オートスコアラーとの戦いの翌日。海外にいた直人、翼、奏、マリア、セレナが飛行機で帰国し空港で迎えに来た他の装者達と合流。
全員揃った所で直人は皆を助けに行けなかった事を謝罪したが、ギアを壊された翼とクリスも他の者も誰も怒ったりしてないと伝えた。
そして全員で向かったS.O.N.G.本部の潜水艦に、二人の小さな客人が入った。
キャロルとエルフナイン・・・ディーンハイム姉妹である。司令室に全員が揃った所で、直人がキャロル達に挨拶すると二人は直人に抱きつく。
「姉さん、エルちゃん、久し振り」
「おぉ直人!久しぶりだな。元気そうでお姉ちゃんは嬉しいぞ」
「お兄ちゃん、お久しぶりです」
直人は確かにキャロルを姉と呼び、エルフナインが直人をお兄ちゃんと呼んだ。
装者達はキャロル達が言う事が事実と分かり目を丸くしていた。
そしてキャロル達は自己紹介をしていく。
「改めて、オレはキャロル・マールス・ディーンハイム。エルと直人のお姉ちゃんだ!」
「妹のエルフナインと申します。直人さんの妹です」
「俺達は
「サンジェルマン総帥・・・組織の長からレジェンドルガ族、及びお姉ちゃんの体を奪い錬金術を悪用する者の討伐を命じられました」
姉の体を乗っ取った・・・というのも含めて、弦十郎が質問していく。
「S.O.N.G.司令官、風鳴 弦十郎だ。質問させてもらうが、姉の体を乗っ取ったというが、君はそこにいるが・・・他にも姉妹がいるのか?」
「そうだな・・・それも含めて話は長くなるからしっかり聞いてくれ」
そしてキャロルは、まず自分達の事を話していく。
四百年前、自分の父イザークと共に暮らしながら錬金術の研究に没頭していた。
深山にて採取される"仙草"とも呼ばれる薬草アルニムを使った治療によって流行り病に苦しむ村人たちを数多く救うなど、人間の力で運命を打開しようと研究や努力をしていた。
しかし、その力を恐れた人々に異端者としてキャロルの目の前で火刑に処され・・・そうになった所でとある人物が父と自分を助けてくれたのだ。
その人物とは・・・直人や大牙の母親、真夜であった。
水の魔術でイザークを焼こうとしていた炎を消して、周囲のイザークとキャロル以外の人間を魔術を用いて全員殺害。
助けられた後に助けた理由について尋ねると、こう答えた。
「たまたま目撃したとはいえ、下らない疑惑と危害の心で同じ人間を私刑に処す・・・それをぶっ壊した人間達の愚かさを見たかったの」
理由はともかく、自分達を救ってくれた真夜に礼を言ったがすぐに姿を消してしまった。
それからは人里離れて暮らしていたが、数年後にイザークは病で亡くなってしまう。
「キャロル。生きて、もっと世界を知るんだ。そして錬金術の力を人々の為に、世界の平和の為に使える優しい子になって欲しい」
「・・・人間は、お父さんを殺そうとした。悪意と疑心に駆られて・・・。でも、善意と優しい心を持つ者もちゃんといる。
私、頑張るよ。どんなに時間が掛かっても必ず!」
「ありがとう・・・私はずっと君を見守っているよ・・・」
その会話を最後に、眠るようにそっと息を引き取った。
それから、父との約束の為に錬金術の奥義にて精製したホムンクルスにオリジナルの記憶を転写・複製するという手法で数百年にも及ぶ長き時を生きてきた。
時には人々に感謝され、時には人々に恐れられ・・・それでも生きる事を諦めず膨大な時間を錬金術の統括・習得と、父と交わした約束を果たすために使ってきた。
途中で予備のホムンクルスの一体を妹のエルフナインとして、四体の
西暦2010年代に錬金連合に所属し、以降は連合のバックアップを受けながら二人と四体で活動していた。
直人の姉妹となっている理由は、直人の父親である音也とも親交があるからだ。
彼から「直人を頼む」と言われ、キャロルは年上だからお姉ちゃんだ!となりエルフナインは妹属性だから妹だ!となったのだ。
ところが数ヶ月前に遺跡調査をしていた際、偶然にもレジェンドルガの王「ロード」が封印されていた棺を開いてしまった。
封印が解かれて復活を遂げたロード・・・“アーク”の依代となる器としてキャロルの体に憑依されてしまった。
だが、憑依される直前に自害して自分の意志を予備の体に避難させた。(記憶の転写・複製ではなく魂そのものを避難させたような物)
だがキャロルの体を乗っ取られただけでなく、オートスコアラー達は「ロードに乗っ取られたキャロル」をマスターと認識しており、キャロル達に反旗を翻す。
更に、「パヴァリア光明結社」という組織がノイズのレシピを基に錬金術によって生み出したアルカノイズまで使い出した。
オートスコアラー達の攻撃から逃げ切り、連合に相談して直人達やS.O.N.G.と協力してレジェンドルガやオートスコアラーを倒す事に決定。
そして今に至るという事だ。響を攻撃したのは魂の無いキャロルの体に憑依したロード(以降、ロードとのみ表記)という事である。
話を聞き終えた皆は、ロードを含むレジェンドルガやオートスコアラーやアルカノイズの脅威に真剣な表情になる。
「話はわかった、こちらも君達と協力する事に賛成だ。次の質問だが、シンフォギアの修復やパワーアップをするというが可能なのか?」
「可能だ。エルの持つ物とオレの持つ物を組み合わせてシンフォギアに組み込めばな・・・」
キャロルとエルフナインは一つずつ箱を取り出す。
「オレが持つのが聖剣グラムの欠片、エルが持つのが魔剣ダインスレイフの欠片だ。
それぞれ聖と魔・・・プラスとマイナスの力を持つそれらをバランス良く組み込んで、大きくパワーアップさせると同時に心身への負担を減らして長時間使えるようにする」
「聖と魔の聖遺物による出力強化とアルカノイズの分解能力に対するバリアコーティングの設計・・・。
これがシンフォギア改造計画、”プロジェクト・イグナイト”です」
「なるほど・・・・・・今の我々にはアルカノイズの分解能力に対抗する術が無い。直人や音也、真夜を知る君達を信じ任せよう」
「感謝する・・・そして約束する。その信用に必ず応えてみせると」
「ボクも・・・頑張ります!」
弦十郎の許可がおり、プロジェクト・イグナイトは正式に始動する事になった。
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ちなみに話し合いを終えた後、翼がロンドンで遭遇したアルカノイズの絵を書いて皆に見せていた。
「これがロンドンで翼先輩が戦ったアルカノイズ・・・かぁ?」
「我ながら上手く描けたと思う。どうだ」
翼は自信満々なのだが完全に子供が描いたような侍そのもの。
奏、マリア、セレナが記憶しているアルカノイズの特徴、姿形とはあまりにも違う。
「アバンギャルドがすぎるだろ!?美術の方面でも世界進出するつもりかぁ!」
「そんなにか!?」
「・・・・・・今日もか」
「直人さん、どうしたの?」
スマホを見る直人の呟きに、一番近くにいた調が反応する。
「少し前から、人工ライフエナジーを輸送するトラックごと盗まれる事件があったけど、今兄さんからメールが来てまた盗まれたって」
「人工ライフエナジーを?」
「犯人や用途は大体分かる、けどね」
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同時刻。ロード及びレジェンドルガが根城としている古城がある。
その広間の中央にある台座で青いオートスコアラー、ガリィは休眠状態の赤いオートスコアラー、ミカの起動を行う。
「いきま〜す」
ガリィとミカの唇が重なると、ミカの身体にエネルギーが注がれる。
これは、オートスコアラーのエネルギーの源であるライフエナジーを移しているのだ。
これによってオートスコアラーは起動し、活動する事が出来る。特にガリィはライフエナジーの分配という独特の機能が備わっていて、ミカにはそれがないのでガリィを介してライフエナジーを蓄えているのだ。
ちなみに、使っているのは人工ライフエナジーであり、それまでは別のエネルギーを使っていた。
キャロルは人工ライフエナジーを共存派ファンガイアの協力者から受け取り、それを使っていたのだ。
人工ライフエナジーを注ぎ終えると、ミカがぎこちない動きで起動したが、すぐにヘナヘナと座り込んでしまう。
「あれれー、動きにくいゾ・・・」
「赤人形は動かぬか」
「嫌ですよぉ〜これでも頑張ったんですからぁ〜人工ライフエナジーの強奪、苦労したんですよぉ。
私達はファンガイアのように人間からライフエナジーを吸い取れないから、人工ライフエナジーを奪うしかないんですよぉ」
「人工物・・・下らないが仕方ない。青人形、赤人形の再起動を急げ」
「はいは~い、マスターの仰せのままに〜」
「黄人形、緑人形、貴様らも人工ライフエナジーを補給しろ」
「「はい、マスター」」
オートスコアラー達を色で呼ぶロード。その声は冷たい・・・。
すると、正面から四体のレジェンドルガが入ってきた。
マミー、メデューサ、ガーゴイル、マンドラゴラ。生き残った四体は復活したロードの前に跪く。
「ロード、レジェンドルガの生き残りたる我々四体、再びあなた様の下僕となります」
「ご苦労、レジェンドルガを世界の支配者とするべく動いてもらうぞ」
「「「「仰せのままに」」」」
恭しく畏まるレジェンドルガ達。少し遅れてミカ以外のオートスコアラー達も跪く。
両陣営が決戦の準備を進めていく・・・。
次回予告
オートスコアラーの一体、ガリィが本格的に動き出す。シンフォギアが無事な装者達は改良を待たずして戦いに挑む。
第五話 水の人形、避けれぬ衝突
ただご主人様の為に動くお人形さん、あなたの為に頑張りましょう・・・。
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イグナイトモジュールですが、聖剣と魔剣を組み合わせる事で安定させる、というオリジナル設定にしました。
聖剣にグラムを選んだのは、ダインスレイフと同じ北欧神話に登場する聖剣の中から選びました。
この小説でのグラムは、ちゃんとしたマトモな聖剣としています。