私は
私は今、学校を出て帰路に就いていた。
後ろから何者かの足音が聞こえて来る。
立ち止まって振り返るが、誰もいない。
私はT字路を曲がり、その人物を待った。
案の定、その人物が私の前に現れた。
その人物は私にそっくりだった。
「私に何か用?」
「分かっちゃった?
「は?」
「私は二日後の未来から来たの。牧村先生が開発したタイムマシーンでね」
「タイムマシーン? 未来?」
「そう。でね、あなたにお願いがあって」
「お願い?」
「うん。ハヤテくんのことなんだけど……」
「ハヤテくんがどうかしたの?」
「ハヤテくん、明日の夕方、死んじゃうの」
「は? どうして?」
「あの世から来た死神に連れて行かれるのよ」
「なるほど。それで、あなたは未来を変えようと、その死神からハヤテくんを守るよう言いに来たってわけ?」
「そうよ」
「信じられないわね。そもそもタイムマシーンなんて──」
「それが全部本当なの。今、証拠を見せるわね」
未来から来たという私にそっくりな女が、懐からベルトを取り出す。
「これは?」
「タイムマシーンよ。腰に巻いてスイッチを押すと、自分の好きな時間に移動できるわ」
「本当?」
「押してごらん?」
私は腰に巻いてボタンを押した。
すると、私の視界がブラックアウトした。その直前にほくそ笑むそっくり女。
「ここは……?」
私の元に声だけが聞こえて来る。
「バカね。タイムマシーンなんて存在するわけないじゃない」
「あなたは!?」
「悪魔よ。この世界で活動するには、あなたが邪魔でね。閉じ込めさせてもらったわ」
「目的は!?」
「ハヤテの体を奪うこと」
「そんなことさせないわよ!」
「今のあなたに何が出来るの?」
「くっ……!」
「あなたはそこでじっとしてなさい」
私は木刀の正宗を呼ぶが、やってくる気配は無かった。
どうやって抜け出そうか。
真っ暗闇の中、ひとりぼっちになった私は、携帯電話を出してみるが、圏外になっていた。
「は!」
高くジャンプしてみるが、しかし、何も起きない。
どうしたものか。
その時、私は外へと飛び出した。
「うわ!」
驚いて尻餅をつく金髪ツインテールの少女、
「ナギ?」
「びっくりするじゃないか、ヒナギク!」
「あなた、何してるの?」
「と、こんなことしてる場合じゃない。ハヤテがさらわれた!」
「悪魔に?」
「なんだ、知ってるのか?」
「悪魔さんとは因縁があってね。で、悪魔はどこ行くって言ってた?」
「アレキサンマルコ教会の地下迷宮の最下層だと言ってたぞ」
「そう」
私はナギからベルトを半ば強引に奪ってアレキサンマルコ教会に急いだ。
教会に着き、地下にあるダンジョンへと突入する。
中に入った刹那、モンスターと出くわした。
私は正宗でモンスターを切り裂いた。
消滅するモンスター。
「さて」
私はダンジョンを進み、行く手を阻むモンスターを倒し、やっとの思いで最下層に辿り着いた。
悪魔がハヤテくんを乗っ取ろうと儀式を行っている。
「待ちなさい!」
「ヒナギクさん!」
悪魔が振り返る。
「お前はベルトに封印したはず!」
「ベルトってのはこれ?」
私はベルトを取り出した。
「なぜお前が!?」
「大方、あなたが落としたんでしょう? それをナギがいじったから、私は出れたわけ」
「くそ!」
「あなたの野望は打ち砕かさせてもらうわ!」
「そうはさせんぞ──っ!」
悪魔が私の懐目掛けて飛んでくる。
「は!」
私は正宗で悪魔を斬りつける。
「ぐっ!」
怯む悪魔。
「貴様!」
反撃をしてくる悪魔。
私は攻撃を受け流し、ダメージを軽減させる。
「まだまだね」
私は正宗を悪魔の腹部に刺し込んだ。
「ぐはっ!」
膝をつく悪魔。
私は悪魔の腹部から正宗を引っこ抜いた。
「こ、この私が……に、人間なんかに……!」
悪魔は倒れて消え去った。
「ハヤテくん!」
私はハヤテくんに駆け寄る。
ハヤテくんの手足は固定されていた。
「ヒナギクさん、あそこにある装置を破壊して下さい。枷が外せるはずです」
私が装置に向かって正宗を投げ飛ばすと、手から離れた正宗は弧を描いて飛んでいき、装置へと突き刺さった。
ハヤテくんの手足から枷が外れる。
「助けにきてくれてありがとうございます」
「どういたしまして。……さ、帰ろう?」
「はい」
私はハヤテくんんと共にダンジョンを抜け出した。