ようやく続きを書けたので投稿いたします。
このお話は、展開を見直した結果、当初の話と変わったので前話の予告とは、タイトル及び内容が異なります。ご了承下さい。
オートスコアラーの一体、ミカとマンドラゴラレジェンドルガとの戦闘・・・発電施設の防衛戦から数日後。
某国の道路と自然だけがある広い土地をバイクを運転して走る一人の男・・・轟木 零士は目的地である古い屋敷にたどり着く。
バイクを止めてヘルメットを取ったところで、薄く笑いバイクを降りて洋館の中に入る。
入るとすぐに複数の使用人が頭を下げる。
「お待ちしておりました、当主様がお待ちでございます」
「おう、お邪魔するぜ」
使用人達に軽く挨拶して目的地へ迷わず進み、たどり着いたのは屋敷の奥にある当主の部屋。
そこに男が一人おり、やって来た零士に注目する。
「よぉ、久し振りだな」
「どうも、お久しぶりです」
「もう脱獄したのか」
「ファンガイア専用の刑務所でしたが、脱獄が余裕すぎて拍子抜けしました」
「お前が入ってた刑務所が壊滅して看守が全員死んだっていうのは・・・」
「事実です。新兵器のテストの為、尊い犠牲になって貰いました。生き残った囚人のファンガイアは少ないですが、革命団に保護して頂けるのですよね」
「それは約束するが・・・お前、何で逮捕されたんだよ?」
「逮捕しに来た奴が私より強かったんですよ。まぁ私が逮捕された位で駄目になるほどカール家は軽くないですよ」
「そ~ですか・・・さて、こうして久し振りに会ったわけだが・・・ここに来るまで色々あったな」
「革命団にいるのが嫌になったのですか?」
「んなわけねぇだろ、ただ急用が入ったせいで予定より遅れちまった」
零士と話しているのは、ファンガイア専用の特別な刑務所に収監されていた筈の考古学者、アルロン・カールだ。
直人と面会した時と異なり、不気味な笑みを浮かべながら話している。
屋敷の持ち主・・・カール家当主を務めるアルロンは「終焉の革命団」の構成員ではない。零士と古くから付き合いのある者だ。
「それで・・・本題は?」
「お前も知っての通り女神が肉体を取り戻して、レジェンドルガも復活したわけだが・・・ちょっと気になった事があってな」
少し間を溜めてから、本題に入る。
「レジェンドルガにシンフォギアを壊すように言ったのは、アルロン・・・お前か?」
「えぇ、そうですよ。魔皇側の戦力を削る為にレジェンドルガの王、アークに進言しておきました」
「やっぱりか・・・レジェンドルガに交渉するとか、俺以上に度胸があるな」
「内心ヒヤヒヤでしたけどね」
零士の確認が終了にしたところで、アルロンが言う。
「では零士さん、日本への案内をお願いします。レジェンドルガの戦力にならないといけないので」
「はいよ。しかし、魔皇やシンフォギア装者達とも戦う事になるが・・・お前戦えるか?」
「ご心配なく。既にカール家が運営する
3WA・・・正式名称は、ワールド・ワイド・ウィング・アソシエーション。
百年以上前にカール家先代当主・・・アルロンの父が創設した研究所。
他種族の生態や力を研究し、その成果を転用した兵器を開発している非合法組織だ。
作った兵器で金儲けをしていたが、十年以上前に父が他界してからアルロンが当主及び3WA代表の地位を引き継いだのだ。
考古学者というのは、周囲を欺くための表向きの肩書でしかなかったのだ。
その兵器開発の技術の全てを注いで作った新たな兵器・・・それは、
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同日、日本の東京某所。
立花 響は直人と一緒に喫茶店「マル・ダムール東京店」に来ていた。
マル・ダムール東京店は、共存派のファンガイアであるマスターが、マル・ダムール本店のマスターから修行を積み独立して建てた店である。
共存派のファンガイアや、関係者の人間なども訪れる店であり、ここで様々な情報の交換や親睦を深めるための交流など、色々な理由で使われる。
ここのマスターはかつて直人に救われた身であり、恩義から直人の共存の確立に関して、自分の店を使ってサポートをしてくれている。
余談だが、嶋 護や登 大牙、他のシンフォギア装者達も直人の紹介で時々だがここを利用している。
「どうだぁ響、お父さんの入れたコーヒーは!」
「ん〜?良くなってるけど、やっぱりマスターが入れる方が良いなぁ」
「ガーン!直人君は?」
「僕も響ちゃんに同意見ですよ」
「くっそ〜!次はもっと美味しいのを出すぞ!」
「頑張ってね!また酷評すると思うけど♪」
「話せるようになった娘が厳しい・・・・・・」
響と直人に接客しているこの店員こそ、響の父親である「立花
ツヴァイウィングのライブの事件後、生還者である響への誹謗中傷による自分への被害に耐えられず逃げてしまった。
