯波田の言葉に、弦十郎は驚く。聞き間違いで無ければ、斯波田はファンガイア・・・と言ったのだから。
「事務次官!?ご存知なのですか?ファンガイアの事を・・・」
『あぁ、知ってるぜ。俺が昔から世話になってる恩人がファンガイアで、そいつは共存派に属してる。
そいつから色々と聞いてるからな。ファンガイアを含む魔族や、共存に関する事情は知ってるぜ』
「そうだったのですか・・・」
『あぁ。・・・さて、こっからが本題だ。こないだ発見された、例の聖遺物についてだ』
「『
日本神話において、天孫降臨の時に瓊瓊杵尊が天照大神から授けられたという剣・玉・鏡の三つの聖遺物。
三種の神器と呼ばれる聖遺物が存在している。
しかし、現代で各地に奉斎されているのは外見を忠実に再現した模造品であり、本物は一度発見されながらも後に行方不明になってしまった物だ。
二課では、本物の三種の神器回収を行っていたが、ここでやっと進展してきた。
直人のシンフォギアとなっている、欠片のみ見つかった剣型聖遺物『
既に発見して保管済みの、勾玉型聖遺物『
近年では、略称で『
そして、今回発見された鏡型聖遺物『
三種の神器の最後の一つ、八咫鏡だけ発見できなかった。
しかし、数日前に八咫鏡を破損状態ながらも発見。
破損状態と言っても、全体の四分の一は形を保っている状態だったが。
それを回収する事になったのだ。
『んでな、お前らにも報告は回るだろうが、こっちが先に報告を受けたんでな、今の内に伝えとくぞ』
斯波田は蕎麦を啜って食べてから言った。
『八咫鏡は、回収しようとしたら盗まれた。横からかっさわられたんだよ。
恐らく、ファンガイアの仕業だろう。しかも、その現場に絶賛行方不明中のウェル博士も同行していたって話だ』
その報告に、司令室は皆の驚きに包まれた・・・。
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その日の夜。仮設本部に装者達が集結した。
装者達にも、八咫鏡に関する事情を説明した後、今夜行う任務内容を弦十郎が説明する。
「今日、緒川の見つけてきた情報をもとに、ウェル博士のいる場所を突き止めた」
司令室のメインモニターに映し出された地図。
そこからさらに拡大し、ある地域の建物を映し出す。
「かなり昔に閉鎖された病院のようだ。更に、この病院にウェル博士が出入りしているという目撃情報も入っている」
「ここにウェル博士が・・・」
「取っ捕まえるデス!」
「私達のLiNKERが掛かってるから・・・」
「博士はLiNKERを買うお金扱いなの・・・?」
FISのセレナ以外の装者は、ウェル博士の確保に闘志を燃やす。
ウェル博士の助手は、ウェル博士を連れ戻したらそれ以降もLiNKERの提供を続けるという事を約束している。
その為、LiNKERを使わないとシンフォギアを纏えない三人は、ウェル博士を捕まえる事に躍起になっているのだ。
そして、八人の装者は廃病院近くに。
マリア、調、切歌はインジェクターで改良型LiNKERを注入し、準備を整える。
止めたボックスカーから出て、八人はシンフォギアを纏って廃病院に入っていく。
暗い廊下を進んでいくが、ウェル博士もファンガイアも出てこない。
そして、しばらく進んだ先の部屋の中に入った瞬間・・・。
「え・・・・・・?」
装者達は、その光景に呆然としてしまった。
何故なら・・・。
部屋の中は・・・。
「「「遊園地ーーーーーーー!!?」」」
太陽照りつける青空の中、広大な遊園地があったのだから。
観覧車、ジェットコースター、メリーゴーランド等の乗り物が沢山あり、園内で遊ぶ人達が溢れかえっている。
「何で何で何でー!?」
「どうなってんだよおい!?」
「「「・・・(呆然)」」」
「デデデデデーーース!?」
「落ち着いて切ちゃん!」
「直人、これって・・・魔術なの?」
「うん。これは魔術による、幻の空間。でも、こんなに広大で精密に再現・展開が可能なんて・・・。
僕も、こんなに凄いのは初めて見たよ」
翼の問いに答える直人も、このような魔術の空間は初めての経験だ。
翼達も冷静を取り戻し、油断なく周囲を警戒する。
すると、皆の目の前に一人のファンガイアがワープして姿を現した。
既に怪人態になっている。
獏の性質を持つ、ビーストクラス、テイピアファンガイアだ。
テイピアは、直人達に話しかける。
「いっしょに遊ぼう」
「え・・・」
「夢の世界の遊園地で、かくれんぼ・・・だよ」
テイピアの姿がどんどん透けていく。
「僕を見つけてごらん」
その言葉を最後に、テイピアは姿を消した。
「言ってくれるぜ。魔術で作った夢の世界でかくれんぼだぁ?」
「何か、子供っぽい感じだったわね」
マリアの言葉は恐らく正しい。言葉使い等が子供らしい。
「・・・駄目だ。二課と通信が繋がらない」
「え、そうなんですか!?」
「ということは、私達は夢の世界で閉じ込められた・・・?」
「そう思った方が良いね。キバット、タツロット、いる?」
「もちろんだぜ」
「直人さん、どうしたんですか?」
「君達にも、このかくれんぼに参加してほしい。人数は多い方が良い」
「良いぜ!かくれんぼは久しぶりだな」
「私達は体が小さい分、小回りが効きますからねー。
こういう時は役にたてるでしょうね」
直人は皆を見渡し、言う。
「皆、かくれんぼって言ってるけど、相手がファンガイアである以上絶対に油断しちゃ駄目だ。気を付けて行こう」
「「「はい!」」」
返事する少女達。
こうして、テイピアファンガイアの作り出した幻の空間・・・夢の世界を舞台にした「かくれんぼ」が始まった。
次回予告
夢の世界を舞台にした「かくれんぼ」。
テイピアファンガイアの作り出した空間で、装者達は「かくれんぼ」をクリア出来るだろうか?
第七話 小さき者、幻の中で(後編)
これは遊びではない、戦いである。
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この小説内での三種の神器に関しては、自分の妄想設定です。ご了承下さい。