下級生2の横溝ふみさんと主人公の恋愛話。
ふみさんと付き合いだしたけど、教師と生徒であったり、年齢差があったりすることを気にするふみさんに一線を引かれ、ちょっと臆病になっている主人公。
そんな二人が初めての夜を過ごすまでのちょっとしたお話です。
Hなシーンはすぱっとありませんので、どうぞ悪しからず。

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 ずいぶん以前に書いたものなのですが、発表の場もなく、しまい込んでいたのをつい先日見つけまして。
 つよきすのSSも載せてるし、こっちも載せちゃえ、と(笑)。
 下級生2の主人公とふみさんのSSです。
 年上の女性、好きなんですよ……


恋一夜

 茹だるぐらい暑い日が続いている。

 夏休み。バイトの毎日。

 きついけどへばらないでいられるのは、きつい日々の中に楽しみがあるから。

 たとえ毎日でなくてもあの人の顔を見て、声を聞いて、その存在を感じる・・・ただそれだけで、例えようも無く癒されているオレがいる。

 

 自分がこれほど誰かを好きになるとは思わなかった。

 これほど、自分の中が他の誰かで一杯になっちまうなんて、考えもしなかった。

 人は、人を好きになり過ぎると苦しくなる事もあるんだって、そんな事も初めて知った。

 

 冷たかった眼差しが、だんだんと呆れ混じりにオレを受け入れて柔らかくなっていくのが嬉しかった。

 向けられる微笑みが深まっていく度に、オレはどこまでも舞い上がっちまうんじゃないかってくらい嬉しくて、そして少しだけ苦しい。

 オレが好きだって言う度、オレがその思いを彼女に向ける度、彼女が少しだけ困った顔をするのが分かるから。

 

 だから、オレはまだ言えないでいる。

 毎日、毎日その事を考えていると言うのに。

 一度拒まれてから、いつものオレからは考えられないくらい臆病になっちまった。

 あれから何度もデートを重ね、別れ際はいつも切ない。

 

 もっと一緒にいたい。もっと近付きたい。あなたを、抱きたい。

 

 伝えられないまま、オレはいつも彼女に背を向ける。そして、眠れない夜を、一人過ごすのだ。

 

 

 

 

 

 

 「んじゃ、またね。ふみさん」

 

 

 辺りはすっかり暗い。

 彼女を家の前まで送り届けたオレは、いつもの様に軽く手を振って別れを告げた。

 今日も結局言い出せないまま、いつもの如く一人寂しく部屋に帰る。

 

 「ああ。気をつけて帰るんだぞ」

 

 ふみさんの返事もまたいつもの如く。

 にかっと笑ってから背を向けて歩き出す。彼女が見送ってくれているのは分かってる。

 後5歩先まで行ったら振り向いて、もう一度彼女に手を振ろう。

 そう考えてくるりと彼女を振り向こうとしたら、何故か足下がふらついてよろけてしまった。

 

 

 (うわっ、かっこわりー)

 

 

 思いながら彼女を伺うと、ふみさんがこっちに向かって駆け寄ってくる。

 

 

 「大丈夫か?」

 

 

 心配そうにオレの顔を覗き込んでくるふみさんを安心させる様にオレは笑う。

 

 

 

 「平気平気。ちょっと足がもつれただけだって」

 

 「本当か?体調がすぐれないんじゃないか?」

 

 「んー?んなこと無いと思うけどな。そういや最近ちょっと食欲が無いかも知んないけど・・・」

 

 「お前が?食欲が無いなんて大変じゃないか!」

 

 「んな大層な事じゃないよ。最近暑いから、ちと夏バテ気味なのかもな。大丈夫だから、あんまり心配しないでくれよ、ふみさん」

 

 「・・・そうか?」

 

 「うん。来週にはまた元気にふみさんをデートに連れ出しにくるからさ、楽しみにしててくれよな」

 

 

 

 まだ心配そうなふみさんに、オレは笑いかけた。

 有言実行がモットーのオレだ。もちろん、その言葉は本当にするつもりだった。

 だったのだけど・・・・

 

 

 

 

 

 

 待ちに待った週末の土曜日。

 ふみさんをデートに誘いにいくはずのこの日に、オレはバイトも休んで寝込んでいた。

 情けない事に本格的に夏バテのようだ。体がだるくて、熱もある。貧血を起こしているのか、布団から出ようにも手足に力が入らない。

 と、言う訳で、朝からずっと、自分の部屋で布団の中。

 本当だったら今頃ふみさんの所に言って明日のデートの約束をしているはずなのについてない。

 

 1週間、ずっと楽しみにしていたのに。

 ふみさんに会って、顔を見て、声を聞いて・・・

 きっとふみさんはオレが来ない事なんてなんとも思わないんだろうけど。

 

 ため息をつき、時計を見上げる。

 もう、夜の十時をまわってしまった。

 朝から何も食べていないからさすがに胃が痛い。

 けど起きて何かを作るだけの気力も体力もなく、もう無理矢理にでも寝ちまおうかと目を閉じたその時、あり得ない声を聞いた。

 

 

 

 「織屋。居るのか?」

 

 「ふ、ふみさん!?」

 

 

 

 体の不調も忘れて飛び起きた。鍵を開け、慌てて扉を押し開ける。

そこには少し怒ったような顔の・・・いや、不安そうな顔をしたふみさんが立っていた。

 

 

 

 「やっぱりな」

 

 「なんで??」

 

 「先週、別れ際になんて言ったか、覚えているか?」

 

 「えっと・・・」

 

 「来週また、デートの誘いにくると、そう言ったろ?」

 

 

 

 不機嫌そうな声だ。

 怒ってるのかな?ふみさんが?もしや、まさかとは思うが・・・

 

 

 

 「怒ってるの?オレが、デートの誘いにいかなかったから」

 

 「ばか者。そんな訳あるか!ただ、私は・・・」

 

 「??」

 

 「私はただ、心配になっただけだ。先週、なんだか体調が悪そうだったし。お前は、理由もなしに約束を破るような奴ではないしな。何かあったんじゃないかと。」

 

 「ふみさん・・・」

 

 「横になってたんだろう?さっさともう一度横になれ。具合が悪い時に無理をするんじゃない」

 

 「あ、うん」

 

 

 

 もう帰っちまうのかな・・・少し寂しく思いながら中に身を引くと、ふみさんがそれを追いかける様に中に入ってきた。

 

 

 「邪魔するぞ」

 

 

 そう、短く断って。

 

 

 「まだ、いてくれるんだ?」

 

 

 嬉しくて、口元が緩んでしまう。

 そんなオレを軽く睨んで、けどすぐ諦めた様に小さなため息。仕方ない奴だ、と言う様に。

 

 

 

 「食事はとったのか?」

 

 「ううん。今日は何も食べてないんだ」

 

 

 

 正直に答えると、またまたため息。

 

 

 「そんな事だと思ったよ。消化のいいものを用意してやる。横になって待ってろ」

 

 

 そう言ってさっさと台所の方へふみさんの形のいいお尻を見送りながら、オレは嬉しくて、彼女が好きで好きで仕方なくて、込み上げる笑みを堪える事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 「よし、ちゃんと食べたな」

 

 「ごちそうさまでした。すっげーうまかった」

 

 「・・・それは良かった」

 

 

 

 オレの正直な感想に、ふみさんは嬉しそうに笑ってくれた。

 その笑顔を見たせいで、オレの心臓だけがやたらと元気に活動を開始する。

 オレってよっぽど、ふみさんの笑った顔が好きなんだな。もちろん、好きなのはそれだけじゃないけどさ。

 そんな事を考えていたら、ふいに真面目な顔をしてふみさんが、

 

 

 「お前、何か悩み事でもあるんじゃないか?」

 

 

 そんな事を言ってきた。

 

 

 「頑丈さだけが取り柄のお前が体調を崩すなんてよほどの事だろう?悩みがあるなら、相談に乗るぞ?」

 

 

 悩み。

 今のオレの悩みと言ったら1つしか無い。無いけど、でもなぁ・・・

 言った方がいいのか、言わない方がいいのか。

 ふみさんの顔を伺うけど、その表情はえらく真剣で。

 どうやら、ごまかしは効きそうにない。下手な嘘をついたら、えらい勢いで怒られちまいそうだ。正直に言ってみるしか無いよな?

 

 

 

 「・・・すごく心配してもらって申し訳ないんだけど、これはただオレのこらえ性が無いせいなんだ。」

 

 「・・・?どういうことだ?」

 

 「だ、だからぁ、オレがスケベすぎるってことさ」

 

 「ふざけてるのか?」

 

 「違うって。オレは真面目だよ。前にさ、ふみさんに言った事があったよな?二人っきりになりたいって」

 

 「・・・あぁ。」

 

 「ふみさんに駄目だって言われて、オレ、柄にも無く臆病になっちまってさ。聞き分け良くいつもふみさんを送り届けてたけど、ずっとふみさんに触れたいって思ってた。それを変に我慢したもんだから、夜は眠れないわ、飯はのどを通らないわ、それなのに毎日死にそうなくらい暑いし、忙しいし・・・そんなこんなでとうとうダウン・・・って訳。情けないよな。体力にはちょっと自信があったんだけど」

 

 

 

 苦笑いしながら、自分の恥を正直に告げた。

 

 

 

 「織屋・・・」

 

 「あきれたろ?もう、オレなんて嫌になっちまった?」

 

 「・・・嫌になったって言ったら?お前は、あきらめるのか?」

 

 「・・・諦めて、ほしいの?ふみさんは、オレに」

 

 

 

 ふみさんの目を見て、逆に問いかけた。

 

 

 「っ!!ずるいぞ。先に質問したのは私だろう?質問に質問を返すな!」

 

 

 うろたえたその様子に、オレは少し悲しくなったけど、無理矢理に笑った。

 

 

 「諦めないよ。ふみさんが嫌だって言ったって追いかける。諦められないよ。オレは、ふみさんが好きなんだ」

 

 

 それが、正直な気持ちだった。諦めようと思って諦められるものなら苦労はしない。そんなものは恋とは呼ばない。

 オレは、ふみさんに恋してる。どうしようもないくらい、恋をしているんだ。

 

 

 

 「・・・織屋」

 

 「ふみさんが、欲しい」

 

 

 

 彼女の手を引いて抱き寄せた。倒れる様に、ふみさんがオレの腕の中に飛び込んでくる。

 泣きたくなるくらい愛しくて。オレは彼女の耳にささやいた。

 

 

 

 「ふみさんが、好きだ」

 

 「ずるいそ、織屋」

 

 「なんで?」

 

 「そんな風に言われたら、拒めないじゃないか」

 

 「拒む、つもりなの?」

 

 「・・・・」

 

 「拒まないでよ。オレを、受け入れて・・・」

 

 

 

 ささやいてーオレはそっとふみさんの唇を奪った。

 吐息を漏らす様に薄く開いた彼女の唇を舌でこじ開ける様にしてその口腔内に侵入する。

 舌と舌を触れあわせ、絡み合わせ、愛撫する。

 とろけるような感覚。彼女も、そんな風に感じてくれているだろうか?

 キスの合間に漏れる彼女の声がなんとも言えずにオレを刺激した。

 透明な唾液の糸を引いて名残惜しそうにオレとふみさんの唇が離れる。

 熱を帯びたような彼女の瞳がオレを見ていた。きっとオレもふみさんと同じような目をしているだろう。

 

 

 「ふみさんが、欲しいんだ」

 

 

 諦めた様にふみさんの目が伏せられる。何かをふっ切る様に。

 そしてその唇が開き、その言葉を告げた。

 

 

 「・・・好きにしろ」

 

 

 そしてオレは、その言葉の通りにした。

 強く強くふみさんを抱きしめーそして・・・

 

 

 

 

 

 オレとふみさんが初めて一つになった夜。

 きっとオレはずっとこの夜の事を忘れない。

 

 

 

 

 




 投稿の際に読み返して、下級生2も好きなヒロイン結構いたな~なんて思い出しました。
 書いたSSはこれだけですけど、高遠さんとかみさき先生も好きでした。メインヒロインがあまり好きではない自分としては、たまきも結構好きだったな~

 読んで頂いてありがとうございました。

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