紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

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お待たせしました。少し短めですが、書きました。



第十九話 救われた者達、受け継がれる激槍

二課仮設本部医務室。ここに寝ていた未来が目を覚ました。

 

 

「ん・・・・・・ここは・・・・・・?」

 

「あらあら、ダメじゃない。知らない天井だって言わなくちゃ」

「お前がボケるとは珍しいな」

 

「え、キバット・・・黒くなってる?それに、あなたは・・・?」

 

目を覚ました未来。反対側にいる真夜と二世に戸惑う。

 

 

「初めまして、小日向 未来ちゃん。私は真夜。直人と大牙の母親で、元ファンガイアよ」

「えっ!?」

 

「俺はキバットバット二世。お前の知っているキバットの父親だ」

「えぇっ!?」

 

直人の母とキバットの父だと知って驚く未来。未来も真夜の美しさに見とれながらも、気を取り直して挨拶を返した。

 

真夜と二世は、未来に魔術的な処置が施されている可能性を考慮して未来を診察したが、そういった痕跡はないと説明した。

 

 

挨拶を終えた後、響達も合流。響は泣きながら未来に抱きつく。

 

「未来うぅぅ~!良かったよおぉぉ~!」

「響・・・本当にごめんね」

 

「良いって良いって。未来が戻ってきてくれたから、それで良いの!・・・あ、そうだ!」

 

響は笑顔で言いたかった事を伝えた。

 

 

「未来、お帰りなさい」

「ぁ・・・・・・うん、ただいま」

 

 

未来も笑顔で、ただいまと言い、ようやく皆の所に戻れたのだった。

 

その後、弦十郎達や直人達もやって来て、色々な報告を聞いた。

 

響も体内のガングニールの欠片は完全に無くなっており、体を蝕んでいた分も完全に消失。

 

力を失った事と引き換えに、響は生きることが出来たのだ。その事に、未来は心から安心した。

 

また、今回の件については未来も安易に力を求めた結果、ファンガイアやウェル博士によって利用され、目的達成の手助けをしてしまった。

 

その事に罪悪感を抱いていたが、誰も未来を責めること無く皆が許した。

 

次に神獣鏡だが、シンフォギアそのものは二世が回収しており、今は弦十郎が預かっている。

 

未来は正規適合者であるため二課の司令官としては装者になってほしいが、弦十郎個人としては装者になってほしくないと言う。

 

装者になるかならないか、この力を使うか否かは未来本人の意思に委ねる事にした。

 

未来は流石にすぐに答えは出せず、考える時間をもらうことにした。

以外にも響は止めなかった。未来も私みたいに一度決めたら頑固で一直線だから、と苦笑していた。

 

「でも未来、これだけは約束して。仮に装者になるにしても、絶対に無理をしない。一人で抱え込まないって」

 

「うん、約束するね」

しっかりと指切りをかわした。その二人は、今まで以上の強い絆で結ばれていた。

 

すると、部屋の中に直人とクロード、他の装者達が入ってきた。

クロードは起きている未来を見て、笑顔になって未来に駆け寄って抱きついた。

 

 

「未来お姉ちゃん!」

「クロード君!もう大丈夫なの?」

 

「うん、僕はもう大丈夫だよ。何か心の中のモヤモヤが消えたって感じかな」

「あれ・・・?クロード君が普通?」

 

「私もビックリしたよ。私は先に目が覚めたクロード君と話をしたんだけど、精神崩壊って感じが無くなってるんだよね」

 

「それで、響お姉ちゃんが僕をギューって抱きしめて、ちょっと苦しかったよ」

「あはは・・・ごめんね。クロード君が元気になったみたいだから嬉しくて」

 

「僕も、響お姉ちゃんと未来お姉ちゃんが元気になってくれて嬉しいよ」

 

今のクロードは精神崩壊の状態が完全に無くなり、普通の対応が出来ている。

 

 

「ちなみに、他の装者もクロード君のお姉ちゃんデス!」

「弟が出来ました」

 

「僕はお兄ちゃん。末っ子だから弟が出来て嬉しいな」

 

切歌、調、直人の言うとおりクロードは装者の女性陣を姉、男性の直人を兄と呼ぶようになっていた。

 

神獣鏡の光を浴びた者の内、直人とクロードについて報告が上がった。

 

直人は特に悪影響は無く、シンフォギアはキバットに預けていた為無事だった。

 

また、試しに魔術を使ったりキバに変身してみたが全て問題なく可能だった。

 

 

そして、クロードは精神が正常に戻った理由として、響と未来との交流、そして神獣鏡を上げた。

神獣鏡の光を浴びてから自分の心が治ったような感じがしたという。

 

そして、それにより自分が忘れていた事を思い出し、皆に語り始めた。

 

 

クロードはレティアと両親を含めて四人で暮らしていた。

その中で、魔術の力が強すぎる自分が生まれ心が不安定になることがあった。

 

その中で両親はクロードの持つ強大な力に執着し、次第に暴走。

 

両親が独自に入手した、精神に関係する聖遺物の力を利用してクロードの精神に干渉。

クロードの心をいじり、魔術の力を最大限使えるように心を「改造」し、魔術を使うだけの操り人形にしようとした。

 

しかし、それは失敗。精神崩壊が余計に酷くなり手が付けられない状態になった。

 

その力が自分達に向けられる前に殺そうとした両親。しかし、そこに全てを知ったレティアが現れ、怒りのまま両親を殺害。

 

