昔、一人の王子がいた。彼は何不自由ない生活を送り妻と息子、幸せな生活をしていた、かに見えた。実際幸せだったのだろう。しかし彼は感受性が強く、人の苦しみを感じて苦しんだ。そして、屋敷を出て修行の道に出た。彼は最強の三日坊主で三日で師匠の教えをマスターしてしまった、しかし満足せず、苦行に明け暮れたが道は掴めず、菩提樹の下で瞑想し、ついに悟りを開いた。そのご、彼の教えは2,000年以上に渡って人々に広まった。
彼の名はガウタマ=シッダールタ。釈迦如来。
産声は、天上天下唯我独尊。
4月8日、白夜叉と白雪姫はそこらへんにいた象を捕まえて乗っていた。
「白夜叉様・・・ここ何処ですか?」
「唐(中国)より西の方にある、インド。唐で聞かんかったかの?天竺に行った玄奘三蔵の話を」
「天竺ってインドの事ですか?」
「ほぼ正解だの。昨日インドに入った時に帝釈天から連絡が来たのだが、『釈迦が誕生日だから盛大に甘茶ぶっかけてやれ!』だそうだ。まぁ、土産の一つぐらい持っていくが甘茶はかけぬ」
「はぁ・・・しかし何故土産を?別にいらないのでは?」
「んー、釈迦は・・・強さはさておいて私と同じくらい霊格があるだろうの。ただし天動説の霊格抜きでの。私と同じ『全ての権能を収める程度の能力』を持っておるだろうの」
釈迦如来。仏教の開祖にて帝釈天達を仏門に威光一本て降らせた仏。因みに現世での死因は食中毒。
「ところで道はどうなのですか?」
「知らん」
沈黙の五秒間。
「え⁉︎知らない⁉︎」
「一応猿田彦の奴から絶対道に迷わない御守りを持っておるぞ」
猿田彦。道案内とかの神様。
「それで・・・着くのですか?」
「あれかの?」
白夜叉が天を指差す。すると、
「く、雲が神気を帯びている・・・⁉︎」
「よし、行くぞ」
「え、ちょっと待てえぇぇぇぇ・・・」
白夜叉は白雪姫の手を掴んで飛び上がった。哀れ白雪姫。
雲の上にはお寺のようなものが有り、サンスクリット語で"雷音寺"と書かれている。雷音寺は西遊記において釈迦が居る所である。
因みに白雪姫は酔ってグロッキー状態である。
「・・・しょうがないの。白雪はギフトカードに入れておくか」
グロッキー状態の白雪姫をギフトカードに入れて、雷音寺の方を向くと、
「やはりお前か・・・白夜王」
四人の神霊、毘沙門天を筆頭とする四天王が仁王立ちしていた。
「四天王か・・・何故ここに?おんしらが別に門番というわけでもなかろう」
「いや、今世紀の担当は我々四天王だ。次世紀は護法十二天から四人選ぶ、こんな感じだ」
なんと無く人間味がある。釈迦が元人間というのがあるのだろうか。
「で、此処に入っていいかの」
「駄目だ。力づくでも止めt「ぶっ飛ばしてやんよ」やはり我々には無理だ。通る事を許可するが面倒は起こすなよ」
白夜叉はそれだけ聞いて中に入っていった。
中は広く、豪華だが煌びやかでもない。絶妙なバランスが保たれている。
「・・・ふむ、今日は釈迦の誕生日だと思うのだが、特に賑やかというわけでも無い「えぇ、私がそうしろと言ってるのですよ」
白夜叉はパッと後ろを見た。別に油断していたわけでは無いが白夜叉に気付かれずに真後ろに現れるのは至難の技だ。せめて天照の様な最高神クラスでないと。
白夜叉の後ろに立っていたのは螺髪、額の白毫、長い耳たぶが特徴の青年だった。彼はおそらく、
「そうか、おんしが釈迦か」
「初めましてね白夜王よ。帝釈天さんから話は聞いてますよ。立ち話もなんですのでこちらにどうぞ」
釈迦、ガウタマ=シッダールタ。シャカ族の王子で仏教の開祖。白夜叉と同じくらい『全ての権能を収める程度の能力』を持つ。
釈迦の私室は、特に普通の部屋と変わらない。強いて言えば仏法の本が沢山ある程度である。
「そういえば今日はおんしの誕生日だと聞いたがの」
「えぇそうですよ。今朝も帝釈天さんと梵天さんに甘茶かけられました。産声が天上天下唯我独尊でしたので」
「でもあれは『どんな命も仏である私の様に尊い』とう意味だと聞いたが・・・」
釈迦はたっぷり三秒間黙る。
「もしや、そのままの意味だったのか?」
「若いうちはみんな何かしらやらかしますよね?ですからあの甘茶の意味は、『ちょっと頭冷やそうか』ですよ。あんなの若気の至りじゃないですか・・・私にとっても黒歴史なのに誕生日の度に蒸し返されて・・・!」
釈迦が怒りに満ちていく。仏の顔はもう使い切ったようだ。なんか後光が出てる。
「今朝だって梵天さんと帝釈天さんが!あろうことかわざわざ甘茶の塊を打ち出す機械作って・・・!」
「わかったわかった。怒りの後光激しくて大変だから」
しばらくお待ちください
「すいません、取り乱しました。そろそろ帰った方がいいですよ。甘茶の巻き添えになる前に・・・!」
「わ、わかった「あ、その前に、少しお願いが」ん?なんだ?」
「大聖〜?斉天大聖〜⁉︎」
すると、
「俺参上!お釈迦様誕生日おめでとうございます!」
バシャン!
