マミーとガリィの襲撃から二日後。キャロルとエルフナインの二人はS.O.N.G.の割り当てられた作業室で天叢雲、ガングニール×2、天羽々斬、イチイバルの改修を行っていた。
アガートラム×2、シュルシャガナ、イガリマ、そして使用者のいない神獣鏡は先に上記のギアを改修し結果を見てからとなった。
「お姉ちゃん、グラムとダインスレイフの比率はこうした方が良いんじゃないかな?」
「いや、それだと後から反動が来てしまう恐れがある。まずグラムの比率を・・・」
二人で相談しながらギアの改修を進めていく。すると、作業室の中に二人の女性が入っている。
「ヤッホー、キャロルちゃんとエルちゃん!差し入れ持ってきたよー」
「姉さん手作りのマヨネーズ入りアンパンです。心して食せ」
「私はどこの副長!?っていうかそんな体に悪いものじゃないから!普通のサンドイッチだから!」
「失礼、間違えました。姉さん手作りのキムチ梅干サンドです」
「どこの学園で販売されているサンドイッチだ!?
ちゃんとしたBLTサンドイッチだって!私の手作りだけどね!」
そんな漫才のようなやり取りをしながら入ってくるのは、二人の女性。
作業着であるツナギを着ているが、特徴的な青みがかった黒髪をポニーテールに纏めた、赤と青のオッドアイを持つ双子の美女だ。
手作りのBLTサンドイッチを持ってきたツッコミを入れていた姉は「サリア・クリティア」。
淡々とボケていたのは妹の「リルス・クリティア」。
ファンガイアであり、ファンガイアでも一番の技巧匠に送られる称号を持つ、ナイトとポーンの二人である。
サリアは右目が赤色で左目が青色。リルスは右目が青色で左目が赤色である。
二人は直人が弦十郎に紹介し、許可を貰ってシンフォギア改修に参加する事になったのだ。
更に、この二人は昔からキャロルと親交があり、オートスコアラー用に人工ライフエナジーの提供など色々協力してくれていたのだ。
「サリアさん、リルスさん。こんにちわ」
「お前達か、手伝ってくれるのか?」
「まぁね、私達クリティア姉妹が加わればパパッと終わるでしょ」
「技術には自信がありますし、一度シンフォギアをイジってみたかったんですよ」
「・・・リルス、言っておくけどシンフォギアに変な事をしちゃ駄目だよ?」
「え?フリフリのフリルたっぷりの魔法少女っぽい衣装にする事のどこが変な事なんですか?」
「百パーセント変な事しかないから!直人君や弦十郎さんの信頼を裏切るなっつーの!!」
「はいはい、全くうるさい姉さんですね」
「いや何でうるさい言われるの!?」
クリティア姉妹の会話はコントのような感じになっており、キャロルやエルフナインもクスクスと笑う。
だがその直後、本部全体に警報が鳴り響いた。
警報が響いてすぐに、装者達が指令室に駆け込んだ。オペレーター達がアルカノイズの座標を特定しようと動いていると、本部全体が轟音と揺れに襲われた。
「まさか、敵の狙いは我々が補給を受けている、この基地の発電施設!?」
「何が起きてるんですか!?」
「アルカノイズに、このドッグの発電所が襲われているの!」
「ここだけではありません!都内複数箇所にて、同様の被害を確認!各地の電力供給率、大幅に低下しています!」
「今、本部への電力供給が断たれるとギア改修への影響は免れない!」
「内臓電源も、そう長くは持ちません!」
緒川やオペレーター達の言う通り、モニターに施設を襲うアルカノイズの群れが表示される。
だが、S.O.N.G.本部が電力供給を受けている発電施設を防衛するため、駆けつけた自衛隊が迫りくるアルカノイズに攻撃していた。
「新型ノイズの位相差障壁は、従来ほどではないとのこと!解剖器官を避けて集中斉射せよ!」
指揮官の指示に従い、自衛隊が遠距離からバズーカなどを用いて攻撃を仕掛ける。
攻撃を受けたアルカノイズは、その体の大部分を損壊させて動きを止める。
キャロルとエルフナインからの情報通り、アルカノイズの位相差障壁は以前のノイズに比べて大きく劣化している為、通常兵器でも対応できる様になっていた。
しかしそれが隊員に油断を齎し、アルカノイズの一体が死角から接近、隊員の一人にアルカノイズが背後から奇襲を仕掛ける。
そこに調と切歌がシュルシャガナとイガリマを纏って参戦して、アルカノイズが倒し奇襲を未然に防いだ。
更に、キバに変身済みの直人も参戦し位相差障壁が最も弱い部分を的確に狙い攻撃する事で倒していく。
ちなみに、マリアとセレナはこことは別の発電施設に現れたアルカノイズを倒すため出ていてここには不在である。
調が自衛隊に迫るアルカノイズを打倒しながら避難を呼びかけ、隊員達はそれに素直に従い撤退を行う。
