紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

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第三話 傀儡の舞闘、分解の兵器

 

響がキャロルと出会いアルカノイズと戦いを始めた時と同じ頃、ロンドンでも非常事態が起きていた。

 

マリアとセレナの前に現れた謎の女、緑色のフラメンコドレスを着ており、そのダンスのような立ち振る舞いで右手には剣を持っている。

 

その女は周囲のスタッフを持っている剣で斬りさき、今度はマリアに斬り掛かりに来る。

 

だが戦闘慣れしているマリアにとってこの程度のものを避ける事は造作も無く、さらに背後を取ってその女の首を目掛けて蹴りを入れてやる。これで黙らせることが・・・・・・出来なかった。

 

その女はダメージを受けている様子は一切なく逆にマリア宙へ押し上げ、剣先を落下するマリアの方へ向けていた。

 

宙に打ち付けられ、剣を突きつけられたマリア。セレナも駆寄ろうとするが間に合わない。

 

このままでは串刺しになってしまう所だったが、天羽々斬を纏った翼が、女の剣を弾き救出。更に、奏もやって来て女を蹴り倒す。

 

「翼、奏!」

 

翼と奏はマリアとセレナを守る様に、女の前に対峙する。

 

「友の危難を前にして、鞘走らずいられようか!」

「そゆこと!」

 

翼が現れた事で女は笑みを浮かべる。

 

「待ち焦がれていましたわぁ」 

「貴様は何者だ・・・」

 

そう言うと女はスカートの裾を掴み、フラメンコのポーズを取る。

 

「オートスコアラーの一体、ファラと申します」

「オートスコアラー・・・?」

 

そんな名称は聞いたことがなかったが、誰であろうと友に危害を加えようとした以上、倒すべき敵である事に変わりはない。

 

「あなたの歌を聞きに来ましたのよ」

 

そう言うとファラは剣先を翼に向けて、素早く距離を詰めて突きつける。

 

翼は正面から剣を受け止め押し返すと、脚部のバインダーからもう一本出して、柄の部分を連結させて双刀へと姿を変える。

 

それを脚部のブースターを点火、双刀に紅蓮の炎を纏わせて高速回転させながら接近。

 

「風鳴る刃、輪を結び、火翼を以て斬り荒ぶ。月よ、煌めけ!」

 

高速回転させていくと炎は蒼炎へと色を変えて振り下ろし、ファラを勢いよく吹き飛ばした。

 

《風輪火斬・月煌》

 

吹き飛ばされたファラは崩れ落ちた荷物の下敷きとなった。威力の高い攻撃で敵を吹き飛ばした翼にマリアは叱責する。

 

「やりすぎよ!人を相手に・・・」

 

「やりすぎなものか!手合わせして分かった。こいつはどうしようもなく・・・化物だ!」

 

ファラは山積みとなった荷物を蹴散らし立ち上がる。まるで痛みを感じてないと言わんばかりの余裕で構えている。

 

「聞いてたよりずっとしょぼい歌ね。確かにこんなのでは、やられてあげるわけには・・・いきませんわ」

 

挑発とも取れる言葉を聞き、マリアとセレナもシンフォギアを纏いファラとの戦いを始める。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

クリスが被害状況の確認の為にヘリを降り、それが飛び立った瞬間、ディーラー風の女が弾いたコインによって撃墜された。

 

それを皮切りにクリスは自らをミカと名乗ったオートスコアラーとの銃撃戦が始まった。

 

調と切歌はここから離れた箇所で二次被害がないか見て回っているため、合流は少し遅れるそうだ。

 

ボウガンを乱射するもミカの人外的な動作を目の当たりにしたクリスは、相手が人ではないと判断。

 

ガトリングへと可変させて、弾幕の量を倍増させる。

 

しかし、ミカもマシンガンのようにコインを連射し、弾丸を全て弾いた。

 

ならばと展開した腰部のアーマーから小型ミサイルを全弾発射させる。

 

《MEGA DEATH PARTY》

 

「へっ、どんなもんよ」

 

全弾命中させたが、まさかのノーダメージ。ミカは余裕の立ち振る舞いを見せた。

 

「危ない!」

 

