東方白夜王   作:ザイソン

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月の実態と答え合わせ

一週間前に来た時と同じ部屋。再度集まった六人はゾロゾロと部屋に入り、並んで座る。

最初に声を発したのはかぐや姫だった。

 

「では皆さん、早速解答と参りましょうか。品物をお見せください」

 

かぐや姫がそう言うと、一番右端の貴族が品物を出した。

 

「こちらが仏の御石の鉢でございます。これを手に入れるのはとても大変でー(割愛)ーというわけで、それで私はー(ちょっと割愛)ーそれでこうなった訳でー(すごく割愛)ーそして、これを手に入れました」

 

この貴族、何回割愛使わせる気だよ。一人で一時間も喋りやがって。

 

その貴族は長々と苦労を話した。

 

「それはそれはお疲れ様でした。しかし、この鉢は光っていませんね。不正解です」

「ぐ・・・すいません。これ、拾い物の鉢です・・・」

「次の方どうぞ〜」

 

病院のアナウンスのようにかぐや姫が呼びかけた。

 

「こちらが唐の国より取り寄せた、火鼠の皮でございます」

「よろしい。ならば点火です」

 

かぐや姫は隅にいた翁に頼んで火鼠の皮?に点火した。

 

面白いほど、上手く燃えた。

 

「偽物ですね」

「とほほ・・・」

「次です」

「こちらが燕の産んだ子安貝でございまs「コレはそこらへんの海にいる唯の貝ですね」な、なんだってー⁉︎」

 

だって唯のあさりの貝殻だもん。

 

貝ならなんでもいいと思っていたのだろうか?本当にフツーの貝である。

 

「かぐや姫よ!これがお望みの龍の首の珠ですぞ!さぁ我と婚約の契りを!」

 

大声を出して次の人が品物をだす。

 

「ふむ、コレは・・・下手な作り物ですね。硝子の珠でしかない」

「うぐっ・・・ほんの・・・ほんの出来心だったんです!だから詐欺罪でブタ箱の中は勘弁してください!」

 

刑事ドラマか。つーかどこでブタ箱とか覚えた?

 

貴族は泣きながら土下座した。

かぐや姫はそれをスルーして次にいく。

 

「これがご所望であった蓬莱の玉の枝でございます」

 

真珠の実をつけた金色の茎と、土から僅かに見える銀の根を持つ木。この空間において強い存在感を放つ品だった。

 

つーか盆栽のようだ。

 

「コレは・・・本物ですね」

 

白夜叉の隣の貴族はグッとガッツポーズをする。

 

この時代にもガッツポーズってあったんだな。

 

(ふむ、用意期間が一週間と貴族全員が品物を持ってきたのには驚いたが・・・結局はこうなるのか)

 

白夜叉は予想どうりにいって安心する。

 

「さて、婚約の話は終わりましたが、最後に真白様。貴女の品物を」

 

白夜叉は後ろに置いたあった大きめの箱からまずは釈迦から借りた托鉢用の鉢を取り出す。

 

「光ってませんが?」

「無欲な仏がわざわざ光っているのを使う訳なかろう。あ、これが本人からの証明書」

「・・・それは保留といたします」

「じゃ、次は龍の首の珠だ」

 

白夜叉はザッハークの宝物庫から貰った丸い宝石のついた首飾りを箱からだす。

 

「龍の珠は普通の真円の球体では?」

「何を言っておる?どの龍の首の珠(・・・・・・・)とは言ってなかろう?」

「では、どのような龍の物ですか?」

「夜天を照らす凶星のような紅玉の眼、龍の頭蓋を持つ三本首の巨体の龍」

「・・・これも保留」

「ううむ、最後は火鼠の皮」

 

コレは絶対そうだという自信があった。既に一度実験してある。

 

同じように火をつけても燃えない、その様子を見て、

 

「コレは本物ですね・・・貴女の願いは二人でお話しでしたね。ではみなさん静かにしていt「いや、二人っきりの方で話したいのだが」

 

白夜叉のその言葉に静まり返る部屋。

まさか白夜叉が同性愛者とでも?そんな訳ないだろう。

 

「真白様、それはできません。なぜならば「そういえば、今宵の三日月はより一層綺麗だの」な、何が言いたいのですか?」

「これだけ綺麗だと、月面に住む人が何かを迎えに降りて来る(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)。そんな感じがせんか?」

 

その言葉を聴いた瞬間、かぐや姫の体がビクッと揺れた。そのすぐ後には声が響く。

 

