決闘の日、経津主神、神奈子、建御雷神、須佐之男、月夜見、天照、白夜叉は、白夜叉が力強くで作り上げた島に居た。
向かい側には同じ様に大陸の神々が陣取っている。
「闘いを始める前に一つ聞いておくが、別働隊を動かすなどと言う卑怯な真似はしてないだろうの?」
白夜叉の問いに毘沙門天が答える。
「そんなわけがない。戦争とはいえ、それは酷すぎる。私達は一対一の決闘で勝ち星の多い方の勝利としたい」
「天照、それでいいかの?」
「ええ、構いません」
仏教側
先鋒 毘沙門天
次鋒 大黒天
五将 降三世明王
中堅 不動明王
三将 迦楼羅天
副将 梵天
大将 帝釈天
神道側
先鋒 経津主神
次鋒 神奈子
五将 建御雷神
中堅 月夜見
三将 須佐之男
副将 天照
大将 白夜叉
一回戦、経津主神 対 毘沙門天
経津主神は背中の数ある刀の内の三本を抜き、右手、左手、口に構える。まるで某海賊漫画に出てくる剣士の様だ。
毘沙門天は棍棒の先に宝塔を取り付け、宝塔の神力を三叉槍の穂先の様にする。
「・・・」
「・・・」
両者の間に沈黙が流れる。
そして、経津主神が先に動いた。
経津主神は『刀剣を司る程度の能力』をもつ刀剣の神霊。
対する毘沙門天は『鉱物を司る程度の能力』と『槍を操る程度の能力』をもつ軍神の側面をもつ財宝神。
「フッ!」
「ハッ!」
三叉槍と刀がぶつかり合い、火花が飛び散る。普通の戦闘では火花は出ない。時代劇の殺陣が間違っているのだ。火花が出るということはかなり高度な戦いということになる。
刀剣と槍では槍の方が強い傾向がある。この場合でも同じで、
「クッ」
「ヤッ!」
徐々に経津主神が押されつつあった。
毘沙門天が三叉槍で経津主神の足を斬り、徐々に機動力をそぎ落としていく。そして、バランスを崩したすきに、
「『宝軍刺突』」
毘沙門天が三叉槍からエネルギーと様々な槍の形をした鉱物を刺突する構えで打ち出した。
エネルギーは地面を抉りながら経津主神に近づく。
「・・・これは戦争・・・私のくだらない
経津主神は、刀剣の神霊だが、本来の神性は別のところにある。経津主神の『フツ』とは物が斬れる音を指す。つまり、経津主神は刀剣の神霊である前に、
「何ッ⁉︎」
切断の神霊である。経津主神のもう一つの能力。『全てを切断する程度の能力』。
この能力で毘沙門天の攻撃を全て斬り裂いたのだ。
「これからは私の攻撃だ!」
経津主神は『刀剣を司る程度の能力』をフルに使い、自身のもつ刀剣千本を自由自在に操る。その一つ一つに『全てを切断する程度の能力』が込めてある。
「オオオオォォォ!!!」
如何に毘沙門天と言えどもこの数と能力をなんとかするのは無茶な話で、白夜叉でもこれは恐ろしいと絶賛するほどである。
「チィ!『無限宝軍雨』!」
毘沙門天は天からからあらゆる鉱物が槍の形で降らせる。槍の大雨である。
「『斬斬欄風』!」
経津主神は刀剣を竜巻の様に絶え間なく自分の周囲を回転させ、落ちてくる槍を片っ端から破壊していき、
「う・・・」
毘沙門天の首元に千の刀を突きつけた。
勝者、経津主神。神道側、1勝目
二回戦、神奈子 対 大黒天
次は次鋒、神奈子と大黒天の戦いである。
「どうせ建御名方神の事だから負けるに決まってる」
「てめー!建御雷神!後でぶっ飛ばしてやる!」
「上等だ!」
戦いを前にして喧嘩しだす二人を強引に引き剝がす白夜叉。
「おいおい、仲間割れしてじゃねーか」
青黒い肌で筋肉質な神、大黒天は建御名方神と建御雷神のやり取りを見て笑った。
「はぁ、お前を倒して速く建御雷神をぶっ飛ばさないとな」
御柱を装填し大黒天に向ける神奈子。
「おいおい、簡単にやらせるかよ!」
大黒天は三叉槍のトリシューラを構える。
「こいよ、先手は譲る」
「なら、遠慮なく!」
神奈子は御柱に神力を纏わせ大黒天に向けて砲撃した。
亜音速で迫る御柱を、
「どっせい!」
トリシューラで突いて砕いた。砕いた?
「お、おい!槍って砕くものだったか⁉︎」
「俺は砕くんだよ!」
大黒天は神奈子に急接近しトリシューラをぶん回す。槍の使い方間違ってないかい?
神奈子は御柱をぶん回し槍に対応していく。しかしやや大黒天の方が優勢の様に見える。
神奈子はパワーはあるがスピードが控えめで力押しで倒すスタイルをもつ。
一方の大黒天はインド神話では破壊を司る神、シヴァとして名を馳せていた。スピードは神奈子より遅いがパワーなら大黒天の方が上である。さらに、大黒天には『破壊を司る程度の能力』がある。故に、神奈子の御柱を砕きながら神奈子に攻撃ができる。
神奈子と大黒天の攻防が一分間続いた後、神奈子はふと海の方角を見た。
「よそ見とは随分余裕だなァ!このまま一気に押し切って「アンタの目は節穴か?」何⁉︎」
大黒天は自身の第三の眼を開け、海の方角を見る。第三の眼は望遠鏡のようだ。そして驚愕した。
(まさか・・・海流竜巻を呼び込む気かッ!)
神奈子の能力、『乾を創造する程度の能力』だ。乾とは、八卦の天に当たり、神奈子は天の全てを操ることができるという事だ。
神奈子は海の上で竜巻を創り、海の水を巻き上げ海流竜巻を作り上げたのだ。それが相手にぶち当てる事で大地の一部ごと大黒天を倒すという寸法の様だ。
竜巻は大黒天に刻一刻と近づく。
「ハッ!流石に避けれねぇ。だが・・・過去に最高神、破壊神シヴァだった俺を舐めんなよ!『白炎破』!」
シヴァは第三の眼から白い炎を放出する。この炎はヒマヤラ山脈を焼いたと言われる炎である。
白炎と竜巻がぶつかり合い、辺りに水蒸気が立ち込める。
「くっ、何処に「背後だ!」何ッ⁉︎」
大黒天はトリシューラで神奈子をぶっ飛ばす。腹部を強打されて神奈子は気絶した。いや、その槍なんなんだよ。なんで強打なんだよ。と、突っ込んだら負け。
勝者、大黒天。仏教側、1勝目。