釈迦と白夜叉は甘茶でびしょ濡れになった。
そしてその隣でにこやかにバケツを持った少女。
間違いない、彼女がぶっかけた。
「た、大聖・・・私はまだしも客人にまで巻き添えにするとは何事ですか!」
「え⁉︎す、すいませ、ちょ、光らないでくださいよ!」
しばらくお待ちください〜その2〜
「とゆうわけで、この人は倭国から来ました白夜王ですよ、大聖」
「おっす!俺は斉天大聖、孫悟空。あるいは闘戦勝仏」
斉天大聖、孫悟空は大地に芽吹く稲穂のような黄金色の短髪に深緑色の瞳、凛々しい声音とは裏腹に体型は小柄で13、4歳の少女の容姿を持つが、その瞳に宿る強さと輝きは、一目見ただけで超越者の風格を醸し出す。
因みに、女である。
「私は白夜王。斉天大聖か。おんしの噂は聞いたことがあるぞ。東海竜王の所に如意棒(正確には如意金箍棒)を強奪した逸話とか閻魔帳を墨塗りにした事とか、地球の半星で地球の中心で生を受けて地殻、海底の大噴火で噴出した土石流と共に地上へ運ばれた事とかの」
斉天大聖 孫悟空は伝承では活火山である花果山の頂にあった仙石から生まれたとされているが、彼女を産む仙石が地上に姿を現したのは花果山の誕生と同時期、即ち大陸の発祥にまで遡る。彼女は星の中枢で生を受け、地殻、海底の大噴火で噴出した土石流と共に地上へ運ばれた半星霊。
半星霊として生まれついて修羅神仏に並び立つ力を有している。真の星霊として覚醒せず半星霊のままだが、その特異性も、純粋な戦闘能力も帝釈天に引けを取らない実力を誇る。
半星霊とは、星霊とは別の使命を課せられた最高クラスの精霊の名称。星の恩恵によって誕生した彼らは、己を産み落とした土地の守護者として山神や海神、地母神として成長する。そして数ある半星霊の中から一人が本当の星霊として覚醒する。
「おう、俺の個人情報がバレバレだな。どこで知ったんだか。誰かに聞いたとか?」
「ん?いや別に。知りたければ自分で聞き出すんだの」
「んー、でもなー。力尽くだと白夜王がかわいそうだ「大聖、今日貴女を呼んだのは白夜王と戦ってほしいからですよ」・・・え?」
「ふむ、面白そうだの」
「理由は簡単です。最近大聖は問題行為が多すぎる。圧倒的敗北を知れば大人しくなるかなっと思ってですね」
斉天大聖は不機嫌な顔になった。生まれて今まで負けたのは数回しかない。それも善戦した上での敗北だし、敗北を糧として更に強くなっている。
「お釈迦様、俺は未熟な頃でも四天王相手に一人で勝てるんですよ?」
「大丈夫です。白夜王も同じ事しましたから」
「そうだの。別に全く問題ない。だが此処で戦うにはいささか狭すぎる」
そう言うと、白夜叉は白夜の地平に釈迦と斉天大聖を誘った。
「さぁ来い斉天大聖よ。お前のその『誰にも負けねー』という目・・・その幻想をぶち壊す!」
「言わせておけばなめやがって!」
斉天大聖は耳から如意棒を出して大きくし、棍棒の状態にする。
その如意棒を、大地を破る勢いで振り下ろした。その大地を破る一撃を、
「なっ・・・」
「パワーは私の
片腕一本で受け止めた。
「このっ!」
斉天大聖は如意棒を離し、後ろに回り、蹴りを
「速度はそれ以上か」
打ち込めなかった。
白夜叉はかわして斉天大聖の腕の上にいた。
斉天大聖はものすごいラッシュ攻撃を繰り出すが、悉く避けられる。
(なんなんだコイツは・・・明らかに・・俺の攻撃を見切っている!馬鹿な⁉︎
「うむうむ。中々の強さ。帝釈天にも引けを取らない。素晴らしい。褒美に、ちょっと
白夜叉は全力で斉天大聖を蹴り飛ばした後、後頭部を殴打し脳震盪を起こさせ踵落としで地面目掛けて落下させる。そして落下中の斉天大聖に追いつき腹部に掌底を打ち込みながらすねを蹴り、もう一度踵落としして地面に墜落した後に関節技。
この間、コンマ1秒。
「痛たたたたたたたた!降参!降参するからもう勘弁してくれ!」
「おお!気絶せんとは中々だの。仙丹を天界で盗み食いしただけの事はある。耐久力は一番だの!」
白夜叉はボコボコにやられた斉天大聖を解放し、元の世界に戻した。
「・・・一対一の戦いで此処まで一方的に負けるのは初めてだ」
「でしょうね。ですが白夜王はまだ一度も能力を使ってませんよ?」
「マジですかお釈迦様」
白夜叉は持ったままだった如意棒を斉天大聖に返却し、
「私はそろそろ行くぞ。また会えるといいの」
「その頃にはマトモに戦える程度に成長しておく。覚悟しておけ」
斉天大聖は負けたのに清々しい笑顔でそう答えた。
白夜叉はそれを見て、笑い返してその場を去った。
「にしても、斉天大聖は凄かったの。初めてこの私に明確な傷を与えるとは」
白夜叉の脇腹には、打撲痕が残っていた。