紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

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お待たせいたしました。

エグゼイドの方の書き溜め、投稿を優先していたので遅くなりました。



第二十話 大きな戦い、勇ましく立ち向かい

響に、マリアの持っていたガングニールが継承された。

そして十五時になる数分前、二課のモニターにとある光景が映し出された。

 

レティアが作った氷の大地は、まだ残っている。

そこにファンガイアの大軍が集結していた。ノイズは含まれておらず、ファンガイアのみで構成された大軍だ。

 

 

再生態九割、純粋なファンガイア一割でおよそ・・・百以上。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

遂に、この時が来た。全ての戦士達が氷の大地に降り立った。

 

直人、啓介、大牙、次狼、ラモン、力、シンフォギア装者が集結した。そこにはクロードの姿もあった。

 

クロードはレティアに会うために、直人達の力になるために同行した。

 

弦十朗と慎二はファンガイアの大群を掃討してからフロンティアに向かうことになっており、今は待機している。

 

直人達の正面にはファンガイアの大群。九割が再生態であるが、百以上集っている所を見ると畏怖の念を感じるが、皆は屈する事なく見据える。

 

 

「キバット、タツロット!」

「あいよー!」

「いつでもお側に!」

 

「魑魅魍魎が群がるこの地獄に・・・名護 啓介はここにあり」

《レ・ディ・イ》

 

「お前達に王の判決を言い渡す・・・・・・死だ」

《◯×△□!》

 

「「「変身!!」」」

 

直人キバ・エンペラーフォームに、啓介がライジングイクサに、大牙がサガに変身して。

 

 

「気合い入れて行くぞ」

「大暴れだ~!」

「ふんがー!」

 

次郎、ラモン、力が怪人態となった。

 

 

響はマリアから託されたシンフォギアを見ながら、心の中で考えた。

 

(一度、命が助かるのと引き換えに失った力が戻ってきた。私がガングニールの装者になることは運命なのかもしれない)

 

ガングニールを失っても、再び戻ってきた。響自身が望んだ事とはいえ、響がガングニールのシンフォギア装者となることは運命であり、必然なのかもしれない。

 

(でも、私がガングニールを纏って戦うのは運命とか必然とか関係ない。

私がこの力を使いたいから・・・誰かのために使いたいから!だから・・・!)

 

「行こう・・・ガングニール!」

 

腕を動かして手を前に出し、シンフォギアのペンダントを握りしめ、心を集中させて・・・。

 

 

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron!」

 

心に浮かんだ聖唱を歌い、ガングニールのシンフォギアは響に纏われた。

 

今まで使っていた物と同じ感覚であり、違和感は全くない。

 

しかし、何故ガングニールを纏えたのだろうか?

 

響は正規適合者ではない。

 

今までガングニールを纏えていたのは欠片が心臓に刺さっていた事によって、疑似適合者のような感じになっていたからであり、それが無くなった今はすぐには使えない・・・筈だった。

 

しかし、今はこうして纏うことが出来た。今まで欠片のガングニールでシンフォギアを纏っていた事が影響しているのか、響の強い意思にガングニールが答えたのか。

 

もしかしたら、これも物語を進めるために誰かが定めた「ご都合主義」なのかもしれない。

 

しかし、響は再びガングニールを纏えたのは紛れもない事実である。

 

 

後に先天性の第一種適合者でもない、薬物使用による後天的の第二種適合者でもない。

 

融合から適合へ、強い心と意思によって掴み取った奇跡・・・自力で必要適合係数を得た特殊事例・第三種適合者に分類される事になった。

 

 

他の装者達も響がガングニールを纏えた事に安心し、聖唱を歌いシンフォギアを纏う。

 

マリアもアガートラームを問題なく纏うことが出来た。クロードは一旦後ろに下がる。

 

そして双方が同時に走りだし、遂に戦いが始まった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

再生態のファンガイアの数は多いが、やはり純粋なファンガイアよりずっと弱い。

 

クロードが幻覚を見せ、敵が混乱している隙に・・・。

 

《我流・覇拳衝打》

響が高速で前に出て力強く殴り。

 

《MEGA DETH PARTY》

クリスがミサイルを撃ち。

 

《INFINITE†CRIME》

セレナが短剣を投げ。

 

《α式 百輪廻》

《切・呪リeッTぉ》

調と切歌が切る。

 

再生態のファンガイア達が弱まった所で直人達戦士が、次狼達魔族が、翼とマリアがトドメをさしていく。

 

しかし、それでも減った感じがしない程にまだ多くの再生態が残っている。このままではキリがない。

 

「倒しても減らないデス!」

「これだけの数をどうやって・・・!」

「一つ方法がある」

 

直人が言う方法とは・・・。

 

 

「圧倒的な火力、攻撃力による一斉殲滅!」

 

である。

 

「啓介さん、兄さん!手伝って!他の皆は一旦後ろに下がって!」

 

直人の指示に従い啓介と大牙は直人に並び、他の者は下がる。そして、三人のライダーはファンガイアの群れに走って突っ込んで行く!

