例外少女とギルガメッシュのFate/EXTRA 作:雨宮ラキ
二日目のアリーナ探索。
ギルガメッシュの強さを見るに、アリーナにいるエネミーと戦う意味はないのではと思えてくるが、ギルガメッシュが良くても燈月が良くない為、毎日欠かさず第一層のエネミーを殲滅している。
「そろそろ、見てるだけでは経験が上がらなくなってきたか。」
突然、ギルガメッシュがそんなことを言い出した。
「ええと、それは……まさか?」
「ああ、そのまさかだ。燈月よ、貴様が我に指示せよ。」
「…いきなり過ぎない?」
「いずれはそうする必要があった。それが今、と言うだけだ。という訳で、そこにいるエネミーと戦ってみよ。」
燈月は驚き過ぎて声が出ず、コクリと頷くことで誠意を示した。
***
「小娘!何をやっている。貴様の判断力はそれ程のものか!」
「そ、そんなこと言われても…。実質、これが私の初戦闘みたいな感じなんだから、少しは大目に見てよ!」
燈月の初戦闘、やはり、見ているだけでは少ししか経験が詰めず、エネミーの攻撃が分からず、いくつかの傷を負ってしまった。
「まだまだだな。エネミーを3体完勝するまでは帰れんと思え!」
「ス、スパルタ…!」
そして、3体を完勝することができた頃には、燈月はフラフラだった。
ギルガメッシュの回復、エネミーが居る所まで駆けずり回ったり、はたまた復活するまで待機したり……。
「も、もう動けない…。……あ、この床、冷たくて気持ちい……。」
個室に戻った燈月は椅子に座る前に倒れ伏してしまい、床に転がったまま寝てしまった。
「…これぐらいでへこたれるとは…先が思いやられるな。」
ギルガメッシュは燈月を持ち上げ、椅子に寝かせながら呟く。
「床に寝られて、明日、体痛くて動けないとか言われても困るからな…。」
自身の椅子に座り、目を瞑る。
燈月は目覚めた後、何で椅子で寝てるんだろう、床で寝てしまった筈なのに…などと考えながらギルガメッシュと共に個室から出た。
個室から出ると、NPC達に混じって、マスターたちとすれ違う。
外見が明らかにNPCじゃない、という人もいるが制服を着ている人もいる。
何となく、雰囲気が違うのだ。マスターがピリピリしているのか、NPCが意思のない人形だからなのか、明確なことはわからないが。
そんなマスターの中に一際目立っている人がいた。
と言っても、燈月も十分目立っているが。
「おや、あなたは…。やはり、あなたも本戦に来たんですね。」
そう声を掛けてきたのはレオナルド・B・ハーウェイだった。
赤い学生服を身に纏った彼は、存在感と言うものが他のマスター達よりも確実に濃かった。
予選ではとてつもない違和感があったが、ココではあまり違和感を感じさせない。
「言ったでしょう、あなたにはまた会えるって。」
にこりと微笑みながら言ったレオは歳相応のあどけなさというものがある。
だが、その笑顔の裏には何が隠れているのか分かったものじゃない。
彼だって聖杯戦争の参加者なのだ。
何も、目立つというのはレオのことだけではなかった。
レオの後ろに立っている青年。
甲冑を着込み、帯剣している姿。何もしていないというのに漏れ出てくる人の域を超越した力。誰が、どう見ても、サーヴァントだ。
ふと、燈月がレオのサーヴァントを警戒していることに気付いたのか、声をあげる。
「…ガウェインですか?ああ、僕とした事が失念していました。
………ガウェイン、挨拶を。」
レオが後ろにいる騎士に命令すると、騎士は一歩前に出て礼をする。
「従者のガウェインと申します。以後、お見知りおきを。
どうか、我が主の良き好敵手であらんことを。」
「あの、え?…なぜ堂々と?」
「自身の表れ、だろうな。我も堂々と居ても構わんのだが。」
「それはダメ。」
「と、貴様が言うのならば仕方あるまい。令呪をこんなことに使われてはかなわないからな。」