だが、ルナアタックの事件からしばらく後。
響と再会してから立花家の事情を調べていた直人によって発見され、そこから二人でマル・ダムール東京店で話し合った。
その時の洸はバイト先を経費削減という名目でクビにされてしまい、落ち込んでいた時であった。
事件の事もあり少々卑屈になっていた洸だが、直人の言葉は自分の心にスッと入っていくという事を実感していた洸は自然と直人の話を聞いていた。
「今の洸さんは、響ちゃんや奥さん達とやり直したいですか?」
「・・・・・・」
「今の自分の事とか、家族への後ろ暗さとか、そういうのを抜いた本当の気持ちを聞かせて欲しいんです」
「・・・・・・以前から、何度も夢に見るんだ。皆と一緒に笑い合っていたあの時の事を。
でも、しょうがないだろう・・・今さら俺が戻りたいって言って謝ったって・・・」
「それは、響ちゃん達からそう言われたんですか?」
「え・・・」
「一方的にこうだと決めつけて、しょうがないと諦めて・・・響ちゃんに実際に拒絶されたわけでも無いのに、そんな事を言ってどうするんですか?」
「・・・・・・」
「響ちゃんや奥さん達に拒絶されるのが怖い・・・それは理解できます。でも、あなたの心は口にした言葉と違う事を叫んでいますよ」
「俺の・・・・・・心?」
「昔の仲が良かった時の夢を見る・・・それはきっと、あなたの心が響ちゃん達と家族に戻りたいと歌っているんですよ」
直人はコーヒーを一口飲んでから、母親・・・真夜の言葉を伝える。
「心の音楽に耳を澄ませ、心の歌を歌いましょう。大切な人へ、その歌を届けてあげるの。きっと、解り合えるから」
「それは・・・?」
「僕の母が教えてくれた言葉です。洸さんの心の歌・・・過去のように仲の良い家族に戻りたいと歌っている。
その歌・・・自分の気持ちを伝えましょう。それに伝えて拒絶され後悔するとしても、伝えないで後悔するよりはマシだと思います」
直人の話を聞いて、洸はしばらく俯いていたが自然と涙がこぼれ落ちる。
「・・・・・・たい」
「・・・・・・」
「響に会いたい・・・伝えたい・・・謝りたい・・・やり直したい!」
泣きながらも自分の本当の気持ちを言う洸の手を、笑顔で優しく握る。
「僕達にも、その手伝いをさせて下さい。ね、マスター」
直人がマスターに声をかけると、マスターは笑顔でサムズアップして答える。
それから、洸はマスターの提案でマル・ダムール東京店の空き部屋に住み込みで働く事になった。
いきなり響に会うのではなく、マル・ダムール東京店で働いて仕事面からやり直して心の整理をつけてからとなった。
店内の清掃や食器洗いなどの雑用も率先して、真面目に行い給料もムダ遣いせずきちんと貯金していく。
心を入れ替えて真面目に働き、響達に恥ずかしくない自分でありたいとする。
そして今年の四月、進級祝いという事で直人は響をマル・ダムール東京店(貸し切り)へ連れて行き、遂に洸と響が再会した。
「い、いらっしゃいませ・・・・・・ひ、久しぶりだな・・・響・・・・・・」
「お父、さん・・・・・・?」
「・・・・・・っ・・・響!!」
「!?」
「ごめんなさあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」
いわゆるジャンピング土下座で響に大声で謝罪した洸。
何とか頭を上げさせてから、三人で座ったところで洸がこれまでの事を語り、そして響に頭を深く下げて謝罪する。
「響・・・・・・お前が辛い時に逃げてしまって、本当にごめん!」
余計な言葉をつけない、故に真っ直ぐな謝罪。
響は俯いたまま何も言わない。何秒か、何十秒か、何分か・・・長く感じる短い時間の末、響は口を開く。
「・・・・・・簡単には、許せないよ」
「っ・・・あぁ・・・」
「今どんなに変わっても、過去に見捨てられた事は変わらないよ・・・」
「あぁ・・・」
「だから・・・・・・・・・やり直したいっていうのが嘘じゃないって、証明して見せて」
「え・・・?」
「私にもう一度、お父さんを信じられるように・・・これからも努力してみせて。
私も、お父さんが本当にやり直したいって思っているのを・・・信じられるようになりたいから・・・。
だから、これからもここに来てもいいかな?お父さんに会いに来ても・・・いいかな・・・?」
「・・・!あぁ・・・勿論だ!俺、頑張るよ。もう一度皆でいられるように、頑張るから・・・!響がくれたチャンス、絶対に無駄にしないから・・・!」
響はやり直したいという父の真剣な気持ちを、もう一度信じたいと思い、その気持ちを伝えた。
洸はその気持ちを受け取り、これから響達に相応しい人間になれるように努力して行く事を誓う。
この時、まだ完全では無いものの二人は関係を修復出来たのだ。
そして今、以前よりもお互いの距離は近くなっており、冗談を言って笑い合えるなど昔のような良好な関係に戻りつつある。
「じゃあ、お父さん。また来るね」
「あぁ、またのご来店をお待ちしています」
コーヒーを飲み終えた二人が店を出て歩いていると、街の商店街を通る。
響としては、直人とデートしているようで笑顔で歩いている。
そんな中で昔ながらの駄菓子屋の前を通ると、店主の四十代後半程の夫婦、その妻の方が響達に声をかける。
「あらあら、響ちゃんったらデートかしら?」
「あ、おばさん!仰る通り、デートです!」
「デートをさせてもらっています。この店は・・・」
「私が幼い時から通っている駄菓子屋さんです。その・・・
「そっか・・・」
辛かった時とは、ツヴァイウィングのコンサートでの事件で生き残った響への誹謗中傷の事だろう。
響の直人への説明が聞こえていたのだろう、妻が響の頭を撫でながら言う。
「本当に、あれは胸糞悪い事だったわね。でも、私達は響ちゃんの味方でいるって誓ったのよ。
幼い頃からの常連さんだけど、私達も響ちゃんを本当の娘と思ってるもの」
「ありがとうおばさーん!」
「あらあら、相変わらず甘えん坊さんねぇ」
妻の言葉に感動した響が笑顔で抱きつき、妻もそれを笑顔で受け入れている。
余談だが、お好み焼き屋「ふらわー」の店主と駄菓子屋の妻は友人であるらしく、時折響の話題で色々話すらしい。
直人は一旦響から離れて、店の奥に入りクロードやキバット、タツロットへのお土産として駄菓子を買おうといくつか選んでカウンターにいる夫に渡す。
会計を終えて商品の入ったビニール袋を受け取った直後、夫が直人に声をかけた。
「・・・なぁ、あんた」
「はい?」
「あんたはこれからも・・・響ちゃんの味方でいてくれるのかい?」
「勿論です、響ちゃんは僕や仲間達にとって、とても大切な子ですから」
真剣に答えると、夫はそうか・・・と呟いてから続きを話す。
「俺達夫婦は、子供を授かれなくてな。この駄菓子屋を細々と経営しながら夫婦だけで暮らしていた。
そんな時、当時小学生の響ちゃんはここが気に入ったのかよく来る様になった」
当時を懐かしむ様に、語り続ける。
「子供のいない俺達にとって、懐いてここによく来る様になった響ちゃんを本当の娘の様に思う様になって・・・。
特に妻は俺以上に響ちゃんを可愛がっているもんだ」
夫が外を見ると、二人共笑顔で話し合っている。その姿は本当に仲の良い親子の様だ。
「他所の娘に感情移入しすぎるのも良くないのは分かっているが・・・やはり子供に恵まれなかったのが影響してるのかもな」
「・・・・・・そう、かもしれませんね。それにきっと、響ちゃんの明るさや優しさが大きいと思います」
「そうだな・・・・・・あんなに良い子なんだ。これからも笑顔でいて欲しいもんだ」
一方、響達。
「おばさん、今日もお父さんは昔のように優しいお父さんでいてくれたんです」
「良かったね・・・そうなれたのも、あのイケメンさんのおかげかしら」
「はい、お父さんを説得してくれたんです。他にもたくさん助けてくれて・・・もう毎日メロメロです♪」
「あらあら、青春ねぇ・・・あ、イケメンさんの買い物終わったみたいよ」
「じゃあ、今日はこれで。また来ますね!」
「えぇ、またいつでもいらっしゃい」
会話を終えて、響も妻との会話を終えてその後は何事もなく帰る事が出来た二人。
それから夜。翼、クリス、奏がクロードを含めた四人で風呂に入っている間に直人は以前から世話になっている情報屋と電話で話していた。
余談だが、紅家は音也が風呂好きであった事も影響してか、のんびり出来る様に大きめに作られており女性三人に子供一人が入っても余裕があるほど広い。
「やっぱり、3WAはレジェンドルガと繋がっている・・・アルロン・カールは黒で確定ですね。
でも今はレジェンドルガの問題を片付けないと・・・3WAそのものへの対処も必要ですね」
『そっちは任せる。詳しい調査資料はメールで送っとくわ』
「ありがとうございます、お願いします」
通話を終えて結果を弦十郎や大牙達と情報を共有しておこうと考え、アルロンが関わる事によってこれから起こるであろう戦いに一抹の不安を感じる直人であった。
次回予告
全てを凍てつかせる、冷たく鋭い爪。王の鎧を引き裂かんとするその爪を振るうのは、悪意を隠さなくなった一人の男。
第八話 海での一時、氷結の魔爪
その悪意は巨大な氷塊の如く、暖かい人達を押し潰し凍てつかせ苦しめようとする・・・。
ーーーーー
次回は原作のGX編七話の話です。
洸とはもう和解済みですが、話の内容を見返して早期和解とした方が良いと判断してこの様にしました。
3WAの設定も映画と異なる所があります。そして次回で、ようやくレイを出せます。