 

迎えうつファンガイア達だが、直人達は再生態程度に負けはしない。

直人はタツロットの頭のレバーを回してフィーバー技を発動する。

 

 

「GARURU FEVER!」

 

ガルルセイバーの絵で止まるけど瞬間、次狼がガルルセイバーになり直人の元に高速で向かう。

 

ガルルセイバーをキャッチ、タツロットがガルルセイバーの柄に合体し、刃・柄部分から炎を放出して、炎の刃を作る。

 

直人は敵陣の中に飛び入り、ガルルセイバーを縦横無尽に振り回し連続で敵を一刀両断していく。

 

移動しながら何度も切り裂き、再生態を一気に減らす。更に・・・。

 

「BASSYAR FEVER!」

 

再びスロットを回し、バッシャーマグナムの絵で合わせる。

 

次狼が離れ、ラモンがバッシャーマグナムとなって直人の元に。

 

銃口にタツロットが接続され、周囲の海から大量の水分を吸収。

 

「啓介さん!」

「任せなさい!」

 

魔皇力を纏った水の砲撃を発射。啓介もファイナルライジングブラストを放つ。

 

二つの砲撃によって再生態は多くが粉砕され、純粋なファンガイアも複数倒す。

 

 

「おのれおのれおのれ!我らをここまで否定するかぁ!!」

 

ファンガイア達が再生態を再び出そうとするが、大牙が振るったジャコーダーの鞭による攻撃で阻止されてしまう。

 

「DOGGA FEVER!」

 

ラモンが離れ、力がドッガハンマーとなって直人の元に。

 

柄にタツロットが接続されると、タツロットの口からエネルギーの塊が吐き出され、それをドッガハンマーのハンマー部分に纏わせて、更に大きなハンマーを形作る。

 

大牙がウェイクアップを発動。ジャコーダーでファンガイア達を拘束して動きを封じる。

 

「今だ直人!」

「ありがとう兄さん!」

 

そこに直人はハンマーを降り下ろし、更に多くのファンガイアを倒す。

 

 

「そんな・・・!?あんなにたくさん用意した再生態が・・・!」

 

生き残った最後の一体となったファンガイアが戦慄する中、直人は最後の一体に止めをさすべく動く。

 

「WAKE UP FEVER!」

エンペラームーンブレイクを発動、両足に魔皇力が溜まる。

 

ファンガイアは自棄になったのか、叫んで走りだし攻撃をするが直人はワープの魔術を発動して、ファンガイアのすぐ背後に短距離ワープをする。

 

そしてすぐに強烈な回し蹴りを当てて、最後の一体は倒された。

 

直人達の活躍によって、ファンガイアの大群は全て倒されたのであった。

 

「凄い・・・あんなにたくさんいた再生態が・・・」

「やっぱり凄いわね、直人達は」

「あぁ、だからこそ追い付きたいという気持ちも大きくなるものだ」

 

ファンガイア大群との戦いが終わり、クロードと弦十朗と慎二が合流。皆でフロンティアへ向けて走り出した。

 

皆がフロンティア内部に入って少し経った頃、氷の大地は役目を終えたように砕け散り、海に沈んで溶けていった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

フロンティア内部。皆で慎重に進んでいくが、ノイズもファンガイアもいない。

 

奥まで進むと、そこにはレティアが待っていた。

 

「いらっしゃい・・・・・クー君、良かった。昔のあなたに戻れたのね」

 

「お姉ちゃん・・・僕は」

 

「立花ちゃん達と一緒にいたいんでしょ?良いわよ・・・()()()()()()()()()()()()

 

「え・・・?」

 

「最初はクー君の心が壊れたままでも生きていける世界のために、共存の世界を壊すつもりだった。

 

でも、今・・・クー君は人間である立花ちゃん、小日向ちゃんとの出会いを切っ掛けに救われた。私ではなく人間によって・・・」

 

レティアは語りながらゆっくりと歩み寄る。

 

「正直、私は今ね・・・立花ちゃんと小日向ちゃんに嫉妬してる。何で私じゃなくて人間の二人がクー君を助けられたんだって・・・」

 

 

「でも・・・同時に感謝もしてる・・・ありがとう。クー君を救ってくれて」

 

響達の前に来たレティアは、クロードの姉として礼を言った。

 

「レティアさん・・・」

 

「お姉ちゃん・・・僕は響お姉ちゃん達と一緒にいたいけど・・・その中にお姉ちゃんは入れないの?」

「無理ね」

 

クロードの問いを、レティアはバッサリと切り捨てた。

 

「私自身、共存なんて無理っていう古いタイプだし、何より革命団として顔も知られ色々やらかした私はその資格を持たないわ」

 

「お姉ちゃん・・・でも」

「ダメよ、クー君。ちゃんと現実を見なさい、もう私は止まれる段階を過ぎている。今さら急ブレーキだろうが緩やかなブレーキだろうが、止まれやしない」

 

レティアはクロードに言い聞かせるように言うが、やはり辛い気持ちがあるのか、どこか悲しそうな感じが伝わる表情だ。

 

クロードも、姉との敵対が避けられない事に、今にも泣き出しそうな表情になる。

 

響もレティアに何かを言いたかった。しかし、レティアは本当に止まれない事をわかってしまった故に、何も言えずにいる。

 

 

背を向けて、響達から距離を取り・・・。

 

「今の私は、終焉の革命団幹部のレティア・グラトリン。その仕事をこなしましょう。

クー君がクー君のままに生きていける未来が確定した今、もう心残りはない」

 

己の顔にステンドグラスの模様を浮かばせて、戦闘体制を取るレティア。その決意は固く、もう何を言っても届かないだろう。

 

戦うために前に出たのは直人、啓介、大牙だ。レティアを倒す覚悟を決めた三人が変身しようとしたその時・・・。

 

 

「レティア様!緊急のご報告が!」

ワープでレティアの部下であるファンガイアが現れた。

 

「どうしたの!?」

 

「ウェル博士が暴走しており、自身にネフィリムの力を与え、月を地球に引っ張って落とそうとしています!

今はフロンティアの中央、ネフィリムのコアを埋め込んだ部屋にいます!」

 

「・・・・・・何つう事をやらかしてんのよ、あの変態博士はぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

レティアが絶叫。皆も驚くなか、レティアはすぐに指示を出す。

 

「私はウェル博士を止める、あなたは避難しなさい!」

「お気をつけて!」

ワープして避難するレティアの部下。

 

「聞いたわね、ウェル博士のせいでピンチ状態よ。あなた達は」

「一緒にウェル博士を止めましょう!」

「言うと思った!良いわよ、来なさい。人手は多い方が良いから!」

 

響の即答に苦笑しながら、皆も響の言う通り協力してウェルを止める事に賛成した。

 

レティアを含む皆を、皆をウェルのいる所までワープさせた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

フロンティア内部に入ったウェルは、ネフィリムの因子を含んだLiNKERを使い、聖遺物を取り込む能力を得る。これにより、触れた聖遺物の吸収や操作が可能となった。

 

この能力によりフロンティアの制御を独占。フロンティアを浮上させ、しかも月を「どっこいしょおぉぉぉぉぉ!!」して、月の落下を加速させるという事態を招いてしまう。

 

 

直人達がフロンティア内部に突入した時、同時に弦十朗と慎二も別ルートから侵入、ウェルを確保するために動いていた。

 

そしてウェルのいる部屋に到着した二人は、片腕がネフィリムのような異形の腕となったウェルの姿を見る。

 

「おやぁ?二課の方達ですか。でももう遅いですよ!フロンティアは完全に僕のコントロール下に置かれ、月ももうすぐ落下する!

 

月の落下で壊れる世界、そこで苦しむ人々を救い、英雄になるんだ!アハハハハ!」

 

「ウェル博士・・・愚かな妄想もそこまでにしてもらおう」

 

弦十朗は人を越えた身体能力で、素早くウェルの懐に入り、パンチを当てる。

手加減しているが、それでも痛い。情けない声を上げて倒れるウェル。

 

吹っ飛んで転がるウェル。起き上がろうとした所で、慎二の放った銃弾がウェルの影に当たると、動けなくなる。

 

本物の忍者の子孫である慎二が使う忍法の一つ、影縫いだ。翼と直人も同じのを修得済みである。

 

「う、動けない・・・!?」

「ここまでです。大人しくお縄についてもらいますよ」

銃を向けながら、降服を呼び掛ける。

 

そこに、レティアのワープで皆がこの部屋に集結した。

 

「ちょっと博士、何勝手なことをしてるのよ!月が落ちたらファンガイアだってただじゃ済まないわよ!」

 

「うるさいっ!僕は英雄になるんだ!英雄になるんだ!英雄になるんだあぁぁぁぁぁ!!」

 

狂ったように叫ぶウェル。

 

「あぁもう、ダメだこりゃ・・・皆、聞いて。月の軌道を元に戻すには、このフロンティア内部にある管理ブロックっていうコントロールルームみたいな所で操作する必要があるの。

 

そこには私が行って月を何とかしてみる。あなた達はウェル博士を見張ってて」

 

そう言って、レティアはワープした。レティアも地球に大きなダメージが出るのは避けたいために直人達に協力してくれている。

 

どんな事情でも、レティアが協力してくれる事を、響とクロードは嬉しく思った。

 

 

 

その時、ウェルの影に向けて()()()()()()()()()()()が撃たれ、慎二の撃った銃弾が影ごと消えた。

 

これによって動けるようになったウェルは、すぐにネフィリムの腕でフロンティアに組み込まれたネフィリムのコアを解放。

 

ネフィリムのコアに、ネフィリムを喰らい力にするように命令をした。

 

更に同時に、レティアの向かった管理ブロックごと月に射出させられてしまう。

 

「フハハハハ!月を戻させはしませんよぉ!」

笑うウェルだが、他の皆は・・・。

 

(もしかしてウェル博士・・・ワープが出来るって事を忘れてる・・・?)

 

レティアはワープによって脱出できる事を失念しているのか?という事を考えており、特に問題視していなかった。

 

 

そして、ネフィリムのコアがフロンティアの一部を喰らい、肉体を再生。直人達の前に現れた。

 

更にウェルはソロモンの杖を使い、ノイズを召喚しようとしたが、キバットが高速で飛んでウェルの手を攻撃。

 

痛みで落としたソロモンの杖をタツロットが掴み、装者側に投げ飛ばした。

 

「へへ、ざまぁみやがれ変態博士!」

「杖をどうぞ!」

 

ソロモンの杖を掴んだのは、クリスだった。

「またこの杖を持つ時が来るなんてな・・・」

 

「おのれぇ・・・!ネフィリム!こいつら全員潰してしまえぇぇぇ!!」

「その前に、博士は今度こそお縄についてもらう!」

 

叫ぶウェルを、弦十朗は再び攻撃。倒れたウェルに馬乗りして動きを封じ、慎二が手錠をかけた。

 

影縫いを破壊した時のような事を警戒したが、今度はそういうことは無かった。

 

「俺達はこのままウェル博士を運ぶ!皆はネフィリムを頼む!」

「お願いします!」

「任せてください!」

 

「クロード君、君は・・・!」

「僕はここに残ります!響お姉ちゃん達の力になりたいし、お姉ちゃんを放っておけない!」

 

「・・・・・・わかった。無理はするなよ!」

 

ウェル博士を担いで、外に向けて走る二人。

途中で船を手配する通信をしながら、弦十朗は心から直人達の勝利を祈った。

 

 

「グアァァァァァァァァァ!!!」

吠えるネフィリム、構える装者達、戦士達、クロード。フロンティア内部で遂に最後の戦いが始まった!

 

 

 

「・・・・・・やれやれ、ウェル博士はワープの事を忘れてるよね。さて、私も頑張りますか!

地球が壊れたら、ファンガイアだって生きられないからね!」

 

レティアは管理ブロックごと宇宙に飛ばされながらも、魔術で宇宙空間活動を可能としてから、コンソールとなる部分を操作していく。

 

レティアはフロンティアの封印が解かれる前から、革命団のアジトとして利用していた。

 

その際に、フロンティア内部の詳細や機能を調べ把握していた。それによってスムーズに操作を行い、月の落下という一大事を解決する策もすぐに見つけた。

 

「これで良し、と。最後の鍵は歌ってわけか・・・・・・立花ちゃん達に通信はここから出来るかな?」

 

今この時、敵同士だった者達が協力して最悪の状況を解決しようとしている。

 

果たして、それは成功するのだろうか・・・?

 

 




次回予告


ネフィリムとの三度目の戦い、レティアからの通信、月の落下阻止。全ての事が重なり、これまでの戦いは終盤に・・・。


第二十一話 奇跡の歌、奇跡の力


人々の歌が、少女達の歌が、絶望を打ち破る奇跡をもたらしてくれる。


ーーーーーーーーーー


今回は響がすぐにガングニールを纏えたり、レティアがすぐに月を何とかする手段を見つけるなど、ご都合主義が多くなりました。

ご了承いただけると幸いです。


次回から原作G編、十三話の話になります。G編ももう少しです。

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