使用した聖遺物は欠片も残らないように徹底的に破壊。その後、二人で放浪の旅に出てその中で革命団に加わった。

 

つまり、クロードの精神崩壊が大きかったのは、両親が聖遺物によってクロードの心に悪影響を与えてしまったのが原因だったのだ。

 

 

クロードの話を聞き終えた皆は、それでようやく納得できた。

クロードの精神崩壊は聖遺物によって悪化したもので、神獣鏡の光を浴びたことで聖遺物の力が無くなった。

 

そして響と未来との交流によって精神状態が回復したことで、元の性格に戻れたのだ。

 

 

「僕の心は、響お姉ちゃんと未来お姉ちゃんのお陰で治ったんだ。本当にありがとう」

 

「良いよ、私達もクロード君を助けたかったから。それに、クロード君が来てくれたお陰で未来を助けることが出来たんだよ。だから、ありがとう」

 

「うん、本当にありがとう」

「えへへ・・・」

 

「「はぅ~!何度見ても可愛いよ~!」」

「ムギュ!?」

 

互いにお礼を言い合い、照れたクロードの可愛らしさに響と未来が抱きつく。

 

照れながらも、嬉しそうに身を委ねるクロード。それは見ている者を和ませる穏やかな時間になった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

その後。弦十郎はフロンティア、及びそこにいるレティア達革命団のファンガイア、そしてウェル博士について説明した。

 

「直人達シンフォギア装者は、引き続きファンガイアと戦い、その野望を阻止してほしい。

そしてウェル博士については、俺と緒川の二人で向かい、確保することにした」

 

「叔父様自らですか!?ここの指揮は・・・」

 

「確かに、俺がいなくなると指揮は出来ないが・・・そうも言っていられない。

装者達以外にも動ける者がいないと、いつまでたってもウェル博士に逃げられてしまうままだからな」

 

「ご安心ください。僕と司令の二人で、最短で最速に真っ直ぐに一直線にウェル博士を捕縛します」

 

「緒川さんに台詞を真似された!?」

「いやぁ、こういう時にピッタリかなと思いまして」

 

そんな会話をしつつ、これは決定であるらしい。

またフロンティアへ向かう際、クロードも一緒に行くことになった。

 

クロードもレティアに会って話をしたいそうだ。今後の方針を決めた所で、ナスターシャ教授が入ってきた。

 

「失礼します。マリア、良いですか?」

「マム・・・例の件ね?」

 

「えぇ、決めましたか?」

「私は決めたわ。でも、その前に・・・」

 

マリアはナスターシャとの会話を中断して、響を見る。

 

 

「響、正直に答えて。あなたはまだ戦いたいって意思はある?」

「え?」

 

「・・・・・・」

真剣な表情で見るマリア。響は一瞬戸惑ったが、正直に答えた。

 

「はい・・・正直に言うと、もう一度ガングニールで戦いたいって気持ちはあります。

シンフォギアが無くても自分に出来ることを・・・とは思っていますけど、やっぱりガングニールがあった方が良いなと」

 

「やっぱりね」

「ガングニールがあるからこそ、助けられる命がある。だから、もう一度装者になりたいっていうのが本音です」

 

「・・・・・・ならば、このガングニールをあなたに」

 

マリアは自分のガングニールのシンフォギアを外した。

 

「え!?で、でも・・・それじゃあマリアさんのシンフォギアが」

「それは大丈夫ですよ。マリアのシンフォギアはもう一つあります」

 

ナスターシャはもう一つのシンフォギアを取り出した。

 

 

「このシンフォギアは、アガートラーム。そう、アガートラームのシンフォギアは二つ存在するのです」

 

奏が使っていたガングニールとマリアが使っていたガングニールの二つがあるように、アガートラームも二つ存在していた。

 

「マリアがガングニールを使っていたのは、アガートラームの調整に時間が掛かってしまって、使えなかったからです。それが今ようやく終わりました」

 

「私はアガートラームとガングニール、二つのギアを使えるの。一応、ダブルコントラクトと名付けたわ」

 

 

セレナが言う。

 

「姉妹で同じシンフォギア・・・何か運命を感じちゃうな」

「えぇ、そうね。そして、このガングニールが響の手に渡るのも運命かもしれない」

 

マリアは響の手を取り、ガングニールを置いた。

 

 

「これは、あなたに託す。私の槍をよろしくね」

 

「・・・・・・っ、はい!ありがとうございます!」

 

 

響はもう一度ガングニールを使える、苦しみ悲しんでいる者達を助けるための力をもう一度得られた嬉しさを感じながら、マリアにお礼を言った。

 

「よし、本日十五時よりフロンティアへの突入を行う。各自、それまで休み万全の状態で決戦に挑もう!」

 

『了解!』

 

弦十郎の言葉に装者達が答える。決戦の時は近い。

 

 




次回予告


遂に始まった、レティアとレティアが率いるファンガイアとの戦い。この戦いも終盤に向かう。


第二十話 大きな戦い、勇ましく立ち向かい。


戦おう、守るべきものの為に・・・止まらず真っ直ぐに。


ーーーーーーーーーー


今回の話で、クロードの精神崩壊について設定を追加しておきました。急ですみませんが、ご了承ください。

それと、クロードは装者達の弟になりました。

それと設定紹介で、クロードのイメージCVを変更しました。
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