東方白夜王   作:ザイソン

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人は死に、神は生きる

人間である限り死は平等に訪れる。不老不死になる者も居るが大抵は死ぬ。

 

星霊・・・はおそらく宿っている星(白夜叉ならば太陽)が寿命を迎えるときに死ぬだろう。

 

神霊は知らない。北欧神群は老いというものが存在しため金のリンゴで不老になっている。日本神群は黄泉の国が存在し神もそこに行く。伊邪那美命がいい例だろう。余談だが伊邪那美と伊邪那岐は別居中だがお互いによりを戻したいと思っている。が、素直になれない。

 

話が逸れた。

 

人間は死ぬ。当たり前だ。そして妖怪、星霊たちより寿命は短く、儚い。

 

博麗零華は人間である。老いというものは存在し、逃れられないものである。

 

 

博麗零華 67歳

 

この時代この歳まで生きられたら最早長寿すぎてワロタ的である。結婚して、子どもが生まれ、孫もいる。現在は子どもに二代目、孫に三代目博麗の名を継がせている。

 

黒かった髪は真っ白になり、肌にはシワも多い。

 

零華は縁側に白夜叉と座っている。

 

季節は春となり、丁度零華を見つけてきた日と同じような日だ。

 

「・・・白夜叉様・・・一つ、お尋ねしてもよろしいですか?」

 

「ん?どうしたのだ?」

 

「今日は何故・・・お出かけなさらないのですか?この時期ならばそろそろ弥彦さんたちと宴会を開いているはずですが・・・」

 

白夜叉は黙って隣に置いてあるお茶を飲み、

 

「いや・・・今日は興が乗らんだけだ・・・そのうちな」

 

「嘘ですね」

 

零華は能力故に勘が鋭い。一発で見抜かれてしまった。

 

「そろそろ、いや今日辺り限界なのですよね、私の命は・・・」

 

「ッッッ!」

 

零華はやっぱりと笑いながら呟いた。

 

「・・・丁度、この時期だったの、おんしを拾ったのは」

 

唐突に昔話を始めた。

 

「扇子で吹き飛ばしてしまったのを良く覚えておる・・・」

 

白夜叉は話し続けた。

 

白夜叉と一緒に修行していた時の楽しさと辛さを、

 

零華が初めて妖怪と戦った時の緊張を、

 

零華が能力に目覚めた時の感動を、

 

零華の初恋と失恋を、

 

大切な人と出会い、死んでいった時の悲しみを、

 

阿蘇山に突っ込んで宇宙の真理を作り出した時の事を「すいません、それだけは違うと分かります」

 

白夜叉は延々と、穏やかに語り続けた。

 

「最後に・・・教えて欲しい事があります」

 

白夜叉は無言で頷いた。

 

「人は・・・死んだら何処に行くのですか?」

 

白夜叉は答えようとしたが、やめた。

 

「・・・教えよう・・・だがの、」

 

白夜叉は零華の身体を抱いた。

 

「白雪、私は・・・」

 

白雪姫は静かに頷き、白夜叉はその場から姿を消した。

 

「白雪様・・・」

 

白雪姫が振り返るとそこには零華の孫、三代目博麗、博麗零蘭が泣きそうな顔で立っていた。

 

「白夜叉様は・・・こんな時に何処に行かれたのですか・・・?」

 

確かに普通の人の感覚ならばこんな時に外出などはしないだろう。

 

「白夜叉様は・・・おそらく・・・地獄上層の閻魔府だろう」

 

 

地獄上層 三途の川

 

白夜叉は先ず神界の境界門を開け、そこから三途の川への門をくぐり、三途の川に行った

 

「・・・おぉ、零華」

 

「あれ、白夜叉様・・・?」

 

零華は若い頃の姿をしていた。魂なので姿形は決まってないのだから当然と言えば当然かもしれない。

 

「人は死んだら何処に行くか・・・それは実に簡単な事だ」

 

人は死んだら魂となり三途の川に向かう。そこで船に乗り地獄上層閻魔府に行く。そこで閻魔による裁きを受け、罪人は地獄へ、罪人以外はそのまま輪廻転生となる。

が、例外もある。

 

「悟りを開いていた場合は神界に行く。これは仏教の考え方だが、最近、"神仏同盟"が出されて神道にも地獄機関を採用する事となった」

 

そのせいで閻魔大王の仕事が増えて部下の閻魔を雇用する事となった。そして、閻魔大王は暇になった。

悟りというのはコレというものは決まってない。仏教の祖、釈迦が開いた悟りは究極であり、最終形態であるが、どの様な悟りを開くかは人それぞれである。

 