「真白様を除く皆様はお爺様を含めて席を外してください」

「かぐや姫!」

「いいからー」

 

かぐや姫は強い口調で強要する。

仕方なく白夜叉を除く全員は席を立って部屋から出た。

 

白夜叉はこの部屋にかぐや姫と白夜叉を対象にしない人払いの能力と防音の能力を一時的に付与した。

 

「さてと、堅苦しいのはやめにして普通に話して貰うぞ。なよ竹のかぐや姫、いや、月の姫君、蓬莱山輝夜よ」

 

かぐや姫、否、蓬莱山輝夜は簾を手で上げて中から出てきた。

腰より長く伸びた艶やかな黒髪、薄紅色の服を前のリボンで留め、濃い赤色の長いスカートを履いた、淡麗な整った顔立ちの美しい少女、輝夜が出てきた。

 

輝夜は白夜叉の目の前に座る。

 

「・・・真白、貴女、何者?私の本名、月人の存在、月からのお迎えをどうして貴女が知ってるの?」

「まず、最初の質問から答えようかの。私の本名は真白では無い。私は白夜叉・・・白き夜の魔王、白夜王」

 

白夜叉は変化を解いて本当の姿になる。

 

「なっ!貴女が天照様、月夜見様、須佐之男様を一人で同時に圧倒した最強の軍神、白夜王だと言うの⁉︎」

「うむ。今回は月夜見からの依頼での、おんしの警護を任された。先にそれを言っても良かったがそれだと面白く無いだろう?」

 

輝夜は呆れて白夜叉をみる。

 

「白夜叉は、全て、月夜見様から聞いたの?」

「うむ。7年前からこのことは知っておった。お迎えは最近聞いたの。あ、私が持ってきた品物全部本物だから」

「嘘⁉︎」

「本当だとも。釈迦本人から借りてきたし、別の国の地下都市にいる龍神(ザッハーク)から貰ってきた。火鼠は気絶させて毛を刈り取って布にした」

「・・・まさに最強の軍神。規格外だわ」

「はっはっは!」

 

暫く輝夜は白夜叉に関心を向けていたが、突然思い出したように焦った声を出した。

 

「あ!お迎え!どうしよう!月に帰らなきゃなのに婚約が決まってしまった!」

「あぁ、あれは大丈夫だ。ほれ」

 

白夜叉は能力で蓬莱の玉の枝の作り物(・・・)を生み出した。

 

「本物⁉︎」

「いや、コレは精巧に作った偽物。あやつの蓬莱の玉の枝も同じだ」

「どうして分かるの?」

「それは・・・『真白さん!どうしよう!とある貴族から蓬莱の玉の枝作れって言われたけどオラできねぇよ!』『よし!なんとかしよう!駄賃は要らぬ。コレはかぐや姫にやる物だからかぐや姫のところに駄賃を請求すれば良い!』『さっすが真白さん!オラにできないことを軽々とやってのける!そこに痺れる憧れるゥ!』・・・というやりとりが昨日あったからだ」

 

つまりは貴族が持ってきた蓬莱の玉の枝も白夜叉の作り物だったということだ。

 

「な、なるほど。安心ね」

「ところで、どうして蓬莱の薬を飲んで地上に堕ちた?」

 

白夜叉の言葉に輝夜は黙る。そして、口を開いた。

 

「月は、素晴らしい科学力を持つ。日々を安寧に過ごせて一部の特例、私とかの例外、貴族とか月夜見様とかいるけど殆ど身分が存在しない。あ、大統領とかの社会的地位はあるけど。みんな平均的な所得を持ち差異の無い家屋を建ててる。寿命も無い。まぁ一種の理想郷ね。でも・・・それがいやだった。そんな、変わり映えしない、息苦しい世界は・・・正直、帰りたく無い」

「・・・・・」

 

白夜叉は輝夜の話を聞いて、閉鎖世界に近いと感じた。一定の格差はあるようだが。

それ以上は話したく無いようで輝夜は私室に帰った。

 

白夜叉は月夜見に連絡を取る。

 

「輝夜、帰りたく無いだと」

『だろうなぁ・・・彼女の意見を尊重したいけど、大統領がそれを認めるか・・・月では私達神は君臨すれども統治せずだから』

「月には輝夜が絶対的に信頼している人は?」

『一人、いることには居る』

 

白夜叉は月夜見にあることを告げた。

 

『なるほど・・・それならば・・・だが面倒なことにならないか?』

「問題無い。どうとでもなるわ」

 

白夜叉は念話機を切って、泊まり込み警護の要望を翁に交渉に行った。

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