撤退した事を確認してから、大技でアルカノイズを一気に殲滅していく。
《α式 百輪廻》
《切・呪リeッTぉ》
調がアームドギアから無数の丸鋸を射出。
切歌が振るった鎌の刃がブーメランのように飛来。
ザババ二人の斬撃がアルカノイズを全滅させた。
その様子を赤毛のオートスコアラー、ミカが高所から眺めていた。
「やっぱりアルカノイズはやられ役だゾ・・・・・・じゃあミカとお前でやっつけるゾー!」
ミカは隣のマンドラゴラレジェンドルガに出撃を促すが、マンドラゴラは全く動かない。
「あれ?おーーーい、何で固まってるんだゾ?お前も腹が減って動けないのか?」
ミカがマンドラゴラの目の前で手を振ったり、変顔をしたりと反応を見たがやはり動かない。
マンドラゴラは夢中になっていた。
たまたま視界に入った一人の人間の存在を認識した瞬間、全身に稲妻が走ったような衝撃を感じたのだ。
そして遂にその衝動のままに動き出した。高所から飛び降りて真っ直ぐ切歌の方へ向かって真っ直ぐ走る。
「ギアアアアアアアア!!」
「デェス!?」
切歌は突進してくるマンドラゴラを横に飛んで回避するが、マンドラゴラは急ブレーキをかけて方向転換、切歌の回避した方に向かってまた走る。
切歌が回避しても、また切歌の方へ走る・・・それが繰り返される・・・つまり、切歌を追いかけているのだ。
「なんで私ばかり追いかけるデスかぁぁぁぁぁ!?」
「おーい、何でなんだゾ?」
切歌だけでなく、降りてきたミカまで同じ事を聞く。
キバはマンドラゴラの心の音楽を聞いて状況を察し、切歌を追いかけるマンドラゴラの前に立って右足で蹴り飛ばして止める。
「切歌ちゃん、大丈夫?」
「はい、ありがとうデス。でも、あのレジェンドルガはどうして私を追いかけるデスか?」
「えーと、どうやら個人的に切歌ちゃんにご執心みたいだよ」
「デス?」
「直人さん、どういうこと?」
合流した調も聞いてくる。キバは少し戸惑いながらも答える。
「その・・・あのレジェンドルガから聞こえてくる心の音楽が、恋愛感情と同じなんだよね」
「「恋愛感情!?」」
「ホエ?」
驚く調と切歌、首を傾げるミカ。それを証明するかのようにマンドラゴラは、切歌を熱く見つめておりウットリという擬音がピッタリだ。
「ギギギ・・・♡」
「多分、切歌ちゃんに一目惚れしたって感じかな・・・・・・まさかレジェンドルガが人間に恋愛感情を抱くなんて・・・」
「「えぇ~〜〜・・・・・・」」
「んー、要するに緑の奴を好きになったのか?それって良い事なのか?ん~~〜・・・わかんないゾ!」
レジェンドルガが人間に恋愛感情を抱く事に驚きと戸惑いを抱くキバ。
切歌と調は顔を引き攣らせながら引いて、ミカは敵に恋愛感情を抱く事が正しいのかよくわからず首を傾げる。
すると、切歌はキバの横に立つと、ギュッとキバの腕に抱きつく。
「あなたの気持ちに応える気は無いデス!私には将来を誓い合ってラブラブなこの人がいるんデス!」
「切ちゃん、ずるい!私だって将来を誓い合ってラブラブ!」
調も負けじと空いている腕に抱きつく。
「二人共、今は戦闘中だから・・・」
「いや~流石直人だな。女の子の心を掴んで離さない色男!」
「キバット、黙って」
「ギ、ギシャアアアアアアアアアアアア!!」
「あ、大声で叫んでるゾ?」
切歌がキバにくっついた上に拒絶の台詞を言われたことで、嫉妬で絶叫して激情のままキバに襲いかかる。
「ガルルセイバー!」
キバはガルルフエッスルをキバットに吹かせてガルルフォームになる。
狼の如く俊敏に動き左手のガルルセイバーで腹を切り裂く。
マンドラゴラは着地後に両手から植物の蔓を伸ばして鞭型の武器にする。
マンドラゴラが振るうと、二対の鞭は自分の意志を持っているかのように縦横無尽に駆け回る。
スピードもかなり速く、軌道を読むのはかなり難しい。
だが、ガルルフォームの目はキバの目であると同時にガルルモンの目であり、斬るべき目標を決して逃さない。
鞭の先端がキバを貫こうとするように迫るが、ガルルセイバーによる居合いの一閃で両方切り裂く。
驚くマンドラゴラの背後からミカが笑いながらキバに襲いかかるが、ガルルセイバーの口から発せられる音波砲・ハウリングでミカを吹っ飛ばして地面に叩きつける。
切歌と調はキバの強さに見惚れると同時に悔しさを感じた。
今の自分達はまだまだキバに届かない。今もまだ見ている事しか出来ない。
そんな自分が嫌で・・・故に二人は覚悟を決めてLiNKERの入った注射器を取り出す。
「・・・切ちゃん、覚悟は出来てる?」
「当然デス!」
二人がやろうとしているのは、LiNKERの
