東方白夜王   作:ザイソン

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白夜叉、冥界に行く

月の都を発ち、幻想郷に戻った。

 

幻想郷は現在夕方。そろそろ夕飯どきだ。神社に戻ると巫女が出迎えた。少し、申し訳なさそうな顔をしている。

 

「お帰りなさいませ、白夜叉様・・・」

 

「・・・(レン)、何があった・・・」

 

「その・・・いつもの通り食事の用意をしようとしたらですね、白雪様が・・・大根を使って何かを・・・」

 

「もういい。わかった」

 

憐と呼ばれた巫女は白雪の大根料理を食べたのだが、相当ヤバい味で死にかけたそうだ。その上台所が大根の乱切り(本人的には千切り)の山が築かれているそうだ。

白雪は現在大根の後処理に勤しんでいる。

 

「そうだ、紫はどこか知らんかの?」

 

「紫様でしたら、御友人の家に行かれたと藍さんから伺いました」

 

「なん・・・だと・・・?」

 

馬鹿な、と白夜叉は思った。

 

あの紫に白夜叉以外の友人がいたとはかなり驚きである。

社交性がなくて胡散臭いオーラがする紫に友人がいるなんて・・・

 

「で、その友人の家は?」

 

「たしか、冥界と・・・」

 

 

冥界。すなわち死者の国。閻魔の裁判を終え転生、成仏を待つ場。

そこには白玉楼という屋敷があり、冥界の管理者が住んでいるという。

 

「なるほどの・・・」

 

白玉楼の長い長い階段を登る。桜の木が生えているが現在は春ではないため花は咲いていない。

 

もう歩くのがめんどくさいので、階段を蹴って跳び上がり、門の前までたどり着いた。

 

門の前には門番と思われる老人がいた。身体の周りには白い魂のようなものが浮いている。

噂に聞く半人半霊という種族だろう。

 

「ここは冥界 白玉楼。どのような様で参った」

 

「ここに八雲紫という奴がいると聞いたのだがの」

 

「確かに、紫殿はここにおられるが入れるわけにはいかぬ」

 

生者お断りって事だろう。しかし白夜叉には役目がある。紫をぶん殴るという!

 

「ならば押し通るまでだの」

 

「ならば斬るしかない。魂魄妖忌、いざ参る!」

 

妖忌は腰の刀に手を置き白夜叉の首を狙い居合斬りをする。

 

白夜叉は身長差を利用し小さなジャンプで避ける。

そしてギフトカードから白極夜刀を取り出して応戦する。

力とか能力とかで圧倒してもいいがたまには技術のみで戦うのもまたいい。

 

刀の長さは妖忌の方が長い。白夜叉の身長のせいで白極夜刀は長く見えるが。

 

白夜叉は経津主神の剣技を幾度も見ているが故にある程度は真似し、並みの達人を瞬時に打ち倒せるほどの高い技術を修めているが、妖忌はそのさらに上をいく。

 

「・・・おんし、強いな。その長刀、扱いにくいだろうに」

 

「貴女もなかなかの腕前。見た事のない・・・いや、見た事はあるが、知ってはいる。ここまで高い技術を保持する者は見た事がない」

 

白夜叉の剣技の元は経津主神。経津主神の剣技は日本の全ての剣技の源流である。故に見た事はなくても知っている。

 

とは言っても、白夜叉は技術だけでは勝てないと悟り、別の方法をとる事にした。

 

「見慣れぬ型だ・・・」

 

刀を左手にもち切っ先を下にしている。

 

妖忌は刀で攻撃するが左手の刀で防がれ、足で蹴られた。

 

「なるほど・・・体術か。しかも、刀を盾の代わりに使用する」

 

あまり見る事はない珍しい技法だ。

 

妖忌は防がれない様に刺突を繰り出すがそれを見越したかの様に刀で上に弾きあげて胴に拳を叩き込んだ。

 

「・・・見事なり」

 

もちろん手加減しているため気絶しただけだ。

 

白夜叉は妖忌を門の横に寝かせて白玉楼に突撃した。

 

 

 

月から帰還した紫は藍とともに白夜叉のお仕置きから逃げるべく白玉楼に匿ってもらっていた。ここの主とは友人関係にあるので快く迎えてくれた。

 

白玉楼の場所は白夜叉は知らないはずなので隠れるには絶好の場所だ。

 

「え?白夜叉様から逃げるために此処に来たのですか⁉︎巫女の憐に冥界の白玉楼に行くって言ってしまいましたよ⁉︎」

 

「なんで言ったのよ!・・・って、慌てて藍には逃げ目的って伝えてなかったわね・・・幽々子!此処に銀髪で角の生えた子供が来たら私はいないって言っておいて!」

 

「しょうがないわね〜」

 

幽々子と呼ばれた亡霊、西行寺幽々子は団子を食べながら頷いた。

 

そして紫は白玉楼の奥の大きめのクローゼットに藍と共に隠れた。

 

因みに、この日クローゼットは紫がヨーロッパから持ってきたものだ。

 

その2分後、戸がノックされる音を聞き、幽々子は玄関へ向かう。

 

戸を開けるとそこには、

 

「此処に八雲紫というアホンダラが来とらんかの?」

 

紫に言われた通りの人相の子供がきた。

 

「さぁ・・・どちら様?」

 

「あぁ、すまんの。私は白夜叉というもので紫の友人をやっているものだ。あ、これどうぞ」

 

そう言って白夜叉は月土産の月饅頭を箱で渡した。

 

「ありがとう。私は西行寺幽々子よ。同じく紫の友人をやっているわ。どうぞ、上がって」

 

幽々子は白夜叉を白玉楼の中にいれ、茶の間に招いた。

 

お茶を飲みながら白夜叉は部屋を確認する。

 

書院造りの構造をした部屋に不自然な大きめのクローゼット。

 

「・・・本当に紫は来てないのか?」

 

「見てないわね〜」

 

(はいダウト。まぁ大方紫に頼まれて匿っているだけだから別に幽々子は悪くないの・・・さて、紫は・・・アレか)

 

アレとは、青い鬼から隠れるため勇者が逃げ込んだ城である。その名は、風雲たけしアンドひろし城、即ちクローゼット!

 

白夜叉はガバッとクローゼットを開ける。

 

「ギャーーーー!!!!」

 

「紫様、はしたないです」

 

見つけた。紫は涙目だが、慈悲はない。

 

「何を言っている?私は怒ってない。怒ってない」

 

笑顔でそう告げる白夜叉。しかし目は笑ってない。

 

「怒ってないがの・・・紫!死に去らせ!!!!」

 

「ごめんなさい!!!!」

 

紫の悲痛な叫びがこだまする中、

 

「賑やかね・・・」

 

幽々子は微笑みながらお茶を飲んだ。

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