因みに現在の時間軸は西暦800年頃です。
幻想郷は、人里で妖怪が人を襲う事を禁止している。すなわち、人里を妖怪が襲うのも禁止ということでもある。
幻想郷の主な妖怪は妖怪の山にすむ鬼、天狗、最近妖怪の山に引っ越してきた河童の一族、その他知能もない雑魚妖怪である。
大妖怪クラスの者は鬼、天狗に多い。例えば四天王、弥彦、天魔だ。白夜叉の知り合いの大妖怪は人里を襲うと白夜叉に殺られることがわかっているので襲う気すら起こらない。
しかし、そうでもない者もいる。新参者の妖怪である。
「被害はどうですか?」
「人は怪我した奴はいるが誰も殺されてはいねぇ。ただ、牛が何頭がやられちまった・・・」
博麗の巫女、博麗零華は妖怪襲撃の知らせを聞いて人里の住民に被害を聞いていた。人里には妖怪から住民を守る守衛隊(陰陽師や能力を持つ者が多い)が存在している。雑魚妖怪は守衛隊の働きと頑張りによって退治されるが、問題は大妖怪クラスの襲撃者が現れた場合だ。さすがに大妖怪が現れては分が悪い。
そこで、博麗の巫女の出番である。
零華は音を頼りに守衛隊と妖怪を探し当てた。
「みなさん、大丈夫ですか?」
「お、零華か!死んだ奴はいない!能力持ちが体張って護ってる!ただ・・・そろそろ霊力と気力、体力が限界だ」
「なら、全員下がらせてください。あの妖怪は・・・私が何とかします」
「スマン!恩にきる!」
守衛隊の隊長は全員を退避させ、この襲撃のどさくさに紛れて入ってきた雑魚妖怪の掃討を開始し、零華は襲撃者の妖怪と対峙した。
その身長3メートルほどの妖怪は腕が十も有り、その腕の一つ一つに鋭い爪を持っている。
零華は頭の中で辞書を開きこの妖怪が何の妖怪なのかを探す。
(・・・千手観音や阿修羅とは全くの別物ですね。一人しかいない妖怪・・・特殊妖怪ですか)
特殊妖怪。自分の他に同じ妖怪がいない妖怪の総称である。八雲紫もスキマ妖怪としてこの特殊妖怪に分類される。
白夜叉の場合は星霊というカテゴリーに入っているので違う。
「・・・大人しく帰ってくれるといいのですが・・・」
「俺TUEEEEEE!!!!!」
「あ、そういう悲しい妖怪でしたかスイマセン。これが白夜叉様の仰っていた『ちゅうにびょう』とかいう病でしょうか?」
零華は白夜叉特別製のお祓い棒と札を構えて、先ず札を二十枚妖怪に向かって放った。
妖怪は腕を振り回して札を全て爪で切り落とす。
そしてお祓い棒を瞬時に、伸ばした。
このお祓い棒は特別製で白夜叉が斉天大聖のコネで東海龍王と会い、その時に貰った神珍鉄で白夜叉が制作した、大きさの変わるお祓い棒である。
零華は霊力をお祓い棒に流し、回転させながら飛びかかる妖怪を迎え撃った。
「ヒャッハーーー!俺SUGEEEEEE!!!!」
十本もある腕を振り回して零華を攻撃する妖怪。その斬撃の嵐は避けきるのは難しい。
が、
一向に当たらない。妖怪の死角からの攻撃も見事に避けられている。まるで、
博麗零華は幻想郷の人間において、最強である。手合わせで天魔と鬼の四天王を完封し、負けはしたものの弥彦といい勝負をした。
最強の理由は、大きく二つに分かれる。
第一に霊力保有量と技術がヤバイ。白夜叉の修行のおかげである。
第二に、零華が保有する能力にあった。それは、"先を読む程度の能力"である。これは五秒先までの未来の情報を無条件に所得する能力であり、副産物として勘が鋭くなる。戦闘で五秒も未来を読めるのなら連続使用するとほぼ無傷で大抵の敵は倒せる。弥彦はこの能力を自身の"感覚を増幅させる程度の能力"の
この、"先を読む程度の能力"で相手の動きを先読みして妖怪の攻撃を避けているのだ。
そして隙を見せたときに強烈な一撃を与える。
「"無双封印"!」
札やカラフルな弾幕が大量に相手に襲いかかる。後に博麗霊夢が使用する"夢想封印"の
無双封印により妖怪がよろめいた隙も見逃さず、零華はお祓い棒で相手の鳩尾を突き、さらに顎を砕いた。
顎は人体(相手は妖怪だが)の弱点の一つであり、先端を強打されると脳震盪を起こし、側面を強打されると脳が揺れて内出血、血栓などを引き起こす。
今回は砕いた、つまり先端を強打したので妖怪は気絶した。顎を砕いただけで妖怪は死なない。
「死んではないですね・・・」
零華は近くの家から荷車を借りてきて妖怪を乗せ、魔力が漂う森、魔法の森に妖怪を捨ててきた。
因みに、この妖怪はこの一件のあと落ち着き、慎重に行動するようになったという。
零華が持つお祓い棒は霊夢のお祓い棒とは別物です。
零華の服は霊夢が着ている物とほぼ同じデザイン。白夜叉の趣味です。