例外少女とギルガメッシュのFate/EXTRA   作:雨宮ラキ

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エピソード.0
始まり


――少女は日常を謳歌していた。その日常が作られたものと知りながら…。

 

 

少女は普段通り学校へと向かう。

 

遠目から見てもわかる大勢の人間、先日…本当に先日なのだろうか、もっと前のことのように思える…生徒会が学内風紀強化月間を行うといっていた。大方、そのことについてだろう。

 

校門に近付くと、友人という役割を持った男…生徒会長の柳洞一成が彼女を呼び止める。

 

「おはよう!今朝も気持ちのいい晴天で結構!」

「……おはよう。」

 

少女は一成を一瞥し、そのまま歩を進める。

 

「ん?どうした、そんなに驚いた顔をして。」

 

一成は誰も居ない場所に向かって話している。

端から見たら可笑しな光景だが誰もそれを気には止めない。

 

少女は幾度となくこの光景を見てきた。だが、それが不愉快だとは思ったことは無い。

それどころか、普通の学生になれて嬉しいと思える程だ。

いや、待て。彼女は元々普通の学生だったはず。なのに、何だ?この記憶は。

ただの不具合だろうか。…気にしなくともそこまで問題はない気がする。

 

 

彼女は歩く。靴を履き替え、自身の教室まで向かう。

そして、扉を開く。ガヤガヤと騒がしいほどの教室は今日も健在だ。

だが、彼女に目を向けるものは誰もいない。不気味なほどに、おかしな事に。

それなのに、彼女は気にせず、椅子へと座る。

そして、腰まである長い黒髪を前に持ってき、一つにまとめる。

それから少し経つと、HRの始まりを知らせるチャイムが鳴った。

 

 

 

 

 

 

それから、"いつもと変わらない"授業を受けた。

 

――そして夕方。

 

 

 

少女を頭痛が襲った。

 

彼女は思う。

 

―もうそろそろ限界かな。と

 

一度目を閉じ、また開く…つまるところの"瞬き"をすると、目の前はノイズに覆われた。

別に周囲が見えないほど酷いものではない。が、視界がぼやけるというのに少女は少しばかりイラついた。

 

だが、そんな事気にした様子もなく下校…いや、この日常から去ろうと一階へと降りる。

 

ふと、少女は目の前をレオナルド・ビスタリオ・ハーウェイと同じクラスの少年…名前は何だったか。そんなことは覚えていない。どうせただのモブなのだから…が一年生の教室前廊下の方向へ向かっていくのが見えた気がした。

 

最近、この学校はおかしい気がする。行方不明者が多すぎる。

いや、行方不明というべきではない。その者達はいるべき場所に帰ったのだ。

 

問題なのはそこではない。というより、おかしいのはこの少女のことなのだ。

 

 

 

 

 

 

目を―――な。

 

この仮初の日常から。

 

 

目を――るな。

 

真実が何なのかということから。

 

 

目を背けるな。

 

この場所にいる、その意味から。

 

 

 

 

 

 

 

少女は一年生の廊下の方を見ながら決心する。

 

―追おう。と

 

 

そして、走りだす。この作られた日常か抜けだす為に。

 

廊下の先…確か、ここは行き止まりの筈なのだが。そこでレオナルド…レオと先ほどの男が話している。

 

「本当に良く出来ているディテールだけでなく、空気さえリアルだ。

ともすれば、現実よりずっと現実らしい。

 

 

ねぇ、貴方"達"はどう思います?」

 

レオは男に背を向けたまま、そう問いかける。

 

「こんにちは。こうして話をするのは初めてですね。」

 

レオは振り返りながら、穏やかな表情で男のほうを見ている。

 

「ここの生活も悪くはありませんでした。

見聞の限りではありましたが、学校というものに僕は来たことが無かった

。そういう意味ではなかなかに面白い体験が出来ましたよ。

 

……でも、それもここまでです。この場所は僕のいるべき場所ではありませんから。

寄り道は所詮寄り道。いずれは本来の道へと戻らなければいけない。

それが今…。」

 

レオはくるりと、踵を返し男に背を向けた。

 

「さようなら。………いや、お別れを言うのは間違いだ?

今の僕は理由もないのにまた貴方に会える気がしている。

だからここは、"また今度"と言うべきでしょう。では先に行きますね。

貴方"達"に幸運を。」

 

そういったレオは一瞬だが確かに少女の方を向いた気がした。

 

レオは壁へと歩いて行き、この場からは消えてしまった。男もそれに続き、消えていく。

 

あの壁に何があるというのか…いや、それを少女は知っている。

あの壁の先に、行かなければいけない場所があるのだ。

 

少女は彼らが消えていった壁に手をかける。

 

少しばかり目を凝らすと見えてくる。

ただの変わらぬコンクリートの壁だった場所には扉があった。

少女は普通に、自然に手をかけ、中に入る。

 

 

 

そこは、普通の用具室のように見えた。ただ、そこに異物のようなものが混ざっていたが…

少女の目の前にはつるりとした肌のデッサン人形のような人形(ドール)が置かれていたのだ。

 

 

――それはこの先で自身の剣となり、盾となるもの。

 

どこからともなくそんな声が聞こえてくる。

 

少女は人形を一瞥し、扉の無い、穴のようなものの先進んで行く。

 

 

 

―そこは、暗闇だった。ホログラムで作られたかのような道だけがある、ただの暗闇だ。

 

歩くと、少女自身の足音が聞こえる。

反響して大人数いるかのような錯覚を覚えるが、一人だけしか居ないのだ。

 

一定の歩数を歩くと、一瞬だけ光に包まれ周りは暗闇から変化する。

よくわからないがこれもホログラムの一種だろう。

 

そして、また一定の歩数を歩くと、またも光に包まれる。

次は壁が現れた。―この先へ進め。そう、言っているかの様に…。

 

そして、最後にまたも光に包まれた時には、空間が広がっていた。

 

その空間は、いつ物陰から怪物が現れてもおかしくないような異様な空間だ。

この場所に名前をつけるとしたらという言葉がぴったりだろう。

 

「ようこそ、新たなマスター候補よ。」

 

少女があたりを見回していると声がどこからか聞こえてきた。

誰も居ないというのに。どこから聞こえてくるのか…そういう謎が頭を過るがいくら考えようが答えは出てこないだろう。

 

「君が答えを知りたいなら、まずはゴールを目指すといい。さぁ、足を進めたまえ。」

 

言われたとおり、仕方がなく足を進める。 

この迷宮にはアイテムボックス…宝箱のようなものだ…や、エネミー…つまりはモンスターと考えればいい…など、迷宮呼ぶに相応しいものが揃っていた。

 

少女は、声に説明されながらエネミーを人形に命令することで薙ぎ払いながら進んで行く。

 

 

 

そして、4体のエネミーを倒し、先へと進む。

 

少女は声に良くやったと褒められたが、あまり嬉しくないというのが本音だった。

 

…声には出さなかったが。

 

 

そして、声の言う最後の間へと、辿り着いた。

 

 

 

 

 

 

 

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