東方白夜王   作:ザイソン

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走馬灯のようなもの

「説明してもらおうかの?」

 

白夜叉は背中から炎熱を放出する。つまり、怒ってる。

 

「「「・・・」」」

 

白雪姫、神奈子、諏訪子の三人は白夜叉の目の前に正座していた。三人の後ろにはお見せすることができない厨房跡地が。

なぜこうなったのか。それは三時間前に遡る。

 

 

 

「今から料理教室をはじめる!」

 

唐突に白夜叉がこう言いだした。

 

「ちょ、なんで?」

「知っての通り、この神社の食卓は全て私が担っておる。この意味がわかるな?」

 

つまり、女四人いながら料理出来るものが一人しか居ないという現実があった。神奈子も料理はできなかった。

 

「あー、いつも美味しいお料理ありがとう・・・」

「女として悔しくないのかッ!せめて米ぐらいたけるようにならんか!」

 

そういうわけで三人は厨房に連れてこられた。

 

「先ずは基本の包丁捌きからだ。各自包丁を持ってみよ」

 

三人はとりあえず包丁を握った。

 

「確か包丁はこうやって構えるんだったかな?」

 

そう言って神奈子は包丁で人を刺す構えをした。

 

「ちょ、それは事件が起こるやつ!」

 

白夜叉は正しい持ち方をレクチャーする。

 

「まな板に平行に立って、それから右足を半歩後ろに引いた姿勢、体の正面はまな板に対して斜めが理想。

まな板と体の間は、握りこぶしひとつ分くらい空け、まな板の上に置く左手、包丁を持つ右手、体の正面で、

3角形を作る気持ちで構える」

 

三人はとりあえず言われた通りの構えをした。

 

「中指や人差し指の第一関節を包丁の側面にあてて切るのが一般的。このときの素材の握り方は、指先を立てて、しっかり固定するけれども力を入れすぎないくらいがよい」

 

今回の素材は大根である。今日の夜は大根の料理にしよう。

 

「どんな包丁でも、『手前に引いたり、奥に押したり、前後に動かすときに切れる』ことをぜひ頭の片隅にいれていおくこと。『押して切る』とよく切れるの。

包丁の刃を大きく使って、切り出しから切り落としまで大きく包丁を動かす、これが素材の繊維をつぶさずに、きれいに切る秘訣」

 

三人は大根を言われた通りに切ろうとするが、

 

「あ痛!指切った!」

「だから指を伸ばすな!指ごと切れてしまうぞ!」

 

諏訪子が指を盛大に切ってしまったが神霊なので大丈夫だろう。

 

「包丁捌きについては一通りわかったの。次は米の炊き方だ。先ずは洗うぞ」

 

白夜叉は米を器に入れて水に浸す。

 

「ん?神奈子、一体何を・・・」

「?洗うから石鹸じゃないのか?」

「・・・素手で水洗い。石鹸絶対使用禁止。そして洗ったら水をよく切る。そして土鍋に入れ水を入れる。一合ならこの器一杯分、二合なら二杯。今回は三合だから三杯だ。そして中火にかける」

 

そして五分後。

 

「あ!吹き出しそうです!開けますか⁉︎」

「ならん!吹き出しそうになったら弱火に変更。火力調整は気合いでなんとかしてくれ」

 

10分後

 

「最後に強火で10秒炊くと、完成だ。さて、基本の基本は学んだの。今回は大根で好きな料理を作れ。これが今晩のおかずになる」

 

そして白夜叉は居間で三人が出来上がるまで待つことにする。

 

「これである程度はできるはず。白雪も不器用なだけで正しいやり方を丁寧にやれば大丈夫」

 

そう思っていた。そう信じたかった。

そして様子を見に白夜叉が厨房に行った。

ここで冒頭部分に戻る。

 

「何がッ!如何やったらこうなる⁉︎ここ厨房か⁉︎悲惨どころか壊滅状態だぞ⁉︎」

「なんか・・・爆発した・・・」

「なんか・・・爆発したな・・・」

「・・・爆発しました・・・」

「毎日厨房で私の手伝いしておる白雪が問題を起こすはずがない・・・となると、神奈子と諏訪子の仕業だの」

 

わけがわからなかった。食材に爆発するようなものはない。何か特別な化学変化が起きたようだ。

 

「このアホンダラ!なんばしよっと!そげなことどぎゃんしたら起こるとね!」

 

白夜叉が怒りで口調が変わる。

 

「ぎゃんしてもこぎゃんしてもこんなことになるわけないだろ!」

 

ちなみに白夜叉が喋ってる方は熊本方言である。熊本県民は効果音で物事を伝える能力があったりする。

 

「はぁ、ところで、おかずは?」

「えっと、無事です」

 

諏訪子が大根の料理を取り出す。

 

「一体どんな味が・・・」

 

白夜叉が大根を口にした瞬間、白夜叉の怒りの炎熱が止まった。

 

「白夜叉様?」

「おーい、白夜叉?」

 

諏訪子が白夜叉をつつくと、

バタリと白夜叉が倒れた。

 

「おい!白目むいてるぞ!」

「な、なんだってー⁉︎」

 

慌てふためく三人!もちろん、白夜叉は美味すぎて倒れた訳ではない。不味すぎて気絶したのだ。

 

(あぁ、走馬灯のようなものが見える・・・)

 

白夜叉の脳裏にはプリンに鉛筆が刺さった奇妙なものが浮かんでいた。

 

(とりあえず、料理覚えさせるのはやめておこう・・・)

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