昔々、ある王国に、ザッハークという名の王様がいました。
彼が即位したあと、両肩から龍の頭蓋が生え、本来の頭も龍の頭蓋のようになりました。
彼は恐怖で国を治め、毎日二人の人間を貪り食いました。
そんな彼の恐怖支配を終わらせるために多くの英雄英傑修羅神仏が彼に挑みましたが悉く敗れ去りました。
相手が力でくるなら力でねじ伏せ、智謀でくるなら策略にはめ、数でくるなら火力で押し切ったそうです。
嵐の如く、雷雨の如く、津波の如く、世界の悉くに牙を剥きました。
悪行の限りを尽くした魔龍ザッハーク、いや、絶対悪 アジ=ダカーハ。人が悪行を働くのは自分の正義を全うするため。ならば、彼の正義は?それは、
『我悪一文字こそあらゆる英雄英傑が到達する最後の巨峰。踏みこえよ!
アジ=ダカーハは、人間に降天した帝釈天と戦い、殺しきれなかったが為にダマーヴァンド山に封印されました。
しかし、
それで終わりではなく世界の終末の時には再び世に放たれて悪行の限りを尽くすそうです。
更に強化されたアジ=ダカーハ。彼は
中東 ダマーヴァンド山近くの砂漠
「白夜叉様、確か、ダマーヴァンド山でしたね?地図によるともうすぐ山脈が見えてくる筈です」
砂漠の真ん中に白夜叉と白雪姫はいた。二人はいつもの服からその土地に適した現地民の服を着ていた。
「にしても、なんで女は顔を隠さねばならないのでしょう」
「それがこの土地の神が決めた事だ。郷に入っては郷に従え。守らんかったら人間のお偉いさんに追われるぞ」
白雪姫が文句を言いながら歩いているとついに山脈が見えた。
この山脈の中で一番大きいのがダマーヴァンド山である。
「それにしても白夜叉様、確かこれから会うのは絶対悪の試練を背負う者でしたね?あっても大丈夫なのですか?」
「私がどんなに頑張っても白夜の地平に永久封印するので精一杯だの。それだけの理由がある。大丈夫かどうかはわからぬ」
そう、アジ=ダカーハには白夜叉でも殺せない。それだけの、理由が存在するのだ。それは、
「これは人類が頑張って解くものだから教える事は出来ぬ」
しばらく歩くと山脈が見えてきた。
「あれだの・・・さてと、行くか」
山脈を踏破する為の装備は要らない。いざとなれば白夜叉が勝手に生み出すだろう。そもそも神である二人にとってこの程度は問題ない。
登る途中、人払いの呪いが働いた気がしたが、白夜叉が解呪してしまった。
洞窟を発見し、進んでいくと、
「ん、これはなんだ?」
「どうしました?」
「何か突起のような物が」
そして、白夜叉はその突起を押した。
ゴゴゴと音がして、
金剛鉄の玉が転がってた。
「「わーーーーーーー!」」
なんともわかりやすいトラップに引っかかったものだろう。
すごい勢いで転がってくる玉を走って逃げる二人。そして、突き当たりの壁にぶちあった。逃げ場はない。
「よっと」
白夜叉が簡単に止めて破壊した。
「はぁ、肝を冷やしました」
「びっくりしたが・・・面白かったからもう一回」
白夜叉はもう一度押した。
「この駄神!」
白雪姫の叫びが響く。
上に戻りましょう。
なんだかんだで似たようなトラップが数多とあり、その全てを楽しんで進んだ白夜叉。白夜叉がなんども罠を起動させる為、なんども『駄神!』と叫んだ白雪姫。
奥に進むだけで一週間かかった。広い上に道が入りくねり出口のない迷路のようであった。
奥の奥に進むと、地下都市に出た。
「・・・ふむ、かなり古い年代のようだの」
「この街、風化によって廃れた感じではなく破壊活動によって壊滅感じですね」
街の建物には家具が丸々残っていたり、店には商品(風化してるが)が残っていたり、いきなり人が消えてそのままって感じがする。
更に所々に骸骨やら髑髏やら血の跡やら沢山残っている。
「この街はなんなんでしょうか」
「おそらく、アジ=ダカーハが最後に破壊活動をした街だろう。封印するときに帝釈天が街ごと山の下敷きにしたのだろう」
しばらく進んでいくと、
チャリリ、チャリリ
ノシン、ノシン
と、鎖を引きずるかの様な音と何者かが歩く音が聞こえてきた。
「な、なんでしょ「静かにせい!」ムググ」
白雪姫の口を押さえる白夜叉。
足音と鎖の音が次第に近づく。
あと200mーーーーあと150mーーーーあと100mーーーー
あと50m・・・
白夜叉と白雪姫の50mほど先の建物の陰から、それは現れた。
夜天を照らす凶星のような紅玉の眼、龍の頭蓋を持つ三本首。3mほどの巨体。
背中に「Aksara」、「悪」の原語が刻まれた旗を、双肩にボルトで縫い留めて靡かせている。
両手首、両足首には引きちぎられた鎖と枷。これが鎖の音の正体はだろう。
三頭の龍の頭蓋を持つ異形ーーーー三頭龍