「今回は私のコネで最近暇してる閻魔大王に直接裁いてもらおうと思う」

 

三途の川を近くにいた獄卒(俗に言う地獄の鬼、または死神)の渡し船を借りて(強奪して)、向こうに渡った。(後でお金払って返しました)

 

三途の川を渡りきり、閻魔府(閻魔大王と極卒達が住む。地獄府率裁判所と地獄への門、極楽への門が置いてある)に着いた二人は裁判所の豪奢な扉を開けた。

 

すると、閻魔っぽい帽子をかぶった赤っぽい肌の身長五メートルの青年、閻魔大王がサボっていた。因みに赤っぽいのはただ単にここが暑いからであり実際は色白である。

 

「・・・おい、閻魔」

 

「働きたくないでござる!絶対に働きたくないでござる!」

 

おい、そのセリフ何処で知ったコノヤロウ。

 

「本音は?」

 

「暇過ぎて死にそう。サボリ魔の閻魔さんでも流石にコレは不味かった。閻魔雇いすぎたなっと・・・よし!今日は帰る!」

 

まさかのサボリ宣言。大丈夫かこの閻魔大王。

 

「まて閻魔。暇なら一人ぐらい裁判してもらわんと困る・・・というかそのために来たのだからの」

 

閻魔大王はハッとして白夜叉の後ろの零華を眺める。

 

「ふーん、その子だな」

 

閻魔大王は机の引き出しから豪華な装飾が施された手鏡を出した。コレは浄玻璃の鏡といい、死者の生前の行いが全て映し出されるというものである。

 

「えっと・・・なぁるほど。白夜王の巫女ね・・・」

 

零華の全ての行いを確認した閻魔大王は判決を言い渡した。

 

「判決。博麗零華・・・正覚を確認。よって、地獄でも!転生でもない!神界行きを言い渡すっ!!!!」

 

正覚とは、簡単に言うと仏教でいう悟りを開いたという事である。

 

「えっと、神界・・・ですか?」

 

「おめでとう。閻魔さん、嬉しい」

 

神界に正式に招かれる方法というのは主に二つある。

一つは神格を得るか神霊になるか。

 

もう一つは、正覚し、輪廻から解脱し、聖人になるという方法である。

 

「君には今すぐ神界に行って貰うけど・・・一応白夜王となんか話したら」

 

零華は白夜叉の方を向いた。

 

「白夜叉様・・・今までありがとうございました」

 

「何を言う。別に永遠の別れという訳ではなかろう。神界ならば私も行けるしの。申請すれば神界から現世へ降りてくる事も可能だ。あっちはあっちで大変だろうが・・・」

 

特に釈迦の誕生日の甘茶ぶっかけ祭りとかもうヤバイ。教えないでおこうね。

 

「おっと、忘れるところだった。もし神界に行く事があればと持ってきたのだが・・・」

 

白夜叉は零華に現世から持ってきたお祓い棒を渡した。子どもに博麗の名を継がせてから使う事のなかったものだ。

 

「白夜王、そろそろいいかな?閻魔さんそろそろ帰って寝た、ゴホン、英気を養わないと・・・」

 

「ハイハイ。零華、お前は私の子だ。何時でも帰ってこい」

 

「・・・はい」

 

零華は閻魔大王の後ろの神界への門の前に立ち、

 

「では、行って参ります」

 

笑顔でそう告げて中に入っていった。

 

「行ってこい・・・またな・・・」




これでこの章は終わりです。なんというか・・・ただ幻想郷の始まりの話でしたハイ。零華というオリキャラ出したのはいいですが、結構早くに死んじゃいました。といっても原作に入ってからチョイチョイ出てくる予定。

この話に出てきた神界は天子のいる天界とは別です。神界は神や仏、聖人が住む極楽浄土で別の空間、天界は現世とくっ付いているので上に飛べば着く現世の延長上にある所。天人と聖人は聖人の方が格上である・・・というオリジナル設定をふんだんに盛り込みました。
あと閻魔大王についてもそうです。あ、彼は一人称が『閻魔さん』です。とある漫画に登場した閻魔大王をモデルにしてみました。

次章は・・・時間が何百年か飛んで安土桃山時代まで飛びます。なにかご要望があれば自分の中で御蔵入した鎌倉時代の話とか出しますけど。
安土桃山時代といえば織田信長の南蛮貿易。南蛮貿易で入ってきた何かが波乱を巻き起こすのですよ!

あと、『ここら辺の設定どうなってんの?』みたいな事があれば遠慮なくどうぞ。ネタバレしない程度に答えさせていただきます。

それでは次回も宜しくお願い申し上げます。
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