「ちょっと!私、そんなことに使わないから!」
「なかなかに面白いサーヴァントと当たったようですね。」
「面白くないよ…。」
「…それでは、失礼しますね。再開を祈っています。どうか、悔いのない戦いを。」
クスクスと優雅に笑うレオはお辞儀をして去っていった。
ガウェインと言うと、思い付くのはアーサー王伝説の円卓の騎士の一人だが…
こうも堂々とバラしてていいものなのだろうか。
レオだからこそ出来るのかも知れないが…普通じゃ考えられない。
流石と言うものだろうか。
「レオ…!ハーウェイが来るのは想定してたけど、あんな大物なんて。」
いつの間にか凜が燈月の近くに居た。
「西欧財団の連中がセラフを危険視してるって話は本当だったか。
それにしても、御自らご出陣とはね。…良いじゃない。地上での借り、返してあげる。」
ニヤリと笑う凛はレオ……ハーウェイと何かあったのだろうか。
「……あの、遠坂…さん?」
燈月が声をかけるも、眼中に無いのかそのまま去っていった。
「……何だったんだろう。……まぁいいや、ガウェインについてちょっと調べてみよう!」
夕方、燈月が図書館に向かおうと足を進めていると、視界の端に赤い服を着たツインテールの少女が目に入る。
「あれ、遠坂さん。」
「あら、御機嫌よう。調子はどうかしら?」
「ぼちぼち、かな…。」
「そう、逃げ回ってばかりじゃ勝てる見込みは無いわよ。
けど、相手の情報を得ないまま戦いを挑むなんて愚の骨頂。この聖杯戦争はいわば情報戦何だから。」
「わかってるよ。あともう少しかな…遠坂さんのお陰だよ。
…でも、どうしてそんなに?」
「別に。あなたのほうが勝ちやすい気がするだけよ。ああ見えて、間桐くんはゲームチャンプ。彼が勝ち上がるよりあなたと当たったほうがやりやすそうだもの。」
「…そっか。」
「ま、精々頑張りなさい。」
そんな話をした後、図書室に行くから。と話を区切り、凛と別れた。
「そういえば…遠坂さんに名前教えてないなぁ…話しづらくないのかな。」
そんな事を思いながら図書室に入ると慎二が居た。
「あれ、こんなところで会うなんて奇遇だね。」
「あーうん、そう…だね?」
「なんてね、ウソに決まってるじゃないか。」
「まさか、待ちぶせて…?」
「……情報収集といえば図書室しかないだろ。そんなので偶然もなにも無いって言ったんだ。僕も君の情報はしっかりと集めているから、くれぐれも手を抜かないでくれよ。」
「あー…そう言うことね。」
「ところで、目めぼしい本がみつからないみたいだね。残念ながら対策済みさ。あの海賊女に関する本は既に
少しでも君が楽しめるようにアリーナに隠しておいたよ。」
「それ、なんていじめですか…。」
「まぁ、最弱マスターの君には見つけられないと思うけどね。」
あはははっと笑う慎二の言葉は燈月の心にぐさっと来た。
「…最弱…体力無いもんね。……最弱って言われても仕方ないよね…。」
「お、おい、天宮?最弱って、そういう意味じゃ無いからな!?体力面もそうだけど僕が言ってるのはマスターとしての方だよ。」
「体力面もそうって言わなかった!?」
「……あ。と、ところで。君のサーヴァントは働くのに何を要求するんだい?
やっぱりお金?」
無理やり話を変えた慎二の言葉に燈月はギルガメッシュがいるであろう方向を向く。
「……要求…。」
「何だ、我が要求するのは貴様の強さだぞ?」
「…どうせ私は強くないよ!悪いか!」
「まぁ、精々あがいておくといいさ。あ、はははっ。」
笑いながら去っていく慎二を見送り、調べ物に専念した。
最近、書き貯めというものを取得したけど、そろそろその書き貯めの在庫が減ってきてつらい…。色々リアルが大変なせいでかけないのもあって、次々回あたりから不定期更新になりそうな気がします