新たなる戦
鬼の里についてから5年間。白夜叉と白雪姫は弥彦の家に泊まっていた。この一週間、酒ばっかりで白雪姫が毎回力尽きて二日酔いになっていた。
そんなある日の事。
「白夜叉様!」
「どうした白雪?」
白雪姫が手に文書を持って家の廊下を走ってきた。
「先程、出雲から伝令が・・・『至急、出雲大社に集合せよ』とのことです!」
「出雲大社・・・まさか!私がおとといあった神無月デビューをサボったからかの」
「で、でびゅー?」
「あ、こっちの話だ。まぁ冗談は置いておいてだの、いったい何があったのだろうかの」
白夜叉は『出雲大社に行ってくる』と置き手紙をおいて白雪姫と出雲大社に飛んで行った。
出雲大社
出雲大社に着いた二人は門番に言われて奥の部屋、集会場に足を運んだ。
集会場には数多くの神々がおり、ざわめいていた。
そこにはもちろん、
「あ、白夜叉に白雪」
「ん?諏訪子か。これはいったい何の集まりだ?」
「さあ?なんか緊急事態みたいだね」
「うーむ、いったい何が・・・ところで神奈子はどうした?」
「あ、神奈子なら・・・あそこ」
諏訪子が右の方を指差す。その先には、
「おい!もう一回腕相撲だ!」
「あれは俺が勝っただろう!」
「なに!あの時は建御雷神が雷で筋肉刺激して不正に勝ったくせに!」
「なんだと!建御名方神のバーカバーカ!」
「「コノヤロー!」」
神奈子が山吹色のロングヘアで鹿の頭蓋を仮面にし、帯刀している男神、
「あー、そうゆう事か・・・国譲りの腕相撲か・・・犬猿の仲ということだのう」
白夜叉は温かい目で二人の喧嘩を見ている。
そこに、
「貴女はかの白夜王とお見受けする!」
「確かに私が白夜王だが?おんしは?」
「申し遅れました。私は日本神群の軍神の一柱、
経津主神と名乗ったのは白髪で刀を弁慶のように沢山帯刀している青年である、経津主神は、伊邪那岐が迦具土を剣で斬った時に産まれたまさに剣の神である。また、軍神である。
「建御名方神と建御雷神の喧嘩を仲裁には私が毎回行っておりますが何分、犬猿の仲でして・・・」
「ふむ、確かに神同士の喧嘩など洒落にならんの。すぐに止めねば。あー、退いた退いた」
白夜叉は野次馬をかき分けて喧嘩している二柱に近づき、
「てい」
「「ぶべら‼︎」」
二人を一発殴った。二人の頭にマンガの様なタンコブが。
「白夜叉様の殺人拳骨・・・!威力は直径一寸(約3cm)に渡って頭髪が消し飛び頭皮が内出血で一寸も盛り上がる・・・!恐ろしい・・・!」
白雪姫がガタガタ震える。いったいなにがあったのだろうか?
「あれ描写的なタンコブじゃないというのか⁉︎」
経津主神が一歩後ずさる。さすがの軍神も恐ろしいらしい。
「おとなしくしないともう一発いくが・・・どうする?」
タンコブを手で押さえ、首を必死で横にブンブンふる神奈子と建御雷神。
しばらくすると天照、月夜見、須佐之男が奥から出てくる。
「みなさん、忙しいところ集まってくださってありがとうございます。ですがこれは緊急事態なのです」
「実は、大陸の神々から使者を通してこれが送られてきた」
須佐之男は手紙を広げて見せる。
(サンスクリット語?そうか!この時代だとそろそろ・・・!)
「何が書いてあるんですか?」
神の一人が天照達に問う。サンスクリット語なので読めない様だ。白夜叉も読めない。
「簡単に言うならば、大陸の神々が我々に戦を仕掛けに来ると書かれてあります」
「それはつまり!」
どよめきが起こる。それはそれもそのはず。戦争なのだから。
「ええ、戦が起きますので、その為に会議をする為に集まっていただきました」
「だが私たちは相手を知らない。誰か情報を持つ者はいるか?」
月夜見が情報提供を求める。しかしここは日本。大陸の情報を持つ者など殆どいない。白夜叉を除いては。
「私は多少なら知っておる」
「白夜王。知ってる限り教えてくれ」
白夜王は集団の前に立ち、語り始める。
「先ず、大陸の神といってもその組織は多種多様。例えば、中国神話、道教、仏教などがある。今回戦争をする相手は手紙の文字から仏教の仏神だと推測できる」
「なるほど。で、どんなヤツがいるんだ?」
「そうだの、仏神の守護神を集めた護法十二天、徳の高い明王を集めた五大明王。そして、頂点に君臨する釈迦如来だな。今回は五大明王と護法十二天の独断だと思われる。まさかあの慈悲深い釈迦がこんなことを支持するとは考えにくい」
「ふむ、強さはどれくらいですか?」
「難しいの・・・護法十二天ならばその霊格は少なくとも全てが軍神級だの。主神級とも言える。五大明王ならばその中の不動明王、降三世明王は確実に主神級と言えるだろう」
降三世明王。神話において仏教に帰依する前のシヴァ神を調伏させたと言われる。
不動明王は五大明王のトップであるが故にこの二柱は確実に主神級と言える。
護法十二天は問題児シリーズでは最強の武神衆とされている。特にその中の帝釈天、梵天は絶大な力を持つ。
「私が知ってるのはこれくらいだの。それはそうと、いつ戦を始めるとかは書いておらんのか?」
「いえ、特には書いてないですね」
書いてないのならいきなりやってくる可能性があるがある。それは明日かもしれないし今日かもしれない。
「ふむ、ならば警戒して防備を固めるのが良いだろう。力のある無しに関わらず四人か三人一組が良い」
「なるほど。じゃあみんな四人か三人一組を作ってくれ」
須佐之男が号令をかけるとザワザワしながらグループを作り始める。
「私は白雪と・・・神奈子と諏訪子で良いか」
「なにそのしょうがないから感」
諏訪子から文句を言われた白夜叉。
「別にしょうがないからではないぞ・・・また神奈子と建御雷神が喧嘩しておる・・・」
神奈子と建御雷神がお互いに難癖つけあっている。
白夜叉は二人の隣に立ち、
「・・・拳骨・・・」
「「イエ、ナンデモナイデス」」
収まった。
「それでは、今日は解散とします。大陸の神の警戒は私の眷属を使用します」
今回はお開きとなったがまだ油断はできない。いったいどうなるのだろか?