突如どこからともなく声が聞こえたかと思うと、頭上から船が降ってきた。

 

「何の冗談だ!?」

 

出鱈目な攻撃に驚きながらも急いで避けた。

 

「私に地味は似合わない。だけどこれは少し派手すぎる・・・」

 

ミカの背後には風貌は女に似ているが、ビルの高さに勝るとも劣らない巨体で、その両手には船を掴んでいた。

 

予想外の攻撃を何とか避けて一息ついてから、草むらで打開策を練っているクリス。

 

「ハチャメチャしやがるな・・・」

 

出鱈目な手段に悪態をつくクリスは、背後から声をかけられる。

 

「大丈夫ですか・・・?」

「あぁ・・・お前、もしかしてさっき声をかけた・・・」

 

「ボクはエルフナイン・マールス・ディーンハイムと申します。レジェンドルガの驚異から世界を守るために来ました、錬金術師です」

 

「錬金術・・・だと!?」

 

「あなたは、イチイバルのシンフォギア装者、雪音 クリスさんですよね。直人さんから話は聞いています」

 

「直人から・・・?」

「いざという時は力になってあげて、と・・・」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

翼と奏、マリアとセレナはライブ会場から離れている最中である。

 

翼が狙いであれば一般人の多い会場から遠く離れた方が被害も少なくなるからだ。

 

だが日本とロンドン、二人のオートスコアラーが結晶が投げられるとアルカノイズが出現した。それも大群をなしていた。

 

「ソロモンの杖もバビロニアの宝物庫も、一兆度の熱で消えたんじゃねぇのかよ!」

 

だがこうして現れた以上は、排除する他ない。クリスはガトリングで襲い掛かるノイズを文字通り蜂の巣にする。

 

しかし大群に包囲され、エルフナインを守りながら戦っている状態なので、迂闊に動く事が出来ない。

 

次第に包囲が狭まっていき、一体のノイズがクリスに攻撃を仕掛けようとする。

 

「どんだけ来ようが今更ノイズ!負けるかよ!」

 

ノイズ如きに遅れは取らない。プロテクターでその攻撃を防いでカウンターを決める・・・・・・筈だった。

 

ノイズの手を思わせる白い尖端がプロテクターに触れた途端、その守りがいとも簡単に崩されてしまった。

 

そしてロンドンでも戦っている翼にも同じ事が起きていた。剣先にノイズの攻撃が触れた途端に、刃が塵と消えていく。

 

「剣が!?」

 

そして守りが崩れた所をノイズの攻撃が、ギアのマイクコンバーターに直撃して、ヒビが入った。翼とクリスのギアが次第に分解されていく。

 

「ノイズだと、括った高がそうさせる」

 

このノイズを召喚したディーラーの女がポーズを取って言う。

 

「敗北で済まされるなんて、思わないことね。」

 

ブリッジにいる人員は全員混乱していた。予想しえなかった事態に皆が動揺する。

 

「どういうことだ!?」

「二人のギアが分解されています!」

「まさか・・・・・・ノイズじゃ・・・ない!?」

 

そして遂に完全に分解されてしまい、翼とクリスは一糸纏わぬ裸で倒れてしまう。

 

翼に奏が駆け寄り、マリアとセレナで残っていたアルカノイズを一掃する。その間にファラは消えてしまった。

 

クリスにはエルフナインが駆け寄る。その間もアルカノイズがジリジリと接近してくるが、ここで切歌と調が合流。

 

《切・呪りeッTぉ》

《α式・百輪廻》

 

三枚の枚大鎌の刃と三枚無数の小型鋸によって、アルカ・ノイズは切り刻まれた。

 

切歌はすぐ近くにあった布でクリスの身体を包んで抱える。そこで気を失っていたクリスが目を覚ます。

 

「クリス先輩・・・!」

「大丈夫デスか!?」

 

「・・・あぁ、大丈夫だ。ありがとな・・・」

 

礼を言うクリスだが、声と表情に元気が無い。ギアを壊されたショックが大きいのだろう。

 

だが、それもすぐに無くなり決心に満ちた表情になる。そして調から通信機を借りて弦十郎に連絡する。

 

「おっさん・・・イクサシステムを用意しておいてくれ。ギアが何とかなるまでは、それで戦う!」

 

 

そしてロンドンでもファラに勝ち逃げされた結果に終わった。翼のギアも分解されてしまったが、マリアの衣装の一部を借りて、隠している状態だった。

 

「完全敗北・・・いえ、状況はもっと悪いかもしれません。ギアの解除に伴って、身に着けていた衣服が元に戻っていないのは、コンバーターの損壊による機能不全であると見て間違いないでしょう」

 

「まさか、翼のシンフォギアは・・・」

「絶刀・天羽々斬が手折られたということだ・・・だが!」

 

だが、翼は諦めていない・・・戦意は失われていない。

 

「司令、これから日本に戻ります。それと・・・イクサシステムを用意しておいていただけますか。

 

ギアが何とかなるまでは、イクサで戦います」

 

『・・・実は少し前に、クリス君からも同じ事を言われたぞ』

 

「流石、私のかわいい後輩だ・・・では、今は雪音と交換で使っていくという事で」

 

その言葉を聞いた奏、マリア、セレナは翼が落ち込んでいない事に安心していた。

 

S.O.N.G.ではシンフォギアが二つの破壊された事に落ち込んでいたが、翼とクリスが諦めていない事に安心した。

 

すると、戦闘を終えた響とキャロルが合流。キャロルと共闘したためか、響のガングニールは破壊されずに済んだ。

 

「エル、無事か!」

「お姉ちゃん・・・ボクは大丈夫だよ」

 

「クリスちゃんがお色気モードに!?」

「お色気モードって何だよ!ギアを壊されちまったんだよ!」

 

「アルカノイズはシンフォギア相手でも戦えるように作られたんだよ・・・あ、始めての人もいるな。

 

俺はキャロル・マールス・ディーンハイム。エルと直人のお姉ちゃんだ!」

 

「ボクは直人さんの妹です」

「「「「ファッ!?」」」」

 

響はエルフナインの妹発言に、クリスと調と切歌はキャロルの姉発言に驚いて同じ声を出してしまう。

 

そしてクリスが持っていた通信機を借りて弦十郎に言う。

 

「オレ達がここに来たのは、レジェンドルガとオートスコアラー・・・その驚異に対抗するためだ。

 

そこで、オレ達ディーンハイム姉妹はS.O.N.G.と協力していきたい。情報提供も兼ねて話をさせてくれないか?」

 

『もちろんだ。こちらとしてもギアが破壊された事も踏まえて、協力者が増えるのは本当にありがたい』

 

「感謝する。礼に・・・オレ達がシンフォギアを直してやろう。パワーアップのおまけ付きでな」

 

ニッと笑ながらパワーアップ出来ると言ったキャロルに、皆が目を丸くしていた。

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

一方、直人は某国にあるファンガイア専用の特別な刑務所にいた。

 

刑務所といっても別に罪を犯して収容されたわけではない。とある囚人と面会に来たのだ。

 

直人は面会室まで直接、所長直々に丁重に案内された。そのファンガイアは、ごく普通の男性的特徴の域を出ない。

 

「直接会うのは初めて、ですね」

「そうだな、魔皇と呼ばれるあなたにお会いできて光栄だ」

 

「・・・考古学者、アルロン・カール・・・あなたですよね、最初にレジェンドルガの一体を復活させたのは」

 

「さて、何の事かな?」

 

「考古学者としてレジェンドルガを含むあらゆる魔族について研究するうちに、レジェンドルガを復活させてしまう。

 

その後にレジェンドルガに従いもう一体を開放。その後に捕まり今に至る」

 

「・・・別にいいではないか。古代からの存在に心惹かれただけなのに・・・」

 

それから話しを続けたが、特に有益な情報は得られず面会時間は終了。

 

刑務所から外に出たところで弦十郎から連絡が入り、今までの経緯を説明。直人は自分がいない間の出来事に驚き、皆のためにと急いで帰国する事にした。

 




次回予告

直人と合流し、キャロルとエルフナインから事情を聞く事になる。

第四話 語られる事実、反撃の準備

装者達や戦士は決して諦めない。諦めない心が最大の武器である事を知っているから。さぁ、反撃の準備を始めよう。

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