ケビン・ウェードがウェルのレシピを元に開発したLiNKERは使用者への負担を大きく減らした改良型であり、シンフォギアの長時間運用にも耐えられる様になる。
だがそれでも・・・LiNKERであり薬品である以上、
それを承知の上でキバに頼り切りな状況を打破する為、自身の首筋に注射器を当ててLiNKERを投与した。
「二人が一緒なら」
「怖くないデス!」
投与直後に軽い眩暈に襲われた後、鼻からポタポタと血が流れてきたが二人は全く気にせず戦う意思を示す。
「行くよ、切ちゃん・・・一緒に!」
「切り刻むデス!」
《対鎌・螺Pぅn痛ェる》
切歌は二本の鎌を両手に展開し、それを一つに束ねて左右に刃が付いた大鎌へと変形。
調はツインテールにあるアームドギアから、大型の丸鋸を展開する。
「お前達の相手はあたしだゾ!」
二人が攻めてきた事を確認したミカが嬉々としながら爪を立てて炎を纏わせて、それを斬撃として飛ばす。
二人はそれを跳躍して躱し、切歌は回避せず背中のブースターを使って更に加速して最短距離でミカに迫る。
至近距離まで近づいた切歌は、自分の魔術である《翡翠創造》も発動。
鎌の刃に自分の魔皇力で作り出したエメラルドの水晶を纏わせ、刃の二重構造とし耐久力と切れ味を強化してミカに大鎌の一撃を繰り出す。
ミカはその攻撃を炎を纏った爪で受け止める。
《γ式 卍火車》
《非常Σ式 禁月輪》
更に調が二つの技を同時に発動。
射出された二つの大型丸鋸を放ち、その直後に車輪のように展開した丸鋸でミカに高速で接近し、そのままミカに衝突。
ミカは調の攻撃を全て受け止めるが、回転する刃と翡翠の刃によって爪は徐々に削られヒビが入り、両方共壊れる前にミカは横に逸れて距離を取り、調の攻撃を回避する。
「あーーー!あたしの爪がボロボロだゾー!」
「そんな爪じゃ、ネイルアートも無理でしょう?」
「私達が斬って整えてやるデスよ!」
「そういうココロヅカイって奴は無用だゾ!」
『・・・・・・赤人形、マンドラゴラと共に帰還せよ』
ここでロードから呆れ混じりの声で撤退を命じられる。
「あ、戻れって言われたゾ・・・じゃあ帰るゾ!ほらお前も帰るんだゾ!」
ミカは素直に従い、マンドラゴラを捕まえてテレポートジェムで去る。
マンドラゴラは最後まで切歌を未練たっぷりに見ていた。
敵の姿が完全に無くなり、マリアとセレナも含めてアルカノイズを全滅。オートスコアラーとレジェンドルガはキバ側にだけ現れたがそれも撃退。
発電施設の防衛はある程度被害は出てしまったものの、シンフォギアの改良に悪影響は無い位に守る事が出来た。
S.O.N.G.から報告を受けた切歌と調は安心して気が抜けたのか、ギアが解除されると体への負担から倒れそうになる。
しかし、変身を解いた直人がすぐに二人を抱きとめる。
「もう、二人共無茶をして・・・でも、無事で良かった」
「「ごめんなさい・・・」」
LiNKERの
直人は二人の無事に安心して優しく頭を撫でて、二人を労った。
その後、切歌と調は
報告付けたマリアとセレナが医務室に来た際に
「なぁなぁガリィ、レンアイって普通の好きと何が違うんだ?」
「はぁ?何言ってんの?」
「マンドラゴラが緑色のシンフォギアにレンアイをしたみたいだぞ」
「緑の・・・イガリマァ!?恋愛って・・・・・・へぇ」
「ガリィ?」
「その事はこっちで何とかするから、あなたは仕事に専念してなさい。後、この事は他の奴には内緒よ」
「ん~~・・・わかったゾ。ガリィが言うならそうするゾ」
そして、ミカはガリィによって手の修理を受けている間に恋愛について聞いたが、マンドラゴラが切歌に恋をした事を聞いてミカにこれ以上の質問をさせないようにした。
(これは黙っておこうっと。何か面白くなりそうだし・・・シシシ♪)
心の中で黒い事を考えながら・・・だが。
次回予告
家に帰れば、出迎えてくれる人がいる。古い付き合いのある優しい人がいる。
暖かくて優しくて、だからこそ■■に気付けなくて・・・。
【第七話 変化の影響、過去の真実】
あなたの心に描かれる楽譜、それは美しく醜いと私は思ったから。
ーーーーー
GX編原作と異なり、イグナイトが完成せずロードも現れませんでした。
今後、レジェンドルガと最低でも一回は戦いを書いておきたいので、イグナイトや音也の事はもう暫くかかります。
それと、仮面ライダーレイは当初はAXZ編から出すとしましたが、話を見直した結果このGX編で出す事にしました。
出るのはもう少し先ですが、変身者はもう決めています。
それと自分で書いておいて何ですが、敢えて書きます。
マンドラゴラ・・・君、何でそうなっちゃったの?
そして次回